僕の想像していた魔法世界はこういう世界じゃない   作:キャラメルコーン

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前回に続き、今回もかなり強引な展開が目立ちます。

中学校生活は驚異の全カットです。


第4話

あれから2年半が経った。僕はまだ誰にも捕まっていない。

 

なんとか中学校生活は無事に終えることができた。長期休暇には無人島に行って鍛錬したりして、とても普通の中学校生活とは言えなかったけれどそこそこ充実した生活を送っていたと思う。

 

それと、僕にも目標ができた。『魔法工学技師』になることだ。そして、マテリアの解析、合成によって新たなマテリアの作成に成功したということにする。そうすれば僕がマテリアを持っていても不思議じゃなくなるし、僕にしか作れないのも特殊な先天性スキルが必要だということにでもすれば誤魔化せるのではないか、と思ったのだ。マテリアは勝手に増えるので今までに世に出したものが手元にあっても何の問題もないはず。

 

そうして、僕は血の滲むような努力を重ねた。今は自作CADの設計に挑戦している。これに成功すれば、正式に『魔法技能師』のライセンスを取得した後、どこかの企業が雇ってくれるかもしれないし、なにより精密機械を弄るのはなかなか楽しい。といっても、個人でできることなんてたかが知れているのでただ設計図を引いているだけなのだが。さらに実際に試作品を作って実験ができるのは何年も後になるだろう。設計に挑戦といってもこれではよくある趣味の一つだ。

 

僕が進学することになった学校は、『国立魔法大学付属第一高校』。国立魔法大学に毎年最も多くの卒業生を送り込んでいる学校で、試験に合格できたことが分かった時は本当に嬉しかった。この学校以外の魔法大学付属高校に入学するとなるとこの家から離れて生活しなければならなかったため、僕はこの学校に何としても合格しなければならなかった。少し気になったのは試験前にCADと持ち物の検査があったことだ。最初はカンニング対策だろうと思ったが、筆記試験ではなく実技試験での不正への対策という意味合いが強いようだ。どうやら過去にドーピングのようなことを行い、実力以上の実技結果を出す不正を行おうとした人がいたらしい。十中八九アレを使おうとしたのだろう。このことについては深く考えないことが精神衛生上良いだろう。

 

今日はその第一高校の入学式だ。少し早めに学校に辿り着いた僕が最初に見たのは一組の男女が言い争いしているところだった。入学初日から喧嘩なんてしてるのかー、なんて思ったが、もう一度見た時には二人だけの素敵空間を作り出していた。一瞬目を離した間に何があったんだ。そして今度は女の子の方がどこかへ行ってしまった。男の子の方は特にすることがないようだ。式にはまだ時間があるのでとりあえずその男の子に話しかけてみることにした。

 

「君も新入生だよね?」

 

「ああ、そうだけど。」

 

「僕の名前は高倉翔一っていうんだ。まだ式が始まるまで時間もあるし、よかったら話でもしない?」

 

「構わないよ、俺の名前は司波達也。よろしく。」

 

そうして少し話をした。司波君も魔工師を目指しているらしく、CADの話で盛り上がった。同じクラスになれないことが残念だ。この学校では生徒は入試の結果で一科生と二科生に分けられる。この二つが同じクラスになることはない。さらにこの校内では一科生のことを、制服についたエンブレムから花冠(ブルーム)と呼び、二科生にはエンブレムがないことから花の咲かない雑草を揶揄して雑草(ウィード)と呼んで蔑むといったような差別意識が浸透しているようだ。先ほどから司波君を見て、

 

「あの子、ウィードじゃない?」

 

「補欠なのにこんなに早くから張りきっちゃって。」

 

などという一科生もいた。なんとも感じの悪い風習だが、それに因縁をつけて喧嘩を売る度胸は僕にはないし、彼もさほど気にしていないようだったので何も言わなかった。

 

そうして時間を潰して、式が近くなってきたので会場に入ると、特に決められてはいないはずなのだが前列が一科生、後列が二科生といったように分かれていた。

 

「前に行かなくていいの?」

 

「ああ、僕には一科と二科のこだわりは特にないしいいんだ。ちょっと目立っちゃうかもしれないけど。」

 

「あのー、お隣は、空いていますか?」

 

「ああ、どうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

そう言って司波君の隣に座った子は今のご時世には珍しく、メガネをかけていた。

 

「あのー、私、柴田美月っていいます。よろしくお願いします。」

 

「司波達也です。こちらこそよろしく。」

 

「僕は高倉翔一です。よろしく。」

 

「あたしは千葉エリカ。よろしくね、司波君、高倉くん。」

 

隣の三人の名前、語感が似すぎだろ。千葉さんもそう思ったようで、その話をしている。

 

柴田さんにまた一科生なのに後ろでいいんですか、なんて聞かれたり、四人で話していると、式が始まった。

 

生徒会長の挨拶が終わった後のことだ。

 

「続いて、新入生答辞。新入生総代、司波深雪。」

 

あれ、あの子って今朝司波君と一緒にいた子じゃないか?もしかして兄妹なんだろうか。

 

 

 

 

 

入学式が終わると、学生証などが配布された。僕以外は三人とも同じクラスらしい。

 

「これからホームルーム覗いていかない?」

 

「じゃあ僕はここでみんなとは一旦お別れかな。」

 

「そっか、高倉君一科だもんね。」

 

「悪い、俺も妹と待ち合わせているんだ。」

 

「妹?」

 

さっきの子だろうな。

 

「あのー、妹さんってもしかして、新入生総代の司波深雪さんですか?」

 

「ああ。」

 

「じゃあ、双子?」

 

「よく聞かれるけど、双子じゃないよ。俺が四月生まれで、妹が三月生まれなんだ。」

 

「へー、なかなか珍しいね。僕もてっきり双子なのかと思ったよ。」

 

「それにしても、よくわかったね。」

 

「ええ、雰囲気というか、お二人のオーラは、凛とした面差しがよく似ています。」

 

オーラの面差し?

 

「オーラの表情がわかるなんて、本当に目がいいんだね。」

 

もしかして柴田さんは『霊子放射光過敏症(りょうしほうしゃこうかびんしょう)』なのだろうか。霊子放射光過敏症は、霊子(プシオン)の活動によって生じる非物理的な光を意識的に見えないようにすることができない知覚制御不完全症で、『見えすぎ病』などと言われたりする。柴田さんの目には、普通の人間の身体でない僕はどのように見えているのだろうか。

 

「お兄様、お待たせしました。」

 

「早かったね。」

 

どうやら待ち合わせしていたという司波君の妹さんが来たようだ。改めて近くで見るととんでもない美人だな。ここまでの美人は日本中探してもそうはいないんじゃないだろうか。お茶の間によく現れる芸能人と勝負しても勝てそうなくらいには綺麗な顔立ちをしている。後ろには、さっき挨拶をしていた生徒会長さんもいる。

 

「はじめまして、私は生徒会長会長を務めています、七草真由美です。ななくさと書いて、さえぐさと読みます。」

 

七草っていったらあの十師族の七草か。学年も違うようだし、あまり関わることもないだろうけど、用心しとくに越したことはないかな。

 

「ところでお兄様、さっそくデートですか?」

 

なんか悪意のある言い方だな。やきもちでも焼いているのだろうか。

 

「そんなわけないだろう、深雪。そういう言い方は失礼だろう。」

 

「申し訳ありません。はじめまして、司波深雪です。」

 

「柴田美月です。こちらこそよろしくお願いします。」

 

「あたしは千葉エリカ。エリカでいいわ。深雪って呼んでいい?」

 

「ええ、どうぞ。」

 

「僕は高倉翔一。同じ一科生みたいだし、これからよろしく。」

 

「こちらこそよろしく。」

 

「深雪、生徒会の方々の用は済んだのか?」

 

「大丈夫ですよ。今日はご挨拶させていただいただけですから。」

 

「なっ、会長 ! 」

 

「深雪さん、詳しいお話は、また日を改めて。司波君も、いずれまた、ゆっくりと。」

 

深雪さんはともかく、達也くんにもなにかあるのだろうか?

 

「会長 ! 」

 

会長の隣にいた男子生徒は生徒会の用件を後回しにしたことが気に入らなかったのか、こちらを睨みつけ、会長の後を追って去っていった。生徒会にもこんなに感じの悪い人がいるのか。

 

そしてまた少し目を離した間に、司波兄妹の二人だけの空間が生まれていた。この兄妹けっこう危ないな。達也くんの方はともかく、深雪さんは目がマジだ。

 

「あのー、お二人さん、そろそろ帰らない?」

 

ナイスだ千葉さん ! これ以上は精神衛生上よろしくない。そうして、今日のところは解散になった。ちなみに、深雪さんと僕は同じクラスだったようだ。今までこの四人の中で僕だけ違うクラスだったので、同じクラスの人に会えて少し安心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




登場人物を動かすのってなかなか難しいですね。
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