願い雨   作:夜泣マクーラ

5 / 20
彼の孤独、彼女の慟哭

 時はもう寝る準備を始める人が多いだろう夜の十時。残業が終わった会社人も多いことだろう。そんな時間、いつもなら部屋で明日の世界平和を祈りながら踊りだす俺だが、なんの因果か二人のレスラーに居酒屋へと連行されてしまっている。

「久しぶりね~、智也君」

「そ、そうだっけ?」

「そうよ~。あたしが就職してからどれだけ会ったのか数えてみなさい」

「月に二回は会ってる気がするのは気のせいかな?」

「月に二回で満足だとでも?静流とは週に何度も会ってるのに!」

 そらそうでしょうよ。キンキンに冷えたジョッキを乱暴に叩きつけながら、焼き鳥に噛り付く姿は、男子達が憧れた美人の購買店員の面影をぶち壊していた。

 そんな小夜美さんの隣で、静流さんはなぜか勝ち誇ったかのような微笑をしている。

「静流……あんた、何を余裕そうにしているのよ?」

「別にそんなつもりはないわよ。私に突っかかるよりも、智也君に聞くべきことがあるんじゃないの?」

 煽らないで下さいよ。

 夕方に起きた『ならずや事変』がここまで尾を引くとは思わなかった。俺、何もしてないんだけどな。ていうか、面倒臭い人に連絡しないで欲しい。明日も仕事じゃねぇのかよ。

「むぅ、そうね。静流はあとで締めるとして」

 物理的に締め落とすんですね、わかります。

「智也君さぁ~」

「な、なんすか?」

「あなた、これだけ……これだけ!天然美少女幼馴染、転校してきた同級生、紅茶の同級生、小動物後輩、なにより!このビューリホーOLにまで手を出しておいて、まだ飽き足らないで、彼氏持ちの清楚系年下にまで手を出そうとするなんて、贅沢にも程があるでしょ!」

「人聞きの悪いことを!誰にも手なんか出してないわい!」

「そうね、出していたら今頃智也君はここにはいないものね」

 頬をうっすら赤らめておっとり色っぽい静流さん?それなら僕はどこにいるのでしょうかね!?

「小夜美も少し間違っているわよ」

「なんにも間違っていないでしょ?」

 おっと、おっとり美人お姉さまの称号をお持ちの最強様が、どうやら俺の擁護をしてくれるらしいぞ。こいつは心強い。

「なんで、喫茶店の美人店長代理がそこに入っていないのかしら?」

「ここぞとばかりに参戦してきちゃったよ……」

「あのね静流?智也君と出会ったのは私が先なのよ?高校生の智也君と過ごした思い出の量が違うの、わかる?」

 思い出の量と食べさせられたパンの量が見事に比例しているけどな。

「それを言うなら、大学生になってから一緒に過ごした時間は私のほうが多いわね」

 主に『ならずや』での思い出しかありませんが?張り合う意味がわかりません。てか、なんの話だよこれ。

 余計な口を出すと、間違いなく朝までコースになることは明白。ここは黙って座しておこう。

「へぇ~、静流……あたしとやろうっての?」

「すぐに野蛮な方向に持っていこうとしないでよ。ただ事実を言っただけじゃない」

「事実~?ぽっと出のくせに」

「そうでもないわよ。大体、面白い男の子がいるのよって紹介したのは小夜美じゃないの」

「こうなるってわかってたら紹介しなかったわよ。あの時は健君がぁ~とか言ってたのにさ」

「それはそれ、これはこれよ。人の心なんて移り変わるものなの」

「ま、妹の彼氏に惚れているよりは健全だけど、だからって親友の気になる男の子にまでって……そういう属性なんじゃないの静流?」

「何を言ってるのよ!智也君は誰のものでもないでしょ!」

 い、居た堪れねぇ~!

 テーブルを見ると、空のジョッキが眩暈を起こしてしまいそうなほどに溜まっている。店員が持っていくスピードを凌駕している!?

 この二人、自分が何を言ってるのかわかっていないんだろうな。それとも、年を取るとここまで明け透けな会話が出来るのだろうか?どうせなら記憶を失くすほどに飲んで欲しい。俺は何も聞かなかった事にするから!

 そもそも、静流さんに気に入られるようなことをした覚えがない。伊波が好きだったっていうのも初耳だし。あの不貞の輩め、彼女の姉までもその毒牙にかけようとしていやがったのか……これだからイケメンは困る。

「あ~!そういうこと言っちゃうんだ!」

「無駄に小夜美が私を智也君から遠ざけようとするからでしょ」

 もうこの二人、俺がいることを忘れてないか?それならそれで構いませんけどね。どうぞ、お二人で好きなだけクリークして下さい。俺は適当にマイペースで呑ませてもらいますから、あとは好きにしてくださいな。

「そこまで言うなら、いっそのこと聞いてあげようか?ねえ、智也君?智也君はあたしと静流とどっちと結婚したい!?」

「ぶはっ!!??」

 しっかり俺がいることを覚えていたらしい。とんだフレンドリーファイアに貴重なアルコールを拭いてしまったじゃないか!

「智也君ならわかるわよね?あたしのが料理も美味しいし、一緒にふざけ合えるし、お互い気を使わないで楽しい関係が築けるって」

 小夜美さん、あなたのおふざけは大方俺の人体に多大な影響を与えているんだぞ。自覚してくれよ。

「智也君、私のほうが……その……」

「あ、今ので決まったかも。静流さんに一票」

「なんでよぉ!」

 だって、面と向かって言うのが恥ずかしくて照れて何も言えなくなるなんて、こんな美人がそれをやったら卑怯じゃん。俺じゃなくても、ちょっと胸きゅんしちゃうでしょうよ。なあ?全国の男子諸君。

「小夜美さん、今の自分と静流さんを見てみなよ。照れずにアピールする自分と、顔を赤くして何も言えなくなる静流さん。どっちのが可愛い?」

「あたしだって顔が赤いじゃない!」

「それアルコールじゃんか!」

「静流だって酔ってるだけよ!むしろ自分にも酔ってるから性質が悪いんだから!」

「自分に酔ってるって……ていうか、二択ならってだけで、ぶっちゃけ俺は別に好きとかそういうんじゃあ……」

 ちびちびと呑みつつ、なんとか宥めようと試みる。この人は何をヒートアップしてるんだか……まだ学生の俺に結婚なんか早いだろ。小夜美さんはなぁ、もうちょっと落ち着けば引く手数多なんだけどなぁ。

「智也君……」

 少しの間静かだった静流さんが、とろんとした目で聞いてきた。

「ハネムーンはどこに行こうかしら?」

 手を頬に添えて嬉しそうに言うものだから、俺も小夜美さんも絶句してしまう。いやいやいやいや!よ、酔ってるだけですよね?そうですよね!?

「わ、私ヨーロッパだったら少しは案内も出来るし、凄く楽しめると思うの」

 真剣と書いてマジだ。酔っ払いのマジだよこれ!

「小夜美さん?」

「なに?」

「あんたの親友を止めてください」

「こうなったのは智也君の責任でしょ」

「原因を作ったのはあなたでしょうが!このままじゃあ俺の人生決まっちゃうんですけど!」

「まさかぁ~、静流だって良い大人よ?お酒の席での冗談でしょう?」

 な、なるほど。さすが親友ですね。静流さんの高度な冗談に気付けないとは、俺もまだまだ……

「あ、明後日ならお父さんもお母さんもいるから、まずは挨拶よね」

「智也君、ごめん。これ本気だわ」

「だから言ったじゃないかよ!」

「多分、静流の中では子供を抱いて微笑んでいる家族計画が描かれているわ」

「冷静に考察していないで止めて下さいよ!」

「ん~……いいけど、止めたら智也君、今度あたしの買い物に付き合ってくれる?」

「買い物程度いつでも……」

「やったぁ!どんなの買おうかなぁ~、智也君との婚約指輪♪」

「店員カモーン!スピちゃん二つ大至急!」

 どっちを選んでも結果は変わらんらしい。なので、二人には大人しくおねんねしてもらうこととする。

 兵二人夢のあと……今後、この二人を相手にするときは言動に気をつけよう。不用意な一言でルートが確定してしまう。ていうか陵の話じゃなかったのかよ、この人達……

 

 

 

 今日はシチューにしようと、コトコトお鍋で野菜を煮ていると、私の髪を弄りながら背後から一蹴が話しかけてくる。

「なあ、本当になんにもないんだよな?」

「も~、一蹴が心配することなんてなんにもないよ」

 ちなみに、なんにもないの?というのは、三上さんと私の間に男女の関係があるのでは?という事で、更にこの質問の回数は七回を越えたところ。

 嫉妬してくれるのは嬉しいのだけれど、なぜここまで一蹴が三上さんを意識しているのかはわからなかった。

「神に誓って?」

「静流さんに誓って」

「……静流さんを出すのは卑怯だなぁ」

 静流さんに弱い一蹴。それもどうかと彼女としては思うんだけどなぁ。

「あんまりしつこいと、今日のご飯は日の丸だけにしちゃうんだからね」

「それは勘弁」

 何を心配することがあるの?私が三上さんとどうにかなるわけなんてないのに……一定の距離から近づけてくれないのに、どうにもなるわけない。

「そんなに気にすることないんだからね?三上さんだって、私をそういう対象に見てないんだから」

「ああ、それは見てればわかったけど」

 あれ?あっさり納得するんだ。あれだけしつこく聞いてきたのに。それはそれで寂しいというかなんというか。

「それなら……」

「でも、いのり屈託なく悪態をついてたろ?」

 何も気にすることないって言葉を紡げず、カウンターを打たれてしまった。

 悪態って、それこそ気にすることないじゃない。つまり、それだけ苦手だって事だもん。

「それがどうかしたの?」

 そう考える私とは裏腹に……

「いや、最近いのりさ、元気なかったりしたじゃん?」

「そんなこと……」

「元気なかったって。否定しても、嘘だって俺にもわかるくらい」

 誤魔化し切れていなかった。それだけ一蹴が私を気に掛けてくれている証拠だけれど、今だけは気付いて欲しくなかったな。

「でもさ、あの人の前だとそんなことなくて……俺が見たことない顔を見せたりしてさ、そんな自分のこと気付いてないだろ?」

 そんな的外れでなければいけない指摘。なのに、心の奥が一蹴の言葉で疼いたのを自覚した。

 自分でもわからない疼きに戸惑いながらも、私はいつもの笑顔を貼り付ける。

「それこそ気にしなくても良い事だよぉ。三上さんってほんとに子供みたいな人だから、はっきり言わないとわかってくれないの。だから……」

「だから、落ち込んでいても忘れられる?」

 ああ、今日の一蹴は私を逃がしてくれない。自分でも知らない私を曝け出そうとしてくる。

 自分でも知らないなら……知らないままで良い。

「いのり、俺不安なんだよ。落ち込んでいても笑顔で誤魔化そうとするから、深く聞けねぇ。聞いても答えてくれなかったらって思うと、怖くて聞けなくて……」

 良いんだよ、一蹴は知らなくて。ううん、知っては駄目なの。だって、真実を知ったら一蹴は私を嫌いになるでしょ?自分を許せなくなって苦しむでしょ?わかってるの。わかってるから……だから、言えないよ。

「一蹴……ごめんね、ごめんなさい」

 私の返答に、一蹴は辛そうに顔を歪ませた。そんな顔、させたいわけじゃないのに。

「どう、してだよ。俺じゃあ頼りになんない?いのりが悩んでるって知って、なんとかしたいって俺は思ってるのに、俺には話せない?」

 話せない、よ。好きだから、大好きだから、話せないの。

 胸の内には罪悪感という名の雨が降り続け、晴れ間を見せてもくれない。

 私は良いの。でも、せめて一蹴だけでも笑っていて欲しい。この罪は私だけのもの。一蹴が背負う必要なんて、一つもないんだから。

 静かに頷くと、そうか……と呟いて一蹴が私から離れる。

 今の一蹴を見るのが怖くて、私は背中を向けたまま、偽ることの出来ない言葉をそっと口にした。

「ごめんね一蹴。それでも、一蹴が大好きなのは嘘じゃない。嘘じゃ、ないよ……大好き、一蹴」

 私の言葉が届いて数秒、俺も同じだよと力ない言葉が届いた。

 なんとかしないと。飛田さんと二人でもう一度話して、こんなことは終わらせよう。

 密かな覚悟、でも夢描いた二人の未来を確かなものにはしてくれなかった。

 

 

 

『トビー1、こちらトビー2。どうぞ』

「間違い電話か、着信拒否しとくか」

『ノリが悪いなぁ。まあ、いいや。狙撃対象が公園内に入った。なんか、今にもお前を刺しそうな覚悟の決まった顔をしている。腹にジャップ入れておいたほうが良いかもしれない』

「ねぇよ」

『今からコンビニに走れ!俺は智也の家で待機してるから、何かあったらいつでも救急車を呼べ。智也の部屋から見える場所で良かった。遊びながら鑑賞出来るもんな』

「お前は何もしねぇんだな。映画じゃねぇんだぞ」

『いのりちゃんに恨まれているのはトビーだろ?恨み恨まれ仲良いな。付き合っちゃえよ』

「殺伐とした付き合いになるだろうぜ。じゃあな」

『上手くよろしく~。あっ!智也お前、ピカチ○ウは卑怯だろ!』

「お前らスマブラってんだろ?そうだろ、ああ?」

 

 

 

 信の話から察するに、小娘は何かしらの決意をしてトビーに向かっていったらしいが……

「お邪魔、します」

 決意決壊してんじゃねぇか。

 人の部屋に入るなりまたも面倒臭い雰囲気を漂わせてやがる。信がいることにも気付いていない。

 信と顔を見合わせて、グッと親指を立てる。小娘が強面ツンデレに勝てるわけないんだよ。俺等のマスコットだぞ?万夫不当だこの野郎。

「よぉ~、お前はめパターン禁止だって言ってんだろ!」

「はめられるお前が下手なんだって」

「ああ~、そういう事を言うのか?そうかそうか。お前は武器使用禁止な!ホームランバッドなんか以ての外だからな!」

「あ、ちょうどスターゲット」

「や~め~ろ~よぉ~!」

「お前、良い年して本気で泣きそうになるの止めろよ、恥ずかしいな」

 死んで腐って腐臭のする魚の目が、俺達二人を捉えて……

「……ふっ」

 鼻で笑いやがった。

「おい小娘?今のはどういう意味だ?三秒で答えろ、答えなければジェノサイドだ。はい、3.2」

「今日の天気と同じように、悩みがなさそうで何よりですね、と」

「おい、まだ1を言ってねぇだろうが!」

「お前、年下にここまで馬鹿にされるとか……」

「みなもちゃんはこんな舐めた態度を取らんわ!」

 みなもちゃんとは同じ生き物とは思えんわ!

「今日は稲穂さんもいらっしゃったんですね、こんにちわ」

「こんにちわ、いのりちゃん」

 お~い、俺への態度と違くね?親密度が違うからだよな?ほら、小学生の男子が好きな女子につんけんする現象と同じだよ。

「二人で何をしていたんですか?」

「ん~、智也が暇だって騒ぐから仕方なく相手していたんだ」

「あ~、なるほど」

「なるほどじゃねぇよ!普段俺がガキみてぇなことばっか言ってるみたいじゃねぇか!」

「そうですよね?」

「そうだな」

 え~、なんなのこいつ?

 信と以心伝心を図ってみる。

(信、トビーがきっちり凹ませたんじゃなかったか?)

(部屋に入ってきた表情を見る限りは間違いない。ただ誤算があるとすればだ)

「三上さん、そんなに稲穂さんを見つめて、好きなんですか?」

(お前の馬鹿効果が絶大だったことだな)

(俺の魅力の成せる業だったか……)

「てか小娘、ほんと最近舐めすぎだからな?大人な俺でも怒るぞ」

「大人な俺さんが見当たりませんね?」

 きょろきょろと部屋中を見渡しながら、薄ら笑いを浮かべやがる。よし、本気で怒った。これ俺のぷっちんがぷっちんでプーチンだよ。

「智也……なんか知らないが、今のお前泣けてくる」

「信……俺はキレたよ。ここまでキレさせるなんて、お前はすげぇよ陵」

「私じゃなくて、三上さんの沸点の低さが凄いんですよ?」

 天使の笑顔だな。堕天してるけどな!

「今日は真面目に勉強しようと思ったが、止めだくらぁッ!!」

「いつもはしてないのかよ」

「私はしていますよ」

「信、あれやるぞ!」

 俺と信が考案した真剣勝負。俺の伝家の宝刀を抜かせるとは……泣かせてやる。

「あれって?本気か智也!?」

「ああ、もうこれしかないんだ」

「だが、あれをやればお前……お前はッ!?」

「信……悪い。でも、これをやらなければ俺はもうッ!」

「そこまで追い込まれてたなんて……クソッ!」

「……なんの茶番ですかこれ」

 まあ、お約束の茶番だけどな。そそくさとゲームをセットし、専用コントローラーもといマイクを取り付ける。

「お前は俺を舐め腐っているようだが、もう我慢の限界だ!ここで上下関係をはっきりさせてやろうではないか!」

「……はあ」

 展開について来れていない小娘だが、無理にでも参加させてやろう。

「いいか、今からやることはこれから説明するが……参加しなければ、君の両親に虚偽の報告をし、毎日我が家で俺の相手をしてもらう」

「相手してもらうのはお前かよ」

「しかも姑息ですし」

「ごちゃごちゃうるさいな」

「それで、いったい何をするんですか?」

「一発芸」

「………………はい?」

 一瞬フリーズしたな。事態が飲み込めていないようなのでもう一度。

「一発芸を披露して優劣を決める」

「そんなことで優劣が決まるんですね~。その提案をする時点で、私のほうが大人かと思いますけど、稲穂さんどうでしょうか?」

「そこは突っ込まないでやってよ。本人は至って本気なんだからさ。ただ、提案が幼稚なだけで」

 あの親友の計画ぶち壊してやろうか?せめてお前は俺の味方でいろよ片割れ。

「それにですね、やったとしても私にメリットがありません」

 小生意気な、つまりは特典を付けろと?

「よかろう、ならばお前のが上ならば特別に報酬をやろう。そうだな、メリットだけにシャンプーのメリ「週四日を三日でお願いします」だから喰うなよ!お前楽しんでるだろ!?」

「若干、三上さんを虐めると気が晴れるのでつい」

 本音を隠さなくなったか……ふふ、俺の中にあったわずかな良心が今ので完璧に払拭されたぜ!

「信、お前も本気でやれよ!」

「俺も参加するのかよ!」

「親友なんですよね?なら、参加という事で」

「い、いのりちゃん?」

 バチバチと俺と陵の間で火花が散る。ふん、小娘の顔にありありと書いておるわ、俺を屈服させればイケメンとイチャパラだとな。誰がお前を楽園になぞいかせるものか!俺に跪き頭を垂れさせてやる!

「なら、お前に順番を決めさせてやろう。何番目が良い?」

「最後で」

「俺はトリがいいんだがな」

「断然最後でお願いします」

「お前の俺への嫌がらせの執着凄いな!?」

「じゃあ、俺は二番目で」

 あれあれ~?本命の俺様が最初とか、誰も期待してねぇよ。視聴者の皆さん肩を落として唖然だよ。

「ほ、ほ~、そんなに自分の芸に自身があると?」

「えっと、それなりには」

 な、んだと?このなんの芸もない小娘に隠された才能があるとでも?いや、白河のピアノの後輩でもあるはずだったな。だがしかし、ピアノなぞこの部屋にはないぞ?となると他に何が……

「悩んでる振りはいいから早くしろよ」

「お前も茶番に付き合えよ」

 もうそろそろ面倒臭くなってきたらしい片割れが急かしてくるため、俺はミュージックをスタートさせた。

「え~、僕の為にわざわざ遠路遥々足を運んで下すって、ありがとうございます。思えば二十年前の春ですか」

「前置きはいいから歌えよ!」

「おっと催促の声が。それではご静聴してろや小娘、マジ潰す!」

「何をするんですか?」

「聞いていればわかるよ。まあ、下らないとだけは言っておくけど」

「はあ」

「いくぞゴラァ!『Lady!!』」

 

 

 are You Lady Im ニューハーフ!

 始めよう やれば出来る きっと 絶対

 あちきナンバワ~~~~ン!

 

「あの、ノリノリで踊り始めましたけど」

「完璧に覚えたよ、俺もね」

「えッ」

 

 チェック メイクパンツパッド

 イッツ ホウ キョウ シュジュツだー

 スターダム描き描くお~とめ~

 厳しい世間 乗り越え ゴーアヘ~ッド

 ナニがあったって ナニがなくなって

 自分は自分だからふぁ~いと♪

 

 are you lady im ニューハーフ

 胸を張ろう

 一人 一人 笑顔と涙で 女超えろお~とめ~!

 are you lady im ニューハーフ

 始めよう やれば出来る きっと 絶対

 あちきナンバワ~~~~ン!

 

「……なんですか、これ?」

「こらこら、どこかの吹奏楽部顧問みたいなこと言わない。あれな、ニューハーフの方々のドキュメンタリーを観て、本気で応援歌を考えた結果なんだよ」

「歌の割には真面目な理由なんですね~。ああ、だから泣きながら歌ってるんですね」

「ドキュメンタリーを思い出して泣いているんだ。純粋すぎてわら……本当に良い奴なんだ」

「今、滑稽なって言おうとしませんでしたか?」

「そこまで悪意に満ちた言い方はしてないけどね」

 

 

 最後まで歌いきった俺は、やりきった充実感で胸が一杯だった。

 歌い終わった俺を、二人が拍手で迎えてくれている……のだが、若干苦笑気味なのはなぜだろうか?

「ふぅ、俺の渾身の芸はどうだった?」

 感想を求めると、聞かれちゃったどうしようとでも言うように、微妙な返事が返ってきた。

「え、あ~……よ、良かったですよ?オリジナリティ豊かで、ほんと感動?しました」

「おい、俺の目を見て言え」

「真面目な理由で作られたって知って、馬鹿には出来なかったってとこかな」

 う~む、どうにもオーディエンスの返しが悪い。今迄で一番のパフォーマンスだったと自負しているのだが。

「あ、じゃあ次は稲穂さんですね!」

「待てや!もうちょっと俺への賞賛はないのか!?」

「良かったって褒めたじゃないですか!この空気を早くどうにかして欲しいんです!このやっちゃったなぁ~的な空気を!」

 上から目線の小娘の必死さにぐっと言いたいことを堪えた。あ~、なるほどなるほど。そうですか、ようやくわかりましたよ。つまりあれですね?俺、失敗みたいな?

 下手な気の使われ方に悔し涙だよ!

「智也、お前はよく頑張ったさ」

「信?」

 肩を叩かれて見上げると、信が親指を立ててニカっと爽やかに笑って見せた。

「あとは俺に任せろ」

 なんと頼りになる背中だろうか。俺はその背中を敬礼で見送るのであった。

「じゃ、不肖ながらこの俺が親友の尻拭いのため、このうわぁ~な空気を変えてみせようじゃないか」

「陵、ポテチ食うか?」

「あ、私ポッチーあるんでよければ」

「お前等実は仲良いだろ!?」

 無視された信から突っ込まれ、俺と陵は軽く拳を合わせた。ナイスコンビネ~ショ~ン♪

 ぶつくさと良いながら、曲を選択。その曲を確認し、俺は目を見張った。

「陵」

「なんですか?」

「とりあえずポッチーから口を離せ。伝説を見れるぞ」

「はい?何を言って……」

 イントロが流れた瞬間、陵はポッチーを一気に食べて、食い入るように信へと視線を向けた。

「ですね。食べてる場合じゃありませんでした」

 事態を把握したようだな。もはやこれは事件と言えるだろう。なぜならこいつが歌うのは……

「いくぜ?『マスターピ○ス』」

 

 

 事情により割愛させていただきます。理由は各自でお考え下さい。

 

 

 曲が終わっても俺と陵は未だに放心状態だった。それどころか、陵に至っては涙すら流して拍手している。

「ふぅ、どうよ?」

 漢の顔だ。そうとしか表現できないほど、今の信は世界の誰よりも輝いて見える。

 そんな信に俺と陵は惜しみない賞賛を送る。

「さすがピーだな」

「素晴らしいです。本物はやっぱり違いますねピーさん」

「愛してるぜピー」

「大好きですピーさん。感動しました」

「ピーピーうるさいな!放送禁止用語に聞こえるから止めろよ!」

「だってピーだろ?(ですよね)」

「お前等わざとだろ!そうだけども言い方!やっぱ仲良いな!」

 陵と仲が良いだと?お前を弄る時限定だい!

「ふぅ、堪能したし、さて次は小娘だが……俺達のクオリティを超えられるか甚だ疑問だな」

「稲穂さんを超えるのは無理です」

「俺は軽く超えられるとでも言いたげだな」

「ええ、幼稚園児のお遊戯会のほうがとても素晴らしいですし」

「……ほお、貴様さてはロリだな?」

「そういう観点じゃないですよ!?嫌味ですからね!」

「あ~、はいはい。そうですね~。この前幼稚園の前ではぁはぁ言ってたけど」

「業が深いなぁ、いのりちゃん。さすが一蹴の彼女」

「……もう、なんでも良いです」

 肩を落としてとぼとぼと前に出る。はてさて、二十四時間俺専用反抗期はどんな一発芸を見せてくれるのか……

 腕を組みこれから行われることを瞬きもせずに見てやろう。そう意気込んでいたのだが、なにやら気の抜けるような言葉が耳に届く。

「じゃ、じゃあ……い、いのりちゃんのなぞなぞた~ぃ……」

「言い切れないなら言うなよ!」

「恥ずかしいならやらなきゃいいのに」

 顔を真っ赤にしながらあう~と頭を抱える。こ、こんなレベルで俺を超えると言っていたのか?自信満々だったこいつを少し哀れに思った。

「智也、まだわかんねぇぞ」

「は?タイトルすら恥ずかしくて言えない様なアホだぞ?」

「馬鹿、もしかしたら問題が前衛的かもしれないだろう?」

「なるほど」

 確かにその可能性は十分にある。舐めて掛かっては相手に失礼だしな。ここは気を引き締めて……

「し、下は大火事、上は洪水。これなぁ~んだ」

 マジかこいつ。

 あまりにお粗末な問題だ。もう使い古されて古代文明となりはてたソレを、人差し指を立てながら堂々と言うなんて……

「は!?まさかこれは、使い古されていると見せ掛けて近代的ななぞなぞだな?」

「……ふっ、よく気付いたな智也。あの子がなんの捻りもないつまらない事を言うわけがないだろう」

「え、あ……ええ~?」

 俺達の察しの良さに陵は困惑を見せる。馬鹿め、俺と信がそんな事にも気付かないとでも思ったか!底が浅いんだよ!

 となるとだ、下は大火事、上は洪水……考えろ。考えるんだ!真実はいつも一つとか言いながら、不可能トリックを自慢げに披露するメガネ小僧みたいに閃くんだ!

「はっ!そうか、そういうことか!」

「わかったのか!?」

「ああ、こいつはとんでもないなぞなぞだな。普通に考えたんじゃまず答えには辿り着かないだろう」

「辿り着くどころか追い越してませんか?」

「わかったぞ陵!」

「ほんとに人の話を聞かないですよね!」

 頭の中に浮かんだ光景、下は大火事で上が洪水。これはそのままの意味なんだ。つまり答えは一つ。

「答えは新しい拷問だな!」

「それだ!」

「違います!どんな拷問ですか!」

 な、んだと?

 両手を絨毯につけ、俺は全力を振り絞って負けた投手のように項垂れた。

 上は水攻め、下は火刑……そうじゃ、なかったと?

「馬鹿な……俺の答えが違う?なら犯人はどんなトリックを使ったと言うんだ!」

「三上さんはどんな思考回路をしているんですか!あと、犯人とか推理は必要ないですからね?」

「智也、お前の仇は俺が討ってやる」

「信、お前わかったのか?」

「ああ、どうやら俺達は複雑に考えすぎていたようだ」

「そうです、それです!」

 確かに。俺には推理しなければという固定概念があった。それがまさか答えから遠ざけていたなんて……とんだ笑い話だ。

 晴れやかな顔で、信は陵に答えた。

「答えは……未曾有の大災害だろ?」

「それだ!」

「どれも違います!ある意味天才的な発想でびっくりします!」

「そ、んな……俺が、俺が負けた、だと?」

 俺と同じ状態になり、二人で陵を見上げて答えを求める。

「じゃ、じゃあ答えはなんだ?俺達は何を間違えた?」

「智也は人生をまちがいたたたたたたッ!!四の字はガチな間接技だろ!?」

 不穏な発言を三上智也は断じて許さん!神に唾をかけようとも、俺に逆らうことは許さんわ!

「答えはですね、お風呂です」

「…………はあ?」

 四の字を解き、信も俺もぽかんと口を開けた。

 お・ふ・ろ?お風呂っていうとアレか?国民的ヒロインが毎回覗かれる場所のことだろうか?

 あまりにあんまりな答えに、俺と信はごろんと床に寝転がった。

「ないわぁ~、お前ほんとないわぁ~」

「いのりちゃんつまんねぇ~」

「ていうか問題が間違えてんだろそれ」

「だよなぁ~。だって今時火を使う風呂なんて、少数民族だもんなぁ」

「そうだろ?普通に考えて俺達の答え合ってんじゃねぇか」

「もうちょっと捻った問題だそうよいのりちゃん。一発芸だからさぁ、これ。それなのに普通のなぞなぞとか……」

『ないわぁ~』

 声を合わせて空高らかに言うと、それまで俺達の抗議を黙って聞いていた陵だったが、俯いて肩を振るわせ始めた。

 あ、あれあれ?どうしたのかなぁ~?あまりに面白くて笑いを堪えている……

「そ、そんなに言わなくても良いじゃないですかぁ~」

 わけじゃなかった。

 隣の馬鹿と顔を見合わせると、俺と同じ顔をしていた。

(どうしよう泣いちゃった~~~~!)

「わ、私だって、い、いっしょう、懸命、頑張って」

「そ、そうだよな!頑張った!うん、お前は頑張った!いやぁ~、良く考えたら面白かったよなぁ?」

「あ、ああ!面白かったよ!こう、意表を突かれたって感じで!」

「だよなぁ!まさか今時なんの面白みもないなぞなたたたたたたたッ!キーロックは二年前に禁止しただろうが!」

「馬鹿かお前!いのりちゃんは一生懸命俺達を楽しませてくれようと頑張ったんだろうが!口滑らせるなよ!」

「い、良いんです。い、一蹴、も、これ、やると、困った顔、するしッ」

 そら困るだろう。あのイケメンこんな子供騙しに毎回付き合ってんのか……すげぇな。素直に尊敬するわ。

「ごめんねいのりちゃん。悪ふざけが過ぎたよ、俺達が全面的に悪い。ごめん」

「え、謝るのか?俺も?」

「お前が発端だろうが!」

 無理矢理信に頭を押さえつけられた。

 今この瞬間わかった世界の常識が。この世の最強武具はエクスカリバーやグングニルじゃねぇ。女の涙だよ、間違いねぇ。

 その後、なんとかかんとか小娘をあやして泣き止ませ、しょうがねぇと俺は信を連れて渋々母さんの車を借りて外に遊びに連れ出した。

 納得いかねぇ~!

 

 

「で、なんでこうなる?」

 エアホッケー台を挟んでやる気のない俺と、少し楽しげな陵が対峙し、真ん中には信が審判気取りで立っている。

「私これ好きなんです。一蹴と前に何度もやってたんですよ」

 あ~、そうですか。帰って良い?もしくは近くの吉○家で飯を食ってるから、二人で好きなだけやってろ。

「そうなんだ、それなら良かった。で、そこの不貞腐れている大人」

「なんだよ?」

 俺に顔を近づけ、やたら真剣な顔で囁いてくる。

「今度は泣かすなよ?これは泣かせたお詫びなんだからな」

「どんな接待だよ」

 だがまあ、泣かせたという呵責は小さじ一杯はあるかもしれん。仕方ない、ここは俺が大人になるしかないか。

 パックが陵の方へ滑っていき、それをマレットで押さえて不敵な笑みを浮かべてくる。なんでそんなにやる気なんだよこいつ。さっきまで泣いてたんじゃねぇのかよ。

「ふふ、ついに三上さんをぎゃふんと言わせられる機会がきました」

「いつもお前の舐めた態度にぎゃふんしてるけどな」

「私、本気でやりますよ?」

「軽く捻ってやるよ」

 軽くジャブを打ち合い、審判の開始の声。

「じゃあ、スタート!」

 かったるくため息をついて、守備の構えをすると、なにやら陵は打ちもせずに視線を逸らしている。しかも、ちょっと狼狽しているようだが、わけがわからん。

 いつまでも打ってこないから、何事かと陵に問いかける。

「おい、早くしろ。どうした?」

「いえ、あの……とても言いにくいというか、打てませんと言うか……」

 何を言うとるんだこいつは?俺から目を背けて慌てているようだが……

「だって、三上さん、開いてるんですもん」

「は?開いてるって何が」

「……あそこのチャックがです」

「それを早く言え馬鹿!」

 まさかここまでずっと開いてたんじゃないよな!?

 慌ててチャックを確認しようと下を見た……

 ――カコン

 瞬間、目の前から何かが落ちた音がして得点を見ると、陵に一点が入っていた。

 ちなみに、チャックは堅牢だったけどな!

「て、てめぇ……」

「悲しいです、三上さん。まさかこんな子供騙しに引っ掛かるだなんて……悲しみを通り越して笑ってしまいそうです」

 とんだ女優だな。まさかこの俺様が騙されるとは。今からでも女優を目指せよ。サスペンスの犯人役限定でな!

「はっ、そうかそうか。ここまでえげつない手を使うとはな……甘く見てたよ、小娘」

「これで本気になれますか?」

「本気?はは、冗談じゃねぇ」

 パックをマレットではなく手で押さえ……

「憤怒だ馬鹿野郎」

 パックをそのまま手で思い切り滑らせると、超スピードでゴールの端に吸い込まれていった。

「……智也、大人の対応はどうした?」

「知るか!こんの小娘は徹底的に叩き潰さねぇと性根は直らん!もう一度声が枯れるまで泣かせてやるからな!」

「ふふ、それでこそ三上さんです。私も楽しみです……年上を泣かせてしまうなんて、初めての経験ですから」

 俺の人生でここまで全身全霊でエアホッケーをしたことはないだろう。

 おふざけなしでプレイすると、中々点が入らなくてゲームが長引き、そのうちギャラリーが出来始めた。

「お前の彼氏で~べそッ!」

「三上さんの親友で~べそッ!」

「俺の親友行き倒れ野郎!」

「三上さんの親友ホモ説!」

「お前等いい加減にしないと本気で泣くぞ!」

 一打毎に悪口を言い合い、勝負は結局ノーゲーム。なぜなら……

「もう、止めてくれ……」

 信の心が折れたからな!

 勝負が終わり、俺と陵は蟠(わだかま)りの消えた顔で握手をする。

「やるじゃないか」

「三上さんも」

「お前等が殺ったのは俺の心だけどな!」

 あの程度の悪口百個だけで折れるなんて、メンタル弱すぎだろ。何年俺の親友やってんだよ。

「まったく、でもまあこれで気が……」

「今度はクレーンで勝負しようぜ!」

「良いですね!受けて立ちます!」

「済まないんだな。もう勝手にしてくれ」

 今日はもう燃料切れの信は休憩所の椅子へと向かい、俺と陵はクレーンゲームへとうきうきしながら向かった。

 クレーンゲームの種類は多く、簡単なお菓子系から難しいフィギュアや大きなクッション等様々だ。

 どれが良いだろうと迷っていると、陵が立ち止まってじっとケースを凝視していた。

 何を見ているのかと覗くと、『キュロッシー』というラリっている人参のご当地ゆるきゃらのクッションだった。

「それ、欲しいのか?」

「いえ、ただ可愛いなぁって思って」

 か、可愛いか?なんか涎垂らして笑ってるんだけど。こんなの見かけたら普通に通報ものだろう。それを可愛いって、頭大丈夫か?

「うっわ、キュロッシーじゃん、チョー可愛くね?」

「マジやばなんですけどぉ~」

 俺達の後ろから頭の悪い声が聞こえたが、マジか。こんなのが流行ってるのかよ。この国終わってるだろ。

「これにしましょう」

「無理」

「なんでですか!可愛いじゃないですか!可愛いですよね!?」

「気持ち悪いの一言しか思い浮かばねぇよ!」

 正視するのも堪え難く、俺は目を逸らしてその物体を視界に入れないようにする。車に酔ったみたいに気持ち悪い。

「これにします」

「決定かよ」

 どれどれ、ワンプレイは二百円か。ちょいと高めなのが腹立つな。こいつにそんな価値ねぇだろ。むしろ生産者の方々はこんなキャラを許していいのか?良いはずがない!

「じゃあ、私からやりますね」

 こいつはこのキャラのどこに魅力を感じてんだよ!俺が時代に追いつけていないってレベルじゃねぇぞ!

 ふんすと意気揚々と小銭を入れて、位置を定め……られずに一番端までクレーンが移動して止まった。

「おい」

「あ、あれ?これこっちを押せば止まるんじゃ、あれ?」

「陵、念のために聞くが、クレーンゲームの経験はあるのか?」

「舐めないで下さい!」

 お、おう。そうか、俺の勘違いか。たどたどしい操作だったからつい素人だと決め付けてしまった。

「一蹴がやっているところを何度も目に焼き付けています!」

「だろうな」

 どうせそんなとこだろうと思っていた。だってどう見ても初体験なのがわかる手つきなんだもんよ!これで取れたら奇跡だ。空間が歪められでもしない限り確実に無理だろう。

「門前の小僧なんとやらです」

「門前払いされていることにも気付かないのか」

 クレーンはクッションの端に辛うじて当たっただけで、空気を掴んで戻ってきた。

 何も掴めなかったクレーンを呆然と見守る門前払い。

「……店員さんに抗議しましょう。この台は壊れています」

「とんだクレーマーだな。ていうか下手過ぎだろ」

「違います!ボタンが、このボタンが壊れていただけなんです!」

「現実見ろゆとり」

 現実から目を逸らす小娘の体を横にずらし、俺は五百円を投入。

「三上さん、五百円も使うんですか?」

「五百円で三回出来るんだよ」

「なっ!?そんなこと聞いてません!卑怯です!」

「そういう仕様なんだよ!」

「納得いかないので、一回私にやらせ「金の無駄はしない主義だ」勝負ですよねこれ!?」

 こいつにやらせたら取れるものも取れなくなる。

 えっと、クッションが微妙に斜めになっているから、前傾に調整しなきゃならないのか。

 一回目、俺は陵が最初に止めた位置の少し前に設定した。

「三上さん何しているんですか?それじゃあ取れないのは素人の私でもわかりますけど」

 馬鹿にしたように含み笑いをしながら言われ、正直引っ叩いてやろうかとも思ったが、なんとか怒りを納める。好きに言ってろ素人が。

 アームが開き、クッションをちょっとだけずらした。

「だから言ったじゃないですか。空気を持ち帰ってきましたよ」

「これで良いんだよ!良いか?これは掴んで取るんじゃなくてだな、三回を有効利用するんだよ」

「何を言ってるんですか?」

 これだから素人は困る。良いからその俺を苛立たせるためだけの口は、自分の指を咥えていればいいさ。

 二回目はさっきよりも少し手前に設定し、さらにクッションを前進させる。

「いいか?こういうタイプはアームで上手く位置を調整して……」

 三回目、良い位置に調整したクッションを、頭から倒すように動かしてやると、あっけなく穴に転がり落ちた。まあ、元からの位置が良かったんだけどな。前にやった学生とかが何度もずらしていった結果だろう。

「……嘘」

「で、この通り取ったわけだが、さっきまで馬鹿にしていた小娘。俺に何か言うことはないか?」

 ぐむむと悔しそうな顔をしながら、ふんと顔を背けやがる。

「に、人間一つは取り得があるんですね。将来の役に立ちそうにないですけど」

 よし、今度こいつが泣き出したら、追い討ちをかけて更に泣かせてやる。ガキの頃、彩花の背中にバッタを入れた時、あいつはあまりのショックに近所を走り回って泣いた。それ以上に泣かせてやろうと彩花に誓った。

 で、クッションを手にしたはいいが……

 キャロッシーを目に入れる。眩暈を起こした。

 こ、こんな呪われたアイテムが部屋にあることを想像すると、寝不足でフラフラな未来が見え、ちょっとだけ震えてしまう。

 この呪われたアイテムをどうしようか考えていると、羨望の眼差しを向けてくる小娘一人。ま、こうするのが一番だな。

「ほら、やるよ」

「え?でも、三上さんが取ったんじゃ……それに、今坂さんにあげたらきっと喜びますよ」

 俺にあいつを呪えと?

「唯笑を犠牲に出来るかよ。いらないなら捨てるしかないが」

「なんてことを!?こんなに可愛いのに捨てるなんて神への冒涜です!」

 このキャラは生産者を冒涜しているけどな。

「うるせぇなぁ。いるならやる、いらないなら捨てる。どっちだよ」

「捨てるなら貰います!この子が可哀想じゃないですか!」

「この子なんて可愛い表現出来る生物じゃねぇだろ」

 まあ良い。こいつに呪われて悪夢に魘(うな)され続けるがいい。お祓いしてから持つ事を国民の皆様にはお勧めする。

 そんな呪われたクッションを、陵は本当に嬉しそうに抱きしめながら……

「三上さん」

「ん、なん――」

「ありがとうございます。大事にしますね」

 初めてだった。こいつの心からの笑顔なんて、初めて俺は目にしたんだ。

 言葉を紡げずに、ただただその笑顔を俺は見ているしか出来なかった。

 ああ、こいつはこんな顔で笑うんだな……

 見ないようにしていた、こいつの顔をずっと。見なくても良いと決めていた、こいつの顔なんて。見たくないと望んでいた、こいつの素顔なんて。

 初めて出会った時、俺は何を見た?こいつに彩花と同じ匂いを感じていたんだ。

 嘘で塗り固められているならそれで良かった。俺に素顔なんて見せてくれなくても良い。心の奥底にある笑顔なんて……

「三上さん?」 

 そうだ、俺はこいつを遠ざけたかった。理由なんて自分でも知りたくない。あの夕暮れの公園、あの時の素顔、俺はそれが怖くて仕方なかった。

 もう、二度と出会いたくなんてなくて、でも出会ってしまって、だから線を引いたんだ。陵にじゃない、自分に引いて近づかないようにした。その心に入り込まないように。

 胸が、痛い。

「三上さん聞いてますか?」

「ん、ああ」

 会いたい。彩花、俺お前に会いたいよ。確かめたい事があるんだ、どうしようもなく今すぐに確かめたいんだ。彩花、頼む。頼むから……

「よし、それじゃあ十分遊んだし、時間も時間だからな。帰るぞ」

「時間って、まだそんな時間じゃ……あ、三上さん待って下さいよ!」

 ――お前を今すぐ抱き締めさせてくれ――

 

 

 

「……ここまで、か」

 横から見えた智也の表情と、いのりちゃんの笑顔。

 まさか、とは思っていた。そう思えてしまうほどに智也の彼女に対する態度は異常だった。近づこうとして、遠ざける。あべこべな態度。これまでの智也にはない行動が不思議で、もしかしたらとは思っていた。

 確かにいのりちゃんは彩花ちゃんに驚くくらい似ている。でも、それでどうこうなる智也じゃない。そんな軽い気持ちを何年も胸に抱いているはずがない。

 でもな、智也……もういいんじゃないか?隣にいたいと思える人と出会ってしまう。そこに理由なんてない。ふとした事でどうしようもない事なんだ。

 知っているはずだ。ちょっとでも何か違う選択をしたなら、今の自分はなかったって。今の自分の隣には別な誰かがいたかもしれないと。例え、お前がそれを望んでいなくても、どれだけ彩花ちゃんを愛していても。それはしょうがない事なんだ。誰も責めやしない。

 もしも責める人間がいるなら、それは恋愛で傷ついた事のない者だけだろう。人は出会った瞬間から別れが用意されている。どんな形にせよ、それはどうにも出来ない事だ。でなければ、今頃初恋だけで恋人達は終わる。セカンドラブなんてしない。

 二人を見ながら、俺は彩花ちゃんに心の中で謝る。

 ごめん、彩花ちゃん。俺、自分勝手だけどさ、誓ったことがるんだ。あいつの心に降る雨をどうにかしたい。救えなかった俺が、今度こそあいつを救うんだ。これは誓約と言っても良い。その為にずっとあいつの隣にいた。誰よりも優しい嘘をつくあいつに、もう嘘をつかせたくなんてない。

 だって、初めて見たんだ。あいつの自分の気持ちに戸惑う姿なんて。見ていればわかる、あいつがなんで動揺したのかなんて。あいつに傘を差し続けてきたけど、俺も唯笑ちゃんでも涙までは拭えなかった。いいや、むしろそのままで良いんだと、今はまだ……そうして見守ってきた。見守り続けて、そしてようやくだ。やっとで智也が共に傘を差せるかもしれない女の子が現れた。今の俺の気持ちなんて、唯笑ちゃんだけしかわからないだろう。

 二人が共にあれなくても良い。一蹴と幸せになるのならそれでも構わない。だけど、ただ一つだけ俺は願う。

 

 

 ――どうか、あいつにもう嘘はつかせないでくれ――

 

 

 それだけが俺の望みだ。笑えなくても、泣いても、苦しくても、悔しくても、辛くても、痛くても……それでも嘘を止める。俺が、あいつの背中を押してやる。

「その為に、まずはいのりちゃん自身の問題を解決しないとだな」

 と言っても、案外俺は大丈夫なのではないかと少しだけ期待していた。

 なぜなら……

「だから歩くの速いですから!トイレでも我慢していたんですか!?」

「実は競歩の強化選手でな、来月から世界選手権に向けての合同合宿があるんだ」

「競歩の歩き方じゃないのに?」

「歩き方は人それぞれだろうが!人生ってのは歩き方がみんな違うから良いのであってだな……」

「すぐにバレる下らない嘘をついた自分が悪いのに……」

「なんか言ったか?」

「何か聞こえましたか?」

 あんなに楽しそうな彼女の姿は、これまでただの一度も見たことがないからな。

 さすが智也、人に心を開かせる特効薬だ。俺の予想以上でちょっとびっくりしている。まあ、だからこそ心苦しいわけだけど、これなら十分だな。

 トビーとの事を忘れて悪態をつきながらも笑っている彼女に、心の中で土下座をしながら俺は二人に手を振って出迎えた。

 

 

 

 部屋に戻り、俺は上着を床に捨て置き、ベッドに顔を埋めた。

「~~~~~~ッ!!」

 決して誰にも聞かれないように叫ぶ。いや、雄叫びに近かったかもしれない。そうしなければいけないほどに俺は精神的に参っている。

 この感覚を俺は何度も知っている。知らないわけがない。でも、それはこれまでと比べようのない感覚。まるで彩花を想う気持ちのような……

 叫んで、叫んで叫んで、後ろを振り返り、そちらへふらふらと近寄る。

 昔から変わらず鍵も掛けず、カーテンすら閉じることのない窓。その向こうには愛しさばかりが溢れている部屋が見える。

「彩花、俺……お前ともう一度会いてぇよ」

 幻でも良い、触れられなくたって構わない。ただお前に会いたい。そうすれば何も問題はないんだ。

 彩花への想いは確かにここにある。永遠不変の想いが、この胸に在り続ける。雨の中、俺はその想いが濡れないようにずっと守ってきた。

「朝、俺を起こしてくれよ」

 この想いだけは失うものかと、砕けてしまわないように、壊れやすいソレを両手でそっと抱いているんだ。

「馬鹿な俺の面倒を、またみてくれよ」

 窓を開け、向こう側へと手を伸ばす。

 もう二度と届かないほどに遠いそこに、触れられたらと願いながら手を伸ばす。届くはずもない距離を……

「彩花、俺、もっと強くなるから、だから」

 この想いをどうか守らせてくれ。それくらい神様だって許してくれるだろう?俺から彩花を奪ったんだ、ならこの想いを生涯を賭けて守ることくらい……許してくれ。

 それだけが、俺の願いだから……

 

 

 

 おかしいと、思わない事もなかった。

「で、調子は上々か?」

 公園を避けて三上さんの家へと向かう道中だった。最近の私は正直開き直っていた。やってしまったことは仕方ない。それよりもこの先、一蹴といるにはどうしたらいいかを考えよう。そう、ポジティブに考えていられた。

 飛田さんに何を言われても、苦しくても、痛くても私は耐えられた。だって、その後には私の気持ちが楽になるってわかっていたから。

 だから、飛田さんにどれだけ罵倒されても、そこへ向かう私の足取りは軽かった。むしろ、早くあの部屋に行きたくて小走りになっていたかもしれない。だって、あの部屋は温かかったんだもん。三上さんが馬鹿なことをして、今坂さんや稲穂さんがそこに巻き込まれて、私がそれを嗜める。そんな日常が楽しくて、この瞬間を切り取って永遠にして欲しいとさえ願ってしまうくらい。

 最初は、変な人。二度目は、私と距離を取る変な人。なのに、今は私の心を軽やかにしてくれる人で、正直に言えば信頼すらしていた。

 だって、慰めてくれているって気付いていたの。落ち込んでいる私を慰めるために、わざと馬鹿なことをしてくれているんだって。稲穂さんや今坂さんも、それを知っていて協力してくれていた。そんなことも気付かないくらい鈍感じゃない。そんな気を使わない優しさをくれて、その事に心から感謝して、信じて……

「ああ、お前等が勝手に情報を流してくれるからな」

 信じて、いたの、に――

 公園から少し外れた路上で、バイクに座る飛田さんと……

「情報は正確に流すさ。俺を誰だと思っているんだ?」

「ネジが四本抜けてるクソ野郎」

 三上さんをこの目で見るまでは。

「ほお、そんなにバイクに三上帝国の国旗を描いて欲しいのか。よし任せろ」

「どこからスプレー取り出してんだ、殺すぞ」

 鈍感じゃ、ないもん。おかしいじゃない。だって、飛田さんが私の目の前に現れるのはいつも三上さんの家に行く時だったもん!そんなの、偶然だなんて思えるわけない!思える、わけないのに……それなのに、私は自分に目隠しをした。三上さんが、いくら友達だからって、飛田さんとどうこうしているはずないって。

「馬鹿、だなぁ、私……」

 嘘が得意なのに、人の隠し事に気付こうともしないなんて、馬鹿だよ。

 アスファルトに一つ、また一つと染みが出来ていく。

 何、泣いてるんだろう。なんでこんなに悔しいんだろう。なんで、こんな、に……こん、なにッ!苦しいの!胸が、いた、い。

「でだ、悪いトビー……」

「あん?」

「どうやらそこに隠れている小娘にバレちまったらしい」

 泣いている微かな音に気付かれ、住宅の陰に隠れていた私を三上さんが呼ぶ。

「お~い、出てこいよ。尻隠れてねぇぞ」

 足どころか、全身が震えて中々動こうとしてくれない。すぐそこにある現実を目にしたくない。それでも、逃げることも向かうことも出来なくて、せめてこんな顔だけは見せたくないと、涙を拭って上を向いた。

 いつまでも出てこない私に、ため息をつきながら誰かが……ううん、足音でわかる。三上さんが近づいてきて……

「よお、いるなら出て来いよ。年上への挨拶は常識だからな、覚えておいたほうがいいぞ」

 いつもと変わらない顔で目の前に立った。

「な、んで、ですか?」

 声が震えて上手く言葉に出来ない。聞きたい事は沢山あるのに、それなのに頭の中で渦巻くばかりで言葉になってはくれない。

 怖い。三上さんが私は怖くて仕方ない。どうしてこの人はこんなに……

「挨拶しないで質問って、ほんと舐めてるな小娘~」

 こんなに平然と何事もないようにしていられるの?

 わからない。三上さんが何を考えているのかわからないよ。目の前で笑顔を浮かべているこの人は誰?私の知っている三上さんはほんとに三上さんだったの?

「どうしてって、なんのことだ?」

「ひ、ださん、と?」

「ああ、それな。実は俺トビーからお前の事聞いてさぁ。あ、勘違いさせるとあれだから言っておくが、知ったのは家庭教師の後だからな」

「しっ、て?」

 知られていた?知っていた?知っていて、なのに私に普通に接していたの?でも、知っているからって、だからってどうして飛田さんと今もこうして会っているの?

 決まってる。この人は私を、私と一蹴を苦しめる為に飛田さんと会っていたんだ。そうじゃなきゃ、私の歩く道や時間を教えていたような事をはなしていたりしないもの!

「なん、で、こ、こんなこ、と、するんですか?」

「ん~?」

「み、三上さん、には、関係、ないの、に」

「まあ、そうだな。でもなぁ~、そうもいかないんだ」

 その言葉に少しだけ私は期待した。もしかしたら私の知らない事情で仕方なく協力しているのかもしれない。そうよ、三上さんは誰かを好き好んで苦しめるような、そんな人じゃない。

 子供が親に縋るような、そんな期待と不安を抱いて私は三上さんを見上げ……

「だって、俺お前の事、心から軽蔑してるからな」

 縋る手を振り払われ、奈落の底に突き落とされた。

 いつもの調子で話している三上さんの声が、遠い。近くにいるのに、ずっと遠くにいるかのように、遠い。違う、元から近くになんていなかった。最初からこの人は遠くにいて、私の過去を知り、ずっと胸の内に怒りを燻らせていたんだ。

 信じていたって、誰を?慰めてくれてたって、私を?じゃあ、じゃあどうして……なんで!

「あの笑顔、も……嘘、だったんですか……?」

 私と馬鹿なことをして、言い合って、笑って、そんな何もかもが嘘だったなんて、それこそ嘘ですよね?

「違うって、言って、下さい」

 あの時間の何もかもが嘘だったなんて否定して!

「嘘でも、良いです。嘘だって、言って、下さい。信じます、から……三上さんの嘘を私信じますからぁッ!!」

 救われていたんです!自分の嘘で一蹴を苦しめたくなくて、でもそれは自業自得で!誰に言われなくたって自分で自覚していて!毎晩、一人で後悔に胸が押し潰されそうな毎日だった。そんな私を三上さんの温もりが救ってくれていたんです!手放したくない。例え何があろうと、私はこの人の優しさを失いたくない!

 ずっと今坂さんや稲穂さん、伊吹さんが羨ましかった!この人の家族になれている三人が羨ましくて仕方なくて、いつか私もその中に入れたらって。一蹴もそこにいて、みんなで笑うんです。三上さんが一蹴をからかって、稲穂さんがそれに便乗して、今坂さんと伊吹さんは笑いながらそれを止めて、そんな三上さんを私は悪態をつきながら笑って、そんな幸せな光景を夢に見ていて……そんな眩いばかりの幸福を夢、見させて。

 三上さんの胸にしがみ付いて懇願する。全身が震えて、自分じゃ立っていられなくなりそうになるけれど、まだ立っていられる。この人の支えがあるから、だからまだ立っていられる。

 私の精一杯の勇気の懇願。そんな私の手を取り、三上さんは朗らかに笑って口を開いた。

「これが現実だ、陵いのり」

 幸福な光景を粉々に壊す残酷な一言を――

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。