願い雨   作:夜泣マクーラ

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彼の孤独の未来、彼女の受け継いだもの

「余裕、なさ過ぎだろ俺。大人気ねぇな」

 陵を迎えに来た鷺沢に、今日は用事があるからここまでだと、リスニングが苦手だというので、海外のホームドラマのDVDを陵に渡して早めに帰した後、先程の自分を振り返り反省。

 普段通りの俺だったなら、あの場所に陵と鷺沢がいた事にすぐに気付いたはずなんだが、気負い過ぎて余裕なんて微塵もなかった俺は、どうやら視野が狭まっていたらしい。

 気負うなと言うのは無理があるかもしれないが、それでも自分のミスだってのに、これ以上探らせない為にあえて陵の心が最も抉られるような言葉と態度を選んだ。

「主演男優賞でも狙ってみるか?」

 あいつが望むいつも通りで、笑って誤魔化せば良かったかもしれない。だが、それだと陵は更に踏み込んで来ようとしただろう。

「……気の迷いって気付いてくれればいいんだけどな」

 伊達にあいつより人生経験を積んでいるわけじゃない。あいつの心の揺れ動きなんてとっくに気が付いている。陵が八方塞で迷子になっている中、俺は愚かにもその手を引いてしまった。だから、あいつは見失う。本当に大切にしなければいけない気持ちを。決して失ったわけじゃないソレを、自分で見えなくしてしまっているだけなんだ。

「お前はお前の一番の場所にいるべきなんだ」

 鷺沢以外にお前を世界で一番幸せに出来る男なんていない。

 俺はお前のふわふわと揺れて浮かぶ気持ちを、自分の都合の良いように利用して引き裂ける屑だ。

 知っていたよ、お前がわざと憎まれ口を聞く不器用な甘えを。

 見えていた、仮面で隠そうとしても滲み出る嬉しそうな顔も。

 聞こえていた、必死に揺れ動く心を引き留める苦しそうな声。

「屑、だよな……」

 みなもちゃんも、詩音も、小夜美さんも、皆を俺は惑わせてきた。助けてなんて言われてもいないのに、良い人ぶって手を貸して……なんてクソ野郎だ。自分さえも救えやしないくせに、偽善もここに極まれりってな。

 どうすればいいのかなんて、とっくに知っている。遠慮なく弱音を吐いて、唯笑に、信に寄り掛かってしまえばいい。それだけで俺は自分の幸福へと歩みだせる。それだけのことなんだ。

「……なんて、出来るかよ、んなこと」

 足掻いきながら光へと手を伸ばそうとも、その手を俺は自分で引き千切る。助けを求めようものなら喉を潰す。眩い陽射しに惹かれてしまうなら、両目を抉る。

 俺は弱い。世界中の誰よりも俺は弱い。誰にでも縋りつけるのに、そうすることが出来ないほどに俺は脆弱だ。

 信、唯笑……ごめんな。俺には許されない、許せねぇんだ。俺だけがお前等が望む幸福の中に居られるなんて、そんなの俺は……

 温度のない部屋の中、壁にもたれかかる。かつての最愛が見える場所に。

「せめてお前等だけはどうか」

 陽の射す温もりに満ち溢れた道を歩んでくれ。それがせめてもの俺の救いなんだ。

 

 

 

 本当なら今日は一蹴の部屋に泊まるはずだった。一蹴の為に食事の準備をして、今日あった他愛ない出来事を話して、穏やかな気持ちのまま一緒に眠る。そういう、恋人が過ごすなんでもない一日で終わるはずだった。

 明かりも点けず、月明かりだけが射す自室で膝を抱える。

 さすがに一蹴も変に思ったよね。だけど、とてもじゃないけれど一蹴と一緒に恋人の顔が出来る心境じゃなくて……

「他人、か……ふふ、私ったらなんで思い上がっちゃったんだろ」

 三上さんと彩花さんの事を話してもらえて、教えてもらえた事が特別だとでも勘違いしたの?今坂さんと稲穂さんしか知らない過去を知って、二人のように他人じゃなくなったとでも?

「そんな事……あるはず……――ッ!!!!」

 胸の中で渦巻く荒れ狂う何かを撒き散らすように、私は枕を感情の赴くままに壁に投げつける。

「うッ、ああ……ああッ――――!!!!」

 それだけでは抑えられない激情が決壊したかのように流れ出す。

 近くにある物を手にとっては投げ、振り回し、打ち付ける。

「他人なら、なんでッ!!」

 

 

『自分の問題から目を逸らさないで、それでも笑うんだよ。雨はさ、冷たいだけじゃないんだって……そうすれば、時間が経てば気付くはずだから。そういうふうに出来てるもんだ。そんでな?今度俺が君と会ったらこう聞くよ……雨は上がったか?って。その時はさ、笑顔で君なりの答えを聞かせてくれるか?』

 

 

「放っておけば良かったじゃないですかッ!!」

 

 

『おい小娘?今のはどういう意味だ?三秒で答えろ、答えなければジェノサイドだ。はい、3.2』

 

 

「何もわからないふりして、勝手に手を差し出してッ!!」

 

 

『今日、これから教えてやる。やり直せない間違いを、どう償えば良いかを』

 

 

「最初から他人でいて欲しいのならッ!!」

 

 

『お前は出来ることをしたんだ。後は俺と信に任せとけ』

 

 

「自分を隠したいのならッ!!」

 

 

『いってぇーーーー!!折れる!俺の中指折れるから離せ陵!』

 

 

「手放せるような軽い関係なら手なんか引かないで下さいよッ!!」

 肩で息をしながら部屋を見回すと羽毛が舞っていて、整頓されていた部屋は本や小物があちこちに散らかっている。その惨状は、まるで今の私の胸の内そのもののよう。

「離さないって、絶対離しませんって言ったのに……」

 見た事もない知らない誰かの顔をした三上さんに、私は怯え恐怖し、他人と言う言葉に殴られて、私はあの人の手を離してしまった。

 手放したのは三上さんじゃない、三上さんの仮面に怯えた私が三上さんから離れてしまったんだ。

「恋人じゃなくても良いんです」

 言って欲しくなかった。か細くてもあなたと繋がっていられるのなら、それだけで私は生きていけたんです。あなたの笑顔があれば、誰といても私は笑顔でいられる……だから、あなたを悲しませないように、傷つけないようにって、そればかり考えて、不格好な仮面を被って……

「ただの教え子ってだけでも十分なんです」

 時間が経てば、私じゃない誰かが三上さんの隣にいて、私は一蹴の隣にいる。時間が何もかもを解決してくれるはずと信じていて……

「それすらも許してくれないんですか?三上さんのこの先を見させてもくれないんですか?」

 三上さんの過去に彩花さん以外の何かがあったのは間違いがなくて、そこに踏み込むことを三上さんは誰にも許そうとしない。無理矢理抉じ開けられる鍵を持っていても、それを回すことを許さない。だって、私は三上さんにとって他人以上でも以下でもないんだもの。

 あの日、偶然手に入れてしまった鍵は私が持っていてもガラクタでしかない。そして、この鍵を回せる二人に預ける事を三上さんは許さない。預けてしまえば私は三上さんとの細い細い糸が途切れてしまう。

「嫌です」

 どこにも行けずに一人で泣くことも忘れてしまいそうな、途方もない暗闇にいた私を救ってくれた、折れてしまいそうな心を不器用な手で治してくれた、かけがえのない存在。

「嫌、ですよぉ」

 失えない、失いたくない。他人でも何でもいい。三上さんを失ったら私はどこに向かえばいいのかもわからなくなってしまう。

 ベッドにちょこんとある、キュロッシーのクッション。

 

 

『ほら、やるよ』

 

 

 クッションを手繰り寄せ、ぎゅっと抱き締める。

 本当は可愛いだなんて思っていないクッション。ただ三上さんと遊ぶのが楽し過ぎて、もっと遊びたくて適当に選んだ不細工なキャラクターのクッション。

 欲しくなんて全然なくて、三上さんとふざけ合っていたかっただけ。それだけのはずのどうでも良いクッション。でも今は……

「どうしたらいいんですか?」

 大切な人からの、唯一の贈り物。

「助けたいのに、助けたくないの……」

 

 

 

 ――あのね、今日の夜にお父さんの荷物が届くんだって。だから帰らないといけなくなっちゃって、ごめんね一蹴。

 

 

 寂しさなんて感じる事のない予定だった今日、俺は一人で帰ってきた。冷蔵庫には二人分のプリン。いのりが好きだから、いのりが来る日はいつも買ってある。

 何も食べる気力が起きなくて、布団も敷かずに寝転がる。

「荷物、ね」

 知ってるかいのり?俺さ、いのりの嘘に気付いてやれなかった事をめちゃくちゃ後悔してんだ。お前と恋人をもう一度始めようって決意したあの日から、俺はお前から目を逸らすことを止めたんだ。独り善がりの恋は卒業したんだ。だから、わかっちまうんだ、お前が気付かないお前の癖を俺は知っている。

「嘘、なんだろ?」

 お前が嘘を吐くとき、決まって同じ笑顔で用意されたようにすらすら喋るんだ。荷物が届くなんて嘘なんだよな?

 引き留めて、何があったのかを聞くべきだったのかもしれない。そもそも、三上が事前に何も言わないで、俺が迎えに行くのに合わせたかのように、いのりを帰したのはなんでだ?

 もしかしたら、という危惧はある。でもいのりはそれに答えないだろう。自分の胸の内を俺に悟らせないようにするに決まってる。

「三上に聞いたんじゃないのか?」

 あの事を聞いて、どうなったのかは知る由はない。だけど、いのりが動揺して取り繕うような嘘を吐いた何かがあったはずだ。

「……あ~!クソッ!」

 自分の不甲斐なさに苛立つ。わかってるよ、いのりが誰を見ているのかくらい。そんなの火を見るより明らかってやつで、俺はそれに文句を言えない。いのりの涙を拭ったのは俺じゃない、恋人の俺が拭わなきゃならない涙を、三上が笑顔に変えたんだ。その事に文句を言うなんて、逆恨みでしかないし格好悪い。

 今はいのりの心は三上に向いていても、そのうちまた俺へと向けさせてみせる。俺にはその自信がある。もちろん根拠もあるんだ。三上は、あいつは絶対にいのりを好きになる事はない。いいや、いのりだけじゃない。他の誰かを好きになる事なんてあり得ない。

 同じ男として、唯一人を愛し抜くその姿には嫉妬すら覚えてしまいそうだが、だからこそいのりの想いが叶う事はない。

 なら、さ。今度は俺がいのりを支えてやるんだ。どんなに三上が好きでも、心許していても、いつかまた俺がいのりを好きにさせてやるって。

「だっせぇな、俺」

 初めから棄権している相手だから安心って……けどよ、しょうがねぇじゃん。あいつは俺に出来ないやり方でいのりの心を、過去を救ってしまった。いのりだけじゃない、俺の事まで一緒に掬い上げやがった。そんな狂った馬鹿に勝つ自信なんてどう足掻いても湧いてこねぇんだもんよ。

 格好の悪い俺は、それでも相手が三上で良かったと胸を撫で下ろす。

 三上の苦悩と苦痛を知らなかった俺は、そんな最低と自分でさえわかる自分を肯定していたんだ。

 

 

 

「ふぅ~ん、酔い潰れて弱った智也君に~、へぇ~、母性全開で甘やかしてぇ~?抱き締めてぇ~?それだけに飽き足らずぅ~?」

 ゲソ唐をぼりぼりと咥えながら、ビール片手に不貞腐れる小夜美を前に、私は肩を縮こまらせながら、ちびちびとビールを口にする。

「チッスを!チッスをしましたってぇ~!?」

「チッスって、もう完全なおじさん口調じゃないの」

 とある居酒屋の片隅で、小夜美はぶすっとした顔でず~~~~ッと私をねちっこく責め立ててくる。

「あによ?文句を言える立場じゃないでしょあんたは。あたしの好きな人にぃ~、親友の好きな人にぃ~、チィ~ッス……をした重罪人」

「なんでチッスが色気のある発音になってるの」

「うるさいうるさいうるさ~い!何よそれ何よそれ何よそれッ!あんたちょっと表に出なさい!張っ倒してあげるから!」

「もう精神的には倒されてるわよ」

 小夜美の絡み酒が酷くて、他のお客さんの視線に晒されて恥ずかしくて倒れそうだもの。ていうかチッスチッスうるさいのよ。

「てかねぇ!満塁ホームラン打った気になるんじゃないわよ静流。あんたが打ったのは自打球なの」

「なんで野球で例えるのよ……ヒットってとこかしらね」

「智也君は意識なかったのよねぇ?じゃあノーカン!無効試合~!ざまぁみろぉ~!」

「大人気ないし」

「あんだとぉ~?んじゃあ、今から智也君呼ぼうか?」

「なんでそうなるのよ」

「んで酔い潰す。酔い潰してあたしもチッスするもんねぇ~だ!」

「させるわけないじゃない!ていうか、チッスがマイブームにでもなってるの?」

「何よぉ!だって卑怯じゃない静流ばっかりさぁ!寝ている男しか奪えない卑怯者~」

「表に出なさい小夜美。タクシーで強制送還してあげるわ。あなたの財布でね」

「事実じゃないのよ。逆ギレとかだっさぁ~」

 あまりにしつこい小夜美に、ついつい自分が悪いにも関わらず堪忍袋が限界に近くなる。しつこいお客を相手にしている水商売の方達を尊敬してしまう。

「だから言ってるじゃないの。あの時は智也君がどうしてか弱っていて、だからこう……ね?」

「ね?じゃないわよ。上目遣いとか同性に止めときなさいよ。ぶん殴りたくなるだけなんだから」

 はい、ごめんなさい。

「あたしだって智也君を甘えさせたいわよ。膝枕してあげたり~、耳掃除してあげたり~、よ~しよししてあげたりぃ~」

「最後のは違うんじゃないかしら」

「っさいわね。まったく、大体智也君が弱ってって、何があったのかも教えてくれないしさぁ~」

 当たり前でしょ。智也君が小夜美に話しているとは思えないし、私が知っている事も知りたくないだろうし。

 あの時の智也君の譫言(うわごと)は私だけの……

「で、彩花ちゃんの事でどうしたって?」

「そうなのよ、智也君が何度も桧月さんの……ちょっと待って小夜美。今なんて言ったの?」

 とんでもない一言に思考がフリーズしてしまう。今小夜美はなんて言ったのかしら?聞き間違いじゃなければ彩花ちゃんって言ったような?

「あ~、やっぱりそうなのね。ま、智也君が弱ってるってのに関係するのは彩花ちゃんの事だろうしねぇ」

 間違いない、小夜美は智也君と桧月さんのことをどうしてかわからないけれど知っているのね!

「ななな、なんで知ってるのよ!」

 動揺する私をぽりぽりと砂肝を食べながら、つまらなそうな視線を投げかけてくる。

「なんでも何も、ちょっと智也君と中学が一緒だった子に聞けば一発よ。多分、あたし以外も知ってるわよ。知っていて、智也君から話してくれるのを待ってるだけなの」

 そういえば、小夜美は澄空学園の購買で働いていたのよね。智也君の中学時代の事を誰かに聞いていたとしても不自然じゃない。

「あっら~、もしかして自分だけが知ってるとか優越感に浸っちゃってたのかなぁ?ざ~んねんでしたぁ~!れろれろばぁ~」

 両頬を今世紀最大の威力で張り倒したい。

「でも、知っているからってどうしてあげる事も出来ないのよね。智也君が弱音を吐いてくれない限りは、あたしは支えても上げられないのよ」

 ため息交じりの言葉と共に、ぐっと一気にビールを飲み干す。小夜美の瞳には智也君はどう映っているのかしら?私とは違う智也君がそこにはいるのよね?

「ほ~んと、嫌になるわよねぇ。男の子っていくつになっても意地っ張りでさ。抱き締めたくて仕方ない女の気持ちなんて、いっつも置いてけぼりで……」

「それは智也君の事?それとも……」

「両方よ」

「そうだろうと思った」

「あたしねぇ、別に静流が智也君を支えられるのなら、別にそれでもいいのよ」

「小夜美……」

「絶交するけど」

「全然良くないじゃないの」

 真っ赤な顔に虚ろな瞳。相当酔っているみたいね。

「時々怖くなるのよ。このままあの子みたいに、智也君がなんにもしてあげられないまま消えちゃいそうな……そういう儚さとは無縁なはずなんだけど、それでも夢みたいに消えそうで怖くなる時があるの」

 ほらね、酔い潰れる直前じゃないの。私が感じてしまった不安を、弱音を口にするなんて小夜美らしくもない。

「だからね、あんたが羨ましいのよ静流。酔っぱらっているとはいえ、一時的にでもあんたは智也君を抱き締めてあげられたんだから」

「……一時的にするつもりなんてもうないけれどね」

「コロッセウムで死闘でもしましょうか?」

 まだしっかり意識があったのね。

「なんでも智也君とは産まれた時から一緒で、唯笑ちゃんと智也君といつも三人でいたらしいのよ。でもって恋人でもあったわけよ」

「……そんなに長い時間一緒だったのね」

 彼女を失った智也君の悲しみを私なんかが軽々しく想像出来ない、してはいけない。それでも……

「まあそれはそれとしてよ、問題はそんな智也君を知り尽くしている化け物をあたし達は相手にしなきゃなんないわけよ。チートもいいとこよ」

 彼女と重ねた時間に比べたら、私達が重ねた時間のなんと軽い事か。でも過去ばかり見ていても智也君は振り向いてはくれないわよね。

「死んだ奴をライバルにしても一生勝てない」

「なによそれ?」

「私の言葉よ」

「テンチョーのでしょうが」

「しっかり覚えてるじゃないの」

「そんなの言われなくたってわかってるわよ。それに、今の智也君の事はあたしのが彩花ちゃんよりも知ってる自信あるしさ」

「自信過剰じゃなければいいわね。同意するけれど」

 二人ビールを呑み干して、店員さんにおかわりを注文し、新しいビールが来て第二ラウンド再開。

 半分ほど一気に飲み干して、ギロッと睨まれる。

「あ~あ!もう!あんたが前後不覚になるくらい好きになるって知ってたら紹介なんかしなかったのにさぁ!」

「良い人を紹介してくれてくれてありがとう。最高の親友ね」

「その度胸といい性格は〇フオクで買えるの?」

 私の感謝の言葉を舌打ちで受け止め、そうして私達は笑い合う。どんなことがあっても私達は同じ人を愛してしまった、世界で一番気の合う親友だものね。

「ふふ」

「はあ、まったくあんたって親友は」

 ふたりで遠慮なく笑い合い、もう私達ってしょうがないわねぇと穏やかに口にして残り半分のビールを同時に呑み干し――

『叩き潰すわよ?』

 ジョッキをテーブルに叩きつけて不敵に宣誓の笑みを浮かべ合った。

 

 

 

 

 

 店内は紅茶やコーヒーを飲みながら友達と取り留めもない話をしていたり、仕事の時間を潰す男性や、待ち合わせをしているらしい人、様々な人達で賑わっている。

 落ち着いたジャズが流れている空間には、コーヒーと紅茶の心地よい香りが漂い、思わずほっとしてしまいそうな癒しがあった……私は全然癒されませんけど。

 テーブルに肘を付き、う~あ~……と頭を抱える。

 学校の帰りにちょっと気分転換がしたくて、普段は来ない藤川まで一人で足を延ばしてしまった。これが第一の選択ミス。でも、まだ致命的なミスなんかじゃなかった。

 クリスマスまで一月を切り、一蹴へのプレゼントの候補を探そうとぶらぶらしていて、あ、このアウターなんか一蹴に似合いそうと、窓ガラス越しに覗いてしまった。ここで小さなミス二つ目。外から窓ガラス越しに見ないで、店内に入るべきだった。

 極めつけのミスはその後に起こった。

 

 

 

 

 窓ガラスに映った忘れようにも忘れられない女性が、道の反対側を歩いているのを目にしてしまい、私は逆らえない力が働いたかのように道の反対側へと振り向いてしまった。

 すると、道の反対側にはあの日『ファミーユ』で三上さんと話をしていた女性が、あの日のようにビシッとスーツを着こなし、ピンと背筋を伸ばして歩いている姿があった。出先の帰りなのか足取りはゆっくりで、労働中の大人特有の雰囲気はなさそうだった。

 不意に浮かぶ三上さんなのに、三上さんじゃない誰かの能面の笑顔。

 関係、ない。関わるべきじゃない。

 ただウインドウショッピングをしていて、偶然見た事のある人が通っただけ。それだけの事だもの。さあ、気を取り直して一蹴へのプレゼントをどうしようか考えよう。

 そうだ、当日は一蹴に内緒でケーキを用意して、誰もいないと思って帰ってくる一蹴を待伏せしよう。帰ってきた一蹴の驚きと喜ぶ顔。それだけで私は満足なんだもん。そうだよ、ナイスアイディアだよ私。

 ケーキに蝋燭を灯して、オレンジの光に魅入って、二人で一緒に蝋燭の火を消して、いつもよりも手の込んだ料理を二人で美味しいねって笑い合いながら食べて……

 想像すると自然と頬が緩みそう。嘘じゃない。だらしない顔を私はしていて……

「あれ?変なの……変、だね?」

 だけど現実は残酷で、窓ガラスに映る私の顔は、中途半端に笑おうとして引き攣った、とても不細工な顔だった。

 駄目だよ、もう少しだけここにいて。お願いだから、動いちゃ駄目なんだよ。

 どんなに三上さんが救われていなくても、誰にも理解してあげられない深い、深い闇の中にいても、三上さんはその場所に誰かが入り込むことを許さないんだもん。入り込もうとしてしまえば三上さんは私を記憶から排除しようとするんだよ?そんなの、私には耐えられない。これまでの何もかもが、初めからなかったかのように消えてしまうなんて……そんなの、私……

「うん、そうだね。帰ろう。帰って今日の事も、この前の事も忘れないとだよね」

 あの時、三上さんが稲穂さんと一緒に私を裏切った演技をした夕暮れを思い出す。

 嘘の裏切りでさえ、私は立っていられなくなりそうだった。あの時の恐怖が今もこの胸と瞳に焼き付いている。これ以上関われば、あれが現実となって襲ってくる。想像するだけで私は頭の中が真っ白になってしまう。

 そうと決まれば駅に戻ろう。戻って明日会う三上さんといつもをしないとね。何も変わらない、変わってはいけない私の大切な日常を続けるんだ。そう、するって決めたんだから。決めた、んだから……

 

 

『俺なら、例えどんな声でも良い。俺を傷つける言葉を百並べられても構わない……それでも俺は、会いたいって願っているから。俺、馬鹿だからさ、逃げたくないんだよ。全部受け止めたい。それがどんなことだって良い。それが大切な奴なら尚更だ……その声ですら大切だと思えちまうから、だから真っ直ぐ向き合いたい』

 

 

「――――ッ!!」

 私は走り出す。私が望む日常とは正反対へと向かう、望まない道を震えて折れてしまいそうな足で。

 ふざけないで下さいよッ!大切だから向き合いたいって、どんなに怖くても受け止めたいって、私にはなかった強さを教えたのは三上さんじゃないですかッ!

「おわっ!?」

「すみませんッ!!」

 道行く人にぶつかってしまい、転びそうになってしまう。それでも倒れてなんていられない。倒れないように力の限り踏ん張り、逃げたくて泣き出しそうな心を三上さんがくれた強さで圧し潰す。

 なにが他人ですか、いいですよ上等です。他人になれるならやってみればいいんです。どんなに貴方が私を遠ざけようと、私は何度だって距離を縮めてみせますから。

 貴方の背中に触れられなくても構いません。貴方の背中を支える人を私は支えます。そんな距離で良い、その距離で充分です。

 頑張って、頑張って、諦めきれなくて泣きじゃくって、それでも届かなかったとしても……

 

 

『何があったかなんてわかんねぇけど!でも、あんな……俺、あんなのに助けられたのかよッ!あ、あんなに……あんなに苦しんでいる奴に助けてもらったってのかよッ!!』

 

 

 それならせめて、最後の悪足搔きで私は貴方が情けなく泣き叫びながら、形振り構わず私を傷つけてまで守ろうとしている、貴方を閉じ込めている檻を壊してみせますッ!!

 一蹴だけじゃない、私の仮面を自分勝手に剥ぎ取って、やり直せない私の過去を取り戻してくれて、どうしようもない泣き虫で弱虫で卑怯な私を……溺れて抜け出せなくなってしまった私を、光の射す場所へと引っ張り上げてくれた貴方を今度は私が、光の届かない深い場所にいる貴方を私が引っ張り上げて見せますッ!!

 どれだけでも私を傷つけて見せればいい、壊せばいい。そんな事じゃ私はもう止まりません。貴方のように、不躾に土足で貴方の奥深くに入り込んでみせます。

 貴方がくれた強さで、私が弱い貴方を助けますから。だって、私は他人だとしても――

「待って……」

 ――貴方のたった一人の教え子なんですから。

「待って下さいッ!!!!」

 

 

 

 十分前ほどのアドレナリンの分泌量が限界を超えた自分を思い出し、い~や~ッと熱くなる頬を抑える。

「えっと、百面相しているところ悪いのだけれど、ミルクティーで良かったかしら?」

「うう、気にしないで下さい。恥ずか死しそうなだけなので」

 お盆に私の分の飲み物まで持ってきてくれて、理知的な顔立ちで眼鏡をかけ、私には到底なれないだろうなという出で立ちの女性が、苦笑しながら席に着く。

 眼鏡の奥にある瞳は、なぜか少し嬉しそうに見えるのは気の所為かな?

「それで、三上君の事で話があるということだけれど、その前に一ついいかしら?」

 せめて血が上って熱くなった顔と気持ちを落ち着かせようと、ミルクティーへと口をつけ……

「間違っていたらごめんなさいね。貴方もしかして三上君の恋人?」

 変なところに入って咽てしまった。

「かは、ごほ……ちちち、違いますッ!!」

「あら可愛い反応。からかってごめんなさい」

 意地悪く笑う女性、これが彼女蒔田透子(まきたとおこ)さんとの、唯一三上さんの心の奥底を開く為、壊す為の鍵を持つ女性との出逢いだった。

 

 

 

 閉店間近の『ならずや』はバッシング作業の水の音と、静かなピアノの旋律で満たされている。

 閑散とした店内、フロアには俺以外の客の気配はなかった。

 コーヒーに映る自分の顔に苦笑する。

 俺は今まで何をしていたんだろうな。彩花ちゃんの代わりに唯笑ちゃんとあいつを支えてやろう、雨の中にいるあいつに陽射しを見上げさせてやろう。それが出来なければ、せめて傘を差して一緒にいてやろう……そうしてあいつと過ごしてきた。

 最近はいのりちゃんのお陰で、あいつが誰かを求めるんじゃないかなんて、そんな淡い期待も抱いていた。いのりちゃんだけじゃない、智也がようやく誰かを意識してくれていたんだ。期待しない方がおかしい。

 だから俺は躱されると知っていてあいつの背中を押したんだ。もうそろそろいいだろうと……躱されるどころか、あいつの心底からの本音に杭を打ち込まれるなんて微塵も考えもしないで。

 家族だと俺を認めてくれたから、だから俺は勘違いをしていた。ああ、彩花ちゃんとようやく肩を並べられたと。あいつの幸福を一緒に願えると。

 だが、現実は違った。俺は彩花ちゃんの代わりにもなれず、あいつは俺に寄り掛かってもくれないまま。こんなの、喜劇にもならない。

「一生、か……」

 あいつは俺の果たすべき誓いを否定した。わかっていて、徹底的に、全面的に否定した。その意味するところは単純で、これ以上自分に関わるなという、俺にとって苦痛を強いる意味を含んだ言葉。

 自分のおめでたさに微かに嘲笑が漏れる。

 俺はやり直したいわけじゃない。例え何も出来ない子供だった自分に戻ってやり直せたとしても、綺麗に取り繕うなんて不可能だ。神にだって許されない冒涜。だからこそ俺は、俺だけは雨に濡れてなんかやらないと、弱い自分のままでいてはいけないと、傘を差して歩く覚悟を決めて智也と……

 そう、俺は彩花ちゃんに誓った事を反故にはしない。智也がどれだけ否定しても俺は俺を貫くだけだ。

「なんてな」

 それでもまあ、正直参ってはいるんだけどさ。これからどうすればいいのか手詰まりだからか、それとも心を正面から打ちのめされたからか、どこに向かえばいいのか迷子になってしまいそうだ。

 どうする?今智也と会っても何を言ってやればいいのか、普段通りでいられるのか、何もかもがぐちゃぐちゃでわからなくなっている。

「しばらく旅に出るかな」

 金も貯まってきたことだし、長期休暇を取って世界を見て来よう。そうすればまた何かが変わる気がする。違った展開が見えてくる。

 とりあえず、ゆっくり自分の視野でも広げに行こうか~。

「あら、また海外に行くの?」

 俺の呟きが聞こえたのか、バッシング作業が終わったらしい静流さんが、自分の分のコーヒーを用意して目の前に立っていた。

「そうしてもいいかなってだけですけど、どこかいいとこありますか?」

 気軽に、落ち込んでいると悟らせないように問い掛ける。

 すると静流さんは、何かを思い出したようにくすりと笑った。

「何かおかしい事言ったっけ?」

「ああ、違うの。ごめんなさい。ただ、やっぱり親友だなぁって」

 どういうことだ?智也と俺の何がおかしいって言うんだろう?

「海外に行くなんて、どうしたの?最近ずっと智也君のところに活き活きして行っていたのに」

 ……しっかり見抜かれていたとは。智也のところに行く前にここに寄ったりしてたのは失敗だったかな。

「あ~、ちょっと気分転換したくてさ」

「そう」

「ところで、やっぱり親友だなぁってどういうこと?」

 今の俺と智也の何が共通しているというのか。

「この前ね、酔っ払った智也君と会ったのよ。珍しい事に」

「……なんだ、そういう事」

「もうべろんべろんに酔ってて、歩けないくらい酷かったから一晩だけここに泊めてあげたの」

「はは、そいつは災難だったね」

「ええ、ほんとうに」

 その時の事を思い出したのか、頬を赤く染めて困ったように言う。

 ……いや、頬を染めてっておかしいだろ。こりゃあ静流さんにも何か――?

「静流さん、智也がなんだって?」

「信君?」

 智也からの強烈な一言に自分でも気付かないくらい凹んでいたらしい。静流さんから漏れた、普通だったらなんでもない言葉。その言葉の異常性にすぐに気が付かないくらいに。

「智也が酔っ払ってたって、いつの話?」

 あの智也が歩けないくらいに酔っていた?あいつに限って言えばそんなことはあり得ない話なんだ。あいつが一番恐れているのは事故だ。事故を起こさないよう、起きさせないよう、あいつはどんなに周りに勧められても自分の限界を超える量を飲んだりしない。

 それが酔っ払っていた?べろんべろんで歩けない?

 俺の知る智也とはあまりにも現実離れしている事実。静流さんの言葉にそこで俺は初めて自覚する。

「確か――」

 

 

 

 『ならずや』を出て俺は駆けだす。

 なんてこった。俺としたことが、智也の言葉なんかで騙されるなんて。

 そうだ、そもそもあいつが理由もなく、底抜けに自分以外に優しいあいつが傷つけると、俺がしばらくあいつから離れるとわかっていてあんな事を言うはずがない。俺の誓いを真っ向から否定するはずがない。

「あの馬鹿ッ!!俺の知らないところで何してんだよッ!」

 起きないはずの事が起こったってことは、あいつにはそうしなければいけない理由があったって事だ。

「あーッ!クソッ!!ふざけんなよあいつ!」

 あえて遠ざけたのはなんでだ?あいつの性格上、答えは一つしかない。俺には知らせてはいけない何かを隠すためだ。言いたくはないが、あの言葉は俺が言わせてしまったようなものってことだ。

 静流さんの記憶が確かならあいつが自分を見失うほどに酒に溺れたのは、俺を突き放した二日後。つまりその日、あいつは自分の禁を侵してでも、酒に逃げなければやってられないような出来事があったんだ。でだ、その出来事の前にどうしても俺を遠ざけておきたかった。

「察しの良い、この稲穂信様が良い知恵授けてやるぜの俺が聞いて呆れる!」

 このままあいつに問い詰めたところで口を割る事はないだろう。自分の中だけで完結させようと俺を遠ざけたんだろうからな。だからって、指咥えて親友が苦しんでいるのを眺めていられる俺じゃないんだよ!そんなに器用に生きていたら、お前の親友なんて、家族なんてやってられないからなッ!!

 閑散とした夜道を走りながら、頭の中でどうにかしてあいつの口を割る為の何かを模索していると、リストの愛の夢がポケットから流れ出す。

 走りながら取り出そうとすると、スマホを取り落としそうになる。買い換えたばかりの最新機種なのに画面が割れるのは勘弁してくれ!

 画面には一蹴とラブラブタイムしているはずのいのりちゃんの名前。

 今は取り合っている余裕はないんだけど、このタイミングでの着信というのが感覚的に引っかかって電話に出る。

「もしもしいのりちゃん?悪いんだけど今は」

 なるべく柔らかく断るように言葉を選んで喋ろうとしたのだけれど、その先を紡ぐことが出来ない。

『稲穂さん、今どこですか?』

 なぜなら、俺と同じようにいのりちゃんも息が上がっている状態で、どこか焦っている様子だったから。

「今?今はならずやを出たとこだけど」

『良かった。なら、三上さんの家の近くの公園で会えますか?三上さんの事で話さなければいけない事があります。一蹴と今坂さんにも連絡して、皆そこに向かってます』

 一蹴も?唯笑ちゃんはわかるけど、一蹴もってのはどうしてだ?智也の事に一蹴も関係しているのか?

「智也の事?まあ、今からあいつのとこに行くつもりだったけど、智也に何かあったの?」

 あまりに様子のおかしいいのりちゃん。焦燥と動揺が混じった声に、俺はどこか嫌な予感が胸に過る。

 走って流れる汗と、明らかに違う汗が背筋を伝う。

『騙されてたんです、私も稲穂さんも今坂さんも皆三上さんに騙されていたんですッ!!』

 渇く喉と唇。

 騙す?自分以外の事しか考えていないあいつが俺達を?彩花ちゃんを世界で一番愛していて、その気持ちを失う事は許せないと憤るあの馬鹿が?

 何を言っているんだ、そんなわけないじゃないかと笑い飛ばせる言葉は、しかし笑い飛ばす勇気を俺は持っていなかった。

 俺をあえて突き放した理由は何か?酔い潰れるほどに酒に溺れた原因は?わからない事が多すぎて、笑い飛ばす事なんて出来ずに、ただ黙っていのりちゃんの続く言葉に全神経を耳に傾ける。

 聞きたくない言葉を聞くとも知らずに。

『三上さんは一人になるつもりなんですッ!!稲穂さんも今坂さんも、誰も彼も自分から遠ざけるつもりなんですッ!!誰の為でもない自分の為に――蒔田淳(まきたじゅん)さんへの罪滅ぼしの為にッ!!」

 いのりちゃんの口から出た名前に、俺は立ち止まり呆然と立ち尽くす。

 蒔田淳、だって?

 ポツポツと顔に何かが落ちてきて、呆然自失の状態で空を見上げる。空に星はなく、月を遮る厚い雨雲が覆っていた。

「な、んでいのりちゃんが知って……」

『会ったんです。会って話をしたんです……蒔田透子さん、蒔田淳さんの妹さんと』

 弱かった雨足は徐々に強さを増していき、俺の身体だけじゃない、心を直接叩きつけるように降り始める。

 いつの間にか通話の切れたスマホを、震える手で壊れてしまうんじゃないかという力で握っていた。

 髪から滴る雨が頬を伝い、地面へと吸い込まれていく。

 下を見ると、俺の足元にはあるはずのない光景……鮮烈な紅が雨と共に流れている。

 なんで、今更その名前が……あの人の名前がいのりちゃんの口から……

 罪滅ぼし?知らない。俺は智也が何をしているのか、何を見ているのか知らない。いや、違うな。そうじゃない。知らないんじゃない、知る事を怖れて踏み出せない。

 

 

『稲穂さんと今坂さんだけなんです、三上さんを助けられるのはこの世界に二人しかいないんですッ!お願いします稲穂さんッ!私の反面教師の三上さんを助けて下さいッ!!』

 

 

 蒔田淳……それは、あの日の交通事故の加害者の名前で……

 

 

 ――罪の重さに耐えきれず、自殺してしまった心優しき男の名前だった――

 




まず最初に……た、たまたまですよ!こんなに更新速いのなんて僕じゃないんだからね!
はいすみません、自分で言って気持ち悪くて吐き気を催しております僕です。

正直な事を少々言ってもいいでしょうか?
あのですね…………静流さんルート入っても良いです?(血迷ってます
可愛いんですよ、報われて欲しいんですよ、社会に疲れた僕を甘えさせて欲しいんですよ!書いていてこんなに女神だと実感するとは、恐ろしい人ですねまったく。

今回の話でようやく智也の過去の扉の前に来たわけですが……あと少し、あと少しでずっと言いたかったことが書けます。
後どれくらい続くかわからない智也過去編ですが、もうしばらくお付き合いして頂ければ嬉しいです。

では、また次回お会いしましょう。
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