理由はただ一つ。新作をどうするか迷っているだけです。
ただ『覚悟』ができないだけです。
勇気が足りないだけです。
「あら、おかえりなさい。どこに行ってたのかしら?」
帰ってくると、すぐに古明地 さとりが目に入った。
料理をほったらかして来たのか、エプロン姿をしている。もちろん、こちらを見る目のアクセサリー(?)は取ろうとしない。
「ちょっと外に」
どうせ、情報を集めに外に行っていたことは、能力でお見通しだろうが、口には出さないことにした。
「今日は私も料理したから、客人には振る舞わないとねぇ」
「さとり様!オムライスが焦げそうです!」
キッチンらしきところから、お燐が走ってくる。
どうやら、二人で作っていたらしい。
「え!わかった!それじゃ、ディナーまで待っててね」
車イスに乗ると、一階をゆっくりと走る。
長い廊下は腕に来そうだ。
少し歩いたところで横にポツンと存在する重たそうな扉を見つけた。
「ん?何だ、この部屋・・・」
Library。図書館か。ここなら、この地霊殿の情報もあるかもしれない。
僕は開けようとするが、鍵がかかっているせいか、車イスが後ろに下がってしまう。
「さすがに無理か」
僕はそこから離れ、さらに奥へと進んでいく。
「そこにいるのは誰?」
後ろから声が聞こえる。下にいた二人とは違う声。
もしかして、あの看板娘が言っていた妹か?
僕は後ろを見る。そこには大きな羽の生えた女がこちらに多角形の筒のようなものを向けている。
羽・・・あれがお空か。
「昨日、ここにやってきて、さとりに・・・いや、さとり様に助けてもらった。それで、この中を歩っていたら道に迷ってしまった」
「・・・なるほど。あ、さとり様が言ってたな~」
お空は筒のようなものを、下に向けると車イスの手押しハンドルを持つ。
「そろそろ、夕食みたいだから食堂まで連れていくよ。よろしくね、えっと名前は・・・」
「ジョニィ・ジョースター。ジョニィでいいよ」
「わかった。私は霊烏路 空。みんなお空って呼ぶからお空でいいよ♪」
お空は手押しハンドルを持って、僕を押してくれた。
帰る途中に図書館であろう扉を指差し、お空に聞いた。
「この扉。開かないのか?」
「どうして?」
「いや、図書館なら僕の好きな本あるんじゃないかなって。僕は超が付くほどの読書家で」
なんて、嘘をつけば通してくれるのではないか?さとり以外、心を読む能力は持っていないであろう。
「なるほど。たぶん開いてないんじゃないかな。私やお燐に遊び場に使われるのが嫌だから。もしもっていうなら、私が頼むよ?」
「いや、そこまでしなくてもいいよ。それに僕でも頼むことはできるし」
僕はそう言い、そこを後にする。
そこにある書類や書籍がとても大事なものだということに気づかずに・・・。
「私が押すから、一人で行かないで」
無意識に車イスを進めると、お空がそう言って、追いかけてくる。
「車イスくらいなら、全然押せるよ。片手こんなんだけど、というより外せるし」
お空は手につけた多角形の筒を外すと、階段を上がっていった。
彼女らの部屋は二階にあるようで、最初にさとりの書斎に行った帰りにそれを見てきたため、それを知っていた。
「お待たせー!」
元気な姿を見せると、お空はすぐに僕の車イスを押し始める。
「地霊殿の案内とかしたいけど、さとり様じゃないと入れない場所とかあるし・・・だがら、ごめんね?」
「あぁ、別にいいよ。僕もそこまで知りたいわけではないしさ」
僕とお空が話していると、奥のキッチンの扉を強く開け、さとりが現れた。そしてお空のところに来て、
「お空!あなた、ジョニィさんに迷惑かけてない?迷惑かけないようにね」
と一言、注意する。
お空も筒の外れた右手で敬礼をすると、すぐに僕の車イスのハンドルに手を乗せる。
「さ、食堂に行こう!」
「一つ聞きたいんだが、」
ここで僕は思いきって聞くことにした。
「さとりの妹ってどこにいるかわかるか?」
お空は少し間を開けると「知らない」と言う。
その前に、知っていればさとりに話すだろう。
夕飯を食べたあと、僕はさとりから一番風呂を勧められた。
風呂場はやはり、大きな館らしい広さで、全てのものが不備なく揃っていた。
湯の温度もちょうどいい。
今日町中を聞き回った結果、ジャイロの情報は全くない。さとりの情報もこれといい、気になったものはない。ただ色々と話に出ていた彼女の妹の話。どうやら、この館に最近は帰っていないらしい。
どこにいったか、さとりもわからず、ただ帰ってきて欲しいと願っているようだ。
「明日は彼女の妹を探すことに専念してみるか。あと、この館の情報収集だな」
僕は風呂から出ると、この世界の服であろう服に着替える。
とても地味で、僕の着ていたものとは全く違うが、どこかしっくりくるものがある・・・そんな服だった。
脱衣所から出て少しすると、お空が走ってきた。
僕の車イスを押す担当は彼女なのだろう。
「大丈夫だ。少しくらいなら」
「やっぱり辛いよね。足が不自由だと」
「・・・まぁ、足がちゃんと動いたときよりはな」
「・・・この三日間、私が手伝うよ!」
お空はそう言い、僕に飛び付く。
「少しでも力になれることがあったら、私が手伝う!何でも言って!」
「お空?」
お空の声を聞いたのか、さとりがこっちに走ってきた。
さとりのその声は少し震えていた。
「さとり様!ちょっとの間、この人のお手伝いをしてもいいですか?」
「お空。彼がどうして、そんな身体になったか理由は聞いた?不慮の事故とかそんなんじゃない。彼のせいで彼はそんな身体になったの。他人の努力を踏みにじったせいで、その他人に銃で撃たれてそうなったの。そんな悪党のような人間なの」
それを聞き、僕はお空の前に出る。
「確かに・・・確かに僕は」
「あなたに何も言う権利はない!」
さとりはそう言い、僕を車イスごと突き飛ばすとお空の手を掴み、館の奥へ連れていってしまう。
「ま、待てッ!」
車イスから投げ捨てられた僕はすぐに車イスに乗るが、タイヤが壊れたのか進みそうにない。
ジャイロ、こんなときジャイロならどうするんだ・・・
☆
「優曇華、私に用って?」
永遠亭に連れこられた緑髪の巫女は優曇華と共に部屋にはいる。そこにはジャイロがいた。もう何日間も寝たままで、起きそうにない。
「早苗さん!この人をその奇跡の力で治して」
「この人って!ここ最近、人里で話題になってる!確か・・・ジャイロさんだよね?・・・本当に幻想入りしてたんだ。」
早苗はジャイロの胸の辺りを触る。・・・心音はない。
「なるほど、だから私に・・・」
「お願い!師匠や、私達ではダメなの!早苗さんの力なら!」
「・・・わかったわ。でも、その前に・・・外にいる鳥を何とかしないとかもね」
優曇華はそれを聞いて、すぐに外に出る。
そこには赤いスカーフを巻いたハヤブサのような鳥が飛んでいた。
鳥の名はペット・ショップ。この鳥もまた、スタンド使いだ。
「優曇華!少し時間稼ぎを頼む!その間に私の能力で」
「わかった!」
優曇華は鳥に幻覚を見せようとするが、鳥はさらに上昇する。優曇華の能力の範囲外のため、幻覚は通じない。
優曇華が、ジャイロの方が気になり、少し後ろを見た次の瞬間、ペット・ショップはつららのような氷の塊を永遠亭に向かって放つ。
つららは障子や壁を貫き、床で氷始める。
優曇華の弾幕は全くもって歯がたたない。そしてつららは彼女を直撃する。
鳥はそれを見ると、勝利を確信し、大きな鳴き声をあげると最後のとどめを差すように、大きなつららを優曇華に向かって放つ。
(こんな鳥に・・・負けるなんて・・・)
優曇華が諦めた次の瞬間、
「黄金の回転ッ!」
部屋の中から見覚えのある鉄球が放たれ、つららを壊した後に鳥のくちばしに当たった。
「ギャース!」
鳥は大きな声で鳴くと、竹林の方へ落ちていった。
「あの大男の必殺技をくらったときはどうなるかと思ったが、こんなところで死んでるわけにはいかないみたいだな」
部屋から現れたのは、この物語の主人公、ジャイロだった。
ジャイロは早苗の力で甦ったのだ!