エンタメデュエリストが幻想入り 番外編   作:てんのうみ

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どうも空。(てんのうみ)です!

今回はクリスマス特別編をお送りしたいと思います!!

ですが今回の特別編には『理由のない悪意』と『私の趣味だ』がふんだんに使用されています!『絶ってぇ許さねえ!』『許さん!許さんぞ!』『許せねえ...』『許せないわ~』『こんなの許されるわけないだろ!』という方は我慢して(笑)『いいだろう、見せてみろ!』『少し泳がせておけば面白いものがみれそうだ...』という方はいつも通りにご覧になってください!!



サタンクロース

 雪が降り積もり、真っ白になっている外を自室の窓から見て、一つため息をつく。

 どうやら幻想郷にも冬がやって来たようだ。外の世界ではこおりタイプはひこうタイプに効果ばつぐんらしいが、確かにこの寒さは体に障る。後で咲夜に熱めの紅茶でも持ってこさせるとするか。

 それにしても、やることがないな。最近パチェは研究云々で忙しいらしいし、霊夢たちのところへ行けば少しは暇潰しになるとは思うが、この寒い中博麗神社に行くのはダルいなんてもんじゃない。だが退屈は毒だ。ただでさえ常日頃から暇を持て余し、惰眠を貪っていると言うのに。さてはてどう過ごしたものか。

 すると部屋の外から元気よく廊下を走る足音がこちらに近づいてくる。どうやら退屈せずに済みそうだ。

「ねえ!ねえ!お姉さま!」

 私の部屋の扉を勢いよく開けて入って来た我が妹。その姿はいつもより元気で、かつ何処か浮かれているように見える。

「どうしたフラン。何かあったか?」

 私がそう問いかけるとフランは「よくぞ聞いてくれました!」と言わんばかりに得意気な顔をする。

「今日はクリスマスだよ!一年に一度サンタさんからプレゼントを貰う日なの!」

 フランの発言を受けて暫し目をしばたかせ、部屋にあるカレンダーを見てみる。今日の日付は『12月24日』となっていた。そういえばそんなイベント有ったな。好きな時間に起きて寝てを繰り返していると日付感覚がなくなって来る。

「というか今日はイヴだぞ、イヴ。プレゼントを貰えるのは明日だ」

「え?そうなの?それじゃ明日が楽しみだね!」

「言っておくがサンタは来ないぞ?そもそも私たちは吸血鬼、悪魔だ。なんで悪魔が神の誕生日なんて祝わなきゃならない」

 私の言葉にフランは少しムッとした顔をした。恐らくサンタが来ないと言ったことが原因だろう。フランはそういうのは大好きだからな。

「来るよ!私今年いい子にしてたもん!」

 そういう問題じゃないんだがな。

 フランは地下にいた時間が長すぎたせいか、一般常識というのにかけてる。大体夜中に煙突等から不法侵入して、なんの見返りもなくプレゼントをばらまくおじさんなんて居てたまるか。

「ふんっ!サンタさんは絶対来るんだから!」

 それだけ言ってフランは部屋を飛び出してしまった。こうなってしまうとフランはどうしようもない。明日の朝、フランはどう思うだろうか。はぁ...どうしたものか。

「咲夜」

 誰もいなくなった部屋で自分の従者の名前を呟く。すると一瞬で咲夜が私の隣に現れる。

 時を止めて来てるんだろうが、コイツはどうやって私の声に反応してるんだ?...考えるだけ無駄か。

「どうなさいましたか?お嬢様」

「今日は心底冷えるからな、熱めの紅茶を頼む......あとはフランの様子を見てきてくれ」

「妹様ですか?...妹様と言えば今朝こんなもが」

 咲夜はメイド服のポケットから何かを取り出して、私に渡してきた。

 なんだこれは?見た目から察するに手紙のように見えるが。封筒の裏には「サンタさんへ」と書かれている。ということはこれはフランがサンタへのお願いことが書かれたものなのだろう。咲夜の方を見ると「どうなさいますか?」と言わんばかりに微笑んでいた。

 とりあえず中身の確認するために丁寧に閉じられた手紙の封を破って、中の手紙を読む。内容はいたってシンプルだったが、私にはどうしようもないものだった。まあ、モチは餅屋と言うし、詳しい奴に任せるか。

「咲夜、アイツにこの事を伝えろ。ほら、最近フランと会ってるあの妖怪だ」

「なるほど、かしこまりました」

 咲夜は一瞬のうちに部屋から姿を消した。私は机の椅子に腰かけて、いつの間にか置かれていた少し熱めの紅茶を啜った。

 

 

 

「暇だな」

「暇ね」

「なんかやることねーのかよ」

「......」

 今日は一人で外をブラブラしようと思ってたのに、偶然鉢合わせた遊矢とキングに博麗神社まで連行された。今はチームみんなでこたつに入ってる。不本意ながらとても暖かい。

「どうして私が...」

「正邪はいつも音信不通なんだからクリスマスくらい一緒に居たっていいだろ?」

「そういえば今日はクリスマスだな」

 ふとキングがそんなことを呟く。クリスマス?聞き覚えのない言葉だ。

キングも知っているところから、そのクリスマスとやらは外の世界の物なのだろう。

「なんなのよ、そのクリスマスって?」

「んだよ霊夢知らねえのか?クリスマスって言うのはな!」

 私と同じくクリスマスを知らない霊夢にキングは得意気に説明し始める。キングの話を簡単にすると、クリスマスとは元々外の世界の神様の誕生日を祝う日だったが、今はサンタと呼ばれる赤と白を基調とした中年の男が夜中に世界中の空を徘徊し、小さい子供たちの自室に不法侵入したのちプレゼントを置いていく。と言った感じだった。外の世界の連中はメルヘン拗らせすぎだな。幻想郷でもないぞ、そんなこと。

「主に小さい子供のイベントってことなの?」

「そうだけど、大人にとっては好きな人や大切な人と過ごす日になってるな」

 ソイツらは神様の誕生日に便乗して何やってるんだ?あ、忘れられてるから幻想郷に神様いるのか。というか今の話だと、コイツらここに居ていいのか?遊矢には天狗娘や薬の兎がいるだろうし、キングには人形遣いが居るってのに。本人たちにそれとなく聞いてみると「俺たちの話ちゃんと聞いてた?」見たいな顔された。報われねえな、アイツら。

「それにしても暇だな。外は雪降ってるし、机でデュエルでもするか?」

「いやよ、こたつから手を出したくないわ」

「──でしたら種も仕掛けもある手品はいかがでしょうか?」

 突然聞こえた声に振り向くと、そこには外の柱に寄りかかって笑いながらトランプを見せつけてくるメイド服姿の女がいた。たしかコイツは...

「咲夜じゃねえか、大会以来か?」

「久しぶりねキング、それに霊夢も元気そうね」

 そうだ、コイツはたしかフランドールのところにいる時間を止めるインチキメイド、名前は──十六夜咲夜だったか?なんだってこんなところに。

「どうかしたの?」

「今日はそこの天邪鬼に用事があるのよ」

 私に?何かした覚えは...あるな。ありすぎて心当たりがわからん。するとインチキメイドは一通の手紙を私に差し出した。封筒には丸っこい字で「サンタさんへ」と書かれている。インチキメイドが持ってきたということは....

「これってもしかして」

「ええ、お察しの通り妹様よ。とりあえず中を見てごらんなさい」

 言われて渋々封筒の中の手紙の内容に目を通す。そこには封筒と同じ丸っこい字が書かれていた。

『サンタさんへ!正邪お姉ちゃんみたいに、私もペンデュラム召喚したいからペンデュラムカードが欲しいです!』

 はぁ、はぁ...つまり私にどうしろって言うんだ?いや、まさか...

「私になんとかしろとか言わないよな?」

「そのまさかよ。貴女最近妹様とよく遊んでじゃない?」

 ...会う度に骨折れたり、死にかけたりすんのが遊びって言うならな。いつのまに変わっちまったんだ遊びの定義。

「タイムリミットは明日妹様が目覚めるまでだから、くれぐれもよろしくね?」

「おい、それもし無理だったら...」

「お嬢様が黙ってないわね」

 清々しい笑顔浮かべるインチキメイドは、次の瞬間には消えて居なくなってた。あの野郎、時間止めて帰りやがったな。でも問題はここからどうするかだ。私は確かにペンデュラム使いだが、ペンデュラムカードは作れないし、作り方も知らない。このままだと私は明日の夜明けとともに、吸血鬼でもないのに灰になっちまう。

「おい、榊遊矢。ペンデュラムはお前が作り出したんだろ?なんとかなんないのか?」

 私が聞くと遊矢は難しい顔をした。どうやらペンデュラムカードを手に入れた経緯を覚えてないようだ。他に幻想郷でペンデュラムを使える奴は...

「あ、そうだ。お前のところの天狗娘。アイツはどうなんだ?」

「文か?確かにペンデュラム使ってるな....ちょっと聞いてみる」

 遊矢はデュエルディスクを取り出して、天狗娘に電話をし始めた。電話をするアイツの顔は何処か楽しそうだ。

「もしもし文?」

『は、はい!?そうです!ど、どうしたんですか?珍しいですね遊矢さんから電話してくるなんて』

 そうとうテンパってるんのだろう、普通にこっちに聞こえるくらい大声出してるな。つうかこれでコイツらなんでもねえって本当にどうかしてるな。これは鈍いコイツが悪いのか、それともハッキリ言わないあっちが悪いのか...まあ、見てる分には楽しいから放っておくんだけどな。

 なんて考えているうちに遊矢の電話が終わった。どうやら山のカッパに作ってもらったようだ。

「そう言えばアリスも自分でカード作ってたわね。仕方ないから聞いてあげるわ」

「なんだ?やけに協力的だな」

 すると霊夢は下を見ながらデュエルディスクをいじりながら「事情を聞いておいて何もしないのも寝覚めが悪いだけよ」と言って通話し始めた。まあ、協力してくれるのは助かるがな。

「ん、ありがとう。それじゃ頑張りなさいね」

「で?どうだった?」

「わからないって。まあ、しょうがないでしょ」

 それから少し話し合って、遊矢は天狗娘もといカッパの所へ、キングは何かと知ってそうなあのなんでも店員の所へ、私と霊夢は神社に残ってまだ考えることになった。そういえばもう一人いたな。私たち以外にペンデュラム使う奴が。ある意味アイツが一番そういうこと知ってそうだな。

「ちょっと心当たりがあるから行ってくる」

「そう、それじゃ私はサンタとか言う奴の衣装でも作っておくわ」

 そう言って私は博麗神社を飛び出した。さて、どこにいるかもわからない奴を探しだすって言うのはさすがに骨が折れそうだ。まあ、明日の朝まではなってやるよ。サンタクロースって奴に。

 

 

 

 

──同時刻、白玉楼

なんでだろう....物凄く解せない....何処かで私が忘れられてるような気がします...

「妖夢~早く~」

「は、はい!ただいま!!」

 

 

 神社を出て歩くこと数分、人里に来た。雪が深々と降っているせいか人はあまりいない。たしかにアイツらは人目があるところには出てこないとは思ったが...他に探す所も、時間もあまりからとりあえずしらみ潰しに辺りを探す。

「にしても寒い」

 一応マフラーを巻いてはいるが、さっきまで暖かいこたつに入ってたせいもあってかいつもより寒く感じる。でもそう言えばキングの奴は夏と同じ格好してたがアイツは大丈夫なのか?妖怪の私より化け物じみてる気がする...普通の人間ならちょうど前から歩いてきてる奴みたいに寒がるはず...ってあれ?

「うぅ...寒い...もうちょっと厚着してくるべきだった...かもしれない」

 思わず二度見してしまった。この間の抜けた声。榊遊矢が肩に羽織ってる上着と赤チェックのミニスカート。間違えない、あの大会で戦った錬金術師とかいうやつだ。目的とは少し違うが思わぬ足掛かりができたな。

「おい、そこの女」

「私?あ、この前戦った人...だよね?」

 錬金術師は私だとわかると、こっちに駆け寄って来る。

「よかったよ。実はさっきから寒くて...眠くなってきた...かもしれない」

そう言うと錬金術師は私に覆い被さるように倒れた。

「おい、寝るな!重たいんだよ!」

「へへっ...人肌って暖かいな...」

 その後は気持ち良さそうな寝息だけが聞こえてくる。本当に寝やがった。ここに放置していってもいいんだが、現状コイツしか手がかりが無いのも事実だ。

「はぁ...仕方ない」

 なんとか体勢を立て直して錬金術師をおんぶする。なんでこう面倒な奴に絡まれやすいんだ私は。まあ、ノルマは達成したし、神社へ帰るとするか。

 

 神社への帰り道は来た時とは違って、ほんの少し暖かかった。

 

 

 

 

「で?ペンデュラムカードじゃなくてこの可愛い女の子拾って来たわけ?」

 正邪が連れて帰って来た女の子。体温かなり冷えきってて、こたつに突っ込んでもよかったんだけど、脱水症状とか起こしたらなんだか可愛いそうだし、とりあえず布団敷いてあげたけど...ためしに頬っぺたを人差し指で突っついてみても、変わらず気持ち良さそうな寝息をたてている。

 本当にぐっすり寝てるわね。雪が降るような寒い日にこんな軽装で外に出てるなんて、何やってんのかしら。こうなることだって予想できたでしょうに...一般常識ってやつが欠けてるんじゃないの?...って言ったらキングとかはどうなっちゃんだろう...アイツは平気って笑ってたけど。

「と言うかペンデュラムカードの方は?収穫なし?」

「そんなことはないさ。本当は本人を見つけるのが手っ取り早かったんだが、最悪コイツでもよかった」

 そう言うと寝ている彼女の物だと思われるデュエルディスクをいじり始めた。デュエルディスクには個人情報とか入ってるんだから勝手にいじったら...

「え~と...よし、あった。そんじゃ早速」

 正邪は何かを見つけると、デュエルディスクを耳に当てた。なんだから電話してるみたいだけど、「預かった」だの「返して欲しいなら」だの妙に内容が不穏だ。本当にどこに電話してるのかしら?

「それじゃさっさと来いよ。じゃーな」

「誰と電話してたのよ...」

「コイツの保護者。これでペンデュラムの方は解決だと思う」

 この子の保護者?もしかしてコイツの仲間のこと?あまりいい思い出はないけど、たしかにあのチームの中に遊矢と同じペンデュラムカードを使う奴がいたわね。まさかとは思うけどこの子人質にペンデュラムカードを...まさかね...

「う、う~ん...」

 正邪が何をやってるか大体の察しがついたとき、寝ている女の子が目を覚ました。様子を見るためにその子の顔を覗き込むと、その子も虚ろな目で私を見つめてきた。

「ここは...天国?」

「死にたきゃ勝手に死んでなさい」

 すると「それは困る」と女の子はむくりと起き上がった。少し辺りを見渡した後に、私の方をじっと見たり、上から下までをゆっくり見てきた。

「な、何よ...」

「君は...巫女さんだったりするのかな?」

「職業は巫女だけど」

 私がそう言うとさっきまで虚ろだった目は急に輝きだして私に飛び付いてきた。

「すごい!本物の巫女さんだ!柔らかいし、いい匂いする~」

「ちょっ!引っ付くな!胸に顔埋めるな!離れなさい!」

 抱きつく女の子を引き剥がそうとするけど、この子も「離してなるものか」と必死にしがみついてくる。け、結構力強いのね。それにしてもここまで食いついてくるなんて...幻想郷にいるなら私や早苗がいるんだから巫女なんて珍しくもないだろうに。

「ははは!博麗の巫女も一般人の女には形無しだな!」

「他人事だと思って...コイツの仲間はいつ来るのよ」

「──実はもう来ちゃってたりしてね」

 聞き覚えのない声に振り向くと、そこには長袖のフードを被って、顔を仮面で覆った少年が障子を開けて入ってきた。コイツは確か...大会で遊矢とデュエルした道化師とかいうやつじゃなかったけ?正邪の目的はコイツを見つけることだったのね。

「で?約束の物は?」

「うん、ちゃんと持って来たよ。この子を助けてもらったしね」

 道化師は正邪に手を出させて、その上に自分のハンカチを被せた。そして「1、2、3」の掛け声でハンカチを引くと、正邪の手の上には4枚の「白紙のカード」が置いてあった。普通に渡せばいいのに、なんでわざわざ手品なんだろう...

 正邪にカード渡し終えると私にくっついてる女の子を脇に抱える形で持ち上げた。持ち上げられた女の子は「またね~」と手を振ってくるのでとりあえず手を振り替えした。

「それじゃ僕たちは帰るよ」

「おい、ちょっと待て。どうして白紙のカードが4枚なんだ?2枚で十分なはずだろ?」

「ま、そこは君に任せるよ。吸血鬼の女の子に4枚全部あげるんでもいいし、2人に2枚ずつでもいいしね」

 仮面越しに笑いながら彼らは行ってしまった。本当になんだったのかしら?相変わらずよくわからない連中だってことは確かね。

 まあ、これで問題は解決したわけだし遊矢とキングにも連絡いれてあげないとね。私が電話をかけ始めている隣で正邪は浮かない顔をしていた。

「アイツにカードを誰にあげるとか...一度も言ってないんだけどな」

 

 

 

 

 霊夢の部屋の時計が深夜3時を指した。私は別にいいって言ったのに「こういうのは形から」って三人が言うもんだから仕方なく遊矢とキングの情報をもとに霊夢が作成したサンタクロースの衣装を身に纏い、紅魔館に向かうために雪が降る夜空に飛び立った。それにしても寒い。もし本当にサンタクロースがいるなら、絶対妖怪かなんかだろ。よくもまあ世界中の子供にプレゼント届けられるな。一件でも結構きついぞ。

 空を飛ぶこと数十分。辺りの雪景色をぶっ壊すくらい赤色が目立つ建物、紅魔館の真上に到着した。確か遊矢たちの話ではサンタクロースとは基本的に煙突から子供の部屋にいくらしい。確かに正面突破するわけにもいかないし、確かフランドールの部屋には暖炉があったはずだから煙突から直接行けるはずだ。幸いにも煙突は一本しか無かったから迷わずその中に入った。煙突の幅は人一人がギリギリ入れるくらいで、しかもフランドールの部屋は地下にあるので部屋にたどり着くまでにかなり時間がかかった。

「げほ、げほ...やっと辿り着いたか...」

 辿り着いた部屋は私の知っているフランドールの部屋だった。物音を立てないように部屋のベッドまで近づくと、気持ち良さそうにフランドールが寝ていた。

「全くむちゃくちゃ言いやがって。お前のためにこっちは大変だったんだからな」

 小さな声で呟やいてポケットからカードが入った封筒を枕元に置こうとした──その時だった。

「う、う~ん...?」

 何かの気配に気づいたのかフランドールが起き上がった。──ま、不味い!こうなったら!

「ん?誰もいない...気のせい?」

 辺りを見渡してフランドールはまた眠りについた。あ、危なかった...とっさに【ひっくり返す程度の能力】で自分にかかる重量を逆転させて上に逃げたのが項をそうした。 すごい勢いで天井にぶつかったから背中めちゃくちゃ痛いけどな。

「能力解除っと...痛ってて」

 ゆっくり元の位置に降りて枕元に封筒を置く。最後の最後まで手間のかかるやつだ。そのくせ気持ち良さそうに寝やがって。ゆっくり扉を開けてフランドールの部屋を出る。これでノルマは達成だな。

「さてと」

 ポケットからもう一つの封筒を取り出して館の中を静かに移動する。──ここからは延長戦だな。

 

 

 

 

 静かな部屋に目覚ましのアラームが響き渡る。手探りで目覚ましを止めてベッドから起き上がり、一つ伸びをする。──もう朝か...お姉さまは「サンタなんていない」っていってたけど...

 恐る恐る枕元を見てみるとそこには「フランドール・スカーレットへ」と書かれた封筒が置いてあった。

「も、もしかしてサンタさんから!?」

 焦る心を押さえながら封筒の開封する。中には何にも書いてない真っ白なカードと手紙が添えられてた。真っ白なカードはどうしていいかわからなかったから先に手紙の方を読んで見た。手紙には『後は自分次第。サンタより』と書かれてた。やっぱりサンタさんはいたんだわ!フランがいい子にしてたから来てくれたのね!でも自分次第ってどういうことだろう?私がお願いしたのはペンデュラムカードなんだから、私次第でこのカードがペンデュラムカードになるってこと?

 とりあえず2枚の真っ白なカードを手に取ってみる。すると真っ白なカードは少しずつ色づいていって数秒後には完全なペンデュラムカードに書き変わった。

「《宝玉の先導者》に《宝玉の守護者》...やった!ついに私もペンデュラムカードをゲットできたわ!」

 早くお姉ちゃんに知らせてあげないと!机の上にあったデュエルディスクを持って、みんなが朝御飯を食べるために集まる食堂に向かった。

 

 

 

 

「見てみて!サンタさんが来たわよお姉さま!」

 食堂に走って来るや否や、2枚のペンデュラムカードを私に見せつけてニコニコ笑っているフラン。フッ...アイツはうまくやったようだな。

「言ったでしょ!サンタさんはやっぱりいるんだよ!」

「...そうだな」

 ポケットからあるものを取り出してフランに見せる。

「お姉さまそれって!!」

「サンタクロースはどうやら私のところにもやって来たみたいだな」

 まさか私の分まで用意するとはあの天邪鬼、なかなか粋なことする。私も少々ペンデュラム召喚に興味があったからな。そしてこの手紙...『姉妹仲良くしろよ』か。余計なお世話だ。私とフランはとっても仲良しだからな。でもまあ今回はその言葉も素直に受け取っておくとしよう。

「それじゃ朝御飯が終わったら早速デュエルしようよ!」

「いいぞ、でも手加減はしないからな?」

 そうだ、一応お礼を考えなきゃな。後で咲夜に天邪鬼に何か持っていかせるか?それとも今日クリスマスディナーでも開いてアイツのチームでも誘うか。そうすれば大会のリベンジもできて一石二丁だな。

 朝食を食べ終わり、フランに手を引かれながら食堂を出た。──クリスマスも悪くないかもしれないな。

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