吾輩は利根である。カタパルトはまだ(整備して)ない   作:上新粉

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いやぁこんなペースで連続投稿するの最初の頃以来ですよw
本当はこのペースで続けていけたらいいんですが……
まあ最近は携帯でも打ち始めたので前よりは投稿速度は上がるとは思うんですよ。

それでは戦闘回第二部、どうぞ!


任せておれっ!

 「利根さん、夜戦に突入するわ。」

 

夜戦は昼と違い敵の視認が困難になる上に航空機の発着艦が困難となる為、通常なら雷撃戦距離での戦闘が強いられる。

しかし、俺のこの電探ならば昼も夜も関係ないのだ!

 

「構わぬっ、筑摩も続け!距離を詰めながら引き続き撃ち続けるのじゃ!」

 

「わかったわ。でも利根さん、そろそろ気を付けた方がいいわ。」

 

筑摩の忠告を受けた次の瞬間、一キロ先に大小入り乱れる砲弾の雨が降り注いだ。

 

「なんとっ!?あ、危なかったぞ......」

 

「利根さんの程でなくとも戦艦の皆さんは大型の高性能電探を積んでるのよ?」

 

そ、そうか戦艦の砲戦距離的にそれくらいは必要か。

あ~だから利根はあの時長門の砲撃は殆ど当たってないと言っていたのか。

確かに敵の位置が正確に分からないのに当てるなんて普通は無理だもんな......ヴェールヌイは似たようなことをしてる気がするが............って考えてる場合じゃないっ!

急いで面舵を切るとまたもや鉛の雨が降り注ぐ。

 

「なっ、至近弾だとっ!?」

 

損害は軽微だがその弾着地点に俺は戦慄を覚えた。

 

「利根さん、大丈夫?」

 

「ちく、ま……だ、大丈夫ではあったが……もし面舵を取らなかったら……。」

 

これは不味い、まさか夜戦がここまで恐ろしいとは............飛んでくる弾が見えん!!

 

「利根さん、二手に別れて接近しましょう。」

 

筑摩も危機を察したようで目標を集中させない為に俺たちは二手に別れ左右から近づくことにした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「二手にわかれたようだね。」

 

「良いわね、利根はどっちかしら?」

 

ヴェールヌイは二人の姿を思い浮かべながら考える。

 

「筑摩さんの艤装を考えるなら利根さんは左からだろうね。」

 

「ダンケ!じゃあ好きにさせて貰うわよ!」

 

そう言うとビスマルクは左の方へ砲撃を始めた。

 

「筑摩さんは恐らく利根さんの支援を受けてるかな。」

 

ヴェールヌイは目を閉じて一度だけ深呼吸をすると、音波探信義を起動させた。

たった一人を除いて誰も聞こえることのない音が響き渡っていくその中で、彼女はゆっくりと瞼を開く......

 

「さて、やりますか。」

 

ヴェールヌイは筑摩がいる方へ一直線に向かっていった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 「利根さん、本当に大丈夫ですか?」

 

「うむ、ヴェールヌイの位置を報告し続けるくらいなら問題は無い。」

 

「…………わかりました。それじゃあ利根さんにお願いするわ。」

 

「吾輩に任せるが良いっ!」

 

筑摩はヴェールヌイが何故熱心に彼女を指導していたのかをたった今理解した。

そしてそれを微笑ましく思い、彼女は顔を綻ばせながら呟いた。

 

「ヴェールヌイさん…………出会えたのですね、貴女を理解してくれる方に。」

 

そんな時間も束の間、再び表情を引き締めヴェールヌイがいる方へ砲門を構える。

 

「突撃します。利根ねぇさん見ててっ!」

 

ヴェールヌイに向かって一斉射を掛ける。

と同時に筑摩の周囲に次々と砲弾が降ってくる。

 

「そんなっ!もう狙いをつけてきたの!?」

 

利根からの情報ではまだヴェールヌイは此方から十七キロ以上離れているしビスマルクも恐らく常に教えられる状態ではない。

三週間前の利根との演習を見ていない筑摩はヴェールヌイの特技を思い出すまでに時間が掛かってしまった。

 

「そうだわ!たしか……」

 

思い出した時にはヴェールヌイの放った榴弾が次々と命中し火災(判定)が発生していた。

 

「どうしましょう。このままじゃ……」

 

中破となり機動力も低下してしまい、筑摩は窮地に立たされていた。

 

「筑摩っ!大丈夫かっ!?」

 

「ええ、私はまだ大丈夫よ。」

 

長くは持たないけど、とは伝えずに筑摩は自身の被害状況を確認する。

砲門は既に半分以上使用できず、機関も損傷状態で電探すら機能しない。

しかし、奇跡的にも唯一無事だったのがカタパルトであった。

 

「後はこの子たちに任せるしかないようね。」

 

筑摩はカタパルトを空へ掲げると、そこから九機の瑞雲(六三四空)が飛び立っていく。

最後の一機が放たれた時、筑摩に轟沈判定が出された。

 

「筑摩さん轟沈判定になりましたぁっ!そちらで待機していてください!」

 

夕張のアナウンスを聞いた俺は少しばかり動揺していた。

 

「こ、これはどう見てもピンチではないか?」

 

ビスマルクの攻撃を回避しつつ絶え間なく打ち続けるが手ごたえは無く段々と距離が縮まっていく。

互いに最大戦速で進んでいた為、既に互いの距離は八キロを切っていた。

 

「このままだと奴の雷撃距離に入ってしまうか。」

 

至近弾のダメージ位は入ってるはずだが決定打に欠けるな。

やはり雷撃距離に入ってでもこっちが水平射撃出来る距離まで近づくべきか。

 

「くっ、そろそろ中破してしまいそうじゃ。」

 

そんなことになったら……っていかんっ!あれって残った布で隠してるだけで上半身裸じゃないか!?

いかん……それだけは避けねば。

俺は不意になにか引っかかるものを感じた。

避けねば……避ける……回避……かい、ひ……

 

「そうじゃっ!!」

 

いままで練習してたじゃないか!

俺は飛んでくる砲弾を見ながら右へ大きく飛び跳ねた。

着地の際に少しバランスを崩して転びそうになったが、なんとか立て直した。

 

「おお、やっぱり行けるものじゃな!」

 

スピードが乗ってる所為で着地が難しいがどうやら実戦でも使えそうだな。

俺は日頃の練習を活かし海面を走り始めた。

初日はすっ転んでしまったがどうやら前進しながらならスケートで滑るような感じになるようだ。

一つ問題が有るとすれば燃料の消費が走る分多いということだろうか。

因みに跳躍も同じである。

 

「行くぞビス子ぉ!」

 

あ、やべっ。舞い上がりすぎて素が出てしまった……気を付けんと。

そのままビスマルクの撃つタイミングを予想して(まあ再装填時間を計算してるだけだが)はステップで回避をしながら距離を詰めていった。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「よく私の砲撃を避けきった……ってWas!?」

 

目の前の余りに驚愕的な光景にビスマルクも思わず祖国の言葉が飛び出てしまった。

しかし軍艦の化身である彼女たちにとってそれ位予想外な光景であったのだ。

 

「えっ!一体何が起きてるのよ!?」

 

「どうしたんだい?」

 

ビスマルクの慌てぶりが気になったヴェールヌイがビスマルクへ話しかける。

 

「どうしたもこうしたもないわよっ!艦娘が海の上を走ったり跳ねたりするなんて非常識もいいとこだわ!!」

 

「なるほど、本当にものにしてしまうとは……」

 

利根の正体を知っているヴェールヌイは冷静に……冷静に頭を抱えていた。

 

「……わかった、今向かってるから何とか持ちこたえてくれ。」

 

「こんな動きされたら魚雷なんて当てられないじゃないっ!」

 

ビスマルクは何とか面舵を取りながら利根を狙い撃つが瞬発的に回避の出来る彼女には既に今までの偏差射撃など通用しなかった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 「このまま一気に決めるぞ!」

 

俺はビスマルクの再装填時間に一気に懐まで潜り込もうとした。

しかし、ビスマルクは前の砲撃時に打ち切らずに連装砲のうち二発だけ残してあった。

 

「かかったわね、くらいなさいっ!」

 

「しまった!?」

 

既に回避が間に合わない位置まで来てしまっていた。

ビスマルクから放たれた砲弾のうち一つは頭を掠め、もう一つは右足へと直撃した。

 

「うぐぅっ!?」

 

模擬弾とはいえ三十八センチ連装砲改から放たれる鉛玉は尋常じゃないくらい痛かった。

そしてしっかり服ははじけ飛んでしまった。

 

「ぐぬぬぅ……負けん、負けんぞおぉぉ!!」

 

痛みと羞恥に耐えながら俺はビスマルクの砲塔を全て大破させる。

最後に少し罪悪感を覚えながらビスマルクに二発撃ち込んだ。

そこで夕張からビスマルクの轟沈判定が言い渡された。

……よかった、これで後二十発撃たなきゃいけないとかだったら色々な意味で倒せなかった。

 

「ふぅ……あとは。」

 

とその時。

 

「榛名さん轟沈判定となりましたっ!そのまま待機しててくださいね。」

 

榛名がやられたか、後は俺と中破の神通と艦載機をもたない赤城だけか……

相手は、扶桑と翔鶴とヴェールヌイか…………あれ、負けたんじゃね?

そんなことを考えている間にもヴェールヌイは着々と近づいてきている。

 

「ぬぅ……もうひと踏ん張りかのう。」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「あっちだね……」

 

ヴェールヌイは利根の方へと砲を構える。

 

「ハラショー、本当に君には驚かされてばっかりだよ。でも……負けたくはないからね。」

 

「大丈夫、ここまでやって君を認めない人なんて此処には居ないさ。」

 

負けず嫌いな性格な上に利根の力を測るためとはいえ普通に戦えば七割は勝てる編成を組んであったのだ。

しかし、現状は勝っているもののまだ逆転される可能性が残っている。

その可能性を無くす為に引き金を引いた。

 

「これで私達の勝ちだ。」

 

しかし彼女は負けられないという焦りに囚われたが故に、普段なら気に掛けるような事を見落としてしまっていた。

突如彼女の耳に聞き覚えのある音が響く。

 

「しまっ!!?」

 

筑摩が全てを託した瑞雲編隊はヴェールヌイ目掛けて急降下し次々と爆弾を投下していく。

 

「くぅ……そんなっ!」

 

突然の襲来に反応が遅れたヴェールヌイは為す術無く爆撃を浴びる事となった。

 

「ヴェルが轟沈判定となりました!そのまま待機してて!」

 

「ふふっ、私とした事がまさかこんな見落としをするなんてね……」

 

緊張の糸が解けたヴェールヌイは、その場に座り込み力無く笑っていた。

 

 

 

 

 「くっ、やられたか……」

 

一時間後、利根が轟沈判定となるも扶桑を小破させた所で時間切れとなった。

 

「それでは結果を発表するわよっ!!」

 

運命の結果発表が行われる。

途中まではヴェールヌイチームが優勢だったがヴェールヌイが轟沈判定となったことで勝敗が分からなくなった。

 

「え~、今回勝ったのはぁ…………ヴェールヌイチームですっ!!」

 

だがしかし、ほんの僅かな差でヴェールヌイ達に軍配が上がったのであった。

 

「ぬぅ、勝てなかったか……」

 

「いや、今回は運が良かっただけで内容自体はどっちが勝ってもおかしくない物だった。」

 

「まったくよっ!全然勝った気がしないわ!」

 

「そうよそうよ!もっと優雅にエレファントに勝ちたかったのに!」

 

「それを言うならエレガントでしょ!」

 

「そ、そうよ!それよそれ!」

 

ヴェールヌイが騒ぎ始めた皆を制し、利根について尋ねた。

 

「今回の演習を通して利根さんをまだ力不足だと思う人はいるかい?」

 

「何なら後で映像を確認してからでもいい。見た後にまだ利根さんの実力を疑うなら一対一で再戦して貰っても構わない。」

 

ビスマルクと一対一で勝った、翔鶴の艦載機を合計二十機以上落とした。

この二つの事実だけでも既に利根の力を疑う者など居なかった。

 

「いないのかい?なら明日の一○○○に作戦会議室で作戦の説明をするとしよう。いいね?」

 

全員が一斉に頷く。

 

「よし、それじゃあ今日はこれで解散だ。」

 

その解散を合図に全員が風呂場へと流れ込んでいったのであった。

俺?あぁ……見事に筑摩に捕まったよ……ヴェールヌイに冷凍ビームのように冷たい視線を受けてなきゃ理性が崩壊してしまう所だったよ。

 

……結果的に助かったから良いんだけど、別に自分から行った訳じゃあ無いんですよ?

 

 

 

 

 

 




今回の戦闘回約一万文字になりましたねぇ。
前後編に分けなきゃこのシリーズ最大の文字数になってましたね。
ってそれは初出撃の時も一緒でした。

あとこの視点切り替えはもうやらんかなぁ……
ついでに三人称で書いてみたかった訳ですが目まぐるしく視点切り替えしてしまったせいで三人称と一人称がよく分からんようなってしまいましたOTL

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