紅魔館に入ることができたジョニィとジョルノ。
だが待っていたのは『十六夜 咲夜』という地獄だった。
そしてジャイロは新たなる襲撃者に頭を悩まされることになる。
今の一瞬で何が起こったんだ・・・
確か、懐中時計を見せられて・・・咲夜が何か言って・・・あれ?
僕の身体は車イスから落ちた。ナイフが刺さっているのがわかるが、これで抜いたら一気に・・・
「あら、今ので死んでませんでしたか」
「咲夜!やめるんだぜ!」
魔理沙は咲夜の行動にただ震えることしかできない。
「魔理沙、あなたは犯罪者の肩を持つんですか?」
「そいつは確かに犯罪者だが悪いヤツじゃない」
「悪はどんなに静かにしていても悪。五十歩百歩って言葉知らない?」
咲夜は次のナイフをかまえる。
「まぁ、あなたは百歩の方だけどね」
咲夜はあらぬ方向にナイフを投げた。その先にはジョルノが立っていた。
カシャン!
咲夜の投げたナイフはジョルノの持ったいたカップを撃ち落とす。
「まさかジョルノさんに化けるなんてね。本物の彼は今さっき、ここにきたばかりですので」
「ほぉ~。まさか儂の姿がバレるとは・・・。」
ジョルノの体を煙が包み込む。そして、現れたのは一人の女だった。
動物のような耳に狸のような太い尻尾。・・・日本人が言っていた化け狸ということか。
「ジョニィさん、大丈夫ですか!?」
扉を開けてジョルノが入ってきた。額から流れる汗と息の上がりようから、ここまで走ってきたことがわかった。
「ジョニィとか言ったな。お前さん、なかなか面白いことをやったみたいじゃな」
化け狸は僕のところにやってくると、何かをぼくの前に置いた。
「お前さんならこれが何かわかるじゃろう?化け狸からのプレゼントなんて信用できんと思っておるじゃろうが、受け取ってほしい」
それはジャイロが使っていたと思われる、使い古されヒビの入った鉄球だった。
「これをどこで!?」
「人里で事件が起こったとき、外の人間が置いてった物じゃ。お前さんならこいつの価値がわかるじゃろう?」
化け狸はそこから立ち去り、紅魔館から出ていこうとするが、咲夜のナイフによって止められた。
「・・・なんじゃ、ナイフはこうやって使うモノじゃないぞ」
「あなたはなぜ、ジョニィ・ジョースターに近づいた?そのゴミを渡す以外に何か理由が」
「そんなもん無い。ただそれを渡すためだけじゃ。・・・それと紅茶うまかったよ」
化け狸は最後まで名前を言わず、紅魔館から出ていった。
咲夜も咲夜だが、あの化け狸もそれなりに力があるのだろうか、咲夜は最後まで何も言えなかった。
「図書館はここを下りた先です・・・」
そしてそれだけを言い、僕たちの前から消えた。
「ここがジャイロを最後に見た場所・・・」
大図書館の奥。そこは本が散らばり、本棚が倒れ、照明が割れていた。
その空間から考えて、僕は本棚が足りないことに気づいた。
「ジャイロはここで、仗助と共に消えたわ」
ここの図書館の主(?)の女、パチュリーは僕のところにやってくると、周りに散らばった本を拾う。
「ここらへんには、他の世界から来た本がたくさん置いてあったわ。しかも、かなり珍しいものがね」
「・・・」
言葉なんて出ない・・・。ただ鉄球を見るだけ・・・。
僕はまるで耳元でささやくくらい小さな声でジャイロを呼んだ。
「ジョニィさん!次の場所です!」
静かな空間を壊すように現れたジョルノはそう言い、僕の乗った車イスのハンドルを手に取った。
ジョルノは今さっきまで、図書館の階段にスタンドで作り出した植物の葉を使って凹凸を無くし、滑らせるようにして進むと、図書館から飛び出すように出た。
「今、メイドさんからある情報を聞きました。あなたが殺したはずのエンリコ・プッチが蘇ったみたいです!」
「な、なん・・・だと」
ジョルノの言葉に、プッチの死ぬ瞬間の顔を思い出す。
その痛みに苦しみながら死んでいくおぞましい顔を・・・
「あのとき!僕は・・・プッチを・・・」
「朝から騒がしいわね・・・」
ジョルノはその声に足を止める。僕は慣性によって、車イスから跳んでいく。
階段の上にはこの紅魔館の主と思われる吸血鬼がたっていた。
「私の名は、レミリア・スカーレット。咲夜から話は聞いているわ。あなた達は犯罪者。・・・どうしてここにはあなた達のような人間が集まるのかしらね・・・」
階段を一段一段降りてくるその姿に僕たちは脅えていた。心の奥から侵されるようなその溢れるカリスマは僕たちの判断を鈍らせる。
「ジョルノ・ジョバーナ。あなたは自分の父親の情報を探しにここに来たのよね?」
「は、はい。」
「教えてあげる。・・・あなたの父親は今、ここに近づいてきているわ、脅威としてね。そして、ジョニィ・ジョースター。あなたの探しているジャイロは何度もここに来ているわ。今はどこにいるかわからないけどね」
レミリアはそう言うと、部屋に戻るのか階段を上がっていった。これ以上のことは知らないのか、僕たちの声で振り返ることはなかった。
☆
場所は変わって地底では・・・
「ジャイロさん。ちょっと、ジャイロさん!」
俺はさとりの声で目を覚ました。どうして、こうなっているのかはわからないが、俺はさとりの部屋のソファーの上で目を覚ました。
床にはさっきまで俺の額に乗っていたと思われる冷えたタオルが、テーブルの上には傷だらけになった鉄球が置かれていた。
「ッ!・・・何があったんだ?」
「起きて早々、忘れたんですか?何があったかを・・・」
頭が痛い・・・。何が起きたのか、何があったのか、俺は全く覚えていなかった。
「襲撃ですよ、襲撃。まさか、あの男がまたここに来るなんて」
「あの男?ダメだ、全く思い出せない」
「・・・」
さとりは片目を閉じたあと、ため息をついた。
「確かに頭に衝撃はありましたけど、そんなすぐに記憶って失うものなのかしら・・・。まぁ、ジャイロさんにあの男と言ってもわからないですよね。前に襲撃されたときは勇儀さんがいたから何とかなりましたが、今回は勇儀さんがちょっと人里を離れていたのもありまして」
「だから、あの男って誰なんだ!」
俺はさとりの言うことに腹立たしくなり、頭が痛いのを無視して大きな声になってしまう。
「柱の男ですよ。今回はカーズだけですが」
「柱の男?・・・カーズ?」
「やっぱりわかりませんか・・・
あなたはそのカーズに完全敗北しました。そして太刀打ちできず、鉄球をまるでビー玉を弾くみたいに簡単に跳ね返され、彼の能力の刃で傷だらけにされました。
仗助さんのスタンドでさえ、遊ばれていました。最後には彼の大事にしていた髪型を崩されて・・・。
そのスタンドは飾りですか?その能力で、鉄球を治せば・・・いや、何でもないです」
さとりは何を見たのかわからないが、途中で話を終えて口を閉じてしまう。
確かに今、俺はさとりの言うことに苛立ちを隠せなくなっていた。
「そういえば、仗助は!」
「仗助さんなら、向かい側の部屋で寝ています」
俺の質問にドアの近くでこちらを見ていたお燐が返事をした。
「重傷ではありませんが、頭を打ったのかこぶができてました」
俺はそれを聞き安心したが、それよりも次に何をすればいいのか、一つの大きな迷いが生まれた。
もしもまた、遺体を探しているときにカーズがここに襲撃に来たらと考えると、こいつらをここに残しておくわけにはいかない。
とりあえず、俺は新しい鉄球を作り、次の襲撃に備えることを考えながら、次の課題を見つけることに決めた。
「柱の男・・・この世界でまたしてもアイツ等の顔を見ることになるとは」
「知ってるのか?シュトロハイムとか言ったなァ~」
地霊殿とシュトロハイムが住んでいると思われる建物からほぼ同じ距離にある洋風の茶屋で俺たちは偶然会った。
「あぁ。ここに来る前の世界では、ヤツ等に何度も殺されかけた。いや、殺されたな」
シュトロハイムはティーカップ片手に頭を抱える。
「だが・・・次は勝つ!このシュトロハイム、二度目の敗北など想像できぬ!」
「シュトロハイム・・・。よし・・・
共闘だ!