IS×Fate - No Limited War -   作:No.20_Blaz

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気晴らしとかのために始めたので更新速度はマジで適当です。
ぶっちゃけ気分次第で始めたものなので。

その為、更新は適当ですが話は進めていく方針です。
ですがタグに書いている通り完全オリジナルのストーリーの路線なので、そういうのが苦手、という人はご退散を。
何せ実験的意味合いもあるのでストーリーは半分グダグダだと思います。

それでも良い。という方は、どうぞお楽しみを。


ちなみに補足等につきましては後書きで。


#00 「始まりの日」

 

 

 

 

 

 

どこかで男が声を出す。

その声は興奮にあふれ、はやく今行っていることが完了する光景を目にしたいという欲求にあふれていた。

 

 

 

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)!!

繰り返すつどに五度 ただ、満たされる刻を破却する!!」

 

 

 

 

 

興奮が収まらない。笑いが止まらない。

この高揚感に身を任せ、失敗してしまうという恐れなど何一つとしてない。

何故なら、男はこれぐらいの事で自分は失敗しないという自信が人一倍強かったのだから。だが、それと同時に男は冷静だ。

笑いが止まらない顔であっても、興奮冷めぬ火照りであっても。それと相反し、淡々と準備をこなしていき、こうして呪文(・・)を間違えずに詠唱する。

 

そして。次第に男の顔からは笑みが引き下がっていき、やがて落ち着きを取り戻したかのような顔で詠唱を続けた。

 

 

 

「―――――告げる」

 

 

 

さぁいよいよだ。

内心では爆発するほどの興奮と高揚感に煽られ、先々と進んでしまうが不思議と間違いというのは何一つとしてない。

 

男の欲求か。それとも本来の才か。

いずれにせよ詠唱はもう直ぐ終わる。

 

 

 

 

 

―――汝三大の言霊を纏う七天

 

―――抑止の輪より来たれ、天秤の守りてよ―――――!!!

 

 

 

 

 

 

その言葉を最後に、男の居た辺り一帯は光に包まれた。

これで成功した。男はそう確信し、そこから現れるだろう霊の出現を心から待ち望んだ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Next…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界は複雑に絡んでいた。

少年が住む世界、町、自然、社会は本当に複雑だった。

 

女性を優位とした女性社会。

そしてそれの切欠となった事件の立役者の弟。

世界最強のたった一人の親族。

―――彼女のオマケ。

 

言われは様々だったが、正直少年にはどうでもいいことだった。

それで自分たちの周りが変わったかと言われれば事実だが、だからといって人間的にどうこうという事もない。

少年は今日も、いつも通りの日々を過ごす。

 

 

変わる事のない、無気力な一日を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――朝か」

 

けたたましく鳴り響くアラームの音に起こされ、織斑一夏は目を開ける。

ぽつりと呟いた言葉を誰が聞くこともないので、気だるそうに体を起こした彼はしばらくベッドの上で沈黙する。

 

頭が痛い。というよりまだ眠い。

昨日少し無理をしたかと思う一夏は昨日の自分に悪態をつくが、既に昨日の自分はここには居ない。今居るのは現在の自分であるという事で渋々納得し、ベッドの上から降りて服を着替えた。

 

 

 

 

「――――そういや…」

 

 

彼には一人、姉が居る。しかも彼女はたった一人の肉親で親は曰く「事故死」したらしい。

親の顔もしらない一夏はたった一人の姉と共に今まで生きて来た。

そして。その姉が昨日。久しぶりに帰宅してきた。

 

「…多分まだ寝てる…よな」

 

シャツを脱ぎ、新しいのに取り換える一夏は普段の彼女の性格から現状を推察する。

外では完璧超人と言われているが、実際は彼の前ではズボラな所を堂々と見せる。その一つに彼女の部屋は魔窟と化している。

 

「ま。まずは朝の用意を…」

 

姉を起こすのを後にして、着替えた洗濯物を持った一夏は部屋を後にして一階へと続く階段を下りて行った。

 

 

 

 

 

朝の居場所であるリビングに、ふと誰か居る気配を感じ取って顔をのぞかせる。

そこには一夏たちと同居するもう一人の女性が彼よりも早く朝に運ばれた朝刊を読んでいた。

薄く青白い髪を腰まで伸ばす女性で一目見ただけでも落ち着いた雰囲気を醸し出す。だが、その彼女を見るたびに一夏は「どこか寂しさがある」と心のどこかで思ってしまう。

 

「―――どうしたのですか?」

 

「…いや。何もない。おはよッ、ランサー」

 

 

ランサーと呼ばれた女性は小さく微笑んで答える。

三年ほど前に突如現れた女性は、姉が連れて来た人物で曰く「友人だ」との事だ。

始めて出会った時には異質さを感じていたが、今ではそれがすっかりと抜けきり、家族と何ら変わりない様に接している。

 

「ええ。すみませんが…」

 

「ああ。朝は紅茶だっけか」

 

世俗に慣れたのだろうか、最近はランサーの行動や言いたい事を何となしに察する事が出来るようになってきた一夏はいつも通りに彼女に対して戸棚にストックしている紅茶を取り出す。

紅茶を入れる間に他の朝食などの支度を始めると、水を張ったポットに手を出す事が難しくなる。トースト、スクランブルエッグ、ミニサラダ。朝から手の込んだ料理をすると彼の姉が言った事があるが、これでもまだ簡単な方だと言い返した。

本人のささやかな自慢だが本気を出せば朝からそれなりに豪華な食事は作れる。だが普段は学生という身であるため、そこまで時間をかけることも出来ず姉も朝の時間がない事が多い。

 

「お待たせ、ランサー」

 

「いつも、ありがとうごさいます」

 

「…いや。俺もこれくらいしか出来ないからさ」

 

はにかんで答える一夏は、自分が言った言葉に痛烈さを感じる。その言葉は紛れもない事実であり、現実であるのだ。

 

自分でも自覚するほど、自分自身が無力で、弱くて、そしてちっぽけだ。

 

それが現実となった時にはより強く感じられ、少しずつ自分の居場所というのが狭められた気がした。

周りの人間から、お前は要らない、と何時でも捨てられるように思えたのだ。

 

 

 

 

 

 

「…起きたのですね」

 

「うん…?」

 

振り向くと、二階に通ずる廊下から黒い影が現れた。始めは誰かと思っていたが、次第にそれがバラバラに彼女の顔の周りを覆っていた髪の毛である事が分かると、若干猫背である姉に声を掛ける。

 

「―――おはよう。千冬ねぇ」

 

「…うん」

 

 

子どものように頭だけを頷かせた織斑千冬は、まるでゾンビのような動きでリビングに入ってくる。

これが世界最強のブリュンヒルデ。その実態である。

 

「朝ごはんできてるから、先に二人で食べてて。俺まだ弁当作るから」

 

「ん…」

 

「…徹夜ですか?」

 

「………。」

 

大きく欠伸をするが、首を横に振った千冬は置かれていたコーヒーを乾いた喉へと流し込む。程よくなっていた暖かさと苦さが体を伝い熱を伝えていく。

少しずつだが意識が覚醒しはじめた千冬はぼさぼさの頭を掻いてぼやくように口を開いた。

 

「…必要な書類の纏めだ。一夏、今日遅くなる」

 

「あいよ。晩飯は?」

 

「…欲しい」

 

「いや。向こうで食べるのかこっちで食べるのか…」

 

「………。」

 

と言っても言葉はあれで十分だろう。

帰って一夏の料理を食べたい。その真意だけでも知れた彼はため息をついて、はいはい、と答えた。

 

「別にいいけど。今日俺、高校受験なの忘れないでくれよ?」

 

「…第一志望、あそこでいいのか?」

 

高校受験生である一夏は今日がその受験当日。

一応二つ志望校を持っているが、第一志望のほうが就職率が良いと言い張り、姉の言い分を押し切った彼は言い返すに言い返せず、遂にこの当日を迎えていた。

第一志望は入学金が安く、就職率はいい。

一方で第二志望は入学金、就職率は並みではあるが多岐にわたり就職ジャンルを持っているという事で就職先に対しては自信があるという高校だった。

千冬は入学金ぐらいはと言って第二志望を薦めたが、どうにもやせ我慢し過ぎた一夏は自分の手で後戻りする道を壊してしまい、結果そのままを推し進めた。

 

「…別に、お前がそれでいいのなら良いが…高校生活は大事にしろよ」

 

「………。」

 

(…私が言えた義理ではないか)

 

高校生活の殆どを家計のために奔走した千冬にとってまともな事は殆どなかった。

一応、修学旅行だったりは参加していたが、それ以外の殆どはバイトなどに奮起し親の居ない彼らは自分たちで稼ぎを持って家計を支えていた。

傍から見ればまだ若い二人が、と思っていたらしいが、千冬は周りの人間の中に嫌な気配を持つ人間が居る事からその話を全て断っていた。

 

恐らく、千冬の体だったり能力だったりを狙っての事だったのだろうが。現在となってはもうその心配はない。

逆に政界などからも手が時折ある程度で、それ以外の以前の体目当ての人間はぱったり途絶えていた。

 

「第一志望が入試…第二志望は…論文だったか?」

 

「そう。「現代社会における人種差別について論ぜよ」だってさ」

 

「―――ただし女尊男卑に準ずる事を書いた場合は即不合格、か?」

 

「らしいよ。その所為で二十人の女の受験者が早く落ちたって」

 

「…阿保らしい」

 

「…ああ。全く」

 

スクランブルエッグを千冬とランサーの前に置いた一夏は、後で弁当を持っていくようにと言い自分の椅子に座る。

朝食は同じだが、個人的な日課で毎朝牛乳を飲んでおり更にはヨーグルトも接種している。やれ朝に食べるのはダメだと言う事もあるが、本人はそれをいつの間にやら忘れ普段と変わりなく白い乳製品である二つを口の中に入れていく。

 

「あ。一夏、帰りにジャム頼む」

 

「もう無くなったのか?」

 

「ああ。二人で使ってたら」

 

「…二つ、用意していたよな?」

 

「…あったな。確か」

 

「ええ。ありましたね」

 

まさか一週間しかもたずに食い尽くされたジャムの空き瓶に、二人が自分の居ない所でつまみ食いしているんじゃないかと思っていたが、自意識がそれはないと断じ本当にそうなのかと目を細める。

 

「…わ、私がそこまでつまみ食いする奴だと思ってるのか」

 

「最近よく腹減ったってやたら言うからな」

 

事実を言われた千冬はぐうの音も言えず、コーヒーを喉の奥に流し込む。

その場に居ると劣勢になると見たのか、すぐに身支度をし始める彼女の姿に逃げたなと確信する。

ささやかな勝利だが妙に一夏は嬉しく、してやったりと勝利の美酒である牛乳を飲み干した。

 

 

 

 

 

 

「…一夏」

 

「うん?」

 

「…いや。何もない」

 

用意を終えた千冬は何か言いたげな顔をするが、気にすることではないと話を打ち切る。

先ほどまでのズボラな彼女はどこへやら、身支度を終えて玄関前に立つ頃にはもう世間が知る織斑千冬に早変わりしていた。

凛とした表情、整った服装。そしてそれとは不釣り合いな右手の刺青。

以前一夏がそれが何かと尋ねた時、彼女は傷だと言い返したが、そうは見えないその形に彼は刺青か何かではないかと考えて片隅に放り投げていた。

それで別に姉が変わるわけでもない。そう信じて、一夏は今日も姉を見送る。

 

 

「行ってくる。夜は先に食べててくれ」

 

「遅かったらな」

 

合鍵とキーを持った千冬とハイタッチで乾いた音を鳴らす。

それが二人の朝出かけるときの合図代わりだ。ランサーには普通に口で行ってくると言う所から誰からも二人の信頼関係というのが見える。

 

 

今日も変わらず。外に出てそれを確かめると、千冬は車庫に居れていたバイクにキーを差し込み、低い音をうならせて走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほどなくして一夏も身支度を終えて玄関前に立つ。まだ寒さの残る時期なので厚め服装で身を包み首元にマフラーを巻く。

必要最低限の物をリュックサックに詰め込み、寒さを凌ぐ為に入れた熱い飲み物を魔法瓶に淹れている。仮に時間がかかったとしても、ある程度は時間を潰せる物を入れた。

 

「よしっ」

 

「もう行くのですね?」

 

「ああ。行ってくるよ、ランサー」

 

「ええ、気を付けて」

 

 

時間も余裕のある程度で家を出た一夏は、改めてリュックを背負い直すと自転車に跨って走り去っていく。

方向こそ違うが、その快速な走りは反対側を向かった千冬とどことなく似ているとランサーは見て思っていた。

自転車の音が遠ざかっていくのを聞いていたランサーは軽く息をつかせて家の中へと消えていく。この後は特にする事もないので、家に居るのだと走り去っていた一夏は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――出かけましたよ。

 

 

よし。すまないが、隠れて警護してくれないか?―――

 

 

―――分かりました。彼女(・・)には何と?

 

 

…私に電話しろ。とでも言ってくれ―――

 

―――はい。それと…

 

 

………?―――

 

 

―――気配が増えました。また一人

 

 

…これで五騎目―――

 

 

―――どうします?

 

 

…尚の事だ。まだ始まってもいないからな。最低限相手も情報収集に徹するだろうて―――

 

 

―――分かりました。『マスター』貴方も気を付けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ああ」

 

 

 

 

 

 

 

その後。一夏は無事に試験会場にたどり着き。

 

『何事も無かったかのように試験は終わった』

 

後は数日後に控えた第二志望の受験と第一志望の結果を待つだけであったが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まぁ。分かってはいたんだよ。なんか問題が妙に可笑しいな…って」

 

「………。」

 

「相当やさぐれているな…何があった?」

 

「…言わずもがな」

 

「…ああ…」

 

テーブルの上で頬をこすり合わせ落胆する一夏の隣。そこには一つの封筒と一枚の紙が折り畳みにされた跡を残して広げられていた。

そこに書かれていた一文に千冬は見るまでもなく全てを察する。

こんな時に来てほしくないギリギリの一つ。

 

 

 

 

そう。ギリギリ『不合格』

第一志望への道はギリギリの差という言葉で纏められ、閉ざされてしまった。

 

「まだ第二志望が落ちたわけでもないのだろ?そこまで落胆するのも―――」

 

「千冬姉には分からんだろ。第一志望が落ちた時の絶望加減を…それはもうドロドロの沼に落とされていくような感覚で…」

 

「すまん私が悪かった。だからそこから先は絶対に言うな!」

 

この瞬間、千冬は絶対に一夏が絶望のどん底へと道連れにする気だと察し直ぐに謝罪する。

が、それでも諦めず言おうとしていた彼を無理やり止めたのは言うまでもなく、その後落胆したまま一日を終えるかと思われていた。

だがまだ聞きたい事があったと思い出し、最後にとそれを問うた。

 

「―――で。第二志望の学校は?」

 

「…空海原(そらみはら)学園」

 

「なんだ。いい学校じゃないか」

 

「知ってるの?」

 

「ああ。まぁな」

 

 

 

 

私立空海原学園。

首都圏外海に位置する学校で南側には太平洋が見える。

カリキュラムは実に多岐にわたり、更に生徒一人ずつに合った就職先や職業の提供、推薦を行う事ができ、またその為のサポートや前準備ともいえる部活動の数々。

入学費用こそ他の私立高校と並ぶかそれ以上だが、見返りとしては十分な設備を他にも取り揃えている。

 

「昔、私もああいう高校に行ければなと思うよ」

 

「…仕方ねぇ、だろ」

 

「今ウチの家計は安定している。別に高校ぐらいは自由に選んでも文句もなければ止める理由もない」

 

 

弟にはせめての自由は与えてやりたい。そんな千冬の気持ちを素直に受け止める事が難しい一夏は、頭を掻いて言い返す。

 

 

「…落ちても知らねぇぞ」

 

「困るのはお前だろ?」

 

「まぁ…そうだけど」

 

「…すまんな。いつも」

 

「………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何コレ。ラブコメ?」

 

そんな彼らの生活風景をどこからか眺める女性が居たが、それはまだ先の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

「俺は…千冬姉にとって…」

 

 

「私が、このクラスを預かる担任の―――」

 

 

「どうした、青少年」

 

 

「…もう、一夏を巻き込ませたくないんだ」

 

 

「なら、あの時できなかった事を…今するだけですね」

 

 

 

 

 

次回 「召喚」

 

 

 

 

「問おう。貴方が私のマスターか」




後書きという名の補足

・登場するサーヴァントについて
登場するサーヴァントは、現在配信されているアプリゲーム「Fate/Grand Order」までを含めた全作品。ただし、作品によっては作者である自分がまだ見ていないというのもあるのでサーヴァントの言動などに違和感があると思います。なのでそこはご了承を


・聖杯戦争について
作中では一応聖杯戦争は起こります。ただしルール等がある理由からかなり『壊れており』サーヴァントたちも召喚時にそれは事前通告されています。具体的なルール変更につきましては作中で…

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