実況パワフルプロ野球~二番手のエース~聖タチバナ学園高校   作:Reaflet

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第三話 5月2週 “ご要望会議 練習試合”

 

 5月に入って2週目。

 すでに聖タチバナ学園高校野球部は一つのチームとして6月から7月にかけて行われる夏の甲子園予選に向けて練習をしているところだった。

 私立ということもあり、広く使えるグラウンド。

 非常に練習しやすい環境で俺が見る限りではチームとして出来上がってきていると思ってる。

 基本的なオーダーやポジションが決まり、それに沿って練習をしている。

 一番センター   矢部

 二番ライト    真田

 三番キャッチャー 聖

 四番ピッチャー  朱鷺 

 五番ショート   友沢

 六番レフト    猛田

 七番サード    喜多村

 八番ファースト  霧丘

 九番セカンド   峰田

 というオーダーが基本的な感じだ。

 まずポジションから言うと、ショートの友沢の守備はここ最近になって、堅実性がかなり増している。

 捕ってから送球するまでの速さが速い。なんだあの天才は。

 とりあえずこいつが居るおかげで他の人も刺激されてるのがわかる。

 足が速い分、守備範囲も広くて、セカンドの峰田もやりやすいようだ。

 その峰田も自己紹介の際に守備には自信があるということだが、さすがというものだった。

 足は速いわけではないのだが、一歩目が速く、打球に追いつくのが多い。

 取ってからのスローイング、判断はもちろんのこと連係プレイの指示は聖の声をカバーしてくれるぐらいだ。

 センター前に抜ける打球なんかはプロ顔負けの連係も友沢と見せていたこともある。

 打撃は期待しないことにする。バントがうまいのは結構うれしい。二番で使うかもしれないしな。

 サードの喜多村は言うこと無し。しっかりと守ってくれる安定感がある。

 霧丘もさすが経験しているポジションだったのもあって、守備に関してはあまり言うことは無い。

 ただ、ショートバウンドの捕球ミスがあるのが少し気になる。

 外野に関しては矢部君中心にうまくまとまっている。

 全体的に肩が弱いイメージがあるけど、そこんとこは足でカバーだ。

 猛田の送球のズレがあったり、真田がダイビングキャッチを多用したりと危ない部分もあるのでその辺は少しでも修正していきたい。

 打線については三番~七番には特に言うことは無い。

 実際は友沢が四番でもいいのだが、野手転向直後に加えて難しいショートをやらせているので四番は俺にしている。喜多村と猛田を変えても良いのだが、クリーンアップの出塁率を比較するとやはり勝負師である猛田には六番が最適だと思った。

 ただ猛田は巧打力があんまり無い(強振多用のせいで)のもあったり、聖の非力さは未だ健在だ。

 喜多村はバランスが取れてるけれど、猛田に比べたら力は無いし、聖に比べたら巧打力は無い。

 俺的には六番のイメージはチャンスに強いバッターだからな。やっぱり猛田か。

 一、二番が出て三番~七番で返していくのがパターンだと思う。

 ただ一、二番の打率が未知数なのでどうか、わかんないが……。

 でも、打撃陣だけでいえば普通の高校よりも上だ。

 聖、俺、友沢、猛田、喜多村はこの辺のピッチャーなら打ってくれる期待を持てる。

 って感じかな。

「なー朱鷺ー」

 

 相変わらずゆったりした言葉で喜多村が話す。

 

「ん?どした?」

「練習試合組んで、経験積んだほうが良いと思うー。良い選手がいっぱいいるのは良いけど、経験がモノをいったりするからさー」

「そうなんだよなぁ……」

「あと顧問の先生はー?」

「あとで来るとか話していたんだけどな」

 生徒会長が後で顧問の先生を用意するとは言ってたけれど、未だに誰とは聞いていない。

 相変わらずの生徒会長は気まぐれで、適当な部分が多い。

 しかも恥ずかしいことに俺は生徒会長の名前がわかんねーし……。あっちは知ってるみたいだが。

 喜多村の意見はさすがだと思った。ちょうど経験も積ませたいところだし、どうすっかな……。

 対戦相手だってあんまいないし、申し込むにもやっぱり手順がいるからさ。

 俺が悩んでると、さっきの会話を聞いていたのか素振りをしている猛田が言った。

 

「練習試合か。そういえばご要望会議ってのがあるらしいな。それ使えば良いじゃねえの?」

 

 それに反応するかのように聖が言う。

 

「ご要望会議は不定期に行われるらしい。いつでも使えないみたいだぞ」

 

 聖がご要望会議について、俺や猛田、矢部君などに説明しているとそれを遮るかのように放送が鳴った。

♪ピンポンパンポン♪

『今週は、ご要望会議を開催します。ふるってご参加下さい』

 今の放送が噂のご要望会議の放送?

 すげえ気まぐれだな生徒会長さん。

 小悪魔系の女の子恐るべし。

 

「これが噂のご要望会議でやんすか。いきなりでやんすね。朱鷺君、行ってくるでやんすか?」

「ん、一応行ってみる。練習試合を組みたいってのを要望してみるよ」

 

 そう言ってみんなに「いってらっしゃーい」と言われながら、俺は生徒会室にへと足を運んだ。

 

 

 

 

                     ?

 

 

 

 

 

 校舎の五階まで上がってくると、色んな部活の部長やキャプテンが廊下に並んでいた。

 生徒会室にも並んでいるみたいで、結構時間かかりそうな雰囲気だった。

 並んでいると、生徒会室から文化部っぽい部長が

 

「わーん、もう来ねえよー、ケチー」

 

 と叫びながら、階段を走って降りて行った。

 おー速い速い。あのスピードじゃあ転ぶぞ。あ、転んだ。

 俺は目線を変えて、生徒会室のドアに眼をやると生徒会のアシスタントみたいな人が並ぶ場所に指示をしていた。

 

「では、生徒会室に入ったら左のドアへ入ってください」

 

 と指示をしているのを聞いた。

 なるほど。生徒会室につながっている部屋で要望するのか。

 並んでいると色んな部長が生徒会室から出て行った。

 中には嬉しそうな顔をしている人もいれば、泣いてる人、軽く罵声を投げる人もいたりした。

 吹奏楽部の美人で有名な部長が喜んでいたのに見とれてたのは言うまでもない。

 他の部長達も見とれてたしな。

 んでもって俺の番か。

 アシスタントの人から説明を受けて、中へと入っていく。

 コンコン。

「どうぞ」

 がちゃ。

「失礼します」

「ん・・・」

 若干生徒会長が動いたのは気になったが、スルーした。

「朱鷺君初めてだよね。生徒会メンバーの紹介するよ」

 そして生徒会長が説明をする。

 

「右から原 啓太君、宇津 久志君、左に大京 均君、そして私が橘 みずきよ。よろしく」

「よろしくや」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

 

 生徒会メンバーがそれぞれあいさつする。

 なんか個性的だな。しかも、大京なんて筋肉すげーし。

 

「じゃあ用件は何?」

 生徒会長こと、みずきちゃんが用件を聞いてくる。

 んじゃあ、練習試合でも要望出しますか。

 

「ん、練習試合を組みたいだけど」

「練習試合担当は私です。……良いと思いますが。みずきさんはどう思いますか?」

「練習試合ね……」

 大京が良いというが、みずきちゃんが全権を握っているみたいだな。

 しかし、みずきちゃんは本当にきまぐれという情報があるから、機嫌良い時でも却下なんてことがあるらしい。

 ああ、この情報は吹奏楽部の部長から聞きたかったが、聞き出せなかったので、アシスタントの方から聞いたからな。

 決して接触したかったわけではない。本当です。

 ずいぶん悩んでるなぁ。

 ま、練習試合組みたいのは俺だけじゃないし、たぶんみんな組みたいと思ってるから絶対に成功させたいんだけどね。

 

「……許可するよー!」

「よし!ありがとね」

「ううん、こっちにも関係するからね」

「え?なんか言った?」

「いや、何でもないよ。じゃあ時間は5月4週目の土曜日で良いよね?」

「いいよ。相手は?」

「ん、こっちで決めておくよ。相手の連絡はあとでするよ。場所はできるだけここでやるように交渉してみるね」

「了解。後、顧問の先生の件なんだけど……」

 もう一つこれが聞きたかった。

 いや、実際顧問の先生は形だけでもいいからほしいしね。本格的な人は好きじゃないけどな。

 

「もう決まってるからそろそろ来ると思うよ」

「おっけ。わかった。失礼しました!」

 そう言って俺は部屋を出た。

 よし、練習試合か。相手はどこだって俺らは挑戦者だからな。

 立ち向かうだけだぜ。

 

 

 

 

                     ?

 

 

 

 

 

「で、相手はどうするんや?みずきさん」

 

 私に原君が聞く。恐らく練習試合の件だろう。

 とりあえず強すぎて負けたりしたら駄目だし・・・。

「あまりに弱いと学園長に認めさせられないですよ。どうします?」

 

「そこが問題よね」

 

 おじいちゃんの条件を満たせなくなるから、駄目なんだよね。

 バス停前高校とかいいかなーと思ったけど、弱すぎるし。

 野球部として活動しているリストと野球部の部員の名前を交互に見る。

 友沢亮や猛田慶次が居るし、六道さんや朱鷺君も居るから強いとこでも良いかなって思ったけど、駄目だ。

 うーん。どうしようかな。

 パワフル高校は・・・今年の一年生が凄い面子だって聞いてるしなぁ。

 いくら関係してる人が多いからって駄目だよね。

 極悪久高校も今の三年生が結構凄いらしいからなぁ・・・。

 球八高校も昔からの古豪だし、そよ風高校はそんなんでもないけど、有名じゃないし。

 私はどんどんリストのページをめくっていく。

「!」

「どうしました?」

 

 大京くんが私に尋ねてくる。

 この高校なら大丈夫だ。というより交渉すれば何とかなるかもしれない。

「難しいけど、交渉する価値はありそうね」

「どこの高校ですか?」

 私はその高校の名前を言った。

 三人は凄く驚きの声をあげたが、すぐさま私が説明を入れると了承した。

「賛成や、みずきさん」

「良いと思いますよ」

「なるほど。良いと思います」

「でしょ……?これはいけると思うわ」

 私は笑みを浮かべながらその学校へと交渉するために電話を掛ける。

「もしもし。私、橘みずきと申します。野球部の練習試合を組みたいのですが。・・・はい。・・・5月4週目の土曜日でどうでしょう?・・・はい。いえ、こっちの戦力はまだそっちのほうでは及ばないのでできれば・・・。・・・はい。わかりました。ありがとうございます」

「どうでしたか?」

「もちろん、オッケーよ。相手も出場メンバーは一年生だけで、一年生の実力確かめたいらしかったしうれしいって。レギュラーの一年生を除きつつ、投手だけは準エースを呼んでくるらしいわ」

 

 

『あかつき大付属高校が』

 

 

 因縁の相手が来る。

 猪狩守だ。

 

 

 

 

 

                     ?

 

 

 

 

 

 

 部室に帰ってきて、みんなに伝えると大喜びの様子だった。

 特に聖が俺とのバッテリー初試合ということもあって、気合いが入っていた。

 まあ、俺にしかわからないんだがな。

 で、そろそろ顧問の先生が来るって聞いたんだけど・・・。

 コンコン。

「うーす。入っていいですよ」

 

 ガチャ。

 そこに現れたのはかなりの美人さんだった。

 この学校の教師の中でNo.1という噂しか聞こえない教師で、男女共に非常に生徒に人気。

 緑と青を混ぜた色の感じをおさげにしている。

 これマジかよ・・・。

 たぶん明日辺り全クラスで反乱が起きるかもしれん。

 ただこれでみんなのやる気が上がると思うので、大きいと思う。

「こんにちは。えーと、このたび野球部の顧問となりました。橘たちばな 聖名子みなこです。よろしくおねがいま・・・」

「よっしぁああああああああああああああああああああ!!!でやんす!!!天使が現れるなんて神様はオイラを見放してはなかったんでやんす!!!」

「よっし!」

「やったぜ!」

「はは……」

 

 おいおい矢部君。盛り上がりすぎだよ。

 霧丘、真田。お前らもか。

 友沢と聖と喜多村はいつも通り、峰田は若干他のメンバーに苦笑い。

 んで、猛田は矢部君のはしゃぎようにイライラしている。

「趣味はなんでやんすか!?いや、ここは特技を聞いとくべきでやんすかね、いやいや・・・」

「てめえ、ちょっとは落ち着け!」

 

 猛田のパンチが矢部君の右頬にモロに行く。

 矢部君は吹っ飛んで、部室のロッカーに当たるという2コンボを生み出して、メガネが壊れる。

 すぐに矢部君は立ち上がり、冷静にメガネを替えている。

 おお、これまさか賢者モードってやつか。

 それを見ている聖名子先生は少し微笑していて、友沢は興味なさそうにして、小声で俺に話しかけてきた。

 聖名子先生は霧丘と真田の相手をしているみたいだし。

(練習試合の相手は決まったのか?)

(いや、まだ決まってない。まあ、バス停前高校とかじゃなければいいんだけどな)

(どうせなら名門校は紹介してやったのにな・・・)

(また今度の機会で良いだろ?)

(そうだな)

 友沢の知り合いの高校?まあ、名門校ならまた今度してみたいな。

 友沢だし、はずれなんてないはずだからな。

 って、そういえば苗字が橘ってことはみずきちゃんの姉かその辺かな?

 まあ、みずきちゃんに聞いてみるとするか。

 と、聖名子先生がなんか話しそうだから聞くか。

「えっと、妹のみずきから伝言です。『練習試合5月4週、場所はあかつき大付属高校グラウンド』」

「!?」

「修也君」

「ああ、これは驚きだな」

 

「『相手はあかつき大付属高校』らしいです」

 

 そう。驚いたってもんじゃない。

 今年の最優勝候補の高校。

 俺たちの初試合の相手は、猪狩守が所属しているあかつき大付属高校だった。

 猪狩……。いきなりか。

 お前と戦うのは公式戦かなと思ってたが、ここで来るなんてな。

 

「修也……」

「安心しろ聖、勝てない相手じゃないって」

「だが……」

 聖が心配そうに俺を見る。

 ああ、やっぱり俺があのことを根に持ってると思ってんだな。

 でもさ、安心しろよ。

 お前が居ればなんとかなるって思ってるからさ。

 ピッチャーの場所は一人だ。

 それを支えるのがキャッチャーだろ。

「みんな、相手は凄いメンバーだ。でも、良い経験になると思う」

 

 部員全員の視線と聖名子先生の戸惑いが少し見える。

 ごめんなさい先生。これが切り替えってもんですよ。

 

「あかつきは強い。でも、俺たちが甲子園に行くためには避けて通れない相手だ」

 

『喰らいつくぞ!あかつき!』

 

「「「「「「「おー!!!!!!」」」」」」

 みんなの声が響く。

 いくぜ猪狩。あんまり高台で見下ろしてると痛い目会うぜ。

 勝てるなんて思ってない。ましてや相手は凄いからな。

 ベンチメンバーや二軍だとしても勝てるなんて思えない。

 そのくらい差があると思ってる。

 でも、全力でいかせてもらうからな。

 

 

 

 

                     ?

 

 

 

 

 

 

 その後は帰宅となった。

 それぞれみんなは帰宅の準備をしているとき、恐らく出てくるであろうあかつきのメンバーを考えながら準備していたところに聖が来た。

 

「修也。一緒に帰ろう」

「ん、いいぜ」

 

 まあ、家も結構近いからな。

 歩いて登校してる俺にとっては最近一緒に帰る人がいなかったからな。

 

 

 聖と俺は幼馴染だ。

 小さいころから、良く俺の親が仕事の都合上留守にしていることが多く、そのときはお世話になっていた。

 初めて会った時の聖は俺に無愛想で、あんまり仲は良くなかった感じがしていた。

 でも、聖の親からは仲良く見えたらしい。

 

『外に出ることがなかった聖が出るようになったのは修也君のおかげだ』

 

 という言葉を掛けられたことがあったな。

 常に俺が聖の手を引っ張って、遊んでいたような気がする。

 

『聖ちゃん、遊びに行こう!』

『私は家に居る……わっ!』

 

 毎回そんな会話して。

 小学校上がる前はいっつも遊びに行っては帰っての繰り返しだった。

 小学校は親の都合上、私立のあかつきと公立のパワフルに別れてしまったし、少年野球チームも違う。

 背番号1を取れなかった俺を慰めてくれたのも聖だ。

 逆に聖がレギュラーを取れなかったときも慰めたのは俺だ。

 聖のおかげで今の俺がいるし、逆に俺が居たから今の聖が居る気がする。

 いや、居るはずだ。

「そろそろ、だな」

「ああ。練習試合が終わればすぐだ」

「初めての夏、か。いつから夢見ていたことだろうか」

「?」

「昔、小学校6年辺りで私が言ったことなかったか?」

「もしかして……あれか」

『わ、私は修也と一緒に野球がしたい!甲子園というのを目指すんだ!』

 

 今でも忘れないよ。その言葉。

 もしかしたらその言葉で聖は俺を一緒の高校で野球しようって決めたのかもしれない。

 

「懐かしいな。くっくっく」

「笑うな!……まったく。……甲子園って近くて遠いって存在な気がするんだ」

「わからなくもないな。それ。野球やってると感じるんだけど、遠いなって感じる。でも、大会が近付いてくると近いって感じがしてる。よくわからないけれど」

「昔は簡単に甲子園って言ってたが、今思うと凄い存在だ」

「まあな。昔は聖も小さかったしな」

 

 俺が聖の頭をポンポンと叩く。

 

「や、やめろ」

 

 それでも俺はやめずにし続ける。

 すると聖の頬が赤く染まる。

 やりすぎたかな。

 

「んー、大丈夫じゃないか?俺たち一年生だし。五回チャンスある。急がないでいいんだよ」

「うむ。それもそうだな。だが三年間なんてあっという間だぞ」

「安心しろ。今のチームなら、いけるだろ。俺とお前のバッテリーが崩れなければ勝てる。いや、勝てるように努力しような」

「……うむ」

「どうした?」

「い、いやなんでもない。ではお別れだな。また明日だ」

「おう。じゃあな」

 

 

 

 

 

 

                     ?

 

 

 

 

 

 

「私は修也のことが好きなのか……?」

 

 わかれ道で少し歩いてそんなことを呟く。

 いつも昔は一緒に居た。

 それが小学校、中学校になってからは会う回数も減ってきていた。

 でも、高校が同じになってからはいつも会うことができるようになった。

 心のどこかで安心感がある。

 すごく安心する。修也と一緒に居ると。

 だけど、一緒に居ないともやもや感が残る。

 これはなんなのか。もしかして恋なのか。

 このもやもや感を誰かに伝えたい。

 

「修也……」

 私はもう修也を落ち込ませたりしない。

 いつしか野球をやめそうになった、修也のことを思い出す。

 嫌だ。あんな表情。

 いつも私を引っ張ってもらいたい。共に協力していきたい。

「駄目だ、こんなことを考えては」

 私は切り替える。

 あかつき大付属高校の練習試合について。

 私はキャッチャーだ。

 ピッチャーをリードする。それが仕事だ。

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