転生先が異世界じゃないって誰得!?   作:ぽけてぃ

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テストまで後三日………
全く勉強してない
まぁ英語が赤点じゃないのなら俺は幸せです。



6話

 

 

いきなりだが、世界には有りとあらゆる数の諺が存在している。

【ローマは一日にして成らず】

これもその内の1つで、言葉の意味は、転じて大きい仕事を成し遂げるには時間がかかる。というものだ

だが、僕はこの諺をしばし違う解釈で捉えている。

何事も練り上げて完成に至るには時間を有する。別段、大きな仕事でなくともこの諺は作用すると俺は考えている

箸の扱いを覚えるのも、九九をマスターするのも、勿論、ローマを作り上げるのも。全ては時間が掛かる。

特に専門的な役職の人は身に染みて感じるだろう。例えば役者、優れている者は演じる役柄の過去や性格、好きなものなど、必要がない所まで掘り下げて人物像を練っているらしい

そこまでして漸く完成するのだ。いや、それでもまだ足りないくらいなのだが、まぁそれは置いといて

その事はメイドも例外ではない。

 

つまり何が言いたいかと言うと、

 

 

―――――俺は今日、初めてメイドというものがどれだけ大変な仕事か実感したということだ。

 

 

 

 

 

「はぁ、取り敢えず廊下は綺麗になったな」

 

梓さんを起こした後

四人で朝食を食べて、梓さんと汐莉さんは今年卒業の中学校に向かった。勿論俺も同伴したのだが特に異常は無く、そのまま帰ってきてもう一眠りしようとしたところで「何を寝ようとしてるんですか?大変なのはこれからですよ。バカですか?」と罵倒のオプション付きで叩き起こされた。これは余談だが、桜さんの態度が今日の朝から一変して厳しくなってしまった。昨日までの桜さんは何処へやら、今では30分に1回は修羅か悪魔を見る始末である。そりゃあ俺が悪いのは確かだけど……………

 

 

まあそんなこんなで、廊下とトイレの掃除を任されたのだが、よくよく考えてみればこの家の広さは普通じゃないくらいに普通にデカイ

廊下だけでもそれはそれは長く、今トイレと廊下を掃除し終えたのだが、既に時計の短い針が10を回っていた。

 

終わったと同時に半端ない脱力感が俺を襲う。終わってから考えてみたら、高桐院家ただ一人のメイドの桜さんは毎日これをこなしているんだ。

これだけでも重労働なのに桜さんはこれを毎日……………………流石です。

讃えるしかなかった

 

 

 

その後も家の家事は続き、本当に終了した時には3時になっていた。

桜さん曰く、「いつもより1.3倍程早く終わった」らしい。

これでも俺は中学校でサッカー部に所属していたし、体力はそれなりにあると自負していた。確かに家事は余りしないほうだったが、一生懸命にやったと思う。それでも、それでもたったのの0.3しか上げれなかった。

それほどに執事という仕事は難しく、体力、筋力と一緒くたに出来ないということだ。当然長年メイドをやってきた桜さんの技量あってこそだが、俺は改めて執事という仕事の厳しさを垣間見た気がした。

 

 

 

 

 

「どうです。執事の仕事は?」

 

こんな質問をしてきたのは、俺と桜さんが仕事を終えて居間のソファ一段落したときだった。

何の前触れもない突然の質問に、俺は一瞬戸惑うが、しっかりと答えた

 

「そうですね、予想以上に辛かったです。」

「それは良かったです」

 

どういう意味だ、完全に(もてあそ)んでるだろ。

紅茶を飲みながらチラッと桜さんを見ると、やはり笑顔は崩さずにいた。

普通にしていればとてもおしとやかで綺麗な人なのに、今ではその笑顔も俺は信じれなくなりつつある

 

「それはそうと、そろそろ学校が終わる時間ですので、迎えに行かれてはどうですか?」

 

時計を見ると3時10分、学校が終わるのは3時30分と聞いたので確かに丁度良い時間帯だ

 

「わかりました。それじゃ行ってきますね。」

「逝ってらっしゃい」

 

いや、それだと俺死にに行くみたいじゃないですか!

ニュアンスの問題ですよ、ニュアンスの!

ただ汐莉さんと梓さんを迎えに行くだけなのに、どうして死ぬ必要があるのだよ。いや、そもそも何で俺は“行く”と“逝く”の違いが分かるかの問題なのだが、それは何となく桜さんの表情を見れば分かった。

 

「それじゃ、行ってきます」

 

それだけ言うと、俺はそそくさと居間を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校には難なく着いた

朝のルートを完璧に覚えていたわけじゃないが、何となく見た風景ってのは案外記憶に残ってるもんで(実際、人は見た記憶の60%を記憶しているらしい)、それを辿りに進んだら迷うこと無く着いた

まだ授業が終わってないのだろう。周りに人が見当たらないので、俺は校門の柱に寄り掛かって目を閉じた

 

 

 

思い返せば、今が、朝から体を動かしてばっかりの俺の唯一の安らぎの時間だったのかもしれない。桜さんとの休憩はある意味で神経が疲れるので安らぎには含まれない

そこまで振り返った上で、疲れきった人が最終的にどうなるか……………

 

――――結果、俺は暫くして浅い眠りに落ちてしまった。

 

普通なら20分程度で起きるだろうそれは、今回ばかりは指をつねってでもしないべきだった。なんせ汐莉さんと梓さんが通っているのは生徒全員が女子なのだから

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ汐莉~!」

「ん?どうしたの渚?」

 

今日の授業が終わり、学校に通うのも残り11日となった。

いつものように鞄を整理して、「よし帰ろうかな」と小さく呟いたその時だった。私のクラスメイトであり、親友の渚が声をかけてきた

 

「隣のクラスの人から聞いたんだけどー」

「うん」

「何か校門のところに男子がいるって、しかも中々のイケメンらしいわよ」

「へぇ~………で?」

 

だから?と聞くと渚は目を見開いて私に歩み寄る

何か間違った事言ったかな?

 

「あんた興味ないわけ!イケメンよ、イケメン!見に行きましょうよ!」

「えぇ~、私は別に………」

 

会いたくない、そんな知らない奴に興味があるわけない。早く梓と合流して帰ろうかな、そう思っていたのだが、どうやら今日の渚は気合が違った

 

「絶体行きましょう!見るだけで良いから!」

「分かった、分かったわよ」

 

右手を引っ張られて、鞄も持てず、帰るに帰れないので、一先ずは渚に付いていって、そのまま抜け出す作戦に変更した。

 

「取り敢えず、梓を呼びに行くわよ」

「えいえいさー!」

 

 

もしこの時、渚が“執事の格好をした”と言っていたら…………………

いや、そんな“たられば”は結局、意味がないのだろう

 

 

 

 

「梓!帰ろうよ!」

「あ、渚さん!それに汐莉も、少し待ってもらえますか、直ぐに準備を終わらせますので」

「おっけ!」

「………はぁ~」

 

 

 

未だにテンションの高い渚に、私達は連れられて校門に向かって進んでいく、その男の子の事を梓に説明したら、予想通り頭にはてなマークを浮かべていた。

 

「それで、渚さんの提案でその男の人を見に行くと……………それは何が面白いのですか?」

「えぇ!梓も汐莉と同じ反応するの~つれないなぁ」

「ですが、見知らぬ人なのでしょう?」

「そうだけど…………イケメンよ、イケメン。あんたたち彼氏とか欲しくないわけ?」

 

それは…確かに……欲しいとは思うけど………

何かイケメンってだけだとチャラい奴に感じるのよねぇ

うん、やっぱり乗り気にはなれないな

 

 

「あ、ほら!見えてきたわよ!」

 

そうこうしている内に、校門の近くまで来ていたらしい。

正直、凄い人だかりだ………

2,4,6,8,………うん、軽く15人は越えてるわね、いったいどんな人なんだろう

流石にここまでの人だかりだと、その中心人物に少しばかり興味が湧いてくる

そんな事を思っていると、人だかりだの中から声が聞こえてくる

 

 

『あの~どうして此処にいるんですか?』

『人を待ってるんです。』

『それってぇ………彼女さんとかですか?』

『いやそうじゃないんで―――』

『それじゃあ!私達とお茶でもどうですか?』

『それは…………はっはっはっ……』

 

中の声から、相当女子は盛り上がっているのを感じるが、男の方は明らかに困っている。だけど…………この声って…………

私は声の既視感、否、既聴感と言うべきか、とにかくその声に聞き覚えがあった。

 

「汐莉!」「梓!」

 

二人の声が被り、あ互いを見合う。どうやら梓も分かってるみたいだ。流石は双子というべきか、まぁ昨日、今日、聞いた声なので双子も何も無いが、

 

「「侑真(さん)!」」

「ふぇ?何々?どうしたの?」

 

事の現況であろう人物の名前が合っていた事でより一層に確信する。それと同時にあの人混みの中に入っていった

渚は私達の行動に困っているようだが、ごめんけど、今は説明している暇はない

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「侑真さんは何で燕尾服なんか着ているんですか?もしかして趣味とか?」

「いや、これには深い事情があってですね………」

「あの~、一緒に写真撮っても良いですか?」

「あんまり写真とかは…………」

「ダメですか?」

「いや…………あの……それは………」

 

俺は現在、絶賛テンパり中である。だって目を覚ましたら女の子達に囲まれてたんだよ、そりゃ冷静になるって方が無理な話しだ。前にも述べたように、俺はとある人物により(まぁ妹の雫なわけだが)、中学校での2年間女子とのコミュニケーションを一切遮断されていた。

そんな女子との会話が昨日と今日だけで普通に出来るわけもなく、況してや一対多数となると、もはや打つ手が無くなってしまう。

唯一の希望の汐莉さんと梓さんは一向に現れる気配がない。

もう一旦退散しようかn―――――

「侑真!大丈夫?」

「遅くなりました。侑真さん」

 

噂をすればなんとやら、俺の視界には女子の群れを掻い潜ってきた汐莉さんと梓さんがいた

良かった、これで一先ずは安心だ

 

「ってか何で侑真が此処にいんのよ、」

「桜さんに迎えに行けと言われまして………」

「朝送ったところで待ってればよかったでしょ、なんで学校の方まで来てんのよ!」

 

確かに朝は「もう学校に着くからここでいいわ」とか言われて途中で追い返されたな、俺も女子校だと知ってたら絶対に学校まで行かないし。そもそも学校の方が手っ取り早いと思っただけで、女子校という大事な情報を伝えなかったそっちにも少しは非があるんじゃないんですか?

と心の中で思った俺だが、そこはしっかりと心の中に留めておく、決して口にはしない

 

「へぇ~、私達にも非があると、そう言ってんのね侑真は……」

 

…………あれぇ?

 

「もしかして……漏れてました?」

「うん、バッチリ!」

 

いつの間にか口に出ていたらしい。もぉ~俺ってばうっかり テヘッ

あ、すいません、冗談ですから!お願いですから指をポキポキと鳴らさないでください。笑顔が怖いですよ!

 

「す、すいません」

「………………ふぅ、まぁいいわ」

「そうですね、伝えてなかった私達も悪かったのでしょう」

 

案外早く引いてくれた、俺はてっきり一発殴られるかと思ったけど、まぁ殴られなかっただけ儲けもんだな

いやぁ、良かった、良かった。一件落着だ、

そう安堵するのも束の間、先程まで話していた女子達が俺達3人に痛い視線を向けているのに気がついた。そういえばそうだった。うん、これからどうしよう。

 

 

 

 

 

「お~い、梓!汐莉!」

 

頭の中で色々と打開策を考えている時、女子達の中から一人出てきた。さっきまで見てない顔だなぁ、梓さん達の友達かな?

 

「あっ、渚!ごめん、ごめん忘れてたわ」

「ちょっ、それは酷くない、……………それで説明してくれるのよね」

「それとこれとは……」

「まぁいいじゃない。別に減るものじゃ無いのですし」

「梓~!」

「流石は梓!分かってるぅ!」

 

いまいち展開についていけてないのだが、取り敢えず、渚という人は友達で間違いないと思う。

そんな事を考えていたのだが、梓さんの言葉が俺、否、ここにいる全員の度肝を抜いた。

 

「侑真さんは私の彼氏(・・・・)です」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

何って言った?彼氏?いやいや、俺は告白をしても、されても無いですよね?どういうことだ?もしかして梓さんは俺の事が…………いや、それは無いな、ヤバい、現状についていけてない……………ん?皆もついていけてないっぽいな、周りを見ればキョトン顔の人ばかりだった。唯一梓さんだけが笑顔でこっちを向いているが、その頬は少し赤みがかっていた。うん、取り敢えず………………………はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

俺は心のなかで出来る限り叫んだ

 

 





梓さんの最後の発言は次回に解説します。


評価ってどうやったら上がるんでしょう?
まぁ気長に頑張ります。
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