~???~
原初の輝きを放つ、産まれたばかりの赤い恒星……その周りでは赤く燃え上がるマグマの原始惑星と、無数に位置する小惑星が絶えず恒星を取り囲み、公転する。
小惑星同士の衝突など日常茶飯事、時には惑星サイズの天体でさえ衝突し、より巨大な惑星へと変貌するか元の小惑星にまで強制的に退化させられる。
………また、一つ、灼熱の原始惑星同士が衝突し、その破片を原始星系に撒き散らした。
そんな赤い世界の中に、場違いな白い氷の霧が沸く。
霧は次第に渦を巻き、中心からボロボロな金属の塊が吐き出された。
金属の塊―――フネの残骸は、灼熱の世界に身を任せるように小惑星の間をゆらゆらと漂っていく……。
「ん………あ………、ん"~~っ、と………あ、霊夢さん霊夢さん、通常空間に出たみたいですよ!」
「ううっ………さなえ、もっと…奪って―――」
艦が通常空間に出たことでワープアウト完了の信号をフネからキャッチした早苗が、未だに寝惚け眼な霊夢をしきりにゆすって起こそうとする。当人も寝起きなのにテンションが高いのは生来の気質か、はたまた機械の身体の影響か。
そんな早苗に揺さぶられて、流石に霊夢も、次第に瞼を開けて目を覚ましていく。しかし早苗のように起きてすぐに覚醒できる筈もなく、その表情は未だに夢の中にいるようだ。未だに寝言すら吐いている。
「………霊夢さん?」
ふと霊夢の口から零れた寝言に、早苗は首を傾げる。が、その意味を理解した彼女は、幼子を慈しむような、それでいて氷のような冷たさを併せ持った微笑を浮かべる。
霊夢がむくっと起き上がって夢の世界から帰ってくると、早苗は自身の心に芽生えた邪な征服感を、ひっそりと胸の奥底に仕舞う。
「んっ…………あ、おはよーさなえ。………ワープは終わったの?」
ゆっくりと起き上がった霊夢は、目を擦りながら早苗に尋ねた。先程までどのような夢を見ていたのかなど、本人はとうに覚えていない。
霊夢の寝言をそっと心のうちにしまった早苗は、真顔に戻り普段通りの仕事モードで霊夢に応える。
「お早うございます、霊夢さん。―――はい、ワープアウトは完了したみたいです」
「そう………それで、何処に出たの?」
「いま映像を出しますね」
夢の世界から完全に覚めた霊夢は、寝ていた椅子に腰掛けたまま早苗に尋ねた。―――1日のうちに何度も早苗に奪われ尽くされて、未だに倦怠感が抜けないのを隠して平静を装う。
「あ、カメラ繋がりました。そろそろ出ると思います」
早苗がそう告げた数秒後に、艦がワープアウトした星系の様子が艦長室に備えられたモニターの一つに映し出される。―――その映像を見た霊夢は、眉間に皺を寄せた。
「………とても、仲間がいるようには見えないわね。ヤッハバッハを撒けただけでも幸運と考えるべきか」
「ですねぇ………。ただ、この宙域は小惑星がゴロゴロしてますから、艦の外殻への損傷が心配ですね。いまはデフレクターもありませんし、既に小さな微惑星が何個か外壁にぶつかってるみたいです……。まぁ、よほど大きなやつが当たらない限りはフネが完全に破壊されることは無いと思いますが」
「―――博打の結果としてはそこそこの引きか……。早苗、補助エンジンはまだ十分に動く?」
「はい―――。一基だけなら何とかなりそうです」
「一基、か………。まぁ、動くだけでも良しとしましょう。補助エンジンがまだ動くなら、自動航行で星系内を適当に回るよう指示しといて。あとヤバいサイズの小惑星には当たらないよう注意してね」
「了解です」
霊夢から指示を受けた早苗が、早速まだ生きてる艦内ネットワークを通じて〈開陽〉のコントロールユニットに指示を打ち込んでいく。
ボロボロの〈開陽〉は、その巨体に不釣り合いなほど小さなノズルを一基だけ吹かして、重い身体を引き摺るように航行を再開した。
「……ああそうだ、私が寝てる間に修理はどれくらい進んだの?」
「そうですねぇ………主機の修理作業は順調みたいです。あと1日もあれば、何とか動かせる程度には回復するかと」
「―――それは良い知らせね。……他の装置の状況は?」
「はい、デフレクターユニットは予備の対デブリ用が無事ですから、主機の修理が完了次第動かせると思います。………メインのデフレクターは吹き飛んで爆発四散しちゃってますけど。ですから大型の小惑星には注意しないといけないですね」
「……この状況で、高性能なモジュールのデフレクターが使えないのは痛いわね。まぁ機関があのザマだから、あっても気休め程度でしょうけど」
デフレクターユニットには、元から艦船の設計に組み込まれている小型のユニットと、モジュールで設置される対質量弾、大型デブリ用の二種類がある。前者は航行に必要最低限度な設備として艦船の設計に予め組み込まれているものなのだが、後者は艦長のカスタマイズで艦船に設置されるタイプのものだ。〈開陽〉のそれは元からあるユニットでも比較的高性能なものなのだが、小惑星がゴロゴロと転がるこの原始星系を漂うには、やはり後者のモジュールがないとフネに乗る身の霊夢としては不安に感じられたのだ。
ただ、本人が口にした通りデフレクターのエネルギーは主機のインフラトン・インヴァイダーから供給されるものなので、エンジン出力が大きく落ちた今の〈開陽〉にはあっても宝の持ち腐れにしかならないのだが……。
「ですねぇ……あと、APFシールド発生装置は完全に駄目です……肝心の装置自体がいかれちゃってますから。だから今後も戦闘は禁物ですね。レーダー類は今のところ最低限機能していますが、破壊された艦橋部の復旧も目処が立っていない状態です………」
「ということは、まだ仲間に連絡を取ることもままならない、と………。孤立無縁なのは変わらずね」
「はい………申し訳ありません………」
「別にあんたが謝ることじゃないわ。エンジン復旧の目処がついただけでも僥倖ね。とりあえず、この星系に使えそうな資源が無いかだけは調べておきましょう。確か、サルベージ装置一式は無事だったでしょ?」
「はい、鉱物センサーも採掘機器も無事だったとは思いますが……」
原始星系とはいえ星系は星系である。当然何もない宇宙空間に比べたら遥かに資源は豊富だ。少しでも艦の修理の足しになるならばと、霊夢は資源調査の指示を出す。何しろ〈開陽〉の備蓄物資は艦の前半分が丸ごと吹き飛んでいるので食糧以外のあらゆるものが不足しているのだ。幸いにして艦内工場は無事なので、主機さえ稼働すれば、あとは資源があれば大抵のパーツは作れるのだ。
「よし、なら決まりね。楽しいお宝探しの時間にしましょう」
「了解ですっ」
元よりこの巫女、お宝になるものには目がない性格なのだ。久方ぶりに少女らしい笑みを浮かべて、星系内の資源に対して期待を膨らませていく。早苗も早苗でそうした霊夢のノリは割と好きなので、二人して稼働させたばかりのサルベージシステムから送られてくる情報に釘付けになる。
「………ないわね」
「まだ動かしたばかりですからね。気長に待ちましょう、霊夢さん」
「ま、それもそうか。んじゃあ自動監視モードにしといて、何かあったときは通知を入れるようにセットして、と………」
とはいえサルベージとは釣りのようなものである。張り切ったからといって獲物がすぐに掛かる訳でもない。
何も目新しいものがない画面など眺めていてもつまらないだけなので、最初の張り切りようは何処へやら、霊夢はサルベージ作業を機械に丸投げしていつものように何をする訳でもなく、ただ椅子に腰掛けて惰眠を貪る時間に入った。
「…………暇ね」
「そりゃそうですよ。何かある訳でもないですからね」
状況を打開するにはやるべきことは山ほどあるのだが、その内訳は大半が機械弄りだ。生憎霊夢にはそれらをこなせる知識などは無いものだから、作業全てを機械に丸投げすることしかできず、結果的に暇な時間ばかりが過ぎていく。
「悪いことはこれ以上起こって欲しくはないけど、暇すぎるというのも考えものね……早苗、なんかないの?」
「えー、突然私に振られましても………」
昔から普段は暇な時間ばかり過ごしていた霊夢なので、暇なことには慣れているのだ。ただ午睡とお茶に興じていれば適当に魔理沙なんかが来たりして、適当に過ごして帰っていく………そんな毎日を送っていたので、霊夢としては特に何か考えたわけでもなく早苗にそんな言葉を投げた。
………が、この緑の巫女は霊夢とは違って何処かズレた性格とはいえ根は真面目なのだ。それも大好きな霊夢に言われたとなれば動かない訳にもいかず、如何にして霊夢の暇を潰そうかと真剣に考え込む。
―――だが、何処かで思考のポイントレールがあらぬ方向に切り替わったのか、早苗は意地の悪い笑みを浮かべる。
「じゃあ………"また"しませんか?」
「へ―――?」
早苗の変貌に、霊夢は一瞬の困惑に囚われる。
「だ・か・ら………あれの続き、しませんか?」
「あれって………っツ!?」
その意味を理解した霊夢は、一瞬で茹で蛸のように赤く染まる。
―――早苗の思考は、哀れ煩悩という名の海へと脱線してしまっていた。
「ちょっ………何考えてるのよあんた!」
霊夢が逃げ出すのよりも早く、早苗は霊夢の両手を椅子に押さえつけて上に乗る。
「えー、嫌なんですかぁ~霊夢さん。………あんなに気持ちよさそうにしてたのに」
「それとこれとは別!それに………あんたに奪い尽くされたお陰で、まともに体力も残ってないんだけど」
あれだけやっといてまだ足りないのか……と霊夢は呆れも交えて、すっかりその気な早苗に抗議する。が、本気で拒絶してない辺り当人もすっかり早苗との行為に魅せられてしまったようだ。……尤も、それを当人に言えば全力で否定してくるのだが。
「そうは言いつつも、霊夢さんだって期待してるんじゃないですか~?」
「だ、誰がそんなこと………」
理性では否定しても、身体は正直なのだ。早苗に耳元で囁かれて、霊夢の身体がびくん、と跳ねる。
「……あと、唾液じゃ効率が悪い、って言いましたよね――。だから、霊力ならまだたらふく残ってる筈ですけど………」
「だからって、1日に何度もすることはないでしょ!少しは休ませなさいよ!………ただでさえ、体力使うってのに―――」
霊夢としては、休みたいというのもまた本心だった。幾ら病みつきになるほど破滅的で倒錯的な行為とはいえ、早苗とは違ってそう簡単に煩悩に身を沈めたりはしない。
「えー、折角二人っきりなんですから、今のうちに楽しんでおきましょう霊夢さん」
「………何よ、楽しむって。建前はそういう行為じゃないでしょ」
どうしてこんな娘に育ったのか、と霊夢は彼女の親代わりの二柱に内心で呪詛を飛ばす。あんたらの教育のせいなのだから、今一度しっかり教育しておけ、と。
だが早苗の敬愛する二柱は、空気を読んで姿を現さない。仮に霊夢が二柱に助けを求めたとしても、寧ろ早苗の応援に回るだろう。
「折角やるんですから、気持ちい……じゃなかった。楽しい方が良いに決まってるじゃないですか。―――ね、いいでしょ、霊夢さん」
「―――っ、ああもう、好きにすれば良いでしょ!ほら、やるならさっさと済ませなさい!」
低い女の声で、早苗が囁く。
びくん、と、期待を膨らませるように霊夢の身体が跳ねた。
結局は早苗の押しに負けて、渋々と霊夢は承諾する。こうなったらどう足掻いても早苗は無理矢理自分を貪り喰らうことは、彼女の経験則上分かりきったことだった。ならばこれ以上の抵抗は無駄だと、早苗に身を任せることを選択する。………そうやって甘やかしていることが、早苗をつけ上がらせているのだと分かりながら。
口ではそう言いこそすれども身体は全く拒まない辺り、すっかり霊夢も早苗の虜になってしまっていた。だが、言葉ではいかにも仕方なくと言ってるようだが、本心は別にあることを早苗は見逃さない。
「やっぱり嫌がってなんかないじゃないですか。………滅茶苦茶にされるの、好きな癖に」
「………変態。あくま。この色情魔」
「ふふっ、どうとでも言ってください。―――そのうち何も、言えなくなっちゃうんですから」
自分でも楽しみたい、という早苗の言葉を霊夢は押し殺す。―――確かにそれは事実だと薄々感付いている霊夢だが、頑なにそれだけは認めない。霊力供給は早苗の為に必要なこと、と言い訳のように霊夢は内心自分に言い聞かせる。………そうでもしないと、あの行為を正当化できないからだ。
「………では、失礼―――!」
「んぐっ!?」
霊夢の葛藤などいざ知らず、すっかり自分のものにした気でいる早苗は人工重力に身を任せて、一気に身体を霊夢に墜とる。その勢いで霊夢の唇に襲いかかって中身を貪る。
霊夢はただ、この甘い地獄を耐えることしか出来なかった……
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「うっ……からだが、うごかない………」
ピーっ、ピーっ、とけたたましく鳴り響く呼び出し音で強引に起こされて、不機嫌さを感じながら目を開ける。
人が気持ち良く寝てたのに余計なことを、と思いながら身体を起こそうとしたが、腕に思うように力が入らなくて身体は椅子に引き戻されてしまう。
え、何で……と一瞬焦ったが、すぐにこの事態を招いた下手人に思い当たった。
「あら、霊夢さん、どうかされましたか?」
何事も無かったかのように平静な態度を取るこの緑色の色情魔―――早苗を睨みつけた。
そうだ、そもそもこいつが自重を殴り捨てて全力で貪りにきたのが悪い。いい加減疲れているというのに少しも休ませてくれなかったものだから、途中で気絶したまま寝てしまっていたようだ。
「………あんたのせいで立てなくなったわ。責任取りなさい」
「霊夢さん、案外体力無いんですね……ちょっと意外です。責任なら大丈夫ですよ?霊夢さんはちゃんと私が娶ってあげますから」
「そういう問題じゃないっての!」
ああもう、なんでこの娘は何でもそっちの方向に持っていくかなぁ…!
早苗は私が立てないのをいいことに、椅子の上でぎゃんぎゃん吠えることしかできない私を見て意地の悪い笑みを見せた。
「クスッ、霊夢さん、可愛いです♪」
「くっ、今に見てなさいよ早苗……!!」
今度ばかりは退治してやる!とヤケクソ気味に考えたところで、今の力関係が変わるわけでもない。甘やかすんじゃなかったと今更ながら後悔したところでもう遅いのだ。
「とにかく!今日ばかりは休ませなさい!あんだけ食ったならもう大丈夫でしょ!?」
「そうですか……そこまで言うなら少しは我慢してあげますけど――――。じゃあ、お楽しみは明日の夜、ということで。期待してて下さいね?」
早苗がぐいっと顔を近付けて、耳元で囁いた。
豹変した早苗の声に、ゾクリ、と身体が震えてしまう。
――ああもう、そうじゃないのに!あれは必要だからやってることで、決してそういう意味じゃないんだから………
頭では拒んでいるのに、身体は早苗のことしか考えられなくなっていく。霊力供給の度に、喰われる代わりに早苗から毒を盛られて内側から犯されていく。今更それを理解したところで、もう何も出来ないのだ。
早苗にいいように手玉に取られたまま、というのは不愉快だけど、もう私がどうこうできるレベルを越えてしまっている。なんであのとき早苗に身を任せてしまったのかと思わなくもないけれど、あれが必要不可欠な行為である時点でこうなることは確定していたのだ。………もう、諦めて蛇に喰われるしかないのだ。
「………もう早苗になんか負けないんだもん」
「あらあら、負け惜しみですか霊夢さん。それはフラグってやつですよ?」
「……言っておきなさい。あれは必要だからやってるだけなんだから。絶対気持ち良くなんかならないんだから」
「私は霊夢さんにもっと気持ち良くなってほしいです。だから―――感じられないというのなら、もっと激しいこと、しちゃいますよ?」
「………っ!?」
―――駄目、勝てない。行為のときだけじゃなくてもすっかり手玉に取られてしまっている。弱みを握られてしまった。
「――もう終わり!次の話に入るわよ!」
「つまらないですねぇ~霊夢さん。自分が勝てないからってそうやって……」
勝てないと分かったから、強引に話の流れを打ち切る。早苗の言葉なんか無視――無視よ。
「っ…………早苗、さっきアラームかなんか鳴ってたでしょ。あれは何だったの?」
「あのアラームですか?はい、どうやらサルベージシステムに何かが引っ掛かったみたいです。フネはそこに向かって転進してます」
用件を告げたら、思いの外すんなりと応じてくれた。これだけ見れば、普段の早苗と何ら変わりはない。
「駄目元だったんだけど、引っ掛かったんだ……やっぱりものはやるに越したことはないわね」
「そうですねぇ~。その反応もそこらの小惑星とは比べ物にならないぐらい大きなものだそうですから、これは期待が持てそうです」
動けない私を気遣ってか、早苗がデータを表示したホログラムのモニターを私に寄越してくれた。
場所は……どうやら星系の外縁部にあるらしい。恒星を挟んで反対側にあるみたいだから、フネは今一番危険な小惑星が密集している星系の中心部を突っ切っているようだ。まぁ、この艦の自動航法装置なら何とかなるでしょう。いつぞやのメテオストームなんかに比べたら、こんなの凪いだ海のようなものだ。
そして肝心の反応なのだが、推定される資源の量を見てみると何と戦艦を何十隻作っても有り余る程に密集していた。
………これは、とんでもない当たりなのかもしれない。
「早苗、これ………」
「ふっ、霊夢さん、本当に運が良いですね!これは大当たりですよ!」
早苗も早苗で、興奮を隠しきれない様子だった。
これは、ますます期待度が高まる。
「よし―――こうなったら全速前進あるのみよ!お宝目指してレッツゴー!!」
「アイアイサーです霊夢さん!燃えてきましたぁ~!」
しばらくフネの大部分が壊れていたことすら忘れて、ついはしゃいでノリで最大船速を機械に命じてしまう。確かにフネは進んでいるのに、それがひどく遅く感じられる程にテンションが上がっていた。(実際補助エンジンだけだったから遅いことには遅いんだけど……)
そして、気がついたら私の身体は普通に動くようになっていた。
「ふむふむこれは――なんなのかさっぱり分からないねぇ」
「英字の欄を無理して見ようとするからそうなる。ようは、フネに必要な資源がそこにあるということだろう?」
「そうなのそうなの。それもザックザクな量が―――」
あれ、何で………
「成程な。それは僥倖というものだ。死中にも光有り、だな」
「こいつの運は昔からずば抜けていたからねぇ。いや、この場合は私達の加護の分も含まれてるのかな?」
何で、こいつらがこの場所に……
「なにしれっと混ざってるのよ!早苗んとこの神二人!!」
「あ、神奈子様に諏訪子様。お早うございます」
「おはよー早苗。いやぁ、良い朝だねぇ」
「今更朝も何もないだろう。して早苗、件の進行は順調か?」
「はい、それは勿論!あと一押しです!」
「無視すんな!!」
加えて早苗は早苗でしれっと二人に混ざってるし……ここの!艦長は!私!なの!先ずは私に声を掛けるのが先でしょうが!!
「そう怒らない怒らない。折角可愛いのが台無しだ」
「何が可愛いよ。心にもないことをよく言えるわ」
「ところで、早苗が世話になったみたいだな、博麗の巫女」
「そうねぇ、そりゃどうも―――って、あんたらあの娘にどういう教育してきたのよ!?お陰でこっちは大変なんだから!」
そうだ―――こいつらが現れたのなら都合がいい。あんたらの風祝が節度を知らんお陰でこっちは大迷惑なんだから!!
「ん~?教育かい?………ふふっ」
「あ"ーこんのアホ神が!!」
この両神にしてあの娘あり、か。………絶対諏訪子のせいだ。コイツの悪い部分、全部早苗に引き継がれてやがる。……直系らしいからそれも当然、か。
「ああそうだ、博麗の巫女。先程艦内を漁ってきたのだが、この身体、丁度良さそうだったので頂いたぞ」
「いやぁ、実体があるってのは良いねぇ。あの科学者様々だ」
「あ、神奈子様と諏訪子様もその
「うんうん、これからもよろしく頼むよ、早苗」
あ、これは厄介事の種が増えたパターンだ………
よく見ると神奈子と諏訪子の身体は以前のように透けてはおらず、幻想郷に居た頃のように実体を持っている。…………話の内容から察するに、どうやらサナダさんの研究室にあった義体をちょろまかしてきたのだろう。部屋の持ち主が居ないことを良いことに、好き勝手物色したに違いない。
「という訳だから、早苗共々、これからよろしく頼むよ、博麗の巫女」
「我等とて、協力できることは協力しよう。まぁ、この神社は借りることになるがな」
「ハイ、よろしく…………」
「ふふっ、お二人と一緒に霊夢さんの神社に………これはもう、霊夢さんとは家族と言っても過言ではありませんね!」
もう、反論する気が起きないわ………
あの守矢、何度も異変に噛んでいた守矢にうちの神社が乗っ取られるなんて………きっとこいつら、何か企んでるに違いない。多分。めいびー。
何も、起こらなきゃいいんだけど………
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「霊夢さん霊夢さん、もう少しで問題の宙域ですよ」
「……長いようで、短い道程だったわね」
「これも我々の加護の賜物というものだ」
「感謝してくれよ、博麗の巫女」
「…………ふん」
いよいよ、問題の反応があった宙域だ。
途中にあった小惑星や、そこそこ資源がありそうな原始惑星すら無視して一直線に向かってきたのだから、当たりでなければ困る。外れだったらそれこそ、誰かに八つ当たりしてしまうかもしれない。
口うるさい神々は、この際無視する。
―――そうだ、折角だからハズレだったときはこいつらをサンドバッグにするか。どうせ一度退治してるんだし、一度や二度の違いなど大したことはないだろう。
次第に小惑星の量が少なくなり、光学センサーの視界が晴れていく。
私達は食い入るように、問題の宙域を映した映像を凝視していた。
「これは…………」
最後の小惑星が退いて、遂にその資源地帯の姿が明らかになる。
「………大きな、フネ?」
細長い角形の塊に、それよりも小さめな、やはり細長い金属の塊。灰色のそれらは、時折光を反射して光沢を放つ。所々破壊されたようにバラバラになっていたり千切れていたりはするものの、全体的な形はよく残っている。
それは………どこからどう見ても、明らかに人工物、それも巨大な複数のフネだった―――。
早苗さんに続いて守矢勢がハッスルし始めてしまいました………博麗神社の明日は如何に!
ちなみにご両神の義体は早苗さんと同タイプです。サナダさんが居ないのをいいことに研究室から拝借しました。早苗さんと違って信仰さえあれば分霊は維持されるので、霊力供給は必要ありません。
早苗さん+かなすわ様が住み着いてる博麗神社は実質守矢神社………
本作の何処に興味がありますか
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戦闘
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百合