先週の休日には神居祭に行って来ました。お陰で予算/zeroです(笑)・・・バイトで稼がないといけませんね。
~イベリオ星系 居住惑星宇宙港~
惑星上での人材発掘を終えた霊夢達は、予定していた寄航時間が近づいているためもあって、出航準備を進めていた。
「艦長、主計班より予定していた生活必需品の積込完了を確認したとの報告が入っています。」
新たにオペレーターに着任したミユ・タキザワが霊夢に報告する。ちなみに霊夢は、会社で管理職をやっていたらしいルーミアに主計班を任せている。
「他の物資の積込状況はどう?」
「はい、艦体の補修、整備に必要な貴金属類は本艦への積込は完了しています。あとはミサイル類ですが、艦載機用の小型ミサイルの積込が完了すれば終了します。」
霊夢の確認に、こちらも新たにメインオペレーターに着任したノエル・アンダーソンが報告した。このオペレーターの女性は二人は、エコーが引っ掻けてきた人材だ。
「機関部はどう?」
霊夢は続いて、サナダに機関の稼働状況を尋ねた。
「現在点火準備中だ。あと10分後に主機を稼働させる予定で準備させている。」
サナダは、霊夢に機関の状況を報告する。この惑星では機関士の経験がある人材がなかったため、今までと同様にドロイドとコンピュータで機関を動かしている。整備は機械に強いサナダなら出来ないことではないが、彼は本職の機関士ではないので、機関部はダメージコントロールの点において霊夢の懸念材料の一つになっている。
「しかし、この惑星で機関士を雇えなかったのは痛いな。」
「そうね、機関部は艦の心臓と言ってもいい部署なんだから、優秀な機関士の一人や二人は欲しかったところだけどね。」
サナダの呟きにつられて、霊夢が愚痴を溢した。
この艦の機関であるインフラトン・インヴァイダーは、艦に推進力を与えるのみならず、艦内の電源やレーザーのエネルギー源としても使用されている。ハイパードライブもインフラトン・インヴァイダーから得られるエネルギーで稼働させるため、機関の異常は艦の機能停止に繋がりかねない事態になる。なので、機関部には特に熟練した技士が求められるのだが、その機関士が得られなかったという事は、被弾時におけるダメージコントロールのみならず、巡航時における異常事態への対応能力の低下に繋がるため、霊夢艦隊のウィークポイントとなっている。
「こうなったら、極力戦闘は避けないといけないわね。」
今までは、相手艦隊の練度や性能が低かったり、奇襲によって勝つことができていたが、今後優秀なヤッハバッハ正規軍艦隊に出会したら艦隊は甚大な損害を被ることになる。それに加えて機関だけでなく、艦隊全体のダメージコントロールにも不安があるため、霊夢は極力艦隊戦を避けようと方針を立てた。
「サナダさん、この先の宙域にヤッハバッハの艦隊が展開している可能性はあるかしら?」
「前も言ったが、この宙域は辺境だからな、よほどの事がない限り、ダウグルフやブラビレイを含む機動戦力は展開していないと思うが。ましてやゼー・グルフなんかは考えられないな。」
サナダは、ここが超がつくほどの辺境星系であることから、ヤッハバッハ機動戦力の存在を否定した。
ここでヤッハバッハ艦隊について少し解説すると、ヤッハバッハ艦隊は大きく分けて他国を侵略する外征艦隊と域内を警戒する警備艦隊の二つがあり、外征艦隊は文字通り侵略のための艦隊で、ヤッハバッハの首都である移動要塞ゼオ・ジ・バルトや将官に与えられる巨大戦略指揮戦艦ゼー・グルフ級を始めとして、数百万隻規模の戦闘艦とそれを支える支援艦艇からなる強力な艦隊だ。一方警備艦隊は域内への外敵の進入撃退の他に、宇宙警察として海賊や密輸の取締も行っているので、速度と数を重視してブランジ級の改造艦が主力として充てられ、それを指揮するダルダベル級巡洋艦が旗艦として配備されている。ただし、宙域の中心部、いわゆる都会にはゼー・グルフ級を旗艦とする宙域艦隊が配備されている。この艦隊は警備艦隊では手に負えない外敵や大規模な域内の反乱に投入される艦隊で、一個艦隊の規模は外征艦隊の一個分艦隊に匹敵する強力な艦隊だ。サナダが豊かな星系や宙域を避けるルートを提案しているのも、この艦隊の存在が一番大きな理由だ。
「いないならそれに越した事はないけど、警戒は念入りにしないとね。早苗、レーダーやセンサー類に異常はないわよね?少し確認してくれるかしら?」
霊夢は、艦隊の目たるレーダー類に異常があると警戒に支障を来すため、早苗に今一度レーダー類の状態を確認するよう命じた。
《はい・・・今一度、レーダー類を確認しましたが、これといって異常はありません。》
早苗は、命じられた通りにレーダー類の状態を確認し、霊夢に報告した。
「なら問題無さそうね。」
霊夢は報告に一安心すると、艦長席に深く腰を入れ直し、出航準備の完了を待った。
《ガントリーロック解除確認。インフラトン・インヴァイダー出力上昇中、あと50秒で100%に達します。》
出航準備も完了し、〈高天原〉は機関を始動して宇宙港から出港せんとする。
「フライホイール接続、機関出力安定。出港後は第ニ宇宙速度で惑星重力圏より離脱する。」
操舵席に座るコーディが、ハンドルに手を掛けた。
《宇宙港より出港許可下りました。"貴艦ノ幸運ヲ祈ル"だそうです。》
早苗が宇宙港から出港許可が下りたことを告げる。
「よし、〈高天原〉、出港よ!」
霊夢は左手を前に突き出して、出港の号令をかけた。
「了解、メインノズル点火。」
〈高天原〉のメインノズルに火が入り、その巨体をゆっくりと宇宙港から滑らせて、再び宇宙空間へ乗り出した。
「第二宇宙速度へ移行する。」
コーディがハンドルを押して艦を加速させる。
〈高天原〉は惑星の重力圏を振り切り、後方に見える居住惑星が徐々に遠ざかっていく。
「進路を星系外縁のデッドゲートに向けて頂戴。」
「了解だ。」
コーディーは、霊夢に命じられて艦のスラスターを操作して〈高天原〉を航路に乗せ、星系の外縁部にあるデッドゲートに向けて舵を切った。進路変更が終わり、艦が十分に加速すると、ヤッハバッハに探知されないように慣性航行へと移行する。
「さてと、早苗、3時間後に全乗員を神社に集めてくれるかしら?」
《はい、分かりました。だけど、何をするんですか?諸々の連絡事項は乗艦後すぐに伝えておいた筈ですが。》
早苗は、霊夢の命令には従ったがその内容に疑問をもって訊ねた。
「うちも大分乗員が増えたから、歓迎の宴会でもやろうかと思ってね。新しいクルーの顔合わせにも丁度いいでしょ?」
《そうですか、分かりました。皆さんの端末に連絡しておきますね。》
霊夢は、ヤッハバッハが襲来しないうちに乗組員の歓迎会を済ませようと考え、自然ドーム内の艦内神社で宴会を企画していた。
「それじゃあ、私は神社で準備してくるから、艦橋はサナダさんに任せたわ。何かあったら連絡してくれるかしら?」
「了解した、艦長。」
サナダは霊夢から艦の指揮を引き受けて、艦橋を後にする霊夢を見送った。
霊夢は艦内神社へ向かうためにそこへ向かう通路を歩いているが、そこで彼女は普段見掛けない白衣の女性の姿を見掛けた。
「あ、貴女は確か・・・」
「あ、艦長でしたか、これはどうも。」
女性は、白衣の下に紫色のカーディガンを着ており、白いスカートに紫色のニーソを着用している。肌は色白で、紫色の髪は後ろで三つ編みにして纏められており、これまた紫色のベレー帽を被っている。
「えっと・・・エルトナムさん、だっけ?」
霊夢は自身の記憶から女性の名前を思い出して確認する。彼女は、サナダがスカウトしてきた人材で、本名をシオン・エルトナム・ソカリスという。彼と同じ科学者仲間だ。彼女はサナダよりも医療に関する技能に長けているので、今は暫定的に衛生班の班長に任命されている。本職の医者をスカウトできれば、サナダと共に技術班配属になるだろう。
「はい、覚えて頂き光栄です。ところで艦長はどちらに?」
シオンは霊夢に挨拶すると、彼女に行先を尋ねた。
「自然ドームの神社よ。早苗から通信があったと思うけど、歓迎会の準備にね。」
「早苗・・・確か、艦の統括AIでしたね。良ければ手伝いますか?」
霊夢の話を聞いたシオンは、彼女に手伝いを申し出た。
「いや、いいわ。貴女達は歓迎される側なんだから、ゆっくりしてなさい。それに、今の乗員の数だけなら、準備は私一人で何とかなるから。」
「そうですか、では、失礼します。」
霊夢が手伝いは不要だと伝えると、シオンは一礼して霊夢とは反対方向へ去っていった。
━━さてと・・・使えそうな食材は何があったかしら━━
シオンを見届けた霊夢は、宴会で出す料理の内容を考えながら神社へと向かった。
~〈高天原〉自然ドーム内 高天原神社~
この高天原神社は、〈高天原〉の艦内神社として設置された神社だ。本殿の構造は霊夢が幻想郷の博麗神社をベースに注文したため、博麗神社同様に宴会を開くこともできる。
「さあ飲めえっ━━━!今夜は無礼講よ、乾杯!」
「乾杯!!」
「イェーイ、艦長最高!」
「艦長美人だぜイヤッホゥー!」
艦長の霊夢が乾杯の音頭を取り、他の乗組員もそれに続いて騒ぎ出す。特にトルーパー達やバーガーは酒を片手に一層楽しそうに騒いでいる
自然ドーム内の時間は今は夜に設定されており、松明に照らされた桜が花びらを散らしていた。
「あ、桜。」
霊夢は自分の杯に口をつけようとしたところ、一片の桜の花弁がひらひらと舞い降りて、杯の中の酒に浮かんだ。
━━風流ね。桜を植えたのは正解だったわ。━━
霊夢はしばらく酒に浮かぶ桜を眺めると、杯を持ち上げて中の酒に口付けた。
幻想郷では博麗神社は桜の名所としても有名だった。なので霊夢は神社周辺には桜も植えるように指示していたが、こうして桜を見ると彼女は幻想郷を思い出して、懐かしい気分に浸っていた。
「れ~い~む~~~!」
「えっ・・・て、ルーミア!?」
後ろから声を掛けられた霊夢が振り返ると、そこには顔を真っ赤にしたルーミアが、一升瓶を持ってふらふらと霊夢に近寄ってくる。
「あんた、酔うの早くない!?それに後ろの霊沙はどうしたのよ?」
霊夢はルーミアの酔う速さに驚いて叫んだ。ルーミアの後ろには、縁側に倒れ伏している霊沙の姿が見える。
「むにゃむにゃ・・・もうたべられないでござる・・・」
どうやら霊沙は酔って寝ているようだ。寝言まで呟いている。
「呆れた・・・霊沙を酔い潰したわけ?」
「れいむぅ~~あんたはちゃんと私の酒が飲めるんでしょうね~!」
ルーミアは霊夢の肩に手を回して、まだ中身が入っている杯に酒を注いでいく。
「ちょっと待ちなさいよ!まだ入ってるんだから!」
「いいじゃないの~、ほら飲め飲め~♪」
ルーミアは杯を持っている霊夢の左手を掴んで、催促するように杯を霊夢の顔に近づけた。
「あっ、溢れたじゃないの、もう。」
ルーミアが酒を一杯に入れたため、動かす度に酒が波打って溢れてしまっている。
「ほら飲みなさいよー!」
こうして夜は過ぎ、宴会は続いた。
居住惑星を出港してから約1日が経過し、星系の主星を越えた〈高天原〉はデッドゲートへと接近していた。艦橋からは、そのデッドゲートが視認できるほどだ。
「うう・・・頭痛い・・・少し飲みすぎたわね。」
霊夢は昨夜の新乗組員歓迎の宴会で、久し振りに酒を沢山飲んだので二日酔い状態になっていた。
「艦長、大丈夫か?」
霊夢の身を案じたフォックスが尋ねた。
「ええ、何とかね。」
霊夢は額を押さえながら、フォックスに応える。
「艦長、デッドゲートが見えてきたぞ。」
艦橋の窓の外を眺めていたサナダが、視線でデッドゲートの方向を指して霊夢に伝える。
「へぇ、あれがデッドゲートね。ボロそうな見た目だけど、使えるのかしら?」
霊夢がゲートを見て呟いた。デッドゲートは、稼働しているボイドゲートの見た目が機械然とした銀色なのとは異なり、全体が錆びたような焦げ茶色をしている。いかにも遺跡といったような風体だ。
《サナダさんが言っていたた通り、ボイドフィールドは発生していないようです。これなら、接舷して調査ができそうです。》
早苗は艦のセンサー類でデッドゲートをスキャンして、接舷可能かどうか調べた。
「そうかい。なら接舷させるが、構わないな?」
舵を握るコーディが霊夢に訊ねた。
「ええ、デッドゲートに接舷して頂戴。」
「了解だ。左舷スラスター噴射、逆噴射ノズル用意。デッドゲートに接舷する。」
コーディはスラスターで艦の向きを調節し、デッドゲートに近づくにつれて逆噴射ノズルを噴射させて艦を減速させていく。
「機関停止、重力アンカー作動。接舷完了だ。」
艦がデッドゲートの側まで来ると、コーディは艦を静止させるために機関を停止し、重力アンカーで艦の位置を固定した。
「よし、私は調査機器の準備をしてくる。チョッパー、15分後に作業を開始するぞ、機器の準備を頼む。」
《了解。》
サナダは調査準備のために艦橋を後にして、整備室のチョッパーに通信で呼び掛けて機器の準備をするように命じた。
15分後、準備を終えたサナダ達は作業艇で艦外に出て、デッドゲートの表面素材を調べるために作業機器で外壁を切断させていく。
「よし、中々良いサンプルが手に入ったな。チョッパー、中への入口は見つかったか?」
「いや、駄目だ。センサーや無人機のカメラで探しているが、さっぱり見つからないぜ。」
チョッパーは無人探査機から送られてくるデータを眺めながらゲート内部への進入口を探すが、それらしい物は見つからなかった。
「ゲートは明らかに人為的に設置されたものだ。エイリアンの文明のものでも、保守管理のための通路位は設置されている筈だ。もっと探してみろ。」
「了解だ。」
ボイドゲートは無人建造物だが、サナダはゲートが人工物である以上はどこかに点検用の通路やその入口があると踏んで、チョッパーに捜索させた。同時に、ゲートに空いた穴には〈サクラメント〉からドロイドを発艦させて突入させ、内部構造や構成素材を調べさせている。
「むぅ・・・やはり奥深くまでは進めないか。」
サナダはドロイドを操作してデッドゲートの奥深くまで進めさせようとするが、途中で通行可能な空間が途切れてしまってどのドロイドも先へは進めなかった。
「仕方ない、外部からのスキャンデータとサンプルだけでも良しとしよう。」
サナダは破口からのゲート中枢への進入を諦めて、より詳細なデータを取るべく無人探査機をゲートの周りを飛び回らせて、あらゆる波長でゲート内部の観測を進めさせた。
「サナダ班長、やはり進入口らしき存在は確認出来ないぜ。」
チョッパーはサナダに命じられた通りに入念に進入口を探したが、ついにそれらしきものを見つけることは叶わなかった。
「我々の想像する入口とは、全く違ったタイプなのかもしれんな。しかし、君達もボイドゲートの存在を知らないとなると、このゲートを設置した文明がどのようなものだったか、謎が深まるな。」
チョッパー達トルーパーは、偶然現代に転移してしまった大昔の異星人の軍人だ。彼等の姿は人間そのものだが、サナダは、彼等から多彩な種族の宇宙人の存在を聞いていた。彼等が活動していたM33銀河でもボイドゲートは数多く存在しているが、彼等が生きた時代にはボイドゲートは一切存在しなかったという。そのため、彼等はハイパードライブというi3エクシード航法を上回る超光速移動手段を開発した。彼等がボイドゲートを知らないとなると、ボイドゲートを設置した文明は、彼等の国が栄えた時代から、人類が進出した間に栄えたことになる。その間はせいぜい十数万年程度の時間だ。
「デッドゲートのスキャンデータを見てみたが、構造に君達の技術との関連性は見受けられないな。」
サナダは、コルベット〈スターゲイザー〉を始めとして、チョッパー達の文明の遺産を数多く研究してきたが、彼が見る限りはデッドゲートの構造とチョッパー達の文明との関連性は見られなかった。
「だとしたら、このゲートを設置した文明は共和国に取って変わった異文明、って線が濃厚だろうな。」
チョッパーは、観測結果から簡単な推測を立てた。
「それか君達の文明との戦争で互いに滅んだのかもしれん。君達の生き残りやボイドゲート文明の生き残りがいない以上、その線が濃厚かもしれないな。・・・ん、ちょっと待て、・・・やはりおかしいな。」
サナダもチョッパー同様に推論を述べるが、観測機器が不可解なノイズを標示し続けていることに疑問を持った彼はデータを見直し始めた。
「・・・やはりな。チョッパー、見ろ。ゲートの中枢部分だけ、スキャンデータにノイズがかかって詳細な内部構造が分からなくなっている。」
「本当だ・・・ここだけ、特殊な合金で装甲されているとか?」
サナダは問題のデータをチョッパーにも見せ、彼も同様に違和感を持った。
「ゲートを設置した文明からすれば、ゲートの中枢は機密の塊なのだとしたら、それもない話ではないが・・・」
サナダはゲート中枢を観測するために、あらゆる波長の観測データにも目を通したが、どれも結果は同じだった。
「・・・仕方ない、今回はここまでだな。」
「了解だ。無人探査機を〈サクラメント〉に撤収させる。」
ゲート中枢の観測手段がないため、サナダはゲートのスキャンデータと外壁や内部部品のサンプルを持ち帰ることで満足することにして、撤収指令を出した。
「お帰りなさい、サナダさん。」
艦橋に戻ったサナダを、霊夢が出迎えた。
「で、成果はあったのか?」
適当な席に座っていた霊沙も、サナダが戻ると興味津々に訊いてくる。
「まぁ待て。今はゲートのスキャンデータと構成材質のサンプルを機械に解析させているところだ。結果が出るまでは、しばらく時間が掛かるだろう。ただ・・・」
「ただ?」
サナダは一呼吸置いて、話を続けた。
「ゲートの中枢部分だけ、靄が掛かったように観測データにノイズが入っていた。まるで、見られたくないものを隠すようにな。」
「へぇ、気になるわね。そこまでして見られたくないものなのかしら?」
「ああ、恐らく、ワープ関連の技術とボイドフィールドの機密を保護するためだろうな。」
霊夢の疑問に対して、サナダが推論を述べる。
「管理局って連中は何か知らないのか?」
「いや、空間通商管理局はゲートを運営しているだけで、内部構造までは把握していないだろう。大昔の人類が、炎を完全に理解しなくても使っていたのと同じだな。」
霊沙はゲートを管理する空間通商管理局なら何か知っているのではないかと思ったが、サナダはそれを否定した。
《艦長》
「なに、早苗。」
早苗に呼ばれた霊夢は、注意を一旦早苗の声に傾けた。
《サナダさん達がデッドゲートを調査していた時のことなんですけど、恒星間長距離レーダーに気になる反応があって・・・》
早苗は、レーダーに捉えた僅かな反応の存在を報告した。恒星間レーダーは、精度は粗く、艦船や小艦隊は捕捉できないが、衛星クラスの質量なら遠くでも観測できるレーダーで、最大探知距離は凡そ1,4光年だ。主に予定航路に大きな障害物がないか探査するために使われる。
「問題の宙域には何がある?」
《いえ、恒星間なので、何もない宙域の筈ですが。》
サナダに質問された早苗が答える。
「何もない恒星間空間に反応・・・不自然ね」
霊夢は考え事をするように腕を組んで呟いた。
「ヤッハバッハの可能性は?」
「いや、それはないだろう。第一、こんな辺境に恒星間レーダーに捉えられるほどの大艦隊を派遣する意味がない。」
フォックスがヤッハバッハの存在を懸念するが、サナダによってそれは否定された。
「とにかく、行ってみない事には分からないわ。ヤッハバッハでないようなら、調べてみましょう。少し寄り道するわ。コーディさん。」
「了解だ。進路変更。問題の反応へと向かうぞ。」
コーディは霊夢の意図を察して、艦を反応があった宙域へと向かわせた。
〈高天原〉は問題の宙域に差し掛かり、遠方に何やら白銀に光を反射している円盤状の物体が確認できるようになった。
「艦長、前方に反応あり、戦艦クラスの反応です!」
ミユが近距離用のメインレーダーに反応を捉えて報告する。
艦が進むにつれて、徐々に反応にあった艦の艦容が明らかになっていく。
「確かに、あれは戦艦みたいね。」
霊夢は、反応にあった艦を見て呟いた。
「形は整っているが、エネルギー反応は感じられない。動いてはいないようだな。」
サナダは前方の艦にエネルギー反応がないことから、その艦が非稼働状態だと判断する。
「ダウグルフ級に似通った部分もあるが、根本的に違う艦のようだ。」
その戦艦は、ダウグルフ級のように水上戦闘艦を彷彿とさせる形状で、艦首からは2本の衝角が突き出し、その根本の艦首には2門の大口径軸線砲と思われる穴が空いている。艦底には2つの増槽のようなものがあり、上甲板には5基の3連装砲塔が艦首側に3基、艦尾側に2基並び、その間には艦橋らしき構造物が確認できる。
《前方の漂流艦の全長は凡そ1800m程度、中型戦艦クラスです。》
早苗が前方の艦をスキャンして報告する。
「凄いわね。こんなものが浮かんでいたなんて。」
霊夢は、眼前に広がる景色を見て呟いた。艦の後方にある巨大な円盤状構造物の詳細も明らかとなっていく。戦艦の後方には、白銀に光を反射する楕円形の宇宙ステーションのような物体が鎮座し、ステーションの円盤からは円錐形の構造物が延びている。周りには多くのデブリが漂っているようだ。
「ハハッ・・・これは大発見だぞ艦長!」
サナダは、眼前の戦艦とステーションの残骸を見て、まるで子供のように興奮して叫んだ。
「これは・・・"風のない時代"の遺跡だ!!」
アンドロメダがログインしました。
アンドロメダのデザインは、復活篇のスーパーアンドロメダ原案に劇中のスーパーアンドロメダの要素を組み合わせたものです。こいつを登場させてしまったので、小マゼランでは先人様の作品同様にチート無双になってしまいそうです。でも今の相手がヤッハバッハなので仕方ないよね?
今回登場の新キャラですが、ミユ・タキザワとノエル・アンダーソンは宇宙世紀ガンダムのオペレーターからの登場です。この二人は構想時からオペレーターにつけようと思っていました。艦医兼科学者2号のシオンはTYPE-MOONの格闘ゲームのメルブラから登場です。ただしグラはアンダーナイトインヴァースのエルトナムさんに白衣を着せた感じです。性格もUNIとFGOに近い割とはっちゃけた方向です。(普段は比較的冷静ですが)そのうち十六次元観測砲とか作るかも(笑)
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