夢幻航路   作:旭日提督

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某所で見つけた巫女服こころちゃんがどストライク。APP18には勝てません。でも1番は霊夢。霊夢かわいい。

それでは第一六話です。


第一六話

〜マゼラニックストリーム近傍・バラン宙域〜

 

 

 

 

「ゲートアウト確認。通常空間に出ました。」

 霊夢率いる艦隊は、ビーメラ星系からボイドゲートを越えて、バラン宙域に到着した。バラン宙域は、1つの自由浮遊惑星からなる宙域で、宙域の両端にはそれぞれ銀河系とマゼラン銀河方面に通じるボイドゲートが存在する。宙域唯一の惑星バランは、大きさが木星の2倍はある巨大ガス惑星で、赤と黒の縞模様が見られる。ガス惑星のため、宇宙港は設置されていないが、航路上に、この宙域を通る艦船のために空間通商管理局が設置した簡易ステーションが存在する。

「艦の各部に異常なし。」

「七色星団宙域へ繋がるゲートに到着するまで、あと8時間ほど掛かる予定です。」

 オペレーターのミユとノエルが、矢継ぎ早に情報を報告する。

「航路修正。4番から11番スラスターを開くぞ。」

 舵を握るコーディは、予定航路に合わせて、艦の向きを修正する。艦隊の他の艦も、旗艦の動きに合わせて、自らの進路を修正する。

「艦隊はこのまま反対側のボイドゲートを目指すわよ。第三種警戒態勢のまま航行して。」

 艦長席に座る霊夢が指示を出す。

 

 艦隊は、何事もなくバラン宙域を抜けていった。

 

「間もなくボイドゲートに到達します。」

「よし、ゲートに突入するわ。機関全速。」

「了解、機関全速、前進。」

 バラン宙域を無事に通過した霊夢の艦隊は、七色星団宙域に通じるボイドゲートに突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜マゼラニックストリーム・七色星団宙域〜

 

 

 バラン宙域からボイドゲートを介して、そこから約850離れた七色星団宙域に、私達の艦隊は到着した。

「ゲートアウト確認。七色星団宙域に到着しました。」

「各種センサー起動、付近の空間スキャニングを開始。メインパネルに宙域情報を表示します。」

 ゲートを抜けると、ミユとノエルは早速行動を開始し、艦に搭載されたレーダー機器等を駆使して宙域の情報を収集する。相変わらず仕事が早いわね。

「長距離レーダー作動。こちらも空間スキャニングのデータを送ります。」

 新たに雇ったレーダー管制士の秦(はたの)こころが報告する。

 名前で分かる通り、彼女は幻想郷にいた仮面の付喪神のこころと容姿は瓜二つだ。幻想郷のこころにはよく神社で能を舞ってもらったりしていたので、見間違えはしない。彼女を雇ったときは、正直自分の目を疑ったものだ。ルーミアに続いて、幻想郷の妖怪の面影をもった人に会えるとは思っていなかった。おまけに名前まで一緒だ。もしかしなくても、これが輪廻転生とかいうやつだろうか。

 ただし、此方のこころは妖怪と違って常時面を被っている訳ではない。ただ、今まで見てきた限りでは、真顔しか見たことがない。あと、服装も妖怪のこころのパジャマみたいな服装ではなく、和服を着ている。名前も日本風だし、先祖代々日本文化を継承してきたとか、そんな感じかしら。

「機関に異常認めず。正常に稼働中です。」

 これまたビーメラで新しく雇った機関長のユウバリさんが報告する。彼女は一見若い娘だが、かつては別の0Gドックの下で凄腕の機関長に師事していたとかで、腕は立つ。前のバラン宙域を航行している間、試しに早苗に任せていた機関の管理をやらせたところ、滞りなく業務を遂行できたので、今は彼女に機関部を任せている。

 《サナダさん、未登録の機器は全て接収し、私のコントロール下に置きますが、宜しいですね。》

「・・・ああ。」

 早苗は有無を言わさず、サナダさんから観測機器を取り上げたようだ。早苗が接収した機器からも、情報が送られてくるだろう。

 天井のメインパネルを見上げると、、宙域図が刻一刻と更新されていくのが見えた。

「・・・・・、なぁ、サナダ。」

 霊沙が、力のない声で、サナダさんを呼んだ。

「あのボイドゲートってやつ、潜ると少し頭が痛くなるとか、気持ち悪くなるとか、そういう副作用ってないのか?1回ならまだしも、前も今回もそうだ。通る度に頭痛が起きるようじゃあ、流石に気に障るぜ?」

 どうやら霊沙は、ゲートを通る度に頭痛を感じていたらしい。だとしたら、あの時の霊沙の頭痛もやはりボイドゲートとやらのせいだったのかな。

「むっ―――そういう話は聞いたことはないが、そういう体質の人もいるのかもしれないな。」

 あのサナダさんでも、霊沙の症状は心当たりはないようだ。あのマッドなら知っていてもおかしくはないと思うんだけど、サナダさんにも知らないことはあるのね。

「それであんた、頭痛の方はどうなのよ?酷いようなら、暫く休んでいてもいいわよ。」

「いや、前よりはマシだ。少し休めば、大丈夫。」

 頭痛が酷いなら休ませようかと声を掛けたが、どうやら杞憂だったらしい。慣れってやつなのかしら。

「それで、おまえはどうなんだ、霊夢?」

 と、霊沙が訊き返してくる。

 うーん、あんまり意識してなかったけど、言われてみればゲートを抜けた後は、なんだか頭が重いように感じたわね。

「あんたほどじゃないけど、少し頭が重く感じたかな。私はてっきりそういうものだと思っていたんだけど。」

「成程、艦長もか。通常ボイドゲートを通過する際は何も感じないとされているんだがな。やはり、血縁だからかもしれん。」

 サナダさんの言う通り、霊沙は私が基になった妖怪みたいなものだったみたいだから、やっぱりそういうことなのかしら。

「まぁ、あれを通る度に頭痛がするってのは胸糞悪い話だが、体質なら仕方ないかな。慣れるっきゃないな、これは。」

 どうやら霊沙は納得した様子だ。てっきり"チッ、おまえのせいかよ・・・"位の悪態は吐かれると思ったけど、以外と素直なのね。

 

 霊沙の話も一息ついたところで、私は艦橋の外に目を移した。

 私達の艦隊の前には、通常の漆黒に星を散りばめたありきたりな宇宙ではなく、蒼く輝く暗黒ガスの雲海が広がり、その向こうに霞がかった星や銀河の輝きが見える。幾重にも重なった暗黒ガスの雲は、まるで空を雲の上から見ているようで、あまり宇宙らしさを感じさせない。この現象は、付近の恒星の色を暗黒ガスが反射するので、このように見えているらしい。見た目だけなら、結構綺麗だし、神秘的で良い場所ね。ちなみに他の場所では、恒星の色に応じて雲の色も変わるらしい。

 しかし、この宙域は宇宙ジェットやイオン乱流が吹き荒れている場所も存在する。ここに足を踏み入れてしまえば、忽ち艦のコントロールは失われてしまうだろう。今メインパネルには、そうした危険宙域の場所が次々と示されているところだ。スキャニングが終れば、そうした宙域を避ける航路を策定して、航行する予定だ。

「あ、あれ―――?」

 私が暢気に宇宙(そら)を眺めていると、こころの困惑した声が耳に入った。

「こころ、どうしたの?」

「あの、長距離レーダーがブラックアウトしてしまって―――あっ、空間スキャニングも中止してしまいました・・・」

 こころは、困惑した表情を浮かべて報告した。こっちのこころは、ちゃんと表情は動くのね。

「なんだと。」

 こころの話を聞いたサナダさんが立ち上がった。何か不味い事態だろうか。

「それは不味いな。この宙域は遠くまで見渡せないと危ないぞ。」

 話を耳に挟んだコーディーも、事態を憂慮しているみたいだ。

《機器には、故障の類いは見られませんが。》

 早苗の報告では、機器の故障ではないようだ。統括AIの早苗が言うからには、本当なのだろう。

「こころ、何があったか、詳しく教えてくれる?」

 危機管理は艦長の大切な仕事だ。事態が深刻になる前に、なんとか解決しないと。

「あ、はい。つい先程ですか。突然恒星間長距離レーダーがブラックアウトしてしまいました。原因は不明です。同時に空間スキャニングも中断・・・現在、情報の更新は停止しています。」

こころが言うには、何らかの要因で、レーダー機器に異常が発生したらしい。

「この宙域は暗黒ガスの他にも、宇宙ジェット等も吹き荒れている。我々が今いる場所は宇宙ジェットの直接的な影響範囲ではないが、機器が影響を受けても可笑しくはない。」

 サナダさんが言うには、レーダー機器の異常は外的な要因に因るものらしい。

 なるほど、問題は大体分かった。兎に角、レーダーの復旧を急がないとね。外的な原因なら施しようはないけど、もし機器そのものの異常なら、復旧を急ぐべきだろう。早苗の報告ではそれはないらしいが、万が一のこともある。早苗は艦のAIなので、艦に搭載している機器の状態は把握できている筈だ。だけど、念のため、人間の目でも確かめた方が良いだろう。

「サナダさん、長距離レーダーの区画にチョッパーを送れないかしら?一応人の目でも見ておいた方がいいわ。」

「そうだな。連絡しておこう。」

 サナダさんは私の指示に従って、研究室のチョッパーを呼び出して、指示を下している。

「艦長、10分後にはチョッパーから連絡が入る。それまでは、今まで集めた情報を基に航路を策定するぞ。」

「それで良いわ。慎重に進めて。」

「了解した。・・・・・・しかし、気になるな。」

「何が?」

 サナダさんの独り言が気になった私は、彼に尋ねてみる。

「いや、レーダーと空間スキャニングが一度に停止したことだ。自然現象が原因なら、こんな偶然の確率は低いと思うんだが・・・」

 確かに、言われてみれば不自然なタイミングよね。でも、他に原因なんて―――

 ――あっ――

「ねぇサナダさん、この宙域って、暗黒ガスが多い宙域よね。」

「ああ、そうだが、何を今更―――まさか?」

 サナダさんは何かに気づいた様子で私の顔を見た。

「暗黒ガスの中ではレーダーが使えない。海賊が待ち伏せるには、もってこいの宙域ね。」

暗黒ガスの中なら、レーダーが使えない。ならば、その性質を上手く利用して、待ち伏せることもできるのではないだろうか。

「おい、こんな宙域で待ち伏せか?こんな通行の少ない宙域で待ち伏せたって、ハイリスクローリターンだぜ?」

 実際フォックスが指摘する通りなのだが、ここまで不自然なタイミングで不具合が起こったなら、何者かによるジャミングも考慮に入れるべきだろう。襲撃の可能性も、排除するべきではない。

「そうね。だけど、念には念を入れた方がいいわ。こころ、中断する前の空間スキャニングの画像をパネルに投影してくれるかしら?」

「了解です。」

 メインパネルに表示されていた宙域図のデータに変わって、空間スキャニングの画像データが表示される。

「なんだ霊夢、何も見えないぞ。」

 霊沙の言う通り、この画面では宙域の様子しか映されていない。

「こころ、画像を時間軸に沿って、巻き戻してくれるか?」

「こうですか?」

 パネルに表示されていたデータが、サナダさんの指示で巻き戻されていく。

「ストップだ。」

 サナダさんの声で、巻き戻しが中断する。

「艦長、画面の左上の部分、ここだけ他の場所より暗黒ガスが多いようです。この宙域が怪しいのでは?」

「そうだな。そこを拡大してみろ。」

 ミユさんの指摘を受けて、画像が拡大表示される。

 まだ、変わった様子は見られない。

「もっとだ。」

 サナダさんはさらに拡大を指示し、もっと画像が拡大される。

 画面中央付近には、今までは見られなかった小さな赤い点が、複数映し出されていた。

「サナダさん、これって―――」

「ああ、エネルギーの大きさからいって、艦載機だろうな。」

 画面に映し出されていた赤い点は、艦載機の反応のようだ。これ――――けっこう不味い状態じゃない?

「なら、先程のレーダー異常は、まさか―――」

「ああ、敵の妨害と見るべきだな。空間スキャニングの実行が遅れていれば、完全に奇襲を受ける所だった。」

 サナダさんが、ノエルさんの後に言葉を続ける。

 相手と話してみるって手は―――――論外ね。補足した相手に有無を言わずに艦載機を差し向けるような連中だもの、最初から彼等に話す気なんてない証拠だわ。ここは弱肉強食の宇宙。生き残る為には、適切な決断が求められる。なので私は、対話という選択肢は早々に放棄して、全艦に命令する。

 

 

 

【イメージBGM:東方紅魔郷より 月時計〜ルナ・ダイアル〜】

 

 

 

「総員、第一級戦闘配備!非番要因は直ちに部署に就きなさい!」

 私は艦長席を立ち、命ずる。

「了解。総員、第一級戦闘配備。繰り返す、総員、第一級戦闘配備!これは訓練に非ず!」

 ミユさんは艦内に命令を徹底させるべく、艦内全域に通信を発する。

「ガルーダⅠ、グリフィスⅠ、直ちに格納庫で待機して発進準備に取り掛かって下さい。」

 ノエルさんは、パイロットのタリズマンとバーガーに発進準備を命じる。ちなみにノエルさんが呼んだのはコールサインというもので、一種の識別信号だ。ガルーダⅠがタリズマンで、グリフィスⅠがバーガーだ。

《おう!》

《了解だ!》

タリズマンとバーガーは、命令を聞いて、自機へと向かったようだ。

「敵は艦載機の大編隊よ。全艦、輪形陣を取れ!」

 敵の反応が主に艦載機なので、艦隊には対空戦を想定して輪形陣を取るように命令する。

 陣の中央には旗艦〈開陽〉を置き、その後方には〈サクラメント〉、〈プロメテウス〉を配置、この3隻を取り囲むように、前後左右にはクレイモア級重巡〈クレイモア〉、〈トライデント〉、〈ピッツバーグ〉、〈ケーニヒスベルク〉が展開、上下にはヴェネター級〈高天原〉と改ブラビレイ級〈ラングレー〉が展開し、中央の3隻を取り囲む。そして6隻の駆逐艦は、その外輪を六角形を作る形で、〈開陽〉と同一平面上に展開する。

「〈ラングレー〉は直ちに直掩機を発進させなさい。本艦の艦載機隊は発進後、敵編隊を迎撃せよ!〈高天原〉の航空隊は本艦と共同し、敵の迎撃に当たれ!」

 《了解。〈ラングレー〉、〈高天原〉に命令伝達。直掩機、迎撃機発進準備。》

 早苗が〈ラングレー〉〈高天原〉に命令を伝達し、〈ラングレー〉は準備が整った機から発進させる。

〈高天原〉の艦中央の赤いラインの位置が割れ、そこから複数のT-65戦闘機を発進させる。

 《こちら格納庫、発進準備完了した。いつでも行けるぜ。》

「了解。底部ハッチ解放。ガルーダⅠ、グリフィスⅠ、直ちに発進せよ。」

 バーガーの報告を受けてノエルさんは艦載機隊の発進を命じた。そういえば、彼等はうちに来てからはこれが初陣ね。

 《ガルーダⅠ、出る!》

 《グリフィスⅠ、発進するぞ!》

 〈開陽〉の艦底部にある増槽状のパーツの下部(第3艦橋の位置)にあるカタパルトから、先ずはタリズマンのT-65戦闘機(某Xウイング)が発進し、同時にバーガーの駆るSu-37C(ベクタードノズルのフランカー。黄色中隊カラー)も発進する。続いて、早苗がコントロールする無人のF-17(形はマクロスのナイトメアプラス、ただし変型しない。)の編隊が次々と発進し、全機集結したところで、〈開陽〉のレーダーが示した敵編隊の位置を目指して飛んでいく。

「全艦、対空警戒を厳と成せ!この宙域は暗黒ガスの影響でレーダーに障害が出ることもあるわ。光学センサーの映像にも気を払って頂戴。」

「了解。近距離用メインレーダーに移行します。」

 戦闘に突入するに当たって、こころはレーダーを切り替えて、対空監視に就く。

「主砲、対空散弾装填!対空戦闘用意!」

「イエッサー、主砲、1番から3番、対空散弾装填だ。」

 砲手のフォックスは、主砲に対空散弾を装填させる。この砲弾は、一定の距離に達するとエネルギー子弾を扇状に散布し、弾幕を形成する一種の対空兵装だ。ちなみにサナダさんの開発である。

 《全艦、戦闘モードに移行完了しました。》

「よし、全艦戦闘態勢のまま航行、敵襲に備えて。」

 艦橋は戦闘準備を終え、敵の襲来に備えて、警戒を厳としつつ航行する。

 さて、一体どんな敵が出るのか。緊張するわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜七色星団宙域・暗黒ガス帯内部〜

 

 

 

 

  霊夢達が察知した暗黒ガス帯の中に、潜水艦の如く身を潜める一隻の宇宙戦艦の姿があった。その戦艦は、艦体は宇宙に溶け込むような黒色で塗装されていて、艦首に大口径砲を備え、中央には上甲板と両舷に3連装主砲を備えている。その後ろには龍の頭のような姿の艦橋が立ち、艦尾には4つの補助エンジンノズルと、中央に一基のメインノズルを持っている。

 この宇宙に於いて最も知られた大海賊の乗艦、単艦としては宇宙最高の戦艦として名高い大戦艦―――――〈グランヘイム〉だ。

 

 

 

「頭、本当にこの宙域に来るんですかね、獲物は。小マゼランに居座っていた方が、良かったんじゃねぇすか?」

「俺の勘が告げているんだ。間違いねぇ。奴はここに来る。」

 〈グランヘイム〉の艦橋内で、一段高い位置にある艦長席に立つ、黒い艦長服を着た金髪の男―――大海賊、ヴァランタインは、マントを翻しながら、"獲物"が現れることを予感した。

「お頭、散布したレーダーブイに反応ありやした!バラン方面のボイドゲートの方向でっせ!」

 部下の一人が、"獲物"が現れたことを報告する。

「数は、多いなこりゃ。15隻です!」

「よぅし、まずは艦載機隊を出せ!残りの艦載機全てを差し向けろ!」

 ヴァランタインは、"獲物"の出現を受けて、手始めに艦載機隊による攻撃を命令した。

「しかし、そうすると〈グランヘイム〉の防空網が欠けてしまいますよ?」

「いや、それでいい。"策"があるからな。」

 部下の一人は全ての艦載機を発進させると母艦の防空態勢に穴が開いてしまうことを懸念したが、ヴァランタインはそれを気にすることなく、そして艦橋クルーに作戦案を説明する。

「さすがお頭だ、やることが違うぜ。」

「ヒューッ、燃えるね、そういうの。」

「ハッ、やっぱ海賊はそうでなくちゃアなぁ!」

 作戦案を聞いた部下達は、これからの戦闘を想像し、血気逸らせ、次の指示を待つ。

「よぅしお前ら、狩りの時間だ!エンジンに火を入れろ!」

 艦長服に立つヴァランタインは、力強く右手を降り下ろし、戦闘の開始を命令する。

「アイアイサー、インフラトン・インヴァイダー始動!第一戦速!」

「全艦載機、発進!戦果を挙げてこい!」

 〈グランヘイム〉は一気に加速し、次々と艦載機を射出する。〈グランヘイム〉の前方に展開した艦載機隊は、一足早く"獲物"へ向かっていく。

「敵艦隊への電子妨害を開始しろ!ジャミングポッド起動!」

「了解!敵艦隊へのジャミングを開始します!」

さらにヴァランタインは、〈グランヘイム〉のジャミングポッドの起動を指示し、"獲物"の目を奪わんと試みた。

〈グランヘイム〉は、加速を強め、ガス雲を突き抜けて、雲海を"航行"する。

 

 

 

 ―――さて、今度の奴には、"覚悟"はあるかな?―――

 

 

 

 〈グランヘイム〉の艦橋で、ヴァランタインは小さく呟くと、艦橋の外に広がる雲海に目を移した。

 

 

 

 ―――覚悟のない奴ならば、そのエピタフ、この俺が貰い受けるぞ―――

 

 




今回でやっと原作キャラ登場です。ヴァランタインのグランヘイムがプラズマ砲を撃つのをチュートリアルで見て、しばらくプラズマ砲はレーザーみたいに交換できるものだと思っていました。

今話の展開は、PS2宇宙戦艦ヤマトの七色星団のストーリーを基にしていますが、戦闘自体はそれとはかなり異なるものになります。


今話から、特定の場面では私が勝手に考えたイメージBGMを明記していきます。そのようなものは他の作品でも見かけたので、利用規約に照らしても問題ないと思いますが、何か御指摘がありましたら伝えて頂けると助かります。


新キャラについてですか、秦こころは、容姿は東方のこころちゃんですが、本文で言及されている通り、色々違う部分があります。ちなみに転生とかではないので、別に幻想郷のこころちゃんの記憶を持っていたりはしません。ルーミア同様、偶然似ているだけです。(本音は作者が東方キャラを出したいからです)
機関長のユウバリは、見た目は艦これの夕張です。メロンは残念な状態なのも変わりません。服装は艦娘のセーラー服ではなく、空間服の上にツナギを着て、ツナギの上半身の部分は腰の辺りで縛っています。無限航路原作中のルーベに近い服装です。最初は機関長キャラとしては、ヤマトの徳川さんか山崎さんにしようかと思っていたのですが、それだと他の作品と被るので、夕張ちゃんをチョイスしました。別にオリジナルキャラでも良かったのですが、あまり良いキャラを思いつきませんでした。これで霊夢艦隊のクルーの女性率がかなり高くなりましたが、まぁ別にいいでしょう。

次回は霊夢vsヴァランタインの艦隊戦です。ご期待下さい。

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