ジャイロはエニグマに鉄球を奪われた。
ジョニィはジョルノと共にある場所へと向かっていた。
俺は何が起こっているのかわからなかった。
隣にいる仗助は、俺の耳で囁く。
「彼に恐怖のサインを見せてはいけない」・・・と。
彼といっても、その彼。つまり、敵が目の前から消えたとなると、俺も対処の方法がない。それに『恐怖のサイン』とはなんだ?
「ジャイロさん、これはグレートにヤバイっすよ・・・。恐怖をすることは死を意味するといっても過言じゃあないっすからね」
俺は息を荒くしていた。いつの間にか・・・。
これが仗助のいう、俺の『恐怖のサイン』なのか?
「ジャイロとか言ったな~。仗助の言ってることは正解だぜ~」
「だ、誰だッ!」
俺はすぐに後ろを振り向いたが、そこには誰もいない。
そこにいるのは、木の看板だけだった。
だが、俺の恐怖を誘うことはすぐに起こり始めた。
「・・・クソッ!」
俺は怒りで看板に八つ当たりをする。
すると、看板の裏から何かがヒラヒラと落ちてきた。これは紙か?何回か折られた紙だ・・・。
「ジャイロさん!その紙を開かないでくださいッ!」
仗助の声が響くなか、俺は無心で、いつの間にかその紙を開いていた。
そして、それと共に紙の間から、銃口が俺の眉間を狙っていた。
「な!何だこれはッ!」
「ジャイロさーーーーんッ!」
仗助の叫びは届かず、銃弾は俺を貫いた。
「だ、大丈夫すか!」
俺は店の奥で目が覚めた。どうやら、あの銃弾によってできた穴は、仗助のスタンドによって回復してもらったらしい。
だが、あの紙はいったい・・・
「やつの能力は紙の中に人や物を入れるという能力。昔、俺もやられましたから」
「・・・本体を探せってことか?」
俺は鉄球を取ろうとする。・・・!
「どうしたんすか?」
「な、無いッ!俺の鉄球がッ!まさか!」
そのまさかだ!ジャイロ・ツェペリ!
店の中を聞いたことの無い声が響く。
「!・・・どこにいやがるッ!」
柱の後ろからスッと現れたそいつは、俺の方を睨むと、胸ポケットから何回か折られた紙を俺に見せてきた。
その紙には『鉄球』という文字が書かれていた。
「おい、ジャイロ!この紙のこの文字、読めるよなぁ?このなかにはお前の武器、鉄球が入っている!」
「な、何だと!俺の鉄球を返しやがれ!」
俺は壁の材料で球体を作ると、それをヤツの持っている紙を目掛けて投げようとするが・・・
「僕のスタンドに、君を殴り殺したりするような力は持っていない。ただ、僕のスタンドが作った紙に攻撃したら、中身がどうなるかねぇ・・・」
男のその言葉に思わず、着弾点を地面に方向転換した。
「クソーッ!攻撃できない!」
「おい、テメェ。前もそのハッタリをやってたよなぁ?」
「(ギクッ!)な、何のことかな・・・。」
「ジャイロさん、今なら投げれますよ・・・ジャイロさん?」
俺はそれでも迷いがあった。あの反応、確かにアイツの持ってる紙には無いかもしれない。だが・・・
「仗助、お前にはわからないだろうな・・・。それが鉄球かもしれないという可能性が少しでもあるなら、俺はこの球を捨てるぜッ!」
俺は壁の材料から取り出した球体を、粉々に手のひらで潰す。
「それになぁ、お前がここに出てきた瞬間、お前の敗北は決まったんだ・・・
やれッ!仗助!
「全く、かっこいいぜ。ジャイロさんよぉ・・・」
俺の回転はさらに進化している!
父から教わった以上の回転だ!
「な、なぜ仗助が俺の足元にいるんだッ!」
俺の回転は壁から床へと伝わり、仗助の乗った床の一部分を崩した。
そして、仗助を床から登場させた。
「ひ、ひぃぃぃ!ジャイロ!お前はこの紙を破ってもいいのか!?」
「よくよく考えたらよ。俺を狙うよりも先に、仗助を狙った方が良かったようだな・・・
俺が物を壊し、仗助が物を治す。本当に良いチームだと思うがな。
「や、やめろ!それ以上、近づいたら!」
「昔はよ、確か・・・本だっけな?今度はそうだな・・・後ろの柱と同じになるか?」
「う、うわぁぁぁぁぁッ!」
地底人里名物、しゃべる柱がある茶屋。
人里入り口から徒歩二分。
茶屋に入ると、挨拶をしてくれる。
あの戦闘を終えてから数分後。
その紙のタネにようやく理解した。
「仗助。俺がこの紙を破る。そしたら、それをすぐに治せ」
俺は紙の上に鉄球を乗せる。
紙の上で回転させると、紙は小さく散らばった。
すると、紙は光り始め、仗助の能力で治した瞬間、その光を天に向けて放った。
「こ、これは・・・」
「ここは幻想郷。何でもありとは本当のようだな。あの紙には魔法陣が書かれていた。破壊することで、発動する魔法陣がな」
「魔法陣とは、またファンタジーっすね」
その光は空のキャンパスに矢印を描いた。
「あれは・・・何だ?」
その矢印の方向には、赤い一本角が生えた鬼が酒樽を担いで立っていた。
☆
「ジョニィさん。これからどこにいくかわかっていますか?」
「この方向は来たことないな。・・・どこなんだ?」
ジョルノの話ではこの先に紅魔館という屋敷があるらしい。前々からその名は聞いていたが、場所は全く知らなかった。
情報では、そこに吸血鬼の姉妹がいて、何度もその館にジャイロが来ているらしい。
優曇華に昔の新聞を見たが、ジャイロは何回かそこで起こった事件を解決しているようだ。
「!・・・これはッ!」
「ジョルノッ!どうした!?」
ジョルノの目線の先、そこには馬の足跡が点々と先の湖へと進んでいた。
しかも、新しいものだ。
「まさか、本当にジャイロが・・・」
「どうやら、ジャイロさんが向かったのは本当みたいですね。行きましょう、ジョニィさん」
「・・・何か堅っ苦しいな」
「?・・・何がですか?」
「僕のことはジョニィでいい。前々から気になっていたが、ジョニィさんって呼び方、やめてくれないか」
ジョルノはそのことに対して、首を横に振った。
「僕はあなたに敬意を払っているんだ。あなたのことはある人から聞いていますから」
「ある・・・人?」
「そう、誰だかは言わないですがね」
ジョルノは振り返ると、進行方向を指差す。木々の隙間の奥に湖が見える。
どうやら、あの湖の先に紅魔館があるらしい。
「ジョニィさん、あなたにはわかりますよね」
「何がだ?」
「背後にいる何かが。僕たちを追っている何かが」
「!」
僕はそれを聞き、後ろを見た。
木や岩の裏にいるのか?それとも・・・
「上だッ!」
次の瞬間、僕は馬から飛び降りた。そのとき見えたのは空中にばらまかれた"足跡"だった。
「こ、これはッ!?」
「ジョニィさんッ!馬から降りちゃあダメだーーッ!」
この足跡には何かある。まるで吸盤のような・・・
「養分を、養分をクレェ・・・」
足跡は僕の愛馬の体に吸い付く。そして、エネルギーを吸出した。
「スローダンサーッ!」
馬はまるで干からびた果物のように、しぼんで、鳴くことすらできない体になっていた。
「ジョニィさん!」
「僕の・・・スローダンサーが・・・」
(ジョニィさんの愛馬が死んだということはつまり、彼の移動手段が無くなったということだ!だが、ここでジョニィさんを捨てることなんてできない!)
ジョルノは僕の上を飛ぶと、空中に浮遊する足跡をスタンドで殴る。
「ジョニィさん!こいつは僕が食い止めます!こいつの本体を倒してください!」
「ジョルノ、無理だ!できるわけがない、」
「僕には、ジョニィさんを守る覚悟がある!この程度でくたばるほど弱くない!」
「・・・わかった!頼むぞ!」
僕は回転を頼りに地面を這いつくばって進んだ。
ヤツの本体・・・。あの足跡が言っていた「養分をくれ」という言葉。あれが鍵だ。養分が必要な状態の人間と考えると、栄養が身体に行き渡っていない病人か、重傷の怪我人か・・・。
どちらとしても、ある一定の場所から動くということはできない。
なら、そこさえ突き止めれば・・・
「待ってろ!ジョルノ!今、ヤツを倒してやる!」
ジョニィは無いといっても過言ではない足を引きずり、敵本体を探した。
ジョルノは時間を稼ぐために、とにかく殴った。