ハリー・ポッターと二人の子供   作:ショウユー

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第一章 賢者の石 編
1 二人の子供


ある昼下がり、私と双子の弟は大きな庭のよく刈り込まれた緑濃い芝生の上で寝転がり、青い空をボンヤリと眺めていた。

私と弟の容姿はあまり似ていない。だけど眼はそっくりだと良く言われる。私達は所謂二卵性双生児というやつだ。

 

「ねぇあの雲、犬の形に見えない?」

「僕は狐に見える」

「おじさん、久しぶりに来たのに遊べないなんて残念よね」

「ママが作った薬を試しに来たんだからしょうがないじゃないか」

「まぁそうよね。ママもおじさんの為に頑張ってるけど、何かが足りないって言ってる。手伝えたら良かったのに」

「僕は姉さんと違って薬には興味がないよ。ただ、おじさんの病気が治ってくれれば嬉しいだけさ」

 

陽射しが強く、とても蒸し暑い。

木陰で私達は時々吹く風を気持ち良く思いながら笑顔で話していた。

しばらくすると、遠くの方で私達を呼ぶ声が聞こえてきた。声の主はゆっくりと近づいてきた。

 

「リリー!アル!ここにいたのね!」

「「ママ!」」

 

私とアルは飛び起きてママに抱きついた。

 

「おじさんがお土産を持ってきてくれたわよ。」

「やった!また面白いお菓子、あった?」

「いろんなのがあるわ。新しいのも入ってるみたいよ」

「こっちには売ってないもんな!蛙チョコに百味ビーンズ!」

 

私達は仲良く、家の中に入った。

 

「おじさんはまだ部屋で休んでるのね?」

「リリー、ええそうよ。薬の効果が出るまで時間がかかるから寝てもらってるわ」

「おじさんも大変だよね。月に一回は必ず飲まなきゃいけないんでしょ?あの何とも言えないママが調薬した変な臭いの薬…」

「アル?これでも月に一回にまで減らせたんだから、凄いことなんだよ?ママが研究を重ねてあの薬ができた。できる前は3日か4日飲まなきゃいけなかったんだから」

「私は完全に治せる薬が出来るまでがんばるつもりよ」

「ママっておじさんの事好きなんでしょ?」

「う~ん、loveじゃなくてlikeね」

 

私達はおじさんが持ってきたお菓子をテーブルに広げ、喜んで食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、おじさんは顔色も良くなり、仕事をあまり休めないと言って帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おじさんが帰ってから一週間がたち、今日は私達の11才の誕生日だ。

朝から甘い匂いや良い匂いがキッチンからしてくる。毎回ママが誕生日ケーキやご馳走を作ってくれるのだ。

何時もは鼻歌を歌いながら作っているのに、今日は何だか心配事でもあるのか浮かない顔をしているママ。

 

――何があったんだろう?

 

リビングにいたアルが、突然大声をあげてキッチンに走ってきた。

 

「ママ!暖炉から変なお爺さんが現れた!」

「…はぁ。この時がついにやって来たのね」

 

ママはそう呟いて、私とアルの手を繋いで引っ張るようにリビングへと移動した。

リビングにはアルが言った通り、白髪の髭がとっても立派な変なカッコをしたお爺さんが立っていた。

 

「マリーゴールド・エバンズ、久し振りじゃな」

「ダンブルドア校長、お久し振りです」

「その子らが、そなたの子供たちじゃな?」

「えぇ」

「リコリス・エバンズにアルファード・エバンズじゃな?」

 

ダンブルドア校長と呼ばれたお爺さんは悪戯が成功した少年の様な瞳をして、優しそうに微笑んで私達を見てそう言った。

 

「はい。リコリス・エバンズです。初めまして」

「うん。アルファード・エバンズです。初めまして」

 

私達が挨拶をすると、ダンブルドアさんは私達に握手を求めてきた。私達は順番に握手をすると彼はママと軽く抱き合って頬にキスをして挨拶していた。

ママは彼に座るよう進め、お茶を用意すると言いキッチンへ向かわず、今まで見たことがない杖を何処からともなく取り出して一振りした。

私とアルは初めて見る光景に驚いて口をあんぐりとあけて固まってしまった。

 

え?これ、何?

 

そう思っていると、いつの間にかリビングテーブルにティーセットが用意されていて、ママは何も言わずに紅茶をダンブルドアさんへ出して話し出した。

 

「ウフフ。この子たちには一切魔法を見せていなかったんです。」

「そうか。君は色々な者たちから守るために徹底していたのかね?」

「えぇ。だから魔法省もここまでは干渉できませんでしたでしょ?」

「確かに。それにまさか君が日本にいるとは思ってもいなかったじゃろうて。彼が教えてくれたのじゃ」

「やっぱりね」

「さて、儂の用件を済ませよう。まずは、この手紙を君達に」

 

そう言ってダンブルドアさんは私達に手紙を渡した。

 

え、ちょっと待って?これ、何かの冗談?

 

そう思いながら私とアルは見つめあい、お互いの頬っぺたをつねった。痛い。…えっ?本当に?

手紙にはこうかいてあった。

 

 

リコリス・エバンズ 殿

 

 このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。

 教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。

 なお、新学期は9月1日に始まります。

 

            校長  アルバス・ダンブルドア

            副校長 ミネルバ・マクゴナガル

 

 

 

魔法魔術学校…魔法…

 

「「えええぇ!!!」」

「フフ。そりゃー驚くわよね」

「返事は今、貰いたいのぅ」

「「はぃぃぃ?!」」

「アルバス…もうちょっと余裕を持てなかったのかしら?」

「すまぬのう。儂も忙しい身だしな。お主らが何処におるのか探すのにも手間取ってな」

「この子たちをありとあらゆる魔法から遠ざけておかないと安心できなかったんだから仕方がないじゃない」

「脅威は10年前に去っておるよ」

「そう…」

「何やら別の事で心配しておる様だな」

「えぇ」

 

ママとダンブルドアさんはそれっきり黙って紅茶を飲んでいる。

私は、ママが普通(・・)の調薬方法でおじさんの薬を作っていない(・・・)事を知っていた。

あれは魔法のやり方だったんだ。

じゃあ、やっぱりママは魔女ってことだ。もしかしてパパも?

 

…ママにパパの話は厳禁だ。

5年前にパパの事をママに聞いたらママは物凄く怒って1日口をきいてくれなかった。だからアルと話し合ってパパに関しては探すのも話すのも止めようって決めたんだ。

 

もしかしたら、学校にいけばパパの事が判るかもしれない!そう考えた私はアルの顔を見た。

アルの表情は…私と同じことを考えてはいなさそうだった。

単純に魔法学校へ行けると言う喜びを表している顔だった。

私は思わずため息をついてしまった。そしてダンブルドアさんの方へ視線を移すと、ニコニコしながら私達を観ていた。なんだか恥ずかしい。

 

「さて、結論はでたかの?」

「うん!僕はこのホグワーツ?に行きたい!!」

「そうかそうか」

 

ダンブルドア校長はアルの返事を聞いてニコニコしてる。そして、私の方を見た。

 

「君はどうかね?お母さんのように立派な魔女になれるぞ。それに、君は見たところお母さんと同じで魔法薬学が得意そうじゃな。色々なことが学べるぞ?」

「…先生は凄いですね。見ただけでそんな事が判っちゃうなんて。ちょっと怖い。…でも…そうですね。色々と学べるのであれば、楽しそうです」

「では、君の返事はOKと言う事で良いのかの?」

「…はい。…まぁ、アル1人で行かせるのも心配ですし」

「お姉ちゃん、僕は1人でも大丈夫だよ?」

「まぁまぁ、兄弟喧嘩は後でゆっくりとやっておくれ。2人の返事も聞けたことじゃし、儂は戻るとしよう」

「アルバス、お手数をおかけしました。細かいことが決まり次第、其方へ連絡致します」

「では、マリーや。またお会いしましょうぞ」

 

ダンブルドアさんは、その場でクルッと回る様にして姿を消した。その様子をみてアルは興奮していた。

 

「ママ!!校長先生、消えちゃった!!あれも魔法なの?」

「えぇ、そうよ。『姿くらまし』って言うの。でも、凄く難しいから試験を受けて合格しないとやっちゃいけないのよ。ママもあれは苦労したわ。あまりやりたくないしね…」

 

ママはアルにそう告げると、キッチンへ戻って行った。私達もママについてキッチンへ移動した。

 

「ねぇ、ママ。料理も魔法で出来るの?」

「えぇ。普通に魔法族の魔女や魔法使いは魔法で料理や家事をしているわ」

「じゃあ、それも魔法でパパッと作れちゃうんだね?」

「まぁ…そうなんだけどね。でも、私はケーキは自分の手で作りたいのよ」

「なんで?」

「だって、それをやってしまったら売っているケーキを買ってくるのと大して変わらなくなっちゃうもの。こういうのは愛情を込めてあなた達の事を考えながら作るのが美味しく作るコツなのよ」

「…そうだよね。うん!私もそう思う!!」

「うふふ。リリーはやっぱり解ってくれたわね」

 

ママは嬉しそうにケーキ作りの続きを始めていた。

 

 

 

その日の夜はテーブルにご馳走が並び、真ん中にはママが作ってくれたケーキが鎮座していた。とっても美味しそうで、アルは待ちきれないのか早く早くと急かした。

 

楽しい3人での誕生日会を終え、寝る時間だとママに部屋へ戻るよう言われる。

アルは興奮しっぱなしで疲れたのか、ベッドへ入った途端眠った様だ。

 

私は今日起きたことを思い返していた。

 

魔法…存在していたら色々やってみたいと思っていた。まさかそれが叶うとは思ってもみなかった。

でも、すぐに使えるようにはならないみたいだ。だって、学校があるくらいなんだから。

ママは、どんな魔法が使えるんだろうか?

それにしても、ママはなんで今まで魔法を使わなかったんだろうか?

あと、今住んでいる日本にも魔法使いや魔女はいるのだろうか?

色々ママに聞きたいことが山ほどある。

聞いたら全て教えてくれるのだろうか?

 

色々頭の中がごちゃごちゃしてきて、考えるのが面倒になって来た。そう思ったら急に眠くなり、夢の中へ私はダイブしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誕生日からはあっという間に時間が過ぎて行った。

 

ママは、仕事場に暫くの休暇を申し出て、私達が通っていた小学校へ転校することを伝え、夏休み中なので学校の友達ときちんとしたお別れも出来ないから、

せめて仲の良かった友達の家へ直接行って事情を説明し皆と涙のお別れをしてから、ホグワーツへの入学準備に取り掛かった。

 

学校はママの故郷、イギリスにある。飛行機に乗ってイギリスへ行き、数日間はホテルに泊まることになった。

ママは、自分の実家がどうなっているのか調べるからと、1日ホテルに帰ってこなかった。

どうやらママは実家の様子を見に行ったらしく、家は酷い状態で放置されていたとママは悲しそうに話してくれた。

そこでママは私達にママの両親や姉妹について話してくれた。ママは今まで自分の親や姉妹の事はいっさい私達に話したことがなかったのだ。

ママが話してくれることに喜んでいたのだが、どうやら話を聞くと素直に喜べなかった。

ママの両親、私達のおじいちゃんとおばあちゃんはもう亡くなっている様だ。更にママにはお姉さんが2人いて、一番上のお姉さんは魔女ではないらしく私達の年齢の時に喧嘩して以来、口も利いていないと話した。

もう一人のお姉さんはどうやら魔女で、悪い奴に殺されたと言っていた。この話を聞いて、魔法世界も中々に物騒なものだと思った。

良く考えると、私達が住んでいた日本は治安も良く、日本人の考え方もとても平和なのだと理解した。

 

次の日は、制服や学用品・杖などを購入しに魔法界では有名な『漏れ鍋』という店に行くと言う。

『漏れ鍋』に着くと、そこは良く見ないと通り過ぎてしまいそうなボロいパブだった。

店に入ると、何やらガラの悪そうな人や如何にも魔法使いですって恰好をした人たちが数名いた。

 

「いらっしゃい。…おや、随分久しぶりだね。マリー」

「11年ぶりかしら、本当に久しぶりです。トムさん」

 

ママとトムと呼ばれたおじさんが挨拶をしている。

私達には場違いな感じがする。

ママとトムさんの話が終わるのを待っていたら、親子3人が1人の魔女に連れられて店に入って来た。

入って来た親子はキョロキョロとしており、娘だろうか?その子は目をキラキラさせてワクワクしているのがわかった。

その親子を連れて来た魔女はママを見ると、目を見開いて口をパクパクさせていた。そして、意を決したようにママに話しかけた。

 

「マリーゴールド・エバンズ!!」

「え?マクゴナガル先生?」

 

ママは驚いて思わずといった感じで数歩後退してた。

 

「まったく、貴女は!この11年間何処にいたのですか!!」

「あー…先生、その話はまた今度ゆっくりしましょう?子供達も後ろの方々も驚いてますし」

「…コホン。そうですね。お説教はまた今度にしましょう。それにしても、元気そうで良かったです。アルバスは何もおっしゃらなかったので」

「あー、校長らしいですね…」

 

ママは冷汗をかきながら頬をポリポリと掻いていた。

 

「私も仕事中ですしね。…おや、この子たちは?」マクゴナガル先生は私達に目を向けて凄く驚いた顔をしていた。

「あぁ、私の自慢の娘と息子です!!」

「じゃあ、この子たちも今年入ってくるのですね」

「はい、よろしくお願いします」

「…マクゴナガル副校長先生?」

「えぇ、そうですよ。初めまして」

「初めまして。リコリスです。よろしくお願いします」

「初めまして。僕は弟のアルファードです。よろしくお願いします」

「まぁ、きちんと挨拶が出来るのは素晴らしい事です!マリー、教育はキチンとしていたようですね」

「まー、そう言うのがうるさい国に居ましたからね」

「そうですか。それは何よりです。あなた達も入学準備をしに?」

「えぇ。そりゃそうですよ。それがなければ私は此処へ2度と来なかったでしょうからね!」

「…あぁ、グレンジャー夫妻、すみませんでした」

 

マクゴナガル先生は後ろで呆然としていた親子3人にようやく意識を戻して話しかけた。

 

「せっかくですから、一緒に入学準備をしましょう。私も途中までしか案内できないですし、向うへ行ったらハグリットを呼ぼうと思っていたのですよ」

「あら、じゃあ私が案内しますよ。…先生?ダイアゴン横丁は昔と変わっていませんか?」

「えぇ、大丈夫です。殆ど変わりはありません。ですからマリーでも案内は可能でしょう」

「それは良かった。では、行きましょうか」

 

ママは先生と2人で店の裏口へと向かっていった。私達も慌てて後を追いかけた。すると、後ろにいたグレンジャー親子もついて来る。

先生は杖を出して、裏のレンガの壁を杖でトントンと叩いた。すると、レンガの壁はアーチ状になりそのアーチをママと先生はくぐって行った。

私達も後に続いてアーチをくぐると、そこは別世界が広がっていた。

 

「うわー!!すごい!!素敵!!」

 

私達が呆然としていたのに対して、グレンジャーは大きな声で驚きを顕していた。

 

「あら、そう言えば自己紹介していなかったわね。私はハーマイオニー・グレンジャー。今年からホグワーツへ通う一年生よ。あなた達も?よろしくね!」

 

そう早口で一呼吸で喋っていた。驚いた私達も一泊遅れて自己紹介をした。

 

「初めまして。私はリコリス・エバンズ。リリーって親しい子には呼ばれているわ」

「初めまして。双子でリリーの弟のアルファード。僕もアルって呼ばれてる」

 

私達は順番にハーマイオニーと握手した。

 

ママたちも自己紹介をしていた。

 

「さて、私はこれで学校へ戻ります。後は頼みましたよ、マリー」

「はい先生。よろしくされました」

 

ママは冗談めかして敬礼し、笑顔でマクゴナガル先生と別れた。

 

「えー、では僭越ながら私がこのダイアゴン横丁をご案内しますね」

 

ウィンクをしてママはバスガイドヨロシク、案内を始めた。

 

色々なものが売っている。それを横目で楽しみながらママの後について行った。

 

「まずは、銀行へ行きましょう。マグルのお金を魔法界のお金に換金しなければ買い物も出来ませんしね。ここイギリス魔法界で唯一の銀行、グリンゴッツ銀行です。子鬼(ゴブリン)が経営しています」

 

歩いて暫く銀行が見え、ママは腕を銀行へ向け指は刺さずに掌で銀行を紹介した。

銀行の2番目の扉には何かが書かれていた。

 

見知らぬ者よ 入るがよい

欲のむくいを 知るがよい

奪うばかりで 稼がぬ者は

やがてはつけを 払うべし

おのれのものに あらざる宝

わが床下に 求める者よ

盗人よ 気をつけよ

宝のほかに 潜むものあり

 

それを見て、さすが魔法界の銀行だと思った。

 

「まぁ、ここグリンゴッツへ盗みに入る奴は狂ってるわね」

 

そう言ったママに連れられ銀行へ入った。入ると、入り口には子鬼が2人警備員ヨロシク立っており、中には魔法使いの警備の人もいた。

そして、長い受付窓口には子鬼らしき者たちが私達に見向きもしないで何かを作業していた。

 

「ここの窓口で、お金を換金します。さて、まずは私が見本をみせましょうね」

 

そう言ってママは、子鬼に話しかけて数日前に日本円からイギリスポンドに換えたお金を出していた。すると、子鬼はそのドルを受取り少しして硬貨が入った袋をママに渡した。

 

「はい。まあ、要は海外に行ったときに換金するのと同じ要領です。そして、魔法界のお金はこの様に全て硬貨です。この銅貨が1クヌートでマグル界の通貨に換算しますと約1ペンスになります。

円にすると約2円です。次にこの銀貨は1シックルといい、銅貨にすると29クヌートになります。約30ペンス、約64円ね。そして、最後の金貨。1ガリオンといい17シックルであり、493クヌートになります。

約5ポンド12ペンス、約870円になりますね。ここ魔法界は物価が安いのよ」

「丁寧にご説明、ありがとうございます」

「いえいえ、結構中途半端な数字なんで慣れないと覚えるの面倒なんですよ」

「ハーマイオニー、覚えた?」

「うん。私はもう覚えたわ。リリーとアルは大丈夫?」

「うん…。一応ママが換算表を作ってくれたから、大丈夫だと思う」

「ボクはリリーにお任せさ!」

「アル…あなた別の寮になったらどうするの?」

「えー、一応僕もその表は貰ってるから大丈夫だよ」

「そう。ならいいわ」

 

ママは私達の会話を聞いて苦笑していた。私もママに情けない笑顔を向けた。アルの事が心配って顔に描いてある…。

ハーマイオニーと彼女のお父さんが一緒に換金しに行き、戻って来た。

 

「さて、次は制服を作りに行きましょう!」

 

ママは空元気な感じで制服を作ってくれるお店『マダム・マルキンの洋装店』へ案内を始めた。

 

お店に着くと、私達子供は店に放り込まれ、ママたちはその間に教科書などを買いに行くと行ってしまった。

終わったら、店の外へ出て待っていてくれと言われた。

 

店に入ると、1人男の子がいた。ぽっちゃりで、のそっとした感じの男の子だった。その子はお婆ちゃんらしき人に怒鳴られていた。

怒鳴ったお婆ちゃんは、やはりママたちと同じで教科書を買いに行くと言って店を出て行ってしまった。

 

様子をみていると、どうやらあの台に乗って採寸されるらしい。巻き尺が勝手に採寸していた。うわー、魔法だ魔法!

私とアルとハーマイオニーはそれを見て驚き、ドキドキして順番を待った。

 

「お嬢ちゃん、お坊ちゃんいらっしゃい。あなた達もホグワーツへ入学かしら?ちょっと待っててね。この坊ちゃんが終わったら始めますからね」

 

そういってマダムは彼の採寸を終わらせた。採寸台から降りた彼は、私達の方へ歩いてきた。すると、ハーマイオニーは彼に声をかけて挨拶していた。

彼女は随分とアクティブだ。

 

「ハーイ!私はハーマイオニー・グレンジャー。よろしくね!」

「ぼっ、ぼくはネビル・ロングボトム。よっ、よろしく」

 

2人は握手をしていた。そして、ハーマイオニーは私が最初で良いわよね?と言ってさっさと採寸台へ乗って行った。

 

「やぁ。僕はアルファード・エバンズ。今年からホグワーツへ入学するんだ。今まで、マグル?の世界にいたから魔法界って良く分からないんだ。君は魔法界にずっと住んでるの?」

「うん。ぼくも今年から入学だよ。そうなんだ、ぼくは産まれた時から魔法界にいるよ」

「素敵ね。私はアルの双子の姉、リコリス・エバンズ。リリーって呼んでね!」

 

自己紹介をしていたらハーマイオニーの採寸が終わった様だ。アルが、私に先に行っていいと進めてくれたので遠慮なく採寸台へ向かった。

 

私の採寸が終わるころ、ネビルの御婆ちゃんが戻ってきたようでネビルは私達にバイバイして、ホグワーツで会おうねと言って店を出て行った。

 

アルの採寸も終わり、店を出ようとした所で店のドアが開いた。

 

「あら、丁度終わったみたいね。マルキンさん、これお代ね。仕上がりは何時かしら?」

 

ママがマルキンさんと話している間に私達は店の外に出て、ハーマイオニーのご両親の傍へ行ってママが出てくるのを待った。

 

「お待たせ!よし!次は…お待ちかねの杖よ!!杖はオリバンダーの店に限るわ!!」

 

ママ、よっぽど早くここ(ダイアゴン横丁)から離れたいんだな…

無理やりテンション上げてるのバレバレ。

 

オリバンダーの店に着くと店内はそれ程広くはなかったが、一応待っている人用に椅子が何脚かおいてあった。ママは早速それに腰かける。

ハーマイオニーに先に行くように勧めた様だ。

 

順調?にハーマイオニーの杖選びが済み、嬉しそうにハーマイオニーがお待たせと言って来た。

 

さっきアルが私に順番を譲ってくれたので、今度はアルが先にと順番を譲る。

 

「さて、次は…あぁ貴方ですか。待っていましたよ、アルファード・エバンズさん。杖腕はどちらかな?」

 

「宜しくお願いします。左です」

 

ここでも巻き尺が勝手に動いてアルの腕の長さや指の長さ、果ては関係の無さそうな所まで測りだす。

オリバンダーさんは細長い箱を何個か持って戻ってきた。そして何時までも測り続ける巻き尺を手で払って巻き尺は結構吹き飛ばされていた。

ママを見るとクスクス笑っていて、目は懐かしそうにアルを見ていた。

 

 

アルの杖は3本目でようやく決まった様だ。杖は34センチの長さ。椿(ツバキ)の木でできていて、芯はドラゴンの牙だ。次は私の番。

 

オリバンダーさんの前に行き、やはり杖腕を聞かれた。左だと答えると、巻き尺は遠慮がちに私の腕の長さなどを測っている。

何故か箱を山のように持ってきたオリバンダーさん。私は思わず顔をしかめてしまった。すると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえ、振り返るとママが笑っていた。

 

「ママ、何がそんなに可笑しいの?」

「いえ、私の時と同じだなって思っただけよ」

「そうでしたな。マリーゴールドさんの時も同じようにたくさんの杖を出してきた記憶がございます。パッと見、難しそうでしたのでな」

「オリバンダーさん、嬉しそうでしたものね」

「ほっほっほ」

「オリバンダーさんは選ぶ杖が多ければ多いほど喜ぶ人なのよ」

「……」

「さっ、まずはこの杖を試してくだされ」

 

渡された杖を手に持った途端、オリバンダーさんはひったくる様に私から杖を取り上げ、次の杖を渡してきた。

 

「杖を振ってみてください」

 

私が杖を振ると、強めの風が店内をグルグルと回りだして皆の髪の毛がぐちゃぐちゃになった。うわっ!って思ったらママが自分の杖を取り出して一振りし、元通りに戻してくれた。

 

「次はこれですな」

 

いつの間にか私が持っていた杖がオリバンダーさんの手にあり、次の杖を渡された。

私はその杖を恐る恐る振ると、今度はバチバチと音をたてて赤い稲妻が店内を駆け回った。

オリバンダーさんは頭を横に振ると、私に杖を渡してほしいと言う様に掌を私に向けた。私は持っていた杖をオリバンダーさんに渡すと、違う杖が渡された。

もう、何も考えないで杖を振ってみた。すると今度はヘナヘナした白い靄が杖の先から出て来た。

これも違いますか。と呟いてまた杖を交換する。

 

交換する事7回目、渡された杖は23センチの長さ。林檎(リンゴ)の木でできていて、芯は泣き妖怪の髪の毛で出来た杖だった。持った杖を振ると店内が物凄く眩しい太陽の様な光に包まれた。

オリバンダーさんは「ブラボー!!」と叫び、ママが大きく拍手をしていた。

どうやらこの杖が私を選んでくれたらしい。

オリバンダーさん曰く、魔法使いが杖を選ぶのではなく、杖が魔法使いを選ぶそうだ。

 

「いや、マリーゴールドさんの娘さんだけありますな。きっと不思議な力をお持ちになっているのでしょう」

「リリー、杖を振ってみてどうだった?」

「…なんていうか、体中からエネルギーが湧き上がってきて、それが杖を伝って外に出た感じ?」

「うんうん。その感覚を忘れないでね」

「…うん」

 

やっと皆の杖選びが終わり、オリバンダーさんに料金を払って店の外へ出た。

外は、もうオレンジ色になっていた。

 

「グレンジャーさんは今日はどちらに宿を取りましたか?」

「あ、はい。マクゴナガル先生が『漏れ鍋』に取ってくださいました」

「そうですか。では、そちらまで送っていき、今夜はそこで夕食を取りましょう」

「え、ハーマイオニーと一緒にご飯が食べられるの?」

「えぇそうよ。折角お友達になれたんですから、もっと仲良くなりたいでしょ?」

「「やったー!ママ大好き!!」」

 

 

漏れ鍋に戻った私達はトムさんに夕飯を食べていくことを伝え、私達はおしゃべりして、大人たちはお酒を飲みながら食事が出来るのを待った。

ママがお酒を飲んでる姿って初めて見るかも。随分と陽気なお酒なんだと、ちょっと安心した。

 




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