僕はこの世界で英雄になりたいんだ!   作:サンマ味のヨーグルト

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今週からあまり更新できなくなります。いや別にビルダーズやっているわけではないよ?



プロローグ〈下〉

 ダイダロス大通りというスラムを挟む、オラリオの東の主流に値する大通り。

 ヒューマン以外にも小柄な小人族、横に大柄なドワーフや見た目麗しい森の種族エルフなど、ナメック星人などが種族関係無く喧騒を絶やさない光景は他種族に憧れを抱いているヒューマンなら心を躍らせるだろうこの光景、オラリオに来たばかりのアストルフォも例外では無かった。

アストルフォは大通りの喧騒がまるで異世界のように感じるようなひっそりとした小道に座って大通りを楽しそうに観察していた。

 

 

 

「――――――んむううううう、先っちょの部分から何か出て来た。何か変な味だね。んむんむ」

 

「はあはあ、そ、それは、蜜みたいなモンや……はあはあ……ど、どうやこれは……」

 

「レロ……むふうう……じゅるるるる……凄い大きいねー!」

 

「……ぐ、ぐへへ……はあはあ、せやろ? 」

 

「うん!見た中で一番大きい!………ちゅううう……ちゅぱっ、レロっ」

 

「なはは。いやあ、まあ世界で一番って言われてるからなあ」

 

 

 

 

 

 

「――――オラリオは。どうや、飴ちゃん美味いか?」

 

「ケッコー美味しいね。なんだっけ、かぼちゃ味だっけ?真ん中あたりの部分」

 

「確かドライフルーツ味やった気がするけど」

 

「へー」

 

 ちゅぱちゅぱと飴を舐めているアストルフォの傍らに座っているのは、オラリオの人気を二分する人気ファミリア、ロキ・ファミリアが主神、ロキであった。ロキはアストルフォをねっとりと注視していて、気分が良いのか柿色の髪色をポニーをゆらゆらと揺らし、いつもより目尻を緩めている。だが糸目には変わりない。

 一見少年のように見えるが普通に女神なので一言でもそれを言えば「貴様に朝日は拝ませねぇ」と言われポイゾニックヴォイドされるだろう。注意が必要だ。女性のデリケートな話なのでな。

 

「オラリオは皆が希望を抱いて来る大都。その分危険もピンキリやけどな。まあ言えばねずみ講みたなもんや」

 

「へー。あむあむ」

 

 オラリオの光と闇を簡潔に説明し始めるロキ。アストルフォは飴を咥えながらキラキラとした目で相槌を打っている。ロキはその顔を見ながら恍惚とした笑みを浮かべている。さながら怪しいおじさんに飴を貰った小学生の図。危険度はそれほどでもないが、見た目は完全に同じ。

 

「せや、アスたんは何でオラリオに来たん?やっぱ冒険者志望?うちとかおススメやで。あとフレイヤのファミリアは止めとけや、近づくんもあかんで」

 

「オラリオに来た理由?んんぅー。まあ僕も冒険者志望だけど、ロキは嫌かな。なんかイヤ。フレイヤって人も何か怪しい感じがするからね。そこには行かないと思う」

 

 アストルフォにオラリオに来訪した理由を聞くロキ。その質問は当然の物で愚問な物だろうが、誰もかれもその問いには自信を持って答えるだろう。アストルフォは少し唸り肯定した。そしてロキを否定した。ロキはずーん。と暗澹で陰気な雰囲気を再び纏い、沈み込みかけたがフレイヤの所に行かないと知り、なんとか持ち直した。

 

「……じゃあ、どこに行くん?」

 

「決まってないね。友達が居る所なら迷わず入るけど、どこかわかんないし」

 

 よっと、と小さく声を出し立ち上がるアストルフォ。飴は既に食べ終えており、棒を地面に埋め始めた。アストルフォが舐めた棒を埋めた場所を目で追っているロキはアストルフォに質問した。

 

「友達オラリオにおるんや?どんな子なん?」

 

 能天気にアスたんのお友達や、かなり可愛い子なんやろなー。と呟くロキ。視線は地面に固定されているが。そしてその問いにアストルフォは

 

 

 

「えー、とあの子は確か…………」

 

 

 

「あー!【リヴェリア】って言うんだけど。知ってるー?」

 

 

「ファッ?!」

 

 

 固まった。

 

 

 

 

(アイエエエエ!?リヴァリア!?リヴェリアナンデ!?)

 

 突如アストルフォの口から放たれた槍は、ロキの心臓を穿った。ロキは恐怖のあまり錯乱し、嘔吐しかけたが、しなかった。しかし背中や額、耳や尻からとめどなく溢れ出る汗や汁はロキのニンジャリアリティショックっぷりを現している。

 

(なんでここまでリヴェリアが出てくるんや?!やっぱどうあがいても絶望ならぬどうあがいてもリヴェリアか!!)

 

「どーしたの?耳から汗出てるけど。あれ?汗じゃないや」

 

(どこまで邪魔する気なんや……。いや、しかしリヴェリアがいることによってうちのファミリアに入ってくれるかもしれん。好感度はそれから上げるのもいいやろ。アイズたんの好感度上げている途中やけど、【二兎追う者は一兎も得ず】って言うけど大丈夫やろ、多分。)

 

 

「………………アスたん」

 

「何―?何か目が血走っているけど。大丈夫?」

 

 ロキは慎ましやかを通り越した絶壁。72より72らしい虚乳を反らし、アストルフォに向き合った。先ほどまで荒かった息はいつの間にか整っており、何故かいい顔をしている。この顔をベートきゅんやリヴェリアが見ると怪訝に「あ、こいつなんか企んでやがる」と思うだろう。

 

 ロキはすぅ、と息を吸い一言

 

 

 

う↑ち↓リヴェリアいるんだけどさ~(お嬢ちゃん家に寄ってかない?)

 

寄ってかない?(リヴェリアとかたっくさんあるしさぁ)

 

 

 

「え?ホントにー?いくいく!」

 

 

 変態の一言に、いたいけな少女は、ホイホイついて行ってしまった………。

 

 

 

 

「こ、こっちやで、さあ、迷ったらアカンから……はあはあ、手ェ繋いで行くでぇ……」

 

「あ、なんか嫌な予感するからいいや」

 

「あ、そんな……」

 

 整っていた筈の息がまた荒くなり、さりげなくアストルフォの手を握ろうとするロキ。しかしピシッと拒否するアストルフォ。ロキはまた先ほどのような絶望の表情になった。だがロキの足取りは確かにゆっくりとファミリアのホームに向かって伸びていた。アストルフォはロキの哀愁漂う背中を尻目にオラリオの流れる光景を楽し気に観察し、後を追っていた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 《その頃のベルくん》

 このコーナーは、文字数かせ、げふんげふん。この小説では主人公の座を奪われ、そして属性まで結構被っているアストルフォ君に見せ場を奪われた原作主人公、ベルくんの活躍を短く実況するコーナーである。当初は後書き部分に掲載しようと思っていたのですが、それだと三人称視点ばかり連続し、飽きが来るかもしれないと友人のK氏に言われ、本文に掲載することになりました。

 では、あまり見せ場も無くなったベルくんの活躍ぶりを愉しみにしていてね。

 

 それでは《その頃のベルくん》のコーナー。行ってみよう!

 

 

 

 

「くそっ………あんなことしなければ………」

 

 ――――ベルは焦っていた。自身の愚かさを呪いたくなる程に、どうして、なぜこんな目にと内心自身の危機感の無さを罵倒し、自身の迂闊さを嘆いていた―――――――

 

 あれは確か、先日亡くなったおじいちゃんの遺骨を埋めようと山に行った時だった。その後に幼い頃より憧れていた迷宮都市オラリオで冒険者に成ろうと決意していた。

 だが何やら怪しい人影が見えた時、元々正義感の強かったベルは追いかけてしまい、そして見つかり捕まった。

 ベルを拘束した相手は見たことも無い武装をしており、黒い筒から爆音を鳴らして相手に風穴を開けるという超技術の塊だった。エルフが得意とする魔法。ないし新魔法かと疑ったが、エルフでも魔法に詳しいわけでもないベルには解明は不可能だった。

 

 

「うう……」

 

 水分が無くなりかさかさになった唇を歯噛みするも、状況は変わらない。割れた唇に好奇心をそそられ舐めてみるも不快な感触しかしないのですぐにやめた。

 

 自身を拘束した何をされるかはあまり想像できないが恐らくこのまま何日も放置されているか、口封じの為すぐ殺されるかの二択だ。ベルはここで死ぬという絶望を始めて味わったが、元から備わっている生存本能からか、性格からかはわからないが、ここで死ぬのはごめんだ。死んでたまるかと目をギラギラさせていた。

 

 ベルを拘束した集団、その首領の顔を思い浮かべる……。中々この時代には特徴的な恰好をしていたのですぐに頭に出現する。悪趣味な紫色の服を身に纏っていたー。パンクな髪形をしていたあの男の名前は―――――――――――――。

 

 

「そう、確か【パガン・ミン】とか言った筈だ」

 

 

 

 オラリオを目指した筈のベルは、キラットに来ていた。

 

 

 

 ベルはオラリオでの活躍を音に聴く【猛者】や【剣姫】と共に活躍する自身を妄想して精神の安定を図っていた。そうしなければ今にも発狂してしまいそうだったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ!キラットへ――――。これから暴れまくるぞ!」

 

 

「?………なんか騒音が聴こえるけど、なんだろう?」

 

 第一回 その頃のベルくん 〈終〉

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

【黄昏の館】

 

 ロキ・ファミリアが所有している本拠の名称である。八本もの尖塔が天高く聳え、鎮座している。歴史が経っているのだろう、初めて見る者を圧倒するかのような威圧感を醸し出している。よく見ると、小さな窓が多く見える。その一つ一つが個室となっているのだろう。最上部の尖塔部分、教会を彷彿とさせるステンドガラスは煌々と輝いていて、反射光による被害が酷そうだ。わかりにくいのならばホ○ワーツ。ミニホグワー○と思えばいい。それの方が楽だ。それかサ○ラダファミリア。

 

 そしてその内部に存在する大食堂。そこに何処か恍惚としているロキを放置して、ダンジョンに行かずに本拠に休んでいる団員が、興味津々とアストルフォを観察していた。まるで玩具に興味を惹かれる子供のように

 

 

「うわー!かわいいー!お目めぱっちりしてるね!お人形さんみたい!」

 

「団長程ではないけど……確かに可愛いわね」

 

「あはは。君達の方が可愛いよ。アマゾネスは大雑把って聞いてたけど、見れば普通の女の子だもの」

 

「えへへ、なんか照れるね」

 

「大方間違ってないんだけどね……」

 

 アストルフォと会話しているアマゾネスの姉妹、【怒蛇(ヨルムガンド)】と呼ばれる少女ティオネ・ヒリュテ。Lv.5と一級冒険者であり、ロキファミリアの中核の一人である。

 

 もう一方の少女、ティオナ・ヒリュテ。【大切断(アマゾン)】と恐れられている。ティオネと同じくLv.5であり、ティオネと双子である。彼女は妹の方に該当する。胸が小さいのでわかりやすいだろう

 

 冷静な姉の方はそうではないが、妹は好奇心旺盛で、アストルフォをきらきらした目で観察している。

 

「それでロキ、この子も眷属になったの?相変わらず強引ねえ」

 

「んや、まだ【神の恩恵(ファルナ)】は刻んでないで。まだ信用してもらってないんやうちは」

 

「はあ?」

 

 信用?何を言っているんだコイツ…。と言っているような目でロキとアストルフォを見るティオネ。一方ロキはじっくりとティオナを喋っているアストルフォを見ている。ティオネはこの時、どこかで見たような目だな、と記憶を探り始めた。

 

「じゃあ、アストルフォはここに入るわけじゃないのー?」

 

「あー。まあ検討中って感じ。ホントにあの子がいるかわかんないし」

 

「それ結構贅沢な悩みだね。うちのファミリ結構人気なんだよ?」

 

「うん。まあ僕はあまりそんなの気にしないしね」

 

 そうなんだー。とアストルフォの三つ編みを弄りながら会話をつづけているティオナ。ロキは血の涙を出して羨んでいた。

 

「じゃあキミの言ってるあの子って誰なの?」

 

 ティオナはそんな主神に対し少し引きながらも気になった単語を遠慮なく訊ねた

 

「リヴェリアって言うんだけど」

 

「「…………リヴェリア?」」

 

「なんだ?呼んだか?」

 

 そして本人が来た。リヴェリアは今まで本を読んでいたのか片手に二冊程度抱えている。表紙には「小便以下でもわかる。魔術王(ソロモンくん)が教える料理レシピ」と描かれている。本に付いてある帯には「イイゾイイゾ」と描かれている。全く意味が分からないが、いいのだろう。

 

「あーーーー!リヴェリアだーーー!!」

 

「ん?………っな?!」

 

 リヴェリアを発見したアストルフォは、椅子から立ちあがり、ロケットのように駆けだした。咄嗟の事に反応できず、アストルフォに激突される形で抱擁した。

 

「一体何だって………どこかで見たことがあるな……」

 

 見知らぬ相手に触れられた事に不機嫌さ満載で対応したがアストルフォの顔を見、見覚えがあったのか頭を傾げ思案した。アストルフォは忘れていたと知り、不満をあげるも会えた事に歓び顔は綻んでいる。

 

「ほらほら、僕だって!裸のローランの所に居たアストルフォ・イルマだって!」

 

「んん?ローラン?………まさか、あの悪戯好きのアストルフォか?」

 

「やっと思い出したね!久しぶりリヴェリア!」

 

「な?!い、いきなりナニを―――」

 

「ああああああ!!!なんてうらやましいことをおおおおお!!」

 

 思い出してくれたことに感激し、リヴェリアを抱擁するアストルフォ。リヴェリアは嫌悪感よりも羞恥心が勝り、顔を赤くし意識が半分抜け落ちた。ロキは血の涙をこれでもか、と言うほどに滝のように流し始めハンカチを噛んだ。

 

 突然の事に食堂に疎らに集まっていた団員は驚愕の声をあげ、この場がざわめきが支配した。夕食時でもないのにも関わらず騒ぎは収まらず、静寂が訪れるのはかなりの時間を要した――

 

 

 ◇◇◇

 

「んなら、アスたんとはその頃の知り合いってわけなんやな?」

 

「ああ、数年前に旅行した最中、ある村に逗留していた時期があってな。その頃は赤子と変わりない歳だったのに、時間は早く経つものだな。アストルフォ。いま幾つなんだ?」

 

「14になったよ。ローランは相変わらず。強いて言えば全裸で短剣一本でゴブリンの群れを倒した位かな」

 

「いや別にローランはどうでもいいんだがな。そうか、14か」

 

 騒動が大きくなり過ぎ、一旦落ち着ける場所、リヴェリアの私室に移動した一同。アマゾネス姉妹はリヴェリアの昔話に興味をそそられ当たり前のように付いてきていた。

 

「それにしてもその頃からリヴェリアがお母さん役をしていたとは、面倒見もいいはずだわ」

 

「確かにリヴェリアはお母さんみたいだったな。でへへ」

 

「誰がお母さん役だ。ただ本を読んでやっただけなんだが」

 

 不本意気に言い返すリヴェリア。しかし赤子のように思っていた子が順調に育っていたのが嬉しいのかその顔は綻んでいる。それを年の功と言えばこの場は猟奇殺人現場と化すだろう

 

 そしてロキは再度提案する。

 

「ならアスたん。うちのファミリアに入らんか?今ならリヴェリアが付いてくるで?」

 

 特典のようにリヴェリアを餌に使うロキ。その事に不満バッチリに睨みつける。しかしアストルフォが手に入る一歩前のロキには効かなかった。

 

「んー。リヴェリアも居る事だしー。じゃあ………入ろうかなー」

 

「オッシャッッッ!!おらおら!アスたんの裸をお前らに見せて堪るかァ!出ていけやおら!」

 

「まー他人のステイタスを見るのはご法度だしね。しゃーないか」

 

「そーだね。じゃあアストルフォまた後でねー」

 

「ここ私の部屋なんだが………。まあいいか」

 

 アストルフォの返事を聞き、部屋から住人を怒鳴り追い出し始めるロキ。背中を押されるリヴェリアは不機嫌マックスだったが、諦め部屋から退室した。

 

「んじゃ、背中見せてはあはあ。大丈夫大丈夫、天井のシミを数えてたら終わるから、はあはあ」

 

「やだなー。変な冗談はやめなよーなはは」

 

「ぶほぉ」

 

 冗談と受け取ったアストルフォは着ていた服をスルっと脱いだ。アストルフォの脱衣シーンに興奮したロキは鼻から【神血(イコル)】を大量に出した。普段は小さな待針を指に指し、それで刻むのだが、この際記念に鼻血を使う事にした。勿論アストルフォは背中を向けているので気づいていない。

 

(別に背中見せるだけでいいんやけど……はあはあ、目の保養になるしええか)

 

「あはは、くすぐったいねコレ」

 

 ロキは鼻血を手に付け、アストルフォの背中に塗りたくった。これは変態プレイではない。【神の恩恵】を刻んでいるだけなのだ。

 

(―――――――これは)

 

 にやけ面が一瞬真顔に戻った。アストルフォの背中に神の恩恵の発現を確認し、ステイタスを羊皮紙に書き写す。【神の恩恵】によって刻まれたステイタスは神聖文字という神が使っている共通語である。人間には読めないが、一通り教育を受けた者なら読める者は多々いるだろう。

 

「んー、ロキ?何か可笑しい所でもあったの?」

 

「いや、スキルが発現してたで。Lv.1なのに将来有望やな、アスたん」

 

「でへへ。照れるね」

 

 恥ずかしいと言いたげに身をよじるアストルフォ。いつもなら興奮するロキだったが、アストルフォのステイタスに気を取られ、見ていなかった。

 

(アスたん、確かに将来有望や。けど――)

 

 

 

 

 

(何でエルフでも無いのに先天的に魔法が使えるんや?)

 

 

 

 魔法を使える条件は、大きく言って二つある。

 一つはリヴェリアなどのエルフなど魔法を得意とする種族、その個体の性質に由来する先天性魔法。これを取得している大多数が強力な魔法になっている。

 

 二つ目は後天的魔法。これは【神の恩恵】から媒介に権限する可能性の話である。後天的魔法は自己の表現、そして【経験値】に依存する。書物などで取得できる場合も多い。

 

 アストルフォはヒューマンの筈だ。故に後天的魔法で取得するケースしかありえない。だが―――

 

 ロキは思考の海からアストルフォの方に意識を向ける。そしてアストルフォの魔法の事を訊こうとしたが

 

 

「アスたんちょっと……て、何で上半身裸でうろついたらアカンって!」

 

 アストルフォは上半身裸でロキの方を姿勢を向き直していた。ただロキを見ているのではなく、羊皮紙に書かれたステイタスを見ているだけである。

 

「え、何で?別にいいじゃないかー」

 

「はあはあ、いやあ、女の子が裸でいるのってアカンと思うんですよ私は、はあはあ」

 

 言っている事とやっていることが反対になっているロキ。鼻息を荒くはしているが言っているこは正論である。そしてアストルフォの一言に、ロキは鼻息所か息すら止めてしまう

 

 

 

 

 

「やだなー。ボクオトコノコだよ」

 

 

 瞬間空気は固まり、刹那が永遠に感じられた。

 

 

 

「は?え、ええあ?オトコノコ?いや女の子?いやいや女の子?オトコノコ?」

 

「オトコノコだってば」

 

 とんでも無い事実を吐露されたロキは錯乱し、目はガン開きになった。今まで女の子と思っていた子が男だったのだ。美麗な女性が好きだったロキでも解り得なかったことにショックを受ける、以前にアストルフォが男だったという事実に狂乱している。

 

「え、えいやオトコノコ?男?ちんこ付いてる?」

 

「当たり前じゃない、付いてるよ」

 

 

「え、あえ、その恰好は?スカートは?」

 

 

「僕地味なの嫌いなんだよねー。あ、僕さっそくダンジョンって所に行ってくるねー。バイバ―――イ!」

 

 

 しゃしゃっと着替えを整えたアストルフォは部屋から出て行き、部屋にはロキ一人残された。呆然としたロキは呼吸すらせずに固まっている。

 

 

 

 

「え、あえ、ええ?」

 

 

 

 

「………………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなにかわいい子が女の子なわけが無い!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 結果、ロキは発狂した

 

 

ロキはリヴェリアの部屋だというにも関わらず、奇声を挙げてのた打ち回った。その事を知ったリヴェリアに後日突然の腹パンをされてダウンするのは、また別の話………。

 

 

はらりとテーブルから一枚の紙が落ちる。そこには一人の少年のステイタスが描かれていた。

 

 

 

 

アストルフォ・イルマ

Lv.1

力:F 340

耐久:H 166

器用:C 620

敏捷:C 600

魔力:I 0

 

 

《魔法》

触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)

・どのような相手でも転倒させる

・魔力を消費し続ける限り、転倒し続ける

・触れるだけでいい

 

 

《スキル》

縁下力持(アーテル・アシスト)

・一定以上の装備過重時における補正。

・能力補正は重量に比例。

 

 

 

 

 

 




【触れれば転倒!】って結構チートだと思うのよね
原典のように槍が触れればっていうのに限定していないから相手が触れても転がるし。ベートきゅんキラーだわなこら


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