果たして俺は二年生になれるのか…………
英語が赤点必死の作者は、小説を書いてる場合ではないのですが……………書きたい衝動は抑えられない
ということで5話です。なかなか展開が進まないですが、あしからず
「はぁ……はぁはぁ」
現在、時刻は6時15分
見事20kmを走りきった俺は案の定、地面に伏していた
正直、予想より遥かに辛かった。10km辺りで足が棒のようになり、15kmでは走れているのかすらあやふやだった。
これから毎日こんなのを続けるとなると俺は是が非でも転生前に戻りたい。いや、戻させてください。お願いします。
聞こえていないのか、無視されているのか神様からの応答はない。まぁ当然なのだが、
「悠真さん、」
桜さんが俺の終わりを予測してたかのように目の前に現れる。なんでか、この人には俺の行動は筒抜けらしい
「お疲れ様です。服を着替える前にシャワーを浴びて来てください。」
「……………はい」
じゃあ何で燕尾服に着替えさせたんだよ!とは言えない。昨日の夜だけで俺は高桐院家がどれだけ権力を有しているかを知らされた。なんでも御当主が京都の一番偉い人、いわゆる都道府県知事と昔ながらの親友だとか
ははっ、絶対に逆らえねぇ…………
それよりも、1つだけ疑問に思ったことがあった
「あの~、」
「はい?何でしょう?」
「体を鍛えるのは分かるんですけど、その前に執事の言葉遣い?みたいなものを学ばなくていいんですか?」
俺は、桜さんの様に尊敬語を熟知しているわけではない。昨日まで、いや今でもただの中学生だ。だから先ずは言葉遣いからだと思っていたのに、いきなり20km走らされたので、堪ったもんじゃない
「その事でしたら問題はありません。一番大事なのはお嬢様達ご自身です、その為に悠真さんをボディーガードとして送り迎えに付き添いさせるので、悠真さんの体力アップは必須事項なります。なので、言葉遣いの修正は勝手ながら後回しにしました。悠真さんには出来る範囲でお願いしたいと……………………それとも午前2時起きで、勉強しますか?」
“午前2時起き”そんな言葉を笑顔で述べる桜さんの後ろに、悪魔が微笑んでいたのを、俺はこの目でしっかりと見てしまった
「すいません、今まで通りでお願いします。」
「分かりました。それでは6時半までにはシャワーを済ませておいてくださいね、」
「…………はい」
俺はのそのそとした足取りで高桐院家の浴室に向かった
あと10分で6時半になるとも知らずに、
「悠真さん、5分の遅刻ですよ。」
シャワーを終え、再度、執事服に着替えたと同時に、桜さんが部屋の中に入ってくる。ここまでくると流石に驚かなくなってくる。
「すいません、でも5分では難しいですよ。」
だって、脱衣場に着いたときに6時25分だと気づいたんだもん。5分でシャワーを浴びて、5分で執事服を着る。普通に考えればいけなくもない様にみえるが、執事服5分が難解だった。
“焦ると、ろくな事がない”こんな言葉があるように焦りまくった俺は結果、朝一で着替えたときの2倍もの時間がかかってしまった。
「まぁ良いでしょう。流石に初日でこのスケジュールは難しかったですね。」
「あ、ありがとうございます」
やっぱり、桜さんは優しい人だった。俺は最初からわかってましたよ。えっ?悪魔?何の事ですか?
「でも、次はないですよ」
「………………」
あっ、やっぱ悪魔だった。
笑顔で脅す桜さんに俺は又も背後に佇む悪魔を見るのだった
「それはさておき、朝食の準備が出来ましたので、悠真さんは梓様を起こしに行っていただけませんか?」
「梓さんを……ですか…」
正直、梓さんは良く分からない。昨日の夕食の時も目が合えば瞬く間に目を逸らされる、その割に俺の事に関してグイグイ質問してくる。最終的には「好きなタイプはどんな人ですか」になってたし、取り敢えず「優しい人かな」と答えたら「そ、そうですか……」って言って顔を赤くして又も目を逸らされて…………う~ん、本当に何なんだろうなぁ~
「場所は分かりますよね。」
「一応、」
「それではお願いします。私は汐莉様を起こして参りますので」
異論は認められないとのことだ。俺は仕方無く、頭にある地図を頼りに梓さんの部屋に向かって歩き始めた
「悠真さん」
「はい?」
急に桜さんに引き留められて、俺は後ろを振り替えると、
「もし梓様を襲うような事をしたら……………お分かりですよね?」
そこには悪魔では言い表せない位の圧力を発している桜さんの姿があった。梓さんに手を出すということは、高桐院家に手を出すのと同義、そんな事をしたらどうなるか…………………猿でもでも分かる事だ。
“修羅”と言っても過言ではない姿に、俺は言葉が出なかった
「分かっていればよろしいんですよ。ただし、」
「……ただし?」
さっきの圧力は何処へやら、いつも通りの桜さんに戻り、いつも通りの食えない笑顔で言葉を続けた。その後に、桜さんが発した言葉を俺は良く理解できなかったが、取り敢えず“何があっても襲わない”と、心に決めた。いや、元から襲うつもりは無かったからね
「誘われた場合は自分の判断に任せますので、そこのところは、ご了承を」
「梓様~、……………入りますよ。」
俺は“梓の部屋”と書かれたプレートのある扉をゆっくりと時間をかけて開く。
中
内装はシンプルで、必要最小限の物しか置いていないみたいだ。
「………っと、梓さんを起こさないと」
直ぐに頭を切り替え、梓さんが寝ているベッドの元に近づく。
「ス―、ス―」
「…………………」
そこには案の定、梓さんがいたわけだが、なんとも可愛らしい寝顔に、俺の目は吸い寄せられた。少し湿った唇に目を奪われて、そこから零れる吐息に耳を傾けていた
『襲うような事をしたら………………分かってますよね』
「っ!!」
何秒経っただろうか、それとも何分か、不意に俺の頭の中に流れた
「はぁ~何やってんだ俺………」
先程までの、一歩間違えれば命が危なかった自分に落胆しつつも自分の役目を果たすべく、梓さんの肩に手を置く
「梓さ~ん、起きてください。朝ですよ!」
出来るだけ優しく、
そういうのは妹の雫で慣れていた。
数秒して梓さんが目を覚ます
「……………何で悠真さんが此処に?まだ夢の中なのでしょうか?」
どうやら、まだ寝惚けているようだ。
少し周囲を見渡して俺と目が合った梓さんを見て、そう思う
「現実ですよ。朝食の準備が出来ましたのでお呼びに来ました。」
出来るだけの敬語で受け答えする。寝惚けているので、正直あまり関係ないのだが、一応の習慣付けとして心掛ける
「……えっ……………えぇ!」
徐々に頭が回ってきたようで、梓さんは目を大きく広げて、顔を赤くする。
バサッという音と共に浮き上がった掛け布団に顔を隠す。恥ずかしいのか目から上だけを掛け布団から出す。その姿に、俺はもの言わぬ愛くるしさを感じる
「も、も、も、もしかして………寝顔……見ました?」
「すいません、起こすのにはどうしても顔を見る必要があったので、」
寝顔をガン見していた俺が言うのも何だが、人を起こそうと思えば自然と顔は目に入るものである。その点を考慮したら俺は嘘はついてない。少しだけ、本の少しだけ、事実を控えめに話したくらいだ。
「そ、そうでしたか。目は覚めましたので、悠真さんはお先に向かっておいてください。私は着替えたから向かいます」
「分かりました。先に行っときます」
“行っとく”とは良い言葉遣いなのか?言った後に疑問に思ったが梓さんは気にしてないようで、取り敢えず起きたので、役目を終えた俺は部屋から退出した
「
「……………す、すいません」
戻った俺に桜さんの悪魔が又も微笑むのだった
悠真のハードスケジュールが……………
それはさておき
次回も頑張りたいです。