僕の想像していた魔法世界はこういう世界じゃない   作:キャラメルコーン

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気がつけばもう一月も終わりですね。


第5話

高校生活二日目。僕にとっても中学とは違って初めての経験だからそれなりにワクワクしている。

 

校門をくぐり校舎に入ってホームルーム教室に入ると、教室の一点に人が集まっていた。何があったのか、と思って近づいてみると、やはり中心にいたのは深雪さんだった。

 

「おはよう、高倉君。」

 

「おはよう、司波さん。」

 

こうして、平穏な一日が始まったと思っていたのだが⋯⋯

 

初日から一科生と二科生が衝突してしまったのだ。

 

最初の衝突はまずお昼休みに起こった。深雪さんは敬愛する兄と一緒に昼食をとりたいと思ったのであろう、達也君たちのグループに入っていったところに、

 

「司波さん、もっと広いところに行こうよ。」

 

「邪魔しちゃ悪いよ。」

 

と言って同じクラスの森崎君を中心としたグループが、深雪さんを引き止めたのである。まあ、僕もそのグループにいたために、この騒動に巻き込まれてしまったのだが。

 

当然深雪さんは断ったのだが、

 

「司波さん、雑草(ウィード)と相席なんて、やめるべきだ。」

 

「一科と二科のケジメはつけた方がいいよ。」

 

なんて言うもんだから、

 

「なんだと?」

 

と二科の男子生徒も立ち上がり一触即発の空気になってしまった。ぼくはとりあえず、

 

「まあまあみんな落ち着いてよ、司波さんもここで食べたいって言ってるんだし、今日のところはここで一旦引こうよ。あんまりしつこくてもみっともないしさ、ね?」

 

とダメ元で仲裁に入った。どうやら一科のみんなには「みっともない」という部分が上手く効いたようで、

 

「それもそうだね⋯⋯。司波さん、明日はウィードなんかじゃなくて僕たちと一緒に食べようね。」

 

と言って引き下がってくれた。最後まで二科生のことは侮蔑していたが。なんとなく一科の方にいるのも居心地が悪いので、僕もこっちで一緒に昼食をとらせてもらった。さっき立ち上がった男の子は、西城レオンハルト君と言うらしい。こうして一度目の衝突はなんとか大きくならずに済んだ。

 

二度目は放課後だ。僕がトイレを済ませてから校門の前に出ると、既に言い争いが始まっていた。

 

「僕たちは彼女に相談があるんだ!!」

 

「そうよ! 私たちは少し時間を貸してもらうだけなんだから! 」

 

深雪さんかわいいもんな、一緒に居たいという気持ちはわかるよ。しかし二科と一緒に過ごすというのは一科のプライドに障るらしい。この時期の一科と二科に大した差は無いって聞いたんだけどな。

 

「とにかく、深雪さんはお兄さんと一緒に帰るって言っているんです! なんの権利があって二人の仲を引き裂こうって言うんですか! 」

 

「み、美月ったら何を勘違いしているの?」

 

「深雪、なぜお前が焦る。」

 

「いえ、焦ってなどおりませんよ?」

 

「そして何故に疑問系?」

 

柴田さんって大人しそうな子だと思ってたけど、結構はっきりものを言うんだな。ていうか、当の本人である兄妹は後ろで何をしているんだ⋯⋯。

 

「これは1ーAの問題だ! ウィードごときが僕たちブルームに口出しするな!」

 

正論を叩きつけられて森崎君も発言が無茶苦茶になってきている。

 

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点でどれだけ優れているっていうんですか!?」

 

空気が変わった。これはマズイことになるかもしれない。

 

「どれだけ優れているか、知りたいか?」

 

「ハ、面白れぇ、是非とも教えて貰おうじゃねぇか。」

 

「いいだろう、だったら教えてやる!! 」

 

森崎君がCADを構えきる前に、僕は飛び出し魔法が放たれる寸前で彼からCADを奪い取った。瞬間、僕の手のすぐ横で千葉さんの警棒が空を切る。

 

「さすがにこれ以上はシャレにならないよ。千葉さんすごい反応だったね。これなら僕手を出さなくてもよかったんじゃないかな。」

 

咄嗟に手を出していたレオが

 

「お前の方がとんでもない動きしてんじゃねぇか。ていうか千葉、テメエ俺の手ごとぶっ叩くつもりだったろ。」

 

と言うと、

 

「ごめんね高倉君、まさかここで飛び出してくるなんて思わなくて。」

 

「俺には謝罪はねえのかよ。」

 

「あーら、起動中のホウキを素手で掴もうとするような馬鹿にかける言葉なんてありません。」

 

「ねえ、僕今がっつり素手で掴んだんだけどな。」

 

というコントのようなやりとりが行われた。これが向こうの神経を逆撫でしたようで、

 

「高倉! お前またウィードの肩を持つのか!」

 

と言って一人の生徒がまたCADを構えた。そして女子生徒がまた一人、CADを構え魔法を発動しようとした瞬間、女子生徒の起動式がサイオン弾で撃ち抜かれた。

 

「やめなさい! 自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、犯罪行為ですよ! 」

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ。事情を聞きます。全員ついて来なさい! 」

 

生徒会長に風紀委員長か、入学早々厄介なことになってしまった。そう思っていると達也君が前に出て、

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました。森崎一門の『クイックドロウ』は有名ですから、後学のために見せてもらうためのつもりだったんですが、あまりにも真に迫っていたもので思わず手が出てしまいました。」

 

「では、そこの女子が攻撃性の魔法を発動しようとしていたのはどうしてだ?」

 

「あれはただの閃光魔法です。威力もかなり抑えられていました。」

 

そんなことよくわかったな、達也君。達也君はもしかしたら只者ではないのかもしれない。

 

「ほう、どうやら君は、展開された魔法式を読み取ることができるらしいな。」

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です。」

 

「誤魔化すのも得意のようだ。」

 

「誤魔化すなんてとんでもない、自分は只の二科生です。」

 

よくこんな咄嗟に色々出てくるな。僕ならすぐにボロが出てる。

 

こうして達也君の活躍で事態は収束し、今回は全員不問となった。まあ最後まで森崎君は納得いかないようだったし、これから先何事もなくという風にはいかなそうである。

 

結局司波さんは達也くんたちと一緒に帰ることになり、僕と謝罪した光井ほのかさんと北山雫さんも一緒することになった。そしていまはその帰り道の途中だ。

 

「じゃあ、深雪さんのCADは、達也さんが調整しているんですか?」

 

「ええ、お兄様にお任せするのが一番安心ですから。」

 

「少しアレンジしているだけだよ。それに、CADのカスタマイズなら翔一も自分でやっているそうだよ。」

 

「なんか意外。高倉くんってちょっと抜けてそうな顔してるのに。」

 

「顔は関係ないだろ! 」

 

そう、僕は自分のCADは自分で調整している。と言っても、僕の腕は達也君には到底かなわない。昨日少し話しただけでもわかる。彼はCADに関してプロ以上に知識を持っているのだ。ちなみに、僕のCADは腕輪型で、主に防御用の魔法を入れてある。

 

なかなか賑やかな一日だった。けれど、最後は平和な時間を過ごせてよかったと思う。

 

でも明日も一騒動ありそうな気がしてならない。また巻き込まれるんだろうなぁ⋯⋯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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