吾輩は利根である。カタパルトはまだ(整備して)ない 作:上新粉
勢いのまま書き続けると何だか同じような展開になりそうで、それを避けるために考えると今度は手が進まなくなって……まあこれでスランプなんて言ったらもっと悩んでる人達に失礼なんで頑張りますけどね!!
それでは早速本編のほうをどうぞ!
「邪魔するぞ明石よ。」
俺は扉の前で一声掛け中へと入ると明石は隅の机で食堂のカレーを食べている所だった。
「ん、ふぉうもほえふぁん。まあまふぁひふぁいっへふははい。」
「ちょっと何いってるかわからんぞ?口に食べ物を含んだまましゃべるでない。」
そう注意すると明石はこくりと頷きカレーをよく味わいながら飲み込み、ようやくまともに話せる状態になった。
「いやぁ、しつれいしました。昨日久々にカレーを頂いたらやっぱり美味しかったのでつい。」
「何がついなのかは知らぬが行儀が悪いから気をつけた方がよいぞ。」
「そうですねぇ、気をつけます……っとそれよりも良いタイミングで来てくれましたね。夕張ちゃんもよくきてくれたわ!ついにあれが出来たのよ!」
「ホントですか明石さん!!」
あれってなんだ、まさか前に話した抜錨機構か!?だとしたらこの鎮守府の資材が危ない!!
「それはいかん!それを作ったら鎮守府の資材が枯渇してしまうぞ!」
「え?……どうしたの利根さん。」
「…………ああ!そっちではありませんよ。流石に二ヶ月で抜錨機構を作るのは出来ませんからね。」
「ああ、なるほどね。そっちじゃなくてもっと利根さんに関係のあるものよ。」
「吾輩に関係あるもの?」
「利根さんの艤装に今何の役にも立ってないものがあるでしょ?」
夕張がそういって指を指す方を見るとそこには最初に出して以降一度も取り出す事無く忘れ去られたダブルデリンジャーがポケットに入っていた。
「これか……確か使える艦載機が無いからと放置されておったやつじゃの、ってまさか?」
「気づいたようですね?そうです、ついにそのカタパルトに耐えられるものが出来たんですよ!」
すると明石はパソコンのキーボードの上に置いてあった紙を掴み、ドヤ顔で俺の方へ見せつけてきた。
「US-2?外国の水上偵察機か何かか?」
「いえ、これでも日本で作られたものらしいですよ?」
「らしいですよって……お主が作ったのであろう?」
「大元を作ったのは工廠長ですね。私はアイデアをだして必要な資材を用意して、出来上がったものを皆さんが使いやすいように調整をかけているだけですから。」
自分が作っている訳ではないと謙遜をしているがそれでも毎日俺たちの艤装の点検をしながらこうやって新装備の開発にも携わっている事には違いないからな。
「ふむ、やはり凄いな明石は。」
「なんですかいきなり~。褒めてもなにもでませんよ?」
「なに、吾輩は本音を口にしたまでじゃ。」
「あははは、そんなに真面目に言われると少々照れ臭いですね。え~と……それでこちらのUS-2ですが、大戦後開発された機体ということで現状そのカタパルトから発艦可能だと思われる紫雲等と比較しても全ての性能が段違いですね。まず最高速度ですが零式水偵で二百キロ、紫雲でも百キロ以上差があります!更に航続距離なんか零式水偵の一・五倍、紫雲に至っては三倍以上ですよ!?圧倒的です!!」
「だ、だがその分何か無理難題を要求されるのであろう?」
「何を気にすることがあるんですか?その無理難題を難なくこなしてるじゃないですか。」
なんなくこなしてはいないんだが…………
「まぁ強いて挙げるならこの水上機には……いえ、正確には水陸両用機ですが。元々救難機として開発されている物なので武装がついてないんですよ。」
「武装がないだと?それは大丈夫なのか!?」
「まぁ使い方次第ですが索敵に使う分には問題ないんじゃないでしょうか?それに速いですし。あとは零式水偵の倍以上の大きさなので利根さんのカタパルトを改造して搭載数を一機にする必要がありますね!」
更に減るのか!?もうなんだ搭載数一機って……ラジコンかよ……
「ま、まあ折角なので上手く使ってください。」
「うむ……そうじゃな。後ほど発艦訓練でもしてくるかの。」
「つーかいつまで艤装をつけてるつもり?いい加減降ろして来たら?」
夕張に言われるまで気づかなかったが艤装つけたままだった、というより昨日の出撃の様子を確認しようと思ってきたんだったな。
「そうだったな!明石よ先日の出撃の時の映像を確認したくて来たのだ。すまぬが頼めるか?」
「ああ、それなら他の人のを今さっきまで見てたところですよ。」
ほら、と言って明石が映像を再生させると利根の顔がアップで映されていた。
「な、なんじゃこれは!?」
動揺する俺を見ながら明石はニヤニヤしながら続ける。
「またまた~ご自分がされたこと忘れたとはいわせませんよ~?」
ちょ、ちょ、ちょっとまって!?俺昨日どうしたんだっけ!
えっと……敵を倒して……増援が来て……ヴェールヌイが大破したから撤退しようとして……進行方向に出てきた敵を第一艦隊と挟撃して……ヴェールヌイを…………あ…………しまったぁ!!恥ずかしげも無くなんてことをやらかしたんだ!あ~やばい思い出したら急に恥ずかしくなってきた……つーかそうじゃない!それよりもヴェールヌイにあんな辱めを受けさせていたのか俺は!?
「今すぐヴェールヌイに謝りに行かなければ!いやしかし彼女は今治療中だし、一体どうすれば……」
「別にいいんじゃない?わざわざ謝る事なんかないでしょ。ただ単にカップルがいちゃついてるようなものなんだから。」
「いやしかしだ……って夕張!?いつの間に俺の心を読んだ!」
「いや、読むも何も完全にだだ漏れだったわよ。」
「ちなみに三人称視点だとこうなります!」
「明石!?追い討ちを掛けるのはやめてくれ!」
ーーふむふむ、なかなかに男らしいではないかーー
おまえも見てるのかよ!?というよりこれお前の姿だからな?
……はぁ、とりあえす話を逸らそう。ヴェールヌイには一応後で謝っておくとして……
「…………まあよい。とにかく吾輩の動きも確認させてもらってもよいか?」
「はい、いいですよ。私も確認したいことがありますし。」
明石はそう言って一本のコネクタを俺の艤装に差し込んでいった。
「よし、これでデータの移動は終わりです。先に艤装を点検の方に出してきちゃって下さい。」
「もう終わったのか?はやいのう。」
「そうですか?いつもこれくらいですよ。」
もう少し時間が掛かるかと思っていたので呆気にとられつつも明石に言われたとおり艤装を置きに行き、戻ってくるとすでに準備が済んでいた所であった。
「おかえりなさい、再生する準備は出来てますよ。」
「そうか待たせたの、では早速始めてくれ。」
俺は今回の出撃を思い返しながら映像を見始めた。
「…………うむ、やはり対空を強化するべきか。」
一通り見終わりこれからの訓練を考えていると何故か全員の視線がこちらへ向いていた。
「やっぱり普通じゃないわね……」
「そうね、これはおかしいわ。」
え、なにこれ。俺そんな酷い動きだった!?利根ぇ、何か変だったか?
ーーう~む……お主の練度はいくつなのじゃ?ーー
練度?そういやいくつだろう。確か前に明石が三程度だっていってたような。
「明石よ、吾輩の練度は今いくつなのだ?」
「えっと……ちょっと待ってくださいね。」
そういうと明石はマウスを動かし色々と操作していくが、唐突に明石の手が止まった
「あ、あれ?おかしいな……故障かな?」
「どうしたのじゃ?」
「あ、いえ……恐らくデータの異常だと思うのですが、利根さんの錬度が三十二になってるんですよ……」
と明石は困ったように笑いながら答えた。
「故障か、ならば仕方ないのう。では吾輩は少し艦載機をテスト飛行させに行くとするかの。」
そう言って立ち上がろうとすると突然明石に両肩を掴まれ立ち上がれずに尻餅をついてしまった。
「あいたっ!何をする明石!?危ないであ……ろぅ。」
振り向くとまるで新しいおもちゃを手に入れた子供の様に目をキラキラさせた明石がいた。
「まあまあまあ!もしかしたら故障じゃ無いかもしれないじゃないですか!それに故障だったなら尚の事点検しなければなりませんよね?」
「まあ、そうじゃな。では艤装は使えぬな、ならば陸上訓練に変更するか。」
だが明石は一向に手を離す気配がない。寧ろその手に力が入ってきて少し痛いんだが……
「あ、あかしよ……肩が痛いのだが。」
「それは大変ですね!直ぐに検査しましょう!」
「いや、そうじゃなくてだな…………」
「さあ直ぐに上の工廠に参りましょう!!隅々まで調べさせてもらいますよ!」
あ、ダメだこれ選択肢すら出てくる隙もないタイプだ。
「わ、解った。解ったから取り敢えずその手を離してくれ、本当に肩が痛いのじゃ。」
「あっとこれは失礼しました!では参りましょうか。」
肩を掴んでいた手を離し、その手で俺の手を引き工廠へと連行して行った。
その後夕張を別れ、俺は下着姿で診察台に寝かされ様々な検査を三時間程受けた。
「はい、お疲れ様でした。もう服を着ても大丈夫ですよ。」
俺は着替えながら検査結果を聞いてみた。
「それで明石よ、原因は分かったのか?」
「それが…………あはは、さっぱりですね!」
「はぁ?どういうことじゃ?」
そう問いかけると明石は気まずそうに答えた。
「えーとですね……何も異常は見当たらなかったんですよ。」
「異常が無いなら良いのではないか?」
「まあ普通ならそれでいいのですが、それだと利根さんの練度が三十二になった理由が説明出来ないんですよねぇ。」
う~ん、確かになんでそうなったのかは検討もつかないな。利根は何か知っているだろうか?
ーー吾輩が知っておるとでも思ったか?ーー
あ、やっぱり知らないか。
ーー当たり前であろうーー
ーーしかし、仮説ならたてられるぞ?ーー
マジか!?利根さんすげぇ!教えて下さい!
ーーふふん、仕方ないのう。よ~く聞くがよいぞ!ーー
ーーまずお主は二ヶ月の間あやつの訓練を受けてきたのだろう?ーー
そうだな、確かにハードだったけど別に演習や実戦をやってきた訳じゃないぞ?
ーーそうだのう、じゃがもしその教わってる事がそのレベル以上の事で尚且つそれをほぼ完璧に使えておるならそれに合わせた練度になってもおかしくはなかろう?ーー
ほぼ完璧には言いすぎだろ。それにこの艤装じゃああそこまで自分でやらないとまともに戦いに参加できないから必要以上ってこともないんじゃないか?。
ーー本当にそこまでやらねば戦闘にならないと思っておるのか?ーー
そうだろ?だって当てられなければ敵を倒せないじゃないか。
ーーならば当たる距離まで近づけばよかろう?ーー
いや、流石に二十キロ以上先から撃ってくるなか五キロまで近づく方が至難の技だろ。
ーーはぁ、お主が戦った相手でその距離から撃ってきた者をいうてみるがいいーー
二十キロ以上から離れたとこから撃ってきた奴?
えーと、ヴェールヌイに重巡リ級elite……後戦ってはいないが長門もその距離から撃っていたな……っとそんなところか。
ーーあ~……これも吾輩の予想だが長門の弾は恐らく当たっとらんなーー
世界のビッグセブンになんてことをいうんだ!?
ーー練度の問題じゃ。あの練度では普通大破させられる程命中することはほぼ無いからのーー
ーーまあまぐれ当りはあるから絶対とは言えぬがのーー
でも長門は俺と違って二ヶ月間演習や実戦を行なってた、なら俺よりも練度は高いはず。
ーーそれでもお主と同じ位であろうーー
ーーそれにお主と違って突出して射撃訓練をしていたわけでもあるまいーー
ーーそれなら同じ練度でもおのずと射撃精度に差が出てくるという訳じゃーー
そうなのか?いまいち納得できないが解った。取り敢えず伝えてみる。
ーーうむ、なにか参考になれば良いがのーー
俺は利根と話した内容を明石に伝えてみた。
「なるほど、一点に特化させる事による練度の上昇ということですか……」
「うむ、そんなことがありえるのだろうか?」
「それは有り得るでしょう、というよりその仮説が一番可能性としては高いですね。」
「そうなのか?吾輩はいまいち納得出来なかったのだが。」
「ええ、教わっているとは思いますが練度とは艤装の熟練度のことですから恐らく一点でもそれを極めれば練度は上がって行くと思います。」
「つまりヴェールヌイと演習したときにはもうこれ位の練度だったということか?」
「ええ、多分その演習でその練度になったんだと思います。」
そうか、俺の経験値が上がりやすいとかそういうチート的なものじゃないのか……よかった、色々とチート性能過ぎてどうしようかと思ってたんだ。
ーーなぜ吾輩の時は言い返しておったのに明石の時はあっさり納得するのだ?ーー
いや、ねぇ……申し訳ないとは思うんだけど利根さんってちょっとアホっぽいイメージがあって説得力が……
ーーなっ!?失礼な!!誰があほじゃだれが!!ーー
あ、いやあほなのは悪いと言っている訳じゃないんだよ?ただ説得力に欠けるかなって……
ーー変わらぬわこの莫迦者が!お主なんぞもう知らん!!勝手にせい!ーー
利根さん!?…………ああ、やってしまった。また俺は余計なことを……だがあほの娘いいじゃないか!俺はあほの娘も好きだ!ってそういう事じゃないんだよなぁ……
「まあもしそうでなくとも、練度はその本人の努力によって上がるものなので何もしないで上がる事はありません。ですからその練度も利根さんの努力の証と言うことですよ。」
「そ、そうか……そう言われると少し報われた気がするのう。」
「もっと自信を持ってもいいんですよ?っともうこんな時間!長らくお時間取らせてしまって申し訳ありませんでした。」
「善処しよう……吾輩もそろそろ帰るとするかの、色々世話になった明石よ。ではな。」
「はい、おつかれさまです。」
明石に一言礼を述べ、俺は工廠を後にしヴェールヌイの様子を見に行こうと医務室へ向かった。すると丁度出くわした医療妖精さんに昼間騒いでいた事を凄く怒られたのち、面会時間はもう終わってると告げられ仕方なくそのまま寮に帰ることにしたのであった。
そろそろ終盤に向けて着々と準備を始めております。
早くないかと思われますが自分はノープラン初投稿で長期連載出来るとは思っていませんのでグダグダが悪化する前にゴールを一度決めておこうかと思いまして。
何処まで続くかはわかりませんが三十話はいかないとは思っています。
一応この作品が完結後に次回作を今度はプランを練ってから投稿しようと思っています。
恐らく艦これの二次創作物になると思いますが他の作品になる可能性もあったりします。
その時にもまた見て頂けたら幸いです。