僕はこの世界で英雄になりたいんだ!   作:サンマ味のヨーグルト

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ダンジョンと言っている割にダンジョンで戦っていないという。

昨日、とんでもない夢を見ていしまいました。皆さんは夢をどのくらいの周期で見ますか?私は一週間に二度はあります。その内鮮明に思い出せるのは一つくらいなのですが、その夢は等しくグロテスクやかなりインパクトが多いのです。それくらいじゃないと覚えることは困難なのでしょうが止めてほしい事が多々あります。仕方のない事でしょうが夢はあまり見たくありません。そして私が昨日見た夢は、

Diesのラインハルト閣下が金色の狐耳と十三本くらいの尻尾を付けて此方をジッと見ている夢でした。インパクトが凄くありましたがそれ以上にシュールでした。



ダンジョン〈下〉

「フッ……!」

 

『GYAN!!』

 

アストルフォはテスラ社長から贈呈された黒騎士の斧槍、改め【クロスケ】(命名アストルフォ)を袈裟斬りに振るう。リーチが長い【クロスケ】は余裕分っているゴブリンの頭蓋を粉砕し首を捻じり取った。まるでもぎたてのパイナップルのように吹き飛ばされる頭蓋は後方に待機している犬型のモンスター。コボルトに直撃した。意図せずだが綺麗に後方に牽制した事実にアストルフォは多少驚愕するも動きは止まらない。

 

「おおおおラァ!!」

 

『OOOOOOOo!!!!』

 

此方を殺してやるとばかりに突進し向かってくるコボルトの群れに対し、地面に突き刺さった斧部を強引に持ち上げ、左方向に薙いだ。三枚下しにしてやると言えそうな一撃は死を理解していないコボルトの群れを臓物と共に蹴散らした。その内何体は稼ぎの種、【魔石】を粉砕されていたので稼ぎが少なくなるのは確実だろう。

 

「………!でりゃあああああ!!!」

 

『NYO?!』

 

次の獲物に狙いを定めたアストルフォは全身黒一色に染まった変態……異形の人型【ウォーシャドウ】に歩を進める。ウォーシャドウは中距離や近距離では上層、6階層では随一の戦闘力を持っている。オラウータンのように異様に伸びている腕はナイフのように尖った指が備わっており、長期戦に持って行ってしまうと苦戦するだろう。

 

「みくにゃんのファン辞めます!」

 

『GYAAA!!!』

 

ならば腕を切り落としてからトドメを刺す方が効率的だ。アストルフォは刃ぎりぎりまでリーチを短く、柄を短く持ち替え、右腕を切り落とした。自身の腕が喪失した事実と激痛にウォーシャドウは絶叫を上げた。

 

「ふんぬ!」

 

隙として判断したアストルフォはそのままクロスケを逆袈裟斬りに持ち込み、ウォーシャドウの残った左腕を叩き切った。

両腕を失ったウォーシャドウは本能に従ったのか焦燥しながら背を向けた。そのまま逃走する気なのだろう。

 

▼ウォーシャドウは にげだした。

 

▼しかし まわりこまれてしまった!

 

「んんんいやああああ!」

 

『GUAAAAAAA!!!』

 

ウォーシャドウが逃走を試みている合間にアストルフォは体勢を整え、唐竹割の如くウォーシャドウに脳天から叩き切った。鈍い肉裂き音と断末魔がダンジョンに響き渡り、静寂を取り戻した。

 

ウォーシャドウは絶命し、魔石だけを残した。

残された魔石はアストルフォが掴み取り懐に仕舞った。魔石は小さな物でも換金できるので余程ヴァリスに困っていない限り拾っておくのが常識だろう。

比較的安全な場所を探し、そこに座り込む。

 

「……ひゅー♪ここまでは余裕って感じだね」

 

血に濡れたクロスケをぶんぶん上下に振りながら自身の状態を確認する。恩恵を持っていない頃には既にダウンしベッドの中という展開がいつもだったが恩恵とはやはり偉大な物で以前とステージが違う事を実感する。Lv.1の子供でも成人男性をあしらえるという話は本当だったという事だ。

 

「……-い……」

 

物音が聴こえた。もしや産まれたのかと推測する。が、それは杞憂だった。この物音は人間の足音だった。アストルフォは警戒の色を薄くするが武器は離していない。

 

 

「おーい!アストルフォ生きてるかーー?」

 

前方から声が聴こえてくる。男の声だ。その声に聞き覚えがあったのかアストルフォは武器を手放し大声で叫んだ。

 

「おーい!リーン!生きてるよー!そっちはーーー?」

 

「こっちも無事だーーー!」

 

「うるさいわね!リン大声で叫ばないでよ!モンスターが気づくじゃない!」

 

「す、すまん……」

 

リン、と呼ばれた黒髪黒目の青年が此方の方へ駆け寄ってくるのが見える。リンの傍にはもう一人の少女の姿も。少女はリンに対し怒り顔で注意し、リンは心底申し訳ないような顔で謝罪している。二人はアストルフォの傍に近づき、肩を叩いた。

 

「いや~、生きててよかったよ~!いやホント、ダンジョン初めて潜って死ぬとかマヌケ以外の何物でもないからな~」

 

「あははっ、そんなことになったらすごい笑い話になるだろうね!」

 

「しっかし、産まれる瞬間に出くわすとは思わなかったぜ。怪我とかしてないか?ポーション二個なら余っているけど」

 

“産まれる”

モンスターは基本、ダンジョンの中で産まれる。階層の中で産まれるモンスターは決まっている為、想定外のモンスターが産まれる事は滅多に無いが、産まれてくるのは幼体ではなく成体である為警戒を怠ってはならない。

 

「というかアンタの所為でしょうが…。アンタがダンジョンの壁に頬ずりしてたからモンスターが産まれたんじゃない」

 

「………す、過ぎたことは気にしても仕方ないさ……。な、なあアストルフォ!お前もやってたしいい経験になったよな!」

 

「だねっ!ダンジョンの壁って意外に暖かい事がわかったよね!」

 

アストルフォが上下編に渡ってモンスターを撃破していた訳はこれだ。

初めての迷宮に興奮したアストルフォとリンがダンジョンの壁に興味本位で手触りを確かめたり頬ずりしたり。その時偶然に大量のモンスターが産まれたのだ。産まれただけなら倒せば終わりなのだが、いかんせん数が多く、分断される程各個撃破を強いられていたのだ。

二人以上に戦闘経験のあるアストルフォは軽傷で撃破したが、リンと少女は新品同様のプレートアーマーが傷だらけになっている。

 

アストルフォとリンの能天気な感想に少女は怒髪天を衝くかの如く激怒した。

 

「だからってやるなッッ!!」

 

「ちぇっ…ごめんなーさい。エミーチカ許してよっ」

 

「もう二度とやんねっての。だから許してくれよ」

 

エミーチカ、少女はそう呼ばれた。褐色の肌に鴉の濡羽のような黒髪からして彼女はアマゾネスと判別できる。エミーチカはアストルフォとリンの頭を拳骨で殴り、二度としないように言いつけた。当たり前だがアホな事で死にたくないのだろう。

 

リンとエミーチカ。両者と知り合ったのは昨晩に遡る。

黄昏の館での自己紹介の後、アストルフォはリンにパーティーの勧誘をされたのだ。特に相手に条件があるわけではないアストルフォは快諾し、リンの誘いに乗った。

その後エミーチカを仲間に入れたのだ。リンが主体として動いていたが、リンは致命的なまでの方向音痴だった為、アストルフォがリーダーとして動くことになった。エミーチカは勘弁してくれとばかりに嫌がって上、面白そうな事が大好きなアストルフォはこれもまた快諾した。

 

結果これである。問題児のリンに好奇心旺盛なアストルフォ。一応冷静なエミーチカがツッコミという形に成り立っている。

 

「全然反省しているようには見えないんだけど……ハアっ、もういいわ。で、今日は何処まで行く予定なのリーダー?まさか十階層にまで行くとか言わないでしょうね?初の迷宮に浮かれているのもわかるけどこの安い装備と危機管理力では自殺行為にも程があるわ」

 

エミーチカのまさかそこまで馬鹿ではないだろうな?と言外に付けた問い(威圧)にアストルフォは図星だったのか一瞬ぎょっ、と身を竦ませたがすぐに思案顔になる。まるで今初めて思いましたよ?と言いそうな顔だ。

 

「ううむっ…どーしよっか…。じゃあ今日は適当に六階層まで行こうか。【キラーアント】も見て見たいし」

 

「そうだな。初心者殺しも見て見たいがうっかり死んでも困るからな。その辺で妥協しようか」

 

「……。まあそれがいいわ。じゃあ行く……って何してるのあんたら」

 

エミーチカが乱れた装備を整え二人の方針に賛成し、ダンジョンの階下に進むことができる方向を見ると、アストルフォとリンがクラウチングスタートのような構えでダンジョンの先を見つめ静止している。

 

「……エミーチカ」

 

リンが神妙そうに口を開く。しかし視線は真っすぐと前を向いている。怪訝な目線になるのは無理はない。

 

「なによ」

 

「合図……してくれ」

 

「……あ?」

 

エミーチカが信じられないような目で見ているが二人は気にしていない。お互いに檄を飛ばし合い鼓舞している。

 

「っふっふっふ。絶対に負けないからね、リン!」

 

「かかかっ抜かせ!アストルフォのチビッ子の脚ではこの俺に勝てると思うてか!!」

 

「残念だったね!僕は村の中でも十番目に速いと言われていたんだよ!」

 

「全然速くねえじゃねえか!!」

 

「仕方がないじゃないか!殆どの人は地面を蹴り抜いて跳躍という名のスタートダッシュするんだから!」

 

「それ本当に唯の村人かよ!?」

 

あと響転(ソニード)とかいう技を使う人モドキもいたよ。とアストルフォは次々と人外クラスの猛者たちをリンに伝える。リアクションの大きいリンは総てに反応し顔色を二転三転させていた。話に夢中になっているように見えるが、二人はエミーチカが合図をすればすぐさま飛び出すだろう。その位の勢いが見て取れる。エミーチカは頭痛がしているように額を抑え、眉間を揉んでいる。

 

「いい加減にしなさいよ……」

 

 

 

「大人しくしておけやオラァ!!」

 

 

「ぬぐわッ」

 

「ふぎゅっ」

 

そして腰に刺していた双剣を鞘ごと引き抜き、見事なコントロールで二人の頭部に向かって投げつけた。予想だにしていなかった背後からの攻撃に二人は反応できず、気の抜けた声を出しながら見事に撃沈した。リンは鼻を地面にぶつけ鼻血を噴き出していて、アストルフォは額を地面にぶつけ気絶していた。

 

………………。

 

「はあ。スッキリっ!」

 

残ったのは、良い笑顔をしたエミーチカのみだった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

『カンパ―イ!!』

 

 

木のジョッキが勢いよく打ちあい、カンカンと音を鳴らす。多少中身が零れているのは無礼講である為気にはされないだろう。三人はそのままエールを口に運ぶ。口内に広がる程よい苦味が生きていることを実感させる。

 

「んっくんっく……んめえなー。冒険した後の酒はまた違った旨さがあるぜ!」

 

「……っま、同感ね。ケツの青い新人が何言ってんだって感じだけどなんとなくわかるわ」

 

「……それにしても、俺ら結構イケんじゃねえか?モンスターとかも各個撃破でも楽々だったしさ」

 

「そりゃ一人じゃないからまだマシなだけよ。アンタが壁に舌を付けるなんて馬鹿な真似を続けるようならそこで死んでたわ」

 

「あっはっは!確かにリンは死んでただろうね!一番おろおろしてたんだもの!」

 

「うるへー!」

 

大通りに匹敵する喧騒に身を任せながら迷宮の感想を交わす。まだまだ新人が迷宮を知った気でいるのは思い上がり他ならない。

しかし長年想っていた迷宮があっけないと思うのもまだ仕方がない事だろう。ここに高レベル者がいるのなら額に青筋を立ててレベル1風情が迷宮を舐めていると憤慨するのだろうが。

 

「……そういやアストルフォって酒飲めんのかよ。見た目は唯のガキ……14じゃまだガキだな」

 

リンはジョッキを傾けながらアストルフォの方へ視線を傾ける。俺は小粋に酒を嗜む男だぜ。と言わんばかりにしたり顔をしている。

 

「んー?お酒なら飲めるさ。これでも酒豪ってやつらしいし」

 

そう言いながら口を着けたジョッキをリンに見せつける。確かにアストルフォに注がれたジョッキには確かに酒が注がれている。乾杯の後にアストルフォだけ「麦茶だコレ!」のようになることは無かった。アストルフォの酒豪宣言を冗談と受け取ったリンは軽く小馬鹿にし始めた。

 

「ハハハハッ!嘘つけ嘘つけ!子供が背伸びしていたって何もならねえぞ?」

 

「なんだとぉ!じゃあ見せてやる!お姉さーん!!こっちにお酒追加して!こっちのうっかり八兵衛の分も!」

 

「誰がうっかりだッ!それに…あれ、リューさん?!………………。いいだろう!その挑戦受けてやるぜ!」

 

憤慨したアストルフォはエルフの店員に向かって追加の注文を頼んだ。それを小馬鹿にしていたリンはエルフの店員を見て急に態度が変わった。そうやら自身の良い所を見せようとしているようで挑戦を声高らかに受け取った。

 

「はあ……わかりました」

 

エルフの店員が注文を受け取りその場を離れた後、酒場の視線がちらほらと集まり始める。丁度良い娯楽のように察したのだろう。

 

 

 

ざわ……ざわざわ……ざわ……

     ざわ……ざわ……ざわざわ……。

 

 

 

「はいよっ!…………金とかちゃんとあるんだろうね?」

 

大柄な女将が運んできたジョッキが鈍い音を立ててテーブルに置かれる。

 

アストルフォとリンの前にジョッキが溢れる程に犇めいている。酒場にいる客は更に盛り上がり賭け事すら始まる始末。片や美少女。片やヒューマンの青年。どちらが勝つかなど明白だったが人間に限らず生き物は面白い娯楽に目が無い。故に賭け事が始まるのも無理は無かった。

 

『俺は嬢ちゃんに賭けるぜ』

『せっかくだから、赤い方を選ぶぜ!』

『お嬢ちゃん………かわいいんだな……はあはあ…』

『アカギ……』

『南郷さん、赤い方に……倍プッシュだ……』

『アカギィ………!』

 

テーブルで隔たれて尚睨みあっていたアストルフォとリンが立ち上がり、宣誓を始める。これは勝者が敗者に向かって誓わせる儀式他ならない。

 

アストルフォと睨みあっていたリンから口を開く。アストルフォは頭一つ分リンより背が低い為下の方から睨んでいるのはかなりシュールだったが。両者は気にしていない。

 

「俺が勝ったら……一生お前を小馬鹿にするぜ!弄るのも止めねえ!!」

 

オオオー。と男どもが感嘆の声を出す。内容はアホすぎるが雰囲気に呑まれ無意識にしているようだった。リンの宣誓はまだ続く。

 

 

 

「そして――――――――――リューさんに告白する!!!」

 

 

 

 

『なああああにいいいいいいいいいいいいいいいいいイイイッッ?!!!!』

 

『野郎、リューちゃんに色目を使うとはふてえガキだな!』

『これが終わったら覚えておけよ』

『塵も残さねえ……』

『まあリューさんが受けるわけないがな!』

『…………(唇を噛んでいる)』

 

そして先ほどよりも、地響きがなりそうな男達の声が酒場に響く。男達の顔は先ほどの面白半分の顔では無く害虫を見るような目でリンを睨んでいた。虫も殺せそうなほどの怨恨が込められている。しかしリンはびびりながらもそれをおくびに出さずアストルフォに向かって顎を振る。

 

来たか、とアストルフォは深呼吸し

 

「僕が勝ったら……そうだね…

 

 

 

          リンはミア母さんに告白する事にしようか」

 

 

 

 

…………………………………。

 

………………………。

 

 

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!』

 

「なんでじゃああああああああああああああ!!!!」

 

 

錯覚ではない。本当に地響きが起きた。リンの口上の時よりも男達は歓喜の雄たけびをそこらかしこに上げた。あのケツの青いガキがリューちゃんに粉を掛けるのが許せないッという男やそれは正に罰ゲームだという者。それぞれが勝利したように抱き合い、アストルフォの勝利を願った。

 

「えーと。それじゃ、始めー」

 

 

そしてエミーチカの気の抜けた合図に酒飲み競争が。

 

始まる。

 

◇◇◇

《その頃のベルくん》

 

 

兎と比喩される髪形を持つ少年、ベルは困惑していた。元は冒険者が犇めく栄光と困難の大都市オラリオを目指し、冒険者になろうとしていたのだが、怪しい集団を見つけ興味本位と正義感で追いかけてしまったのが始まりだ。唯の好奇心に釣られキラットという謎の場所に連れて行かれ、パガン・ミンという狂った男と対面した。精神はまだ子供なベルには目の前で人が殺された事実に呆然と腰を抜かし、逃げ遅れ独房に入れられた事は今でも鮮明に思い出せる。パガンと名乗る男はもう一人の青年に執着していた為、未熟なベルにも比較的に隙が見つけられた。何日か経った時、銃声音と叫声がそこらかしこに発生した。脱出のチャンスだと気づいたベルはもう一人の青年と共に脱出し、ゴールデンパスという集団に迎えられた。ゴールデンパスはパガンの圧制に対するレジスタンスという大義を抱えているようだった。もう一人のエイジェイという青年はパガンに対する前リーダーの息子だったらしい。故に彼も旗頭になるのは当然の事だったのだろう。

戦闘が苦手と言い訳したベルは、後方面に位置する支援部隊に志願し配属された。本当は人を殺したくないという忌避感と、目の前で人が死んだという事実にショックを受けていたからだ。勿論自分が死にたくないという理由もあったが、彼の頭には殺したくないという思考だけだった。

しかしエイジェイという青年が負傷し戻って来た際、ベルは一つの覚悟を決め、エイジェイと共にパガンに挑んだ。その覚悟とはあまり人に言うべきでは無い為、ここで秘密にしておく。

 

見事パガンが乗るヘリを撃ち落としたベルは、エイジェイの納骨を見守り、共にゴールデンパスに戻った。しかし今のゴールデンパスには狂気が渦巻き、かつての圧制と寸分変わらぬ絶望の坩堝と化していた。絶望したベルは残ると言い切ったエイジェイに別れを告げ、かつての目標の地、オラリオを目指した

 

しかし道中、謎のモンスターに襲われたベルは、キラットで収集した武器と食料を奪われた。激しく抵抗したベルだったが、ガタイが違い過ぎるのと、相手が人間との戦闘に慣れていたことに暴虐の限りを尽くされ敗北した。

密林のような島に遭難したベルは、三人の遭難者と出会った。ベルと同様同じモンスターにやられたと言い張ったが別段怪しいと思わなかったので共にケチャワチャなるモンスターを討伐する事に総意決定した。このままのさばっていてもケチャワチャに虐殺され殺されるだけだ。ならばその前にケチャワチャを討伐し命を散らした方がマシだと。窮鼠猫を噛むという言葉があるが、ベル達の状況はまさにそれだった。武器を紛失したベルはキリトと名乗る青年に風化し錆びている片手剣を渡された。見た目は今にも壊れそうな脆い武器だったが、黒の騎士と名乗る青年がこの剣は封龍剣という名剣で磨けば業物になるとベルに進言した。今錆びているから関係なくね?とベルは思ったがこれしか武器が見つからないのでこれを使うしかほかなかった。

そしてケチャワチャとの決戦だったが、ゆうたと言われた青年が足を引っ張り、他二人は死亡してしまった。全てゆうたに責任を押し付ける気はなかったが、ゆうたをBCに置いて行けば全員生還できたと推測できる。明らかにゆうたがはちみつに執着していることが元凶だと確信できる。そのまま逃亡し落とし穴に嵌める作戦を咄嗟に閃き、設置したのだが、またゆうたに足を引っ張られ、ベルは意識を失った。

その際黄金の光と共に槍がケチャワチャとベルを貫いた気がしたが、ベルは意識が朦朧としていて知覚できはしなかった。

目が醒めると黄金に煌めく城の内部で意識を取り戻していたのだが、その後すぐに流星のような岩石がベルに直撃し、また意識を失った。

 

意識を取り戻したベルは、違和感に気がついた。辺りの光景が黄金の城では無く、草原だと気がついたのだ。そもそも黄金の城など知らない場所であったが、草原もまた知らない場所であった。ベルは困惑しながらも周囲を窺い、安全を確認したのだが、彼らに出会った。ベルにとって彼らと関わるのは苦痛以外の何物でもなかったがここで一人で散策しているのは恐怖であった為、彼らと共に行動する以外の選択肢は無かった。

 

 

ほら、噂をすればベルの後ろから走ってきた。あの黄色いアフロは………。

 

Side ベル×三人称視点 (三人称視点が難しいからじゃないYO)

 

 

「ぺっぺけぺーーーー!ぺっぺけぺーーーー!」

 

肩幅がかなり盛り上がっている中年は腕を扇風機のように振り回しながらベルの周りを走り始めた。ベルは呆気にとられ呆然としているがリアクションを求めていないのかアフロ頭は爆走を続ける。

 

「――――――――ドゥオドゥオドゥオドゥオ」

 

え、何?!え、何!?アフロ頭の男性……未だ名前を知らないけど僕の周囲を走っている。一体何がしたいんだ!?

更に朱色のヒトデ……ヒトデ?何かはわからないけど謎の生命体がアフロ男性と共に走り回り始めた。アフロの人はそのヒトデを視認したのか走りざまに何かを口走った。一体何をする気なんだ?!

 

「まかぽこまかぽこ!!今日はこのアナウンサー。ボボ子が天気予報をお知らせしまース!」

 

「わーいわーい!ボボ子さんのコーナーだわーいわーい!」

 

えええええええ!?ニュースが始まったああ!?

 

しかもいつの間にか女性用のスーツに着替えたのかアフロ頭の男の人は眼鏡と教鞭を手に持っている。でも頭に帽子を被っているのだがそれはアナウンサーが被る物ではなく、アカデミックドレスの帽子でしょう、全くアナウンサーに関係はないですよ!

 

 

「ヒトデ座の今日の運勢は超究極大凶(スーパーアルティメットアンラッキー)

 

 

「なにそれ…超知りてぇ…!」

 

「天気予報じゃなかったああ!!後なんですかその超究極大凶って!一体どんな運なの?!」

 

 

 

ベルが突っ込んだ通り天気予報では無く運勢であった。

赤いヒトデは口に手を当てぷるぷるしている。ベルは突っ込んだが彼等には聞こえていないのか暴走を続けている。

 

「気を付けねえと!俺最下位だったよーー!マジやべえよ!!」

 

「あんたヒトデ座だったの?!」

 

ラッキーアイテムは!?とボボ子に食らいつくヒトデ。ボボ子は続けにラッキーアイテムを読み上げる。

 

「ヒトデ座は今日空から

 

 

       核爆弾が降ってくるので、ラッキーアイテムは……それでいいや」

 

「えええええええええええ?!」

 

核?!と顎が外れる程口を開くベル。頭上に影が差したので上を見上げる。

 

「ぎゃあああああああああああ!!マジで降ってきたああああ!!!」

 

 

「ええええええ!!確かにミサイルだ!……でも郭って書かれていますよ?!核じゃないんですか!?郭ってどういう意味ですか!」

 

『郭』と描かれたミサイルが此方に向かって飛んできたのだ。

 

『郭』と描かれたミサイルがヒトデ目掛けて大量に降り注ぐ。それ核じゃなくて郭って書かれてるけど?!とベルが突っ込んだが爆音に紛れ聴こえることはなかった。

 

 

耳をちぎり取るような轟音、最早超音波のレベルが鳴り響き、ベルの聴覚を刺激する。

飽きた。と鼻をほじりながらアカデミック衣装を脱ぎ地面に放り投げるボボ子。ヒトデは核に直撃している。

 

黒煙が辺りに蔓延する。そして残ったのは、スライムのような形状に変質したヒトデだった。ヒトデは目元をうるうるさせながらベルを見つめる。

 

「ぷるぷる……ぼく悪い首領パッチじゃないよ」

 

「死ねェ!!」

 

「っぐぼあ!!」

 

「ええええええ?!」

 

ええええ?!唐突にアフロ頭は首領パッチと名乗った涙目のヒトデをサッカーボールの如く蹴り抜いた!蹴り抜かれた首領パッチは空の彼方に飛んで行って星になってしまった。え、うそでしょ?!

 

蹴った張本人は一言。

 

 

「首領パッチ=悪・即・斬。これ宇宙の真理」

 

と呟いた。

 

「うそーーーん?!」

 

そんな真理あるわけないでしょうがと突っ込んだがまた無視された。

 

「中尉殿!中尉殿!ここにボルシチの海がありますでございまする!!」

 

「ってええ?!いつの間に?!というかそれ唯の湖ですけど?!!」

 

そしていつの間にか傍に戻っていた首領パッチは普通の湖に半身を突っ込んでいた。アフロは首領パッチの報告に驚愕したのかいつの間にか花魁のような恰好に着替えていた。

 

「真でつかまつりまするか?!真でつかまつりまする…」

 

「言いにくい!!!」

 

「あぢゃあああああああああああ!!!」

 

「だからそれ唯の湖ですけど?!」

 

言いにくいと激怒し首領パッチを湖に蹴り落したアフロ。そして首領パッチは淡水の湖に熱い熱いと溺れている。

 

そしてベルの真横にぷるぷると動く謎の生物が立っていた。ベルは驚愕し仰け反ったが謎の生物は気にしない。そしてアフロに朗らかな声で話しかけ肩に手を置いた。

 

「すまねえボーボボ!俺昨日お前の財布から金5万盗んで課金しちまった!でもコモンレアが大量に出たから問題ないよな!」

 

「それかなり大問題ですけどー?!」

 

ベルは恐る恐るボーボボと呼ばれた男の方へ振り向く。そして

 

 

「無問題」

 

と、『有罪(絶対に許さない)』と描かれた白い紙を片手に言い切った。

 

「許してヒヤシンス」

 

「許す!!」

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

「うわああああああ?!」

 

ボーボボは謎の生物の腹を殴り、謎の生物の身体の一部は円形のカタチに抉れ、彼方へ飛んで行った。

 

「一体何がしたいんだ彼らは!!!」

 

 

僕の叫びは、未だボケを続けている彼らの耳には届かなかった………。

 

 

ラインハルト卿の軍勢(レギオン)から抜け出したベルは、聖鼻毛領域という謎の空間に来ていた………。

 

第四回 その頃のベルくん 〈終〉

 

 




ベルくん視点というか一人称が予想以上に苦手だったことが知れました。
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