僕の想像していた魔法世界はこういう世界じゃない   作:キャラメルコーン

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少し間が空いてしまいました。すみません。


第9話

あれから十日。FLTから発表されたマテリアの商品化は、全国的に大きな反響があった。しかし、多くの個数は生産できないため、通信販売個数限定という形に収まり、僕は限定版プラモデルのような扱いに少し笑ってしまった。

 

僕にとって面倒な事になった事は間違いない、と言えたと思うが、思っていたよりは軽く済んだし、これからはある程度人前でできることも増えた。見方を少し変えれば目標を達成したとも言えなくもない現状ではある。部活動の新入生争奪戦も落ち着き、僕は久しぶりにゆったりとした日常を過ごしていた。そう、今この瞬間までは。

 

唐突にスピーカーからキーンと甲高い音が鳴り響いた。

 

「音量の調整ミスったのかな?」

 

「しっかりしてくれよ!」

 

『全校生徒の皆さん、僕たちは学内の差別撤廃を目指す融資同盟です!』

 

面倒事の臭いがする。これは間違いなく呼び出される。この学校に入ってから何度目の騒動かもうわからない。本当に賑やかな学校だ。

 

 

 

 

 

思った通り風紀委員にも召集がかかり僕たちは放送室前に集合した。放送室には内側から鍵がかけられており、マスターキーも含めて鍵は犯人たちが持っているためこちらからは中に入れないようだ。

 

風紀委員長の渡辺先輩は多少強引でも短時間での解決を目指す方がいいとの意見、部活連の十文字会頭は学校施設を破壊してまで早急な解決をするほどの犯罪性はない、という意見らしい。

 

そしてここで、達也くんが電話をかけた。相手は二年の壬生先輩だ。

 

壬生先輩は以前剣道部と剣術部が揉め事を起こした際に達也くんが助けた剣道部員で、それから何度か達也くんカフェで一緒にいるところを目撃されたりしている。もちろん女性。達也くんの言葉責めで赤面していたなんてくだらない噂がたったりもしていた。今ここで電話をかけたということは今回の事件と関係があるのだろうか。

 

「それで、今どちらに?ああ、放送室にいるんですか。それは、お気の毒です。いえ、馬鹿にしているわけではありません。先輩も、もう少し冷静に状況を。十文字会頭は交渉に応じるとおっしゃっています。生徒会長の意向は未確認ですが⋯⋯」

 

ここで生徒会長も同意であるとしておいた方が良いとのジェスチャーが入り、

 

「いえ、生徒会長も同様です。ということで、交渉の日時について打ち合わせをしたいんですが。いえ、先輩の自由は保証します。はい、では。」

 

話がついたようだ。

 

「すぐ出てくるそうです。それでは、体勢を整えるべきだと思うのですが。」

 

「体勢?」

 

「中の奴らを拘束する体勢です。」

 

何を言っているんだこいつは。

 

「君はさっき、自由を保証すると言っていた気がするのだが⋯⋯。」

 

「俺が自由を保証したのは壬生先輩一人だけです。それに俺は風紀委員長を代表して交渉しているとは一言も述べていません。」

 

鬼か?悪魔か?僕が思っていたよりもずっと彼は酷い人間であるらしい。少なくとも僕は自分に気があるだろう女性にこんな仕打ちはできないだろう。

 

「悪い人ですねお兄様は。」

 

「今更だな、深雪。」

 

「そうですね。でも、お兄様?壬生先輩のプライベートナンバーをわざわざ保存していらした件については、後ほど、詳しくお話を聞かせてくださいね?」

 

こんな時に何を言ってるんだよ⋯⋯。深雪さん本当にブレないな。もはや尊敬するね。

 

そうして僕たちは放送室から出てきた壬生先輩以外の立て篭り犯を拘束した。少し申し訳ない気持ちになったのは秘密だ。

 

当然壬生先輩は怒っていた。

 

「どういうことなのこれ! 私たちを騙したのね!」

 

本当に申し訳ない。

 

「司波はお前たちを騙してなどいない。交渉には応じよう。だが、お前たちの要求を聞き入れることと、お前たちのとった手段を認めることは別の問題だ。」

 

「それはその通りなんだけど、彼等を離してあげてもらえないかしら。」

 

いつのまに現れたのだろう、七草生徒会長はそう言った。会長の話では、学校は今回の件を生徒会に委ねることにしたらしい。そうして会長たちは交渉の打ち合わせのためにどこかへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

翌朝、生徒会から公開討論会についての案内があり、そして公開討論会当日。僕は会場の外の警備を担当することになった。僕も討論会の内容は気になったのだが、仕事なので仕方がない。

 

と、そこでなにやら不審な人物を見かけた。腕には青と赤のラインの入った白い帯を巻いている。見覚えがある。確か、あの帯を巻いていたのは確か、パトロール中に魔法攻撃を受けた時だ。怪しいなんてもんじゃない。確信を持って言える。こいつはなにか今からやらかす気でいる。手には大きめの荷物を抱えている。

 

「すみません、その手に持っている荷物、確認させていただけますか?」

 

声をかけた瞬間、不審者はCADをこちらに向け、魔法を放った。不意打ちではあったものの前回と違い発動するところを見ている。標準も雑で、回避するのは容易だった。荷物を捨てて逃走しようとする不審者だったが、僕の放ったスリプルで深い眠りについた。僕はこいつを拘束し、荷物を確認。中身は

 

「ば、爆弾じゃないか!」

 

声に出すほど驚いてしまった。まさか校内にテロリストが潜んでいたなんて。爆弾は時空魔法デジョンで異空間に放り込んでおいたので安心だろう。いや、安心はできない。単独犯であると決まったわけではないからだ。とりあえず、このことを中に伝えなくてはならない。トランシーバーのスイッチを入れ、

 

「こちら、一年高倉です。不審者を発見、拘束、手荷物を確認したところ、爆弾を所持していました。こちらの爆弾は処理しましたが、他に同様の犯人が校内にいる可能性があります。警戒を強化してください!」

 

『すまない、よく聞こえなかった。もう一度頼む。』

 

大きな拍手もトランシーバーから聞こえてくる。そしてもう一度伝えようとした時、複数の爆発が起こった。

 

『取り押さえろ!」

 

中でも何かあったようだが、こちらも大変なことになってきた。武装した侵入者が大勢現れた。アサルトライフルを持った奴までいる。どうやら想像以上の事態に陥ったようだ。ロケットランチャー持った奴までいるぞ!! ふざけんなよ!!

 

実技棟の方へ向かうと、レオが格闘のみで応戦していた。僕も加勢に入る。武器を持った奴から順にサンダーで蹴散らした。

 

「翔一、どうなってんだこれは!」

 

「見た通りだよ! 武装集団が攻め込んできたんだ!」

 

そうこうしている内に司波兄妹と千葉さんも援軍にきた。

 

そうして周辺にいた奴らを大体蹴散らし、やっと会話ができるくらいには落ち着いてきた。

 

「まさかテロリストが攻め込んでくるなんてね。本当に賑やかな学校だよね。」

 

「賑やかなんてもんじゃねえだろ。」

 

「他に侵入者は見なかったか?」

 

「彼らの狙いは図書館よ。」

 

どこからか小野先生が現れた。

 

「こちらを襲ったのは陽動ね。主力はすでに侵入しています。壬生さんもそっちね。」

 

小野先生って実は凄い人だったのか?

 

「後ほど説明していただけますか?」

 

「却下します、と言いたいところですが、そうも言ってられないわね。その代わり、一つお願いしたいことがあります。カウンセラー小野遙としてお願いします。壬生さんに機会を与えてあげて欲しいの。」

 

はい?

 

「彼女は去年から剣道選手としての評価と二科生としての評価のギャップ悩んでいたわ。そこを彼らにつけ込まれてしまった。」

 

「甘いですね。行くぞ、深雪。」

 

達也くんは冷たく言い放った。でもこの件に関しては僕も同意見だ。レオは納得がいかないようだが。

 

そして僕たちは走っていく達也君を追いかけて図書館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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