Baby Steps ~変則バックの使い手~   作:抹茶小豆餅

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 お待たせしました! インフルを言い訳に更新が遅れてしまいました!

 お待ちいただいてた読者様には頭が上がりません!
なんとか回復したので、更新再開です!


新たなる一歩を――

 

 

 

 その部屋は男の一人部屋に似合わず片付けられていた。机の上にあった本や写真などはすでに段ボールに詰められ、クローゼットに掛けてあった服はきちんと畳まれて段ボールに詰めて、すでに新天地へと向かうトラックに積み込み済みだ。

 

 

「……」

 

 

 あとは机やベッドを積み込むのみ。だけどまぁ……この部屋ってこんなに広かったんだな、そう物思いに耽るように部屋を見渡す。

 

 

「この部屋ともお別れか。……生まれ育ったところだし、寂しくはあるな」

 

 

 思えば15年、長かったような短かったような……。

 

 

 ――ピンポーン!

 

 

「んぉ?」

 

 

 ――はいはーい……あら、修くん。……あら、わざわざありがとうね。ちょっと待ってね? ――ゆうー? 修くんが来てくれたわよー?

 

 

「修? はいよー!」

 

 

 どうしたんだ? って、お別れを言いに来てくれたのか。

 とりあえず階段を降りて、そのすぐ近くの玄関に急ぐ。玄関には修が立っていた。

 

 

「よぉ修! ……なんだ? わざわざお別れを言いに来てくれたのか?」

 

 

「まぁな、長野に行くって先生から聞いてな」

 

 

 あらら、からかい甲斐のないやつだな……とまぁ、流石にそりゃ失礼か。

 

 

 そう、今修が言った通り、俺は今日長野に引っ越す。父さんの仕事の都合でね。それにともなって俺も着いていくことになったんだ。

 

 

 ちゃんと向こうの高校の入試も終わってる。まぁなんとか清山高校って所に入学することができた。ここは東海でも随一のテニスの強豪だと聞いたから、長野ならここに入りたかったんだ。

 

 

「そうか、本当に行くんだな」

 

 

「お? もしかして寂しいの? 修くん俺がいなくなって寂しいのかにゃあ?」

 

 

 無言で殴られた。スポーツ選手が暴力はダメだと思うぞ?

 

 

「はぁ……まぁ、静かになるなとは思うよ」

 

 

「修がデレた……?」

 

 

「もう一発いこうか? いってほしいんだな?」

 

 

 すみません、調子に乗りすぎました。だからそのわなわなさせている拳を下げようか?

 

 

「全く……お前ってやつは、試合でしかシリアスを保てないんだな」

 

 

「仕方ねぇべ、それが俺だ」

 

 

 深くため息を吐かれた。だって試合じゃアドレナリンやらなんやらが出て頭がハイになるんだもん。他のことで集中力が持たねぇんだもん。

 

 

「ふぅ。その調子なら、長野に行っても大丈夫そうだな」

 

 

 そうして差し出された手を握る。固く、固く――互いの想いを交換するように。

 

 

 

「じゃあな、相棒」

 

 

「おう。トップとれよ、相棒!」

 

 

 

 

 

 

 桜の花びらはヒラヒラと舞い、それはさながらこの世の若人の門出を祝福するように。若人の別れを見守るように……。

 

 

 

 

 

 

 

 ♪~♪

 

 

 

 あぁケツ痛てぇ……。二時間しか乗ってねぇけどトラックの助手席ってやけにケツが痛くなるんだよな

 

 

「なぁ父さん……まぁつかねぇの? ケツが痛くてよ……」

 

 

「へん、なっさけねぇ! これくれぇの走行でケツが痛てぇったぁ走り屋の風上にも置けねぇな!」

 

 

 俺走り屋になったつもりはないぞマイダディ……。

 

 

「だがまぁ安心しな。おめぇもあと何年かすりゃあ立派な走り屋になれる。何たって俺の息子なんだからな」

 

 

「だーから俺は走り屋じゃなくてプロのテニス選手になるの! 大体今時走り屋とかいねぇだ」

 

 

 ろ。そう言いかけたとき、俺の視界に入ってきたのは赤いフェラーリ。そのウィンドウが開き、中から上に突き出された親指をすっと下に向けて落とす。所謂バトルのサイン。

 

 

「……」

 

 

 俺は恐る恐る、運転席側を見る。

 

 

「……はは」

 

 

 ……あかん。これはあかんで……。父さんの目が完全に獲物を狩るそれになってる。ていうか、トラックにバトルしかけるなよ! ここ高速だぞ!?

 

 

「っ上等じゃあぁぁああぁあ!!!! 爆走エンジェルのリーダー、ウィンカーの村江の走り、しかとその目に焼き付けやがれクソガキがぁあああああぁあああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 だっさ。

 

 

 

 

 

 

 

 ♪~♪

 

 

 

「ふんふーんふふーん……いやぁ、あのガキの間抜けそうな顔、爽快だったぜぇ!」

 

 

 そうかい。俺は昇天しそうだったよ。

 

 

 ていうか父さんってマジで走り屋だったんだな。トラックなのにヘアピンカーブでのドリフトは危うく俺の魂がコースアウトしそうだった。普段はどこにでもいるサラリーマンだったのに……。

 

 

「くそ……母さんめ、これがあるから自分は新幹線とか言い出したんだな。俺も新幹線にすりゃよかった」

 

 

「ガッハッハ! なぁに、おめぇもすぐに分かる。社会に出ると、こうやってストレスを発散したくなるんだよ」

 

 

 それをかわいい息子が乗ってるときにしないでほしい。俺のストレスマッハだから。

 

 

 

 

 ――ファンファンファン! ウー!!!!

 

 

 

 ……なんだ? このいかにも不安をあおるこの音は……。しかも出来ることならこの音が出る乗り物には一生関わりたくないと思っていた感じのものだったような……。

 

 

 ちらっと、バックミラーを見る。白と黒の車体に赤いサイレン。極めつけに……

 

 

 

「そこのトラック! 速度違反です! 今すぐ脇に停車しなさい!」

 

 

 お巡りさんの猛烈なラブコール。

 

 

「おっさああぁああああああん!!!!」

 

 

「ふん! 案ずるな、息子よ」

 

 

「え? 何? この状況を解決するすんばらしい手段でもあるの?」

 

 

 あるなら是非実行してほしい。俺はあのパンだの悪魔とはできるなら関わりたくないんだ。

 

 

「なぁに簡単だ。――振りきりゃ、文句はねぇんだろ?」

 

 

「その手があった! ナイスだマイダディ!!」

 

 

「ハッハッハ! よっしゃ息子よ! しっかり捕まってるんだぞ? 舌切りたくねぇだろ?」

 

 

「おうよ!」

 

 

 

 

 

 この時は気づかなかった。大人しく止まってりゃ罰金だけですんだんだ。

 

 

 翌日、長野の自宅に家庭裁判所への出頭届けが届いたそうな。あの頃の俺を殴りたい。ちくせぅ。

 




 なんか色々ぶっとんだ。やっぱダメだね、深夜テンションで書いちゃうのは。


 ちなみに俺、カーチェイス分かりません。なので描写があってるのかすら分からないし、そもそもトラックでドリフトは可能なのかすら分かりません!



 まぁ気にしない方向で……。


 あと大阪にしようとしてましたが、遠すぎて清水さん遠征にこれなくない? てことになったので、ある程度近場にしました。


 次、いよいよヒロインが登場します! 長かった!
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