夢幻航路   作:旭日提督

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第四話 天上の御艦(みふね)

 惑星カミーノ 宇宙港造船ドック

 

 この惑星に設置されている宇宙港は、大型艦用の造船ドックが2基しか設置されていない辺境タイプのものだ。惑星自体が無人の辺境、いや秘境惑星とでも言うべきものであるため、必然的に空間通商管理局が設置する宇宙港は小型のものになるからだ。

  しかし今では、その2つのドックは何十年ぶりにフル稼働し、クレーンが休みなく動きながら大型宇宙船を建造している。

 

「そうだな、このペースでいけばあと2日で完成といったところか」

 

 ドックで組み上げられていく宇宙船を見上げながら、サナダが呟いた。

 

「こんなでかい船なのに、たかだか4、5日程度で組み上がるなんて意外。もっとかかるものだと思っていたわ」

 

 サナダの隣で宇宙船が建造されている様子を眺めていた霊夢が感心したように言う。

 幻想に生きた彼女にとって、科学世紀の粋を凝らした宇宙船の建造シーンは驚きと新鮮さに満ちたものなのだろう。その声には、平静を装いながらも隠しきれない熱が籠っていた。

 

「現在の宇宙船は徹底したブロック構造と規格の統一によって一夜から3日程度で組み上がるように設計されている。管理局の造船ドックもそれを可能にするほど高度な技術が投入されている。私からすれば、5日も掛かる方が驚きだな。恐らく、元々の設計が管理局の規格に対応していなかったからだろう」

 

 そんな彼女の気を知ってか、サナダは饒舌に解説する。

 今このドックで建造されているのは、サナダが惑星上の遺跡から発見した宇宙船の設計図を空間通商管理局の規格に適合するように改設計したものだ。その過程で、既に1日ほど経過していた。

 ドックで建造されている艦は、文字を解読したところ今霊夢達が見上げている1000m級の艦はヴェネター級、奥のドックで建造されている750m級の艦はアクラメーター級というらしい。ヴェネター級はサナダの手により武装が大幅に変更されており、艦橋側面の連装レーザー砲塔は一般的なものに変更され、艦底部にも4基増設されて合計12基となっている。舷側の接近戦用と思われる無数の砲廓は実用的でないため全て廃止され、かわりにミサイルVLSと対空パルスレーザーが設置されている。一方アクラメーター級は元々本格的な対艦戦を考慮した艦ではないらしく、武装は控えめだが、サナダはこの艦をこれからのヤッハバッハから逃れるための長距離無補給航海に備えて装甲版や武装の交換バレル、航宙機の補充機体の生産を行い、それらを製造するための資源を貯蔵するとができる工作艦として改設計した。2隻とも現在のサナダ達では手に余る巨大船のため、運用するためにサナダ謹製の高性能コントロールユニットが搭載されている。コントロールユニットとは文字通り艦船の運用をサポートし、最低稼働乗員数を減らす装置だが、サナダが設計したものは無人運用を可能にし、尚且船の運行だけでなく艦内工場の稼働や複数の航宙機を操作できるほど優れたものだ。因みに原型となったユニットはヤッハバッハが放棄した艦からサナダがサルベージしたものだ。

 

「ここの技術には驚かされるばかりね。そういえば、私の注文はちゃんと聞いてくれた?」

 

  霊夢がサナダに訊く。霊夢の注文とは、設置されるモジュールの一つである自然ドームに関するものだ。

「ああ、自然ドームは注文通り弄らせて貰った。20mほどの小高い山を作って、植生は温帯気候、樹木は主にシイ、カシ類にサクラだったか。そして山の上には"神社"と呼ばれる祈祷施設、だったな」

 

 サナダが自然ドームの仕様を話す。霊夢はサナダから自然ドームのモジュールの存在を聞いたとき、これを幻想郷を思い出す光景に出来ないか注文を付けたのだ。サナダは、霊夢の期待には見事に応えているようだ。設置される自然ドームのモジュール自体が縦、横、高さがそれぞれ90x120x60mという大型のものであるため、神社の山を再現するのに十分な広さを持っていたとも言える。

 霊夢が自然ドームに神社を作ろうと思い立ったのは幻想郷への望郷の念だけでなく、艦の安全を祈るという目的もあった。聞いた話では、幻想郷の外の世界では船の安全を祈って艦内神社といって、各地の神社から船に分社を立ててもらう風習があったらしいことを霊夢が思い出したからだ。ちなみにこれは早苗から聞いた話である。

 

「注文通りね。感謝するわ」

 

「当然だ。依頼主の声を無下にするわけにはいかないからな」

 

「それとあんたの話だけど、あんたは私の船のクルーになってくれるって言ってたけど、本当にいいの?あんただって0Gドックなんでしょ?」

 

  霊夢が話を変えてサナダに尋ねる。霊夢は船が建造される前に、サナダから霊夢の下でクルーとして働くという申し出を受けていた。

 

「私にとっては0Gドックというのは手段でしかない。研究さえできれば他の0Gドックの下でクルーとして働いても構わないんだよ。それとも私がクルーになることは不安かな?私なら、少なくとも君の期待に応える程度の働きなら造作もないと思うが?」

 

 サナダはそう答える。サナダの自身に対する評価を鑑みるなら、サナダは自身の能力に相当の自身を置いているように感じられる答えだ。自然ドームの件を考えても、サナダの能力は霊夢の期待に応えるものだと彼女に感じさせるには十分だ。

 

「そこまで言ってくれるなら心強いわ。それじゃあ、これからも宜しく、って感じでいいのかしら?」

 

 霊夢は自身の右手をサナダに差し出す。

 

「ああ、宜しくだ。私の働きに期待しておくといい」

 

 サナダは差し出された手を握り、握手を交わした。

 

 

  サナダが正式にクルーとなった後、霊夢はコーディーの下へと向かった。彼は、霊夢が0Gドックとなった際にはクルーとして従うつもりだったらしい。なので、船はまだ完成していないが既に霊夢の船のクルーとなっている。霊夢が彼の下へ向かう理由は、ある相談をするためだ。

 

「コーディさん、居るかしら?」

 

 私はコーディーが借りている部屋のドアをノックする。

 

「ああ、居るぞ。入れ」

 

 程無くしてドアが開く。コーディは応接室のような構造になっている部屋の椅子に腰掛けている。

 私は机を挟んで反対側の椅子に腰掛けた。

 

「ほう。空間服は仕上がったのか。中々良い出来じゃあないか」

 

 コーディは私の服の出来を褒めているようだ。

 空間服というのは、宇宙服のようなもので、衝撃を吸収し、緩和する機能がある。元々船の建造が始まると同時にサナダからプレゼントとして手渡されたものだが、そのままだと体の線が出すぎて恥ずかしいから大改造させてもらった。後任の巫女の巫女服を作ったのは私なので、裁縫の腕にはそこそこ自身があった。我ながら上手く個性を出すことが出来たと思っていたので、褒められたのは素直に嬉しい。

 

「ありがと。我ながら上手く出来たと思っていたから素直に嬉しいわ」

 

 取り敢えずコーディには礼を言っておこう。

 

「さてと、艦名についてなんだけど、なにか良い名前あるかしら?私はこういう経験なかったから、良い名前を思い付けるか不安なのよ」

 

 相談内容とは今建造されている船の名前、艦名のことだ。工作艦となったアクラメーターの方はサナダが付けるらしいが、ヴェネターは私の船になるので、自分で付けた方がいいと思うし、サナダも同意見だ。だけど、モノに名前を付けるという経験があまりなかったので、こうしてコーディーの助言を求めている訳だ。ちなみに一度は「夢想封印」とか考えたが、なんだかパッとしないので止めた。それに、そんな名前付けたらなんだが痛い電波を受信してしまいそうだ。

 

「そうだな、俺が知っている範囲だと、縁起のいい言葉や勇猛な言葉なんかがよく使われていたな。例えば、〈ディフェンダー〉や〈ヴェンジャンス〉、〈レゾリュート〉なんかがそうだな。それぞれ"護る者"と"復讐"、"確固たる決意"といった意味だ」

 

 コーディが霊夢に説明する。例として挙げた名前はどれもヴェネター級に使われていた名前だ。

 

「へぇ、そんなものもあるのね。縁起のいい、かぁ~」

 

 ――縁起がいい・・・何故か早苗のことを思い出すわね。

 

 脳裏に浮かんだ早苗を押し退けて、どんな言葉がいいか考える。

 

 ――草木はちょっと違うわね・・・天津風、八島、瑞穂・・・曙、有明・・・縁起からちょっと離れてきたわね ――

 

 

「高天原(たかまがはら)、なんてのはどうかしら?」

 

 考え抜いた挙句に出したのはこの言葉だった。

 

「ほう、それはどんなに意味だ?」

 

「神話で神様が住む世界の名前よ。神様の御加護がありますようにってね」

 

 ━━高天原なんて名前にしてみたけど、諏訪子とかの加護は受けられるのかしら、いや、あの人達は営業上のライバルだから、うまく言えないわね・・・自分の神社で祀ってる神様のことを最後まで知らなかった癖によく言えたものだわ――

 

「良い名前なんじゃないか?元々霊夢の船だから、俺にはとやかく言う権利は無いからな。それで良いと思ったら、そうするといい」

 

どうやらコーディは元から私に一任する積もりだったようだ。

「なら高天原で決まりね。今は他に良い名前は思い付かないわ」

 

 こうして艦名も無事決めることが出来た。

 

 

 

  そして迎えた出港の日、完成した宇宙船には補給物資が次々と積み込まれていった。

  こうした物資を確認するのも艦長の仕事の一つだ。今はろくな会計係がいないので、報告を確認するだけでなく、自分で把握しておく必要がある。だが今のところ私達は3人だけなので、食料や医薬品は余るほどある。艦載機の搭載も完了した。各種テストは前日にサナダが済ませている。アクラメーターに積み込まれる資源はサナダが把握しているので、後で報告を受ければ良いだろう。ちなみに工作艦となったアクラメーターは〈サクラメント〉と名付けられた。サナダに聞くと秘跡という意味らしい。よく分からないが、宗教的なものだろう。

  空間通商管理局からも、操艦ドロイドが貸し出される。サナダのコントロールユニットのお陰であまり数は必要ないが、ダメージコントロールなどの際には居てくれた方が便利だ。

 ――にしても、あのドロイドってちょっと不気味ね――

 ドロイドは全身が黒く顔はのっぺらぼうで腕と手が平らで気持ち悪い動きをするのだ。一人でいるときには会いたくない。

 

《艦長、予定されていた物資の積込完了、全ドロイドの乗艦を確認しました》

 

どこからともなく、やや機械的な女性の声が聞こえてくる。

 

「っ早苗!?」

 

 思わず私は叫んだ。――だってその声は、あまりに早苗に似ていたから―――

 

「どうした艦長?」

 

 不審に思ったサナダが訊ねる。

 

「あ、え・・・えっと、いきなり声がしたから・・・」

 

「ああ、コントロールユニットの人工知能だな。説明するのを忘れていた」

 

 サナダは何かを思い出したように語る。

 

「人工知能?」

 

「ああ、元々この艦に搭載されるコントロールユニットは艦の運行を無人で行えるほど高性能なものだ。それを実現するためにはAIの学習機能、有り体にいえば人工知能が必要不可欠だったのだよ」

 

サナダが説明する。

 

――そういうことは早めに言ってくれるとありがたいんだけどね。早苗の声だったのは合成音声の偶然だったのかしら――

 

 私がそんなことを考えていると、再び人工知能に話し掛けられた。

 

《えっと、驚かせてしまって申し訳ありません。Drサナダから説明があった通り、私はこの艦の統括AIです。宜しくお願いしますね》

 

「あ、ええ。よろしく・・・艦長の博麗霊夢よ」

 

 挨拶されたからには返さない訳にはいかないので、私も挨拶する。

 

《はい、存じております。艦長。これより貴女を上位存在として登録します。では艦長、個体名の登録をなされますか?》

 

AIが尋ねる。いまいちよく分からないのでサナダの方を振り向いたら、"名前を付けろってことだ"と返された。

 

「それは貴女の名前をどうするかってことかしら?」

 

《はい。因みに登録されなければ、艦名がそのまま私の名前となります。》

 

 ――艦名と一緒か。高天原だと長くて呼びにくいし、ややこしいわね――

 

「なら早苗でどうかしら?」

 

名前を付けるのなら、元々声が似てるので早苗と呼ぶことにしよう。これなら艦と区別できて、なんだか懐かしい気分になれる。

 

《はい、個体名"サナエ"・・・登録完了しました。所用がある際は、お手元の携帯端末からお呼び下さい》

 

早苗にそう言われて艦長席に置いていた携帯端末を眺める。どうやら、これのことらしい。

 

「分かったわ。それと早苗、そこまで堅苦しくしなくていいわ。あんまり落ち着かないのよ」

 

《分かりました。モード"普通に会話"っと・・・これでいいですか?》

 

早苗が話し方を変える。私としても、後の話し方のほうが落ち着く。

 

 ――にしても、機械の癖に妙に人間臭いところがあるわね・・・そっちのほうが愛着湧くからいいけど――

 

「ええ、それで良いわ」

 

《では艦長、本艦は現在出港準備完了、僚艦〈サクラメント〉からも物資積込完了の報告を受けてます》

 

早苗から報告がある。

 

「なら出港しましょう。良い?」

 

 私はサナダとコーディに訊く。

 

「ああ、問題ない」

 

「同感だ」

 

サナダとコーディが返事をする。ちなみにサナダは科学班長と整備班長、コーディーが戦闘班長の役職に就いている。

 

「ならいざ出港と━━」

 

《艦長、レーダーに感あり、外惑星軌道より接近する艦影を捕捉しました!メインパネルに投影します》

 

 私が出港の号令を掛けようとした所、早苗が割り込んで報告する。

 

「もしかしてヤッハバッハなの?」

 

 《艦種解析・・・・解析完了。艦隊の内訳はヤッハバッハ軍ダルダベル級重巡洋艦1、ブランジ/P級警備艦2隻、"定期便"と思われます!》

 

 早苗は自身のライブラリから該当する艦影を検索して報告する。

 

「定期便?」

 

 早苗が発した言葉の意味が分からなかったので、サナダに尋ねる。

 

「"定期便"とは、ヤッハバッハが半年から1年おきに辺境星系をパトロールさせる小艦隊を指す。ボイドゲートがないこの宙域に来るのはもう少し先だと見積もっていたが、運が悪いな」

 

「逃げ切れないの?」

 

 私はハイパードライブとやらでワープして撒けないかと提案するが、どうやら出来ないようだ。

 

「今はまだ機関を完全に起動していない。ワープできる頃には敵艦隊が眼前に迫っている。そんな状態でメインノズルに攻撃を受けたら不味いことになるな」

 

「じゃあ切り抜けるしかないって事か?」

 

 コーディが尋ねる。

 

「ああ、少なくともダルダベルは沈めなければ不味いな。奴は艦載機の搭載能力があるからワープする前には確実に捕捉されているだろう。それに、こちらは宇宙港の中でレーダー範囲が制限されている状態で敵艦隊を発見した。敵はもうこちらに気付いているかもしれない」

 

 サナダは淡々と状況を説明する。

 

「逃げる為には戦うしかないって訳ね。全艦戦闘配備よ!機関点火!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 私は戦闘準備を命じる。自分達の自由が掛かっているので、簡単に負ける訳にはいかない。

  〈高天原〉の主機の出力が上昇し、宇宙港のガントリーロックが解除されて〈高天原〉の艦体が宇宙に乗り出す。続けて、〈サクラメント〉が〈高天原〉の後に続いて出港する。

 

《敵ダルダベル級より艦載機の発艦を確認!同時に敵艦隊より通信です。"貴艦二告グ、直チニ降伏セヨ"、だそうです!》

 

 早苗が報告する。

「そう言って降伏したら乱暴にするつもりなんでしょう、そうはいかないわ!"バカめ"とでも返しておきなさい!」

 

《了解です。敵艦隊に返信"バカめ"以上です!》

 

 こうして敵艦隊を挑発する。なんだかスッキリした気分になれる。

 

「こっちも艦載機を出すわ。早苗、航宙機の操作はできる?」

 

 《はい。演算リソースの8%を回せば、全艦載機の操作が可能です》

 

「なら行くわ。ハッチ解放、全艦載機隊発艦せよ!」

 

 〈高天原〉の中央にある赤いラインが左右に割れ、そこから次々と艦載機が発艦していく。X字型に主翼を展開した戦闘機T-65を筆頭に、F-17という平面的な戦闘攻撃機がそれに続き、最後に機体の裏と両翼端を黄色に染めた灰色で流麗なフォルムを持っ戦闘機―Su-37Cが発艦する。総数は凡そ25機だ。

  艦載機隊は程無くしてダルダベル級から発艦したヤッハバッハ汎用戦闘機ゼナ・ゼー12機の編隊と衝突する。ゼナ・ゼーの編隊は早苗が操作する無人機編隊に呑まれ、ミサイルとレーザーで次々と数を減らしていった。なかでもF-17が生み出す小型のミサイルの弾幕に戸惑って躱しきれずに被弾してT-65のレーザーかSu-37のミサイルに撃墜される機体が続出する。

  ゼナ・ゼー編隊は余程練度が低かったのか、衝突から数分で壊滅したが、T-65とF-17がそれぞれ1機撃墜された。

  艦載機隊は続けて敵艦隊に襲いかかり、F-17の編隊がブランジ/P級のメインノズルにミサイルを撃ち込んで行動不能にし、レーダーを破壊して目を奪う。続けて中央のダルダベル級にもミサイルが打ち込まれていく。ダルダベル級はブランジ/P級とは異なり豊富な対空機銃で応戦し、ミサイルを幾らか撃墜したが、艦橋付近の武装を中心に被害を出した。

 

「やるじゃない、早苗」

 

《えへへ、ありがとうございます》

 

早苗は嬉しそうに返事した。

 

「一気に畳み掛けるわ。コーディ、敵巡洋艦に主砲照準、行動不能に追い込んで頂戴」

 

私は敵艦隊を無力化するためにコーディに攻撃を命じた。敵艦隊は早苗の無人機編隊で大部弱っている。

 

「イェッサー。散布界パターン入力、固定完了。主砲1番から4番、9、10番、順次発射!」

 

コーディが発射ボタンを押し、〈高天原〉のレーザーは艦載機に気を取られたダルダベル級に命中して同艦の艦首部分を破壊、減衰したシールドを突き抜けて主砲を粉砕した。同時に、死角となる艦尾からSu-37編隊が突入してミサイルを発射し、ダルダベル級のメインノズルにダメージを負わせて速力を大幅に低下させた。

 

《敵艦隊3隻大破!》

 

「よし、引き所ね。艦載機を回収してワープ準備!」

 

 敵を無力化したと判断した〈高天原〉は反転し、帰還する艦載機を回収した。

 

《艦載機着艦、ハイパードライブ、出力100%、ワープ可能です》

 

「早苗、ワープするなら惑星ラサス近傍宙域に向かえ。そこなら比較的安全にワープできる」

 

ワープ準備を整える早苗に、サナダが目的地を提示する。

 

「そこに向かえば良いのね。早苗、よろしく頼むわよ」

 

《はい。目的地座標入力完了。〈サクラメント〉にデータ転送―――――――ワープします!》

 

 早苗の宣言と同時に〈高天原〉と〈サクラメント〉はハイパースペースに入り、その姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???

 

 

「対象ノ認知領域、急速ニ拡大シツツアリ・・・。」

 

 パネルに覆われた青白い不気味な部屋で、何体かの人影がパネルを操作する。

 

「イメージング深度同調中・・・。」

 

「追跡者ノセッティングヲ開始。出現座標算出。存在確率流ノ変成開始シマス・・・。」

 

 




兵器解説

*ダルダベル級巡洋艦
原作に登場したヤッハバッハ巡洋艦。艦載機搭載能力を持ち、ミサイルとレーザー主砲で武装している。右舷に突き出した艦載機カタパルトが特徴的。
全長980m

*ブランジ/P級警備艦
ヤッハバッハが領宙警備に使用するブランジ級を改造した警備艦。ミサイルを撤去してレーダーを増設し、長距離航海用に居住性を向上させている。(オリジナル)
全長340m

*T-65
サナダが遺跡で発見した宇宙戦闘機の設計図から改設計したもの。戦闘機サイズでありながらハイパードライブを搭載するタイプがある。見た目はXウイング。

*F-17
サナダが独自に設計した宇宙戦闘機。見た目はマクロスFのVF-171。ただし変型しない。

*Su-37C
サナダが独自に設計した宇宙戦闘機。見た目はエスコン4黄色中隊フランカーのノズルがラプターのような形状になった機体。

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