ただ陽乃さんとイチャコラしたいだけの人生 作:暇なのだー!!
「かんぱーい!!」
ガシャン!と一斉に七個のグラスが打ち付けられる。おい割れねえのかよと心配になったが、心は硝子さんほど脆いわけではないらしかった。
七個グラスが一気に持ち主の口へと近づけられると、生ビールの入ったグラスを口に含ませグイッと傾ける。あ〜^
か〜、うめぇ!この濃厚な旨みプレミアムかな?麒麟かな?....あ、オリジナルでしたか。どうやらこの店には二度と来れなくなりそうだ。
「いや〜、久しぶりに集まろうって言われたからウキウキしちゃったよ」
俺の隣に座っている大柄の男性。\ ウホッ!いい男! /
その男性は俺が刃物を持って立ち向かってもチビってしまうような男らしさを放っていた。ちなみに彼女持ちのリア充である、ばくはt....逆に殺されるそうだわこれ。
その良い男の他にも、エキサイティッドゥやらチャラチャラチャラっ、ムフフフフっとしている癖の濃い連中が集まっていた。説明になってねえなこれ。
どうやら、今日は陽乃さんが高校の時に生徒会長を務めていた時のメンバーらしい。
大体はバラバラになってしまい、疎遠となってしまったが今日、陽乃さんの一声で集まったと言っていた。
──さて、なぜ俺がそんなメンバーの中、御招待されたのか?
....ぶっちゃけ分らない。陽乃さんに聞こうにも、席はほとんど対角線側で、他の女性と会話をしているので顔を見ることしか出来ない。
まあいいか。
もう一度ぐびり、と生ビールを口に入れる。
シュワシュワっと口の中に広がるあわあわでもう何かどうでも良くなってきた。....酔ってんなこれ。
ぶっちゃけ俺未成年なんですよ....なんて言えるハズもなく飲んでいるが....絶対に真似しちゃいけないよ!とお決まりのセリフを吐かなければいけない気がした。
いい気分だなー、と鼻歌を一人で歌っている。
すると、俺の素晴らしいハーブの美音を聞いたのか、良い男に詰め寄られた。
いえ、僕そっちの趣味ありません...あ、年齢?二十四歳、学生です(大嘘)
「お前が久遠だな?よろしく、俺は二瓶聡。ここから少し離れたところで大学生やってる」
さっぱりと俺に自己紹介をしてくれた良い男は聡という名前らしい。しかし、何だろうこのいかにもいい人オーラが湧き出てるのは。背中から何か黄色い、こう、神々しいものが....
微妙な顔をしていると、わははっと良い男が豪快に笑い飛ばした。
「そんな不安な顔すんなっての!安心しろ!生きてる人間皆兄弟、すなわち家族だ!」
今のキリスト教徒さんでもそんなこと言わねえだろ....という超謎理論を証明する良い男。そんなん俺より年下の女の子か皆妹って事じゃないですかー、つまり一万人
尚、俺の妹達は兄をゴミを見るような目で見る模様。
──人とまともな会話をするのは何年ぶりだろうか。思い出話に夢中になっている、俺を覗いた六人を見ながら思う。
確か最後に話したのはお母様に自分の年齢聞かれたときだ。真実を言っただけなのに殴られたが。
まあ、いつまでも黙っている訳にもいくまい。
陽乃さんに隠されている事を考えながらも、六人の目の前で口を開き始める。どのような話題を話せば良いのか忘れていたが、体では覚えているようで話題など無く自由に笑う。
ぽつり、ぽつりと。話し始める。
すると、冷えきった何かが溶けていく感覚に見舞われた。しかし、それは決して不快感など無く反対にその違和感が心地いいと感じていた。
そして、俺が話し始めたのがきっかけとなったのか、再びこのグループの会話の熱は増していく。
店に入店してからはや三時間。閉店間近となる直前まで俺たちの会話の波は収まらず、ずっとどんちゃん騒ぎをしていた。
会話の波がやっと静まったのは、店員による閉店宣言。その時は流石に迷惑はかけられないな、と皆が店の外に出た。
季節は七月。初夏も過ぎこれから真夏へと向かう日本では、生温い風が空を切っている。その風が肌に突き刺さった。アルコールが入っている体を冷めるのにはちょうどいいなぁ....と少しぼーっとしてしまった。
「今日は皆集まってくれてありがとね〜」
にこにこ、と陽乃さんは俺達に向かって言う。
「いや、こちらこそだな。楽しかったぜ」
良い男─聡さんがお礼を返すと、同じく、とこのグループの中で声がはもる。こんな些細な事でふふ、と笑みが溢れた。
正直に言えばとても楽しかった。気を使わない友人というものはこんな感覚なのだろうか、と勉強にもなった。
聡さんから友人宣言されたのは嬉しい、アドレス帳やL○NEの友達も増えたのもとても良かった。
その後一言二言会話を交わし、さよならー、と解散した。明日はそれぞれの予定があるということなので、二次会という話しは無かった。多分二次会なんてやって帰ったら俺ゴミ置き場あたりで寝るかもしんねぇ....
この店から近い俺と陽乃さんは皆と分かれて徒歩で家に帰る事となった。
隣を歩く陽乃さんは、アルコールが抜けていないのか頬が紅潮していた。彼女の美貌と頬の紅潮しているWビューティーがベリーマッチしていて、思わず見ているこっちが恥ずかしくなってしまった。
「久遠君」
ドキッと心臓が跳ねる。普段呼ばれない名前なので反射的に反応してしまった。顔の筋肉も固まりそうだったが、思い切り顔をしかめ笑みを作る。
「楽しかった?」
こちらを向き、俺の目を見ながら問いかけられた。
そんなこと、考えるまでも無かった。
「はい、楽しかったです。とても。」
社交辞令や皮肉、邪念など自分でも一切含まれていないと思うよなはっきりとした声音で答えた。
「そう、良かった」
その答えに陽乃さんは満足してくれたのか、顔に笑みを浮かべながらうんうんと頷く。
「あの....なんであのメンバーで俺なんか読んだんですか?」
純粋な疑問をぶつけてみる。ぶっちゃけて言ってみるとあのメンバーなら、俺が居なくても会話は盛り上がった筈だ。
「うーん....言わばお礼かな?」
「お礼?」
うん、と陽乃さんは頷く。
「あの事故で私や雪乃ちゃん、運転手の要さんにいちゃもん付けずに許してくれた所かな」
ふむ、と頷く。それは理由である。意味では無かった。
しかし、それだけでは今日俺を誘った意味がわからない。
じゃあ、なんで、と口を開こうとしたがそれは陽乃さんの声によって遮られた。
「私は貸しなんて作りたくないから、どんな事すればイコールになるかなぁ....って思ってね。
だから、何が好きなのかなー?とか思いながらこの一ヶ月間見てたけど、久遠君友達も居なさそうだし誰とも喋らないからわからなかったんだよー」
「中々はっきり言いますね....」
「だってホントの事でしょ?」
あはは、と悪びれもなく笑う陽乃さん。美女に笑われて悪い気分はしない。ぶっちゃけ俺の事を蔑みながら笑ってくれたら性癖が一つ増えてしまう。
だが、その笑顔とは裏腹に彼女の言動から察するに本当に苦労してくれていたようだ。それは素直にありがたい。
「君が好きな食べ物とか、音楽とか、本とか、些細な事でも知りたかっただけ。それざ君を呼んだ意味にならない?」
「一杯食わされましたね....」
今日、あのメンバーを読んだのは俺の事を調べるためだったのだ。もちろんそんなことのために呼ばれたと言われ、メンバーの一人がうっかり俺に口を滑らせないために、誰にも教えなかったのだろう。
とほほ、と肩を落とす。どうやら、対象を観察していたのは俺の方だけではなく、彼女の方もだったらしい。
これでは彼女の
改めて自分の目を鍛え直さなきゃな、と失笑する。
「ふふふー、私結構やるでしょ?これから一杯貸しを返していっそ、借りまで作っちゃうんだから」
「....それは困りました....俺も貴女に対する借りがますます多くなってしまいそうですね....」
え?と怪訝な表情をする陽乃さん。笑みが消え、違う表情となっても美しさは損なわれ無い。
陽乃さんは俺の顔を覗き込む。その、見定めるような漆黒の瞳に思わず逸らしてしまった。
尚も陽乃さんの視線は遮れなかった。
その美貌が損なわれぬ顔で彼女の口は開く。
「....君は他にも色々な事を隠してるね」
ふっ、と微笑み俺の顔を見ながら陽乃さんが放った言葉は図星である。
再び、ドキリと心臓が撥ねる。先程の浮かれたものではない。緊張であった。
俺が彼女に隠している事など幾らでもある。しかし、今は話せない。話してしまったら俺の全てがバレてしまう。
故に、まだバレる訳にはいかないだろう。
震えそうな口で言葉を紡ぐ。
「....隠してるとしても、そこまで暴くのが雪ノ下陽乃。そうでしょう?」
「ふふ....君は私の性格を知っている様だし....一筋縄じゃ行かないかな?」
無理矢理笑みを張り付けながら、苦しみ紛れに言った言葉はどうやら彼女の心に火を点けてしまったらしい。
やっちまった。
俺の原動力となったのはこの
何にも縛られず開放的、しかしやるなら徹底的。
徹底的に調べる対象が俺となり、少し後悔してしまうが、そんなことで弱みは吐いていられない。
なら、俺はそれを隠し通して理解するモノとなろう。
下僕でも何でも構わない。ただ、彼女の全て事を理解することができれば、それでいい。
それならば、負けられない。この彼女の事をすべて理解するまで、自分の本心は隠し通さなければならない。
すう、と息を吸い込む。
「「負けない」」
彼女の声とはもる。存外、彼女も負けず嫌いなようだ。
ふっ、と二人で微笑みぽつり、ぽつりと言葉を交わしながら夜の街へと帰って行く。
....これって陽乃さんと友達になったん?
二人きりで飲むと思った?(ゲス顔)....俺も最初はその方向でした。だけどまずは外堀から。
\ ウホッ!いい男! /の聡さんはこれからも出す予定。
そしてやっと三話でプロローグ的なの終わり。次回から話進めます。
※未成年の飲酒は法律違反なので絶対にしてはいけません