転生先が異世界じゃないって誰得!?   作:ぽけてぃ

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やってきました。執事編!
といっても今回は殆どが前回の続きです。
執事には詳しくないですが、まぁ頑張って書きたいです。


4話

 

 

 

2月末、冬の寒さが未だ体を刺して、己を“布団”という結界に閉じ込める時期

小鳥も寒さに身を寄せているのか、外からの(さえ)ずりも聞こえず、()してや鶏の鳴き声は聞こえる筈もなく。

頭の上から聞こえてくるジリリリリ、ジリリリリ、というアラーム音に俺はくして目を覚ます。

 

スヌーズ機能に切り替えるべく右手を頭の上に伸ばすが、右手と敷き布団との間に出来た空間に冷たい風が流れ込み、瞬時に腕を引っ込めて、布団の中で体を縮こませる。うぅ~寒い~

そんな状況でスヌーズ機能に出来るわけもなく。俺はアラーム音を最長で15分間も聞くことを余儀なくされた。

 

 

 

 

 

 

 

まぁそんなに長く聞くのも、それはそれで面倒なので、1分程度してから覚悟を決めて布団を抜け出してアラームを解除した。

 

「ふぁ~、眠い………」

 

iPhomu6の時計を見ると4時10分と示してある、おおよそ朝が忙しい主婦くらいしか起きてはいないだろう時間帯に、俺は目を覚ます。

これと言うのも昨日の出来事が原因なのだが…………………まぁそれは追々述べるとしよう。

一先ず4時半に約束をしているので、それに合わせる為に俺は着替えることにした。

 

 

 

 

 

 

探す間もなく、服は直ぐに見つかった。というか布団の右隣に畳んで置かれていた。

真っ白のシャツに黒色のジャケット、ズボンも黒で、極めつけは黒色のネクタイである。何か色物はないかと探したら、胸ポケットに群青色のポケットチーフが見受けられた。

俗に“燕尾服(えんびふく)”と呼ばれる服を俺は数分で着て、ここで漸く一息つく

 

「はぁー、どうして俺が………」

 

こんな目に、と肩を落とす。

大元を辿れば「神様」に行き着くのだが、もしかしたら俺も間違った選択をしたのかもしれない、と考えてしまう。人生の分岐点は所々にあると言うが、俺の分岐点はそこだったのかもしれない。いや、それ以前に神様に会ってしまった事が運の尽きだったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっべ、時間がねぇ」

 

気付くと4時半までにあと5分程度しかなく、俺は急いで布団を片付けて、外に向かった

うろ覚えの廊下をたどたどしい足取りで走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、お早いですのね、悠真さん。何か御用でしょうか?」

 

外に出ると、正確には家を出て、庭を抜けた玄関の外に出るとだが、俺は相も変わらずメイド服を着ている桜さんに出会う。ただ1つだけ違うのが、桜さんが手に持っている物だった。それは明らかに“ジャージ”と言われる物そのもので、桜さんのメイド服と対比して異様な存在感を発していた。っと、それは置いといて取り敢えず約束を破らなくて良かったと安堵する。ここまで言えば分かるだろうが、約束の相手は桜さんだ。

 

「なんで(とぼ)けているんですか桜さん。こんな朝早くに呼び出して、何かさせようとしてるのは、そっちでしょ。」

 

「そうでした、そうでした、」と表情を変えずに言う桜さんに俺は“読めない人だな”と感じていた。

 

「それでは、本題に入らせて頂きます。失礼ですが悠真さん、昨日の出来事を覚えておいでですか?」

「はい……………そりぁ…まぁ……」

 

正確に………と言われれば、覚えてない部分が多少はあるので、少しだけ曖昧に受け答える。

そして一応、昨日のことを振り替えることにした。

 

 

そう…………それはチャラ男が去っていって、此処が京都と分かった後だ

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「これからどうしよう……」

「「「えっ?」」」

 

俺の言葉に3人の声が被る

 

「これからって………どういう………?家に帰ればいいんじゃないの?」

「あははっ、それもそうなんだけど…………ちょっとね」

「ちょっと、って何がですか?」

「…………………」

 

これ以上、赤の他人の3人を巻き込むわけにはいかないと思い、誤魔化そうとするが、やはりそこを梓さんに追求されてしまう

このままでは埒が明かないので、正直に、転生などの大事な部分は隠して言うことにした。

 

「……実は俺の家………鳥取県にあるんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………えっ?鳥取県?じゃあなんで悠真はこんなところにいるのよ」

 

数秒の沈黙があり、一番最初に口を開いたのは汐莉さんだった。

うん、予想通りのドストレートな質問ですね。

 

「まぁやむにやまれぬ事情があって、」

「何よその事情って」

「それは………まぁ色々……」

「誤魔化さないの!」

 

誤魔化す程に追求してくる汐莉さん

俺も転生の事は流石に話したくない、信じてもらえるとも思ってない。“通りすがりに出会った人が変人だった”っで片付きそうだ。……………それでもやはり、話すしかないのかな……。そう思った時、

 

「汐莉!悠真さんが困っています。それ以上の追求は止めてください。悠真さんにも言いたくない事情があるんですよ。きっと、」

「そうですわね、事情がどうあれ家に帰れないのは事実。………………どうしましょう?」

「むっ、確かに今はそれが肝心ね」

 

梓さんと、桜さんに話をずらしてくれたおかげで、汐莉さんも渋々引き下がってくれた

ありがとう!梓さん!桜さん!

 

「それで、悠真さんはこれからどうするおつもりですか?」

「俺は、一刻も早く家に帰りたいと考えてます。でも………見ての通り、お金がなくて……」

「あんた、お金もないの!本当にどうやってここまで来たっていうのよ!」

「いや、……はははっ」

 

汐莉さんの正しすぎる突っ込みには苦笑いするしかない。

なんせ財布は鞄に入れていたんだから、鞄が消えてしまった俺には必然的にお金がない。本当に素晴らしい神様だなぁ!

神様に文句を言ってやりたいところだが今は置いておこう。多分二度と言えないだろうし、

 

「無一文となりますと………困りましたね。高桐院家ならば京都から鳥取に行くお金など容易(たやす)く出せるのですが、そのまま返しもせずに逃亡などされてはかないません。」

「そこを何とかなりませんか。必ずし返しますから!」

「そう言われましても……」

 

というか、お金を容易に出せるんですか………流石、メイドを雇っているだけはある。高桐院家の財力に話そっちのけで驚かされる。だって見知らぬ男にお金を出せるって、大したもんだよ。いや、渋られてるのは事実なんだけども…………………

 

「桜さん!悠真さんは私達を助けてくれたんですよ。そん悪い事をする筈がありません。」

 

困り果てたその時、又も俺をフォローしてくれたのは梓さんで、うん、何でそんなに信頼されてるんだろう?逆に不思議になってしまう。

 

「梓様、そういうわけにはいきません。見知らぬ輩にお金をお貸しして、返してもらえないとなると、高桐院家の名が(すた)ります。高桐院家の看板に泥を塗るような事はしたくはありませんゆえ、」

 

正論過ぎる桜さんの言葉に流石の梓さんも黙ってしまう。ヤバい………万事休すか……

 

「お願いします。何でもしますからお金を貸して頂けないでしょうか」

 

誠心誠意、心を込めたお辞儀、桜さんが少しでも考えを改めてくれる事を祈ってやってみる……

 

「何でも……ですか……」

「はい、出来ることなら!」

「ねぇ、桜。ここから鳥取まではどれくらいのお金がかかるの?」

 

汐莉さんが俺の事を考えもせず、いきなり話の腰を折ってくる。ちょっとは状況を考えてくださいよ。いや、汐莉さんには何か考えが有るに違いない。俺はそれを信じよう

熱い視線(変な意味じゃないからね)で汐莉さんを見るが、全然気づいてくれない。

 

「そうですね…………電車で早く行ける便だと、代々8千円~9千円程度ですかね。」

「ふ~ん、」

 

汐莉さんの思考が読めないが、取り敢えず嫌な予感がする。

 

 

 

 

「じゃあ悠真!2週間、私達の召し使い(・・・・)になりなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

何って言った?召し使いになれ?何故にそうなるんだ?

 

「汐莉様、それはどういう……?」

「桜が言うには悠真にお金を“あげる”のがいけないんでしょ、だったら雇って、給料って事にすれば問題ないんじゃない?」

「確かにそうですが…………何故2週間?」

「う~ん、何となく」

 

何となくって…………

汐莉さんの適当加減に落胆しつつ、それでも尚、他の方法があることを信じて、考えてみる。そうだ!きっと梓さんが止めてくれるはず!

 

「悠真さんが執事……………良いですね」

 

オッケーでした。10秒とかからずに決めましたね。そこは反論してくださいよ。しかも2週間って……………普通に長いじゃん、

 

「それでは悠真さん、2週間だけ高桐院家御令嬢の汐莉様と梓様の執事ということで良いですか?」

 

「……………………はぁ~、良いですよ、」

 

他に名案もありそうにないので、仕方無く俺が折れた。いや、この3人に関わらない選択肢なら星の数程あるけど………………だって3人とも、逃がしてくれそうにもないし、

 

「では、明日から2週間の執事としてよろしくお願い申し上げます。それに伴いまして、悠真さんは朝方の4時30分からすることがありますので、その時間帯に高桐院家の門の前に居られるようにお願いします。」

「………………………はい」

 

本当に何やってんだよ俺…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

その後は何やかんやあって、高桐院家の空き部屋に泊めて貰うことになって、夜を過ぎて今、この状況に至る

尚、高桐院家の現御当主には桜さんが伝えたらしい。昨日、家に居ないので聞いてみたところ、なんでも仕事が忙しく日本中を往き来しているそうで年に10回程度しか会えないという話だ。

 

 

 

 

 

「それで、こんな朝早くに起こして一体何をするんですか?」

「それは勿論、悠真さんには例え2週間といえどお嬢様達を護る義務がありますので………」

「それで……何ですか?」

「なので、体を鍛えてもらおうと思いまして、取り敢えずは家の周りを走ってきてください。20回程……あっ因みに一周1kmくらいですので6時までには終えておいてくださいね」

 

そう言って桜さんが、手にしているジャージを渡してくる。その為のジャージだったんですね………………ってちょっと待てぇ!!何で俺、朝早くに起きて20kmも走んないといけないの!ドッキリ、ドッキリだって言ってよ!そんな願いを込めて桜さんの方を向くが、その天然みたいなのに何でも見据えてそうな顔を見ると“有無を言わさない”という顔だった、ほ、本気らしい、

 

「…………………」

 

 

どうやら執事生活は俺の思っていた程に甘くはないらしい

桜さんの言葉に俺は開いた口が塞がらなかった

 

 

 

 




一時間半で20kmって……………悠真君、中学生ですよ、

次回から?はたまたその次からか、執事をさせたいです。ではまた次回で
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