幻想回転録   作:駿駕

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ジョニィって原作だと一人称は「オレ」なのですが、これだと「僕」と言っています。
自分の中でジョニィは「僕」って感じだよなというのもあるのですが、ジャイロが頻繁に「オレ」を使うので、区別しやすくするために、ジョニィには「僕」と言わせています。
別に間違えたとか、そういうわけではないですよ。

あと、お空の一人称って「アタイ」じゃね?

訂正 ジョニィは初期以外は「僕」が一人称でした。
まことに申し訳ありません。


古明地 こいし

地霊殿-

 

次の日の朝、僕はお空の部屋で起床した。

お空はまだ寝ている。どうやら、今日も仕事は休みのようだ。

「チュミミミーン」

聞いたことのある鳴き声。僕のスタンド、『タスク』が独りでに行動し、窓から外を見ていたらしい。

何かを伝えようとしているのか、窓をツンツン叩いている。

僕は足を引きずり、窓まで行くと窓の外を見た。

外には、霊夢が玄関先で腕を組み、何かを待っていた。

少しすると、そこに玄関からさとりがやってきて、一冊の本を渡した。あの大きさからして・・・漫画か?

「タスクッ!」

窓からタスクを外へ出して、そこへ向かわせようとするが、結界のようなものに跳ね返される。

「やっぱり、あなたなら来ると思ったわ。でも、これはあなたたちには見せられないの、ごめんね」

「あなた・・・たち?」

さとりは霊夢をすぐに地霊殿の敷地内から逃がす。

霊夢はこっちを見ると、すぐに敷地内から姿を消した。

「・・・そろそろ、朝御飯よ。」

さとりはそう言うと、地霊殿の中へ入っていった。

「うにゅ?・・・もう朝?」

「おはよう。起こしてしまったか?」

「ううん、大丈夫。おはよ、ジョニィさん」

お空は身体を上に伸ばすと、ベッドから降りて僕のところへ来た。

「もうすぐ朝御飯みたいだ。食堂に行かなきゃな」

「待って、」

お空は着ていたパジャマを僕の前で脱ぎ始めた。

「ば、何をしてんだ!?着替えるならそう言ってくれ!」

「大丈夫だよ。私は全然」

「大丈夫って・・・僕がなんか、こう・・・嫌なんだよ」

 

お空が着替えている間、僕はお空の部屋の前で待っていた。

まぁ自分独りで動けるは動けるが、車イスをお空の部屋に置いてきてしまった以上、あまり移動することはできない。

目の先には、長い廊下が続き、曲がり角が見える。

あの曲がり角から先は何があるのだろうか。昨日はお空がいたことで行けなかったが・・・

「ねぇ、お兄ちゃん。こんなところで座って何やってんの?」

これまでに聞いたことのない声が後ろから聞こえる。

僕はもしものときは爪弾を放つために指を向ける。そこにはさとりと同じくらいの少女が立っていた。

頭には帽子をかぶり、さとりと同じように心臓の前に目が付いている。

だが、彼女の目は閉じていた。

「お空を待ってるんだ。僕一人じゃどこにも行けないからさ」

「へー。玄関前にいた馬ってお兄ちゃんの?」

スローダンサーのことか?

「あぁ。僕の馬だ」

「そうなんだ。じゃあね!」

少女はそう言い、大きく手を振って曲がり角の先に消えていった。・・・何だったんだ。

この屋敷の住人なのはわかるが、昨日食堂にいただろうか。そもそも・・・

「お待たせ~」

お空は車イスと共に、部屋から出てきた。勢いよく開いた扉は僕の背中に当たって止まる。

「あ、ごめん!大丈夫?」

「あ、あぁ。大丈夫だ・・・」

背中に激痛がはしる。

僕はすぐに、お空の持ってきた車イスに乗り込んだ。

 

食事をしている間、さとりは僕に今日の予定を話していた。

地底から出ることはないが、色々なところに行くのはわかった。

「なぁ、さとり。今朝、君くらいの背丈をした少女をお空の部屋の前で見たのだが」

カシャン・・・

さとりはフォークを落とした。

「・・・?」

「こいしを・・・見たの?」

さとりの手が震えている。

こいし。それがここ最近、帰ってきていない妹なのだろうか。

確かに『妹』と考えると、似た場所がたくさんあるな。

「・・・お燐。今日はもういいわ、ごちそうさま」

「さとり様!」

さとりは席を立つと、部屋から素早く出ていった。

その足取りは何かから逃げているような感じだった。

「・・・ジョニィ様。今、言ったことは本当のことですか?」

言ってはいけなかったか・・・。

僕はお燐の問いかけに頷く。すると、お燐はすぐにさとりを追いかけた。

「さとり様があんな顔をするのは久し振りだな~。あの髪型が可笑しい人以来かな?」

「髪型が可笑しい人?」

「うん。前にね、こーんな頭の前に突き出た人が来てね」

お空は手を額の前に置くと、ぐーんと前に出す。

「その人もジョニィみたいにここに来てね、こいし様がいたってさとり様に言ってね。でも、それ以来こいし様を見てないし、さとり様もあんな顔をしてないかな~」

お空は目玉焼きを頬張る。そして幸せそうな顔をした。

 

少しすると、お燐が食堂に戻ってきた。

「今日も休みみたいです。今、行き先の全員の家や舘に電話で断りの電話を入れて・・・。ジョニィ様、さとり様の前ではできるだけ、妹様の話は」

「すまない、悪気はないんだ。さとりにあやまって」

「それもやめた方が。さとり様は今日一日、部屋から出そうにないですし・・・今、声をかけたりなんてことしたら」

「そう・・・ですか・・・」

気が重くなる。今日、考えていた『さとりの妹、こいしを探す』という作戦もやめようかと思い、食堂から外に出て、部屋に戻ろうとした。すると、

「今日休みなんだよね?」

お空が僕の車イスのハンドルを握って、車イスの進みを止めた。

「じゃあ、どこか行かない?地底内なら色々と案内するよ」

部屋に戻っても暇だろうから、少しくらい外に出るのもいいだろう。それにスローダンサーも走りたいだろうから、僕はお空の案に賛成した。

「どうせ、部屋にいても本を読むくらいしかすることないだろうから・・・いいよ」

「よし!じゃあ、早速行こー!」

お空は車イスを勢いよく押す。お燐を横目に食堂から出ると、玄関の扉をぶち壊すかのように無理矢理押し開けた。

「お、おい!そんな、む、無理矢理!」

「ひさしぶりに遊べると思うと、私は嬉しいんだ!」

その威力で僕は車イスから落ちて、地面を転がった。

「お空!?何やってだい!ジョニィさん、大丈夫ですか!?」

「落馬した気分だ・・・。大丈夫だ、かすり傷くらい」

「お空!あまり、ジョニィさんに迷惑かけない!」

「はーい。・・・ごめんね、ジョニィさん」

僕は起き上がり、馬を呼ぶ。そして、馬に乗った。

「里に行くなら、こいつで行こう。歩いていくのは嫌だろ?」

「うん!」

僕はお空を後ろに乗せると、馬を走らせた。

後方でお燐が「夕方までには帰ってきて」と言ったが、もちろん二人には聞こえていなかった。

 

「・・・えっと、この人は」

お空の指示通りにやってきた場所は里のとある一軒家だった。

周りの家よりかは少し綺麗で、どこか違うオーラを放っている。

「紹介するね、この人は水橋 パルスィさん。ちょっと前に仲良くなったんだ」

「こんな朝っぱらから・・・本当、妬ましい」

パルスィは何もかも呪ってやるというような目をこちらに向けている。

きっと、大声で起こされたので、機嫌が悪いのだろう。

「よ、よろしく。」

ただでさえ、さとりのことで気が重いのにさらに重くなった。

「お空、こんな馬乗り、どっから連れてきたの?何か砂っぽいし、それに人の前で馬に乗りっぱなしって・・・礼儀のない人ね」

「ごめんごめん。でもジョニィさんは足が不自由なんだ。だから、馬に乗ってないとさらに砂っぽくなっちゃうの」

「そうなの・・・それはごめんなさい。それじゃあ、」

パルスィは目を擦りながら、玄関のドアを閉めた。

「何か・・・すごい人だな」

「さとり様とお燐の次に私の話を聞いてくれる人なんだ。あれでも優しいんだよ」

お空はその大きな羽根で飛び、スローダンサーに乗った。

「次は、こっから」

「一つ訊きたいのだが。どれくらい、こういったところをまわるんだ?」

「あと二つだよ。勇儀さんの家と、あとはこの里で私がよく遊ぶ場所。この二つかな」

「じゃあ、それが終わったら一つ手伝ってほしいんだ」

「何?」

 

「さとりの妹の、こいしを探すということを」

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