Baby Steps ~変則バックの使い手~ 作:抹茶小豆餅
初投稿! 処女作です! 見る専の僕が、初めて執筆に手を出してしまいました!
余りにもBaby Stepsが好きすぎて勢いで書き始めてしまった、後悔は今のところしていない!
分かりにくい描写などは処女作ということでどうか、どうか温い目で見守ってくだしあ!
プロローグ
『
審判のコールを聞いて一つ、俺は息を吐いた。ゴムボールを相手から返してもらい、ベースラインへと戻る。
全国中学校ソフトテニス大会……思えばあっという間だった。初戦は完勝だったが、二回戦、三回戦と苦戦を強いられ、それでも諦めずにここまで来た。
――あといっぽーん!!
――絶対ばんかーい!!!!
――ファースト大事だぞ! 絶対決めろー!!
バックの応援席で応援してくれる学校の皆、相手のペアを必死に応援する相手校の破れた選手たちに応援団。
チラッと前衛を努めるペアの片割れを見ると、こちらを見て軽く……本当に軽く笑って前を向き、ラケットを構えた。
変わらないクールな片割れ、安心したよ。お前はこういうときも変わらないんだな……。
ポーンポーンと軽くゴムボールをバウンドさせ、次に相手のコートを見る。相手のペアも諦めてはいない。半端なコースを狙えば、この勢いを奪われかねない。
――一つ、息を吐いた。
そんなことを考えても仕方がない。相手がどうだ勢いがどうだ……今までそんなことを考えてプレーしたことがあったか? いや、なかっただろう!
覚悟は決まった。俺は高々とトスをあげた。
ゆっくりと重量に則って落ちてくるボールに狙いを定め――
「っはぁ!!」
力強く叩いたボールは、順回転を帯びて相手コートサービスラインギリギリに弾む。
「くっ!!」
相手の後衛は、なんとか食らいついてボールを返した。……が、それは返しただけの中途半端な中ロブと化した。
それを見逃すほど、俺の片割れは甘くはなかった。
『ゲームセット。ウォンバイ村江、寒河江ペア。ゲームカウント5ー4!』
沸き上がる歓声、それに包まれながら俺は相手のペアと握手を交わし、高々と手を突き上げた。それに呼応するように一際大きな歓声が鳴り響いた。
第一回戦――ゲームカウント5ー0。
第二回戦――ゲームカウント5ー3。
第三回戦――ゲームカウント5ー4。
準々決勝――ゲームカウント5ー2。
準決勝―――ゲームカウント5ー3。
決勝――――ゲームカウント5ー4。
苦しい戦いだったけど、こうして俺達は日本一の栄冠を勝ち取った。だが俺はこのとき、密かな想いを抱えていた。それをおくびに出すことなく、表彰式に臨んでいた。
♪~♪
「はぁ!? ソフトテニスやめるって……お前、なにいってるんだっ!?」
「ちょっと、職員室では静かにしてくださいよ。というか、教師がこんなこと生徒に注意されないでください」
全国大会が終わってから早二ヶ月。職員室に呼び出されたときは何事かと思ったが、なるほど。顧問にしてみたら俺がソフトテニスをやめると聞いて吃驚したといったところか。
「んっんん!! ……それでお前……ソフトテニスをやめるってのは――」
「本気ですよ。ソフトテニスは中学までです」
「……何故だ? お前の腕なら、高校に行っても上に行けるだけの実力があるはずだ。なぜそれを……」
中学三年間、熱心に打ち込んできたソフトテニス。好きな気持ちに嘘偽りはないし、今でも好きだと自信をもって言える。だけど……
「だって、ソフトテニスにプロはないじゃないですか。俺はプロのスポーツ選手を目指してますから」
そう、それが一番大きい理由だ。俺はガキの頃からプロの選手になりたいという夢があった。小学生の時もそれを目標にラケットを振り込んで、ボールを打ち込んできた。
「俺は、ソフトテニスをやめて……硬式に転向します」
力強く、そう宣言した。
「……硬式というなら、なぜ外部のクラブに行かなかった? それほどの目標があるなら……」
確かに、それならソフトテニス等という回り道をせずに外部のクラブに所属するなりなんなりするべきだ。それはそうなのだが……。
「だって――うち、貧乏なんですもん。クラブに払うお金すら出せないって母さんにどやされてしまったんで……」
心なしか、先程かっこよく宣言したやつと同じとは思えぬほど、情けないオーラが漂っていた。
♪~♪
一月。正月が過ぎて学校が始まる。正月によってだらけきった精神と体を元に戻すのに、周りの皆は苦労しているみたいだ。
「だというのに……お前は元気だな」
こう前の席から呟くのは、俺の元片割れの寒河江 修(さがえ しゅう)だ。テニスでは口数も少なくポーカーフェイスだが、普段の生活ではクールではあるが砕けた感じだ。
「そりゃあな。高校からは硬式をするわけだし、プロを目指すんだ。それなりの体作りをしないとな」
俺に休みなんてものはない。正月からずっと走り込みを欠かした日はない。
修はそうか、と軽く返して、前を向いた。
「……なんだよ。どうかしたか?」
分からないと思っているのか。いくらクールとはいえそんな表情をされたら、長年ペアを組んできた俺はわかるっての。
修は小さくかぶりを振って、そしてなんでもないと小さく呟いた。なお追求しようとしたが、朝のHRを始めるチャイムが鳴ってしまったので、結局聞くことができなかった。
♪~♪
「修! ――おい、修!!」
昼休み、ここまでずっと素っ気ない修に理由を聞くべく、さっさと食堂に向かった修を追いかけた。俺の呼び掛けに、修は振り向くことなく無視を決め込んでいる。
業を煮やし、修を追い越してとおせんぼする形で進路を遮った。
「……邪魔なんだが?」
「その前に、何を怒ってるのか教えろよ」
修はまた別に、とだけ溢して俺の横を抜けようとしたが、それを俺は手で遮る。すると修は、今まで見せたことの無い鋭い目で俺を睨み付けた。
こんな修を見るのは初めてだ。試合でもこれ程の圧は感じたことがない。そして修は、静かに溢した。
「……お前、ソフトテニスやめるんだってな」
「あぁ」
「……お前、覚えてるか? 俺とペアを組むことになった初日のことを」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
どれ程の更新スピードで書けるか分かりませんが、お付き合いいただければと思います!