吾輩は利根である。カタパルトはまだ(整備して)ない 作:上新粉
五話と比べてどっちが読みやすいですかね~。
筑摩の顔が数センチ前まで迫っていた。
「おわっ!!?ち、ちく……ま?こんな夜遅くにどうしたのじゃ!?」
びびったぁ!!!マジで心臓に悪すぎるから勘弁してくれよ!
すぐに後ずさりながら筑摩がなぜ此処に居るのかを聞いた。
「少し利根ねぇさんと二人きりでお話がしたくて待ってました。」
「そ、そうか!それなら立ち話もなんじゃの、部屋ではなそうか。」
「いえ、すぐ済みますからこのままで構いませんよ?」
そう言いながら少しづつ距離を縮めてくる彼女に俺は訳も分からず後に下がった。
「なっ!?べ、別にこの距離でも話せるであろう?!」
壁に阻まれこれ以上下がれなくなった俺に筑摩は更に近づいてくる。
そしてついに彼女の吐息が掛かる位まで近づくと、俺の耳元まで口を近づけた。
え?なにこれ!?一体何がどうなっているんだ?これは色々と良くない気がする!どうすればいいんだ……あ、筑摩のほっぺたすべすべしてる!
俺の思考回路が脱線し始めた辺りで彼女はそっと囁いた。
「あなたは誰ですか?」
完全に思考停止しました。ってそんなこといってる場合じゃない!
これはどう答えるべきか……朝の嘘を突き通すか?駄目だ。何処まで疑ってるか分からないが、何か証拠を持ってる可能性がある。
すべて正直に話すべきか……だがそうすると彼女がとても慕っている姉の中身が男のしかも自殺未遂者だなんて知ったらどういう行動に出るか分からない。
流石に姉の体に無茶はしないと思うが。
ならば……………………
「ごめんなさい、筑摩さん…………私、
「元海軍士官候補生……ですか?」
「はい……ですが先日先生の計らいで艦娘が護衛するタンカー船団に同乗させていただいたんですが……その時に深海棲艦の襲撃を受けて沈められてしまったんです。それで気がついたら利根さんの姿になっていて……」
「そうですか。そのタンカー護衛任務に利根ねぇさんが?」
「はい……でもこちらの利根さんにはお会いしたので別の鎮守府の利根さんだと思います。」
「利根ねぇさんにあったのですか?」
「はい、宛がないままふらふらしていた私を利根さんが見つけてこちらの司令官さんの所へ連れて来てくれたんです。」
「それで提督があなたを匿うために利根ねぇさんを別の鎮守府へ一時的に出向させたのですか。それなら、嘘をついてまで隠さなくても良かったのではありませんか?」
「えっと、私もそう思ったのですが司令官さんとヴェールヌイさんが仰るには知っている人物が増えればそれだけ情報が漏れるリスクが高まるからと。」
「まぁ………………仕方ありませんね。」
「あの……嘘ついててすみませんでした。」
嘘ついてごめんなさい!
「こちらこそ突然押しかけてしまってごめんなさいね。」
「いえ……それは大丈夫なのですが……あの……そろそろ離れてもらえませんか?あの……流石に恥ずかしいので……」
そろそろ俺の理性がショートしそうなので……
「あら、ごめんなさい。いまどきますね。」
そういって彼女は俺を開放し距離を置いてから少し考える素振りをすると、俺にある提案を持ちかけた。
「そうだ!だったら私の部屋に住みませんか?」
「え?…………いえいえ!そんなご迷惑掛けられません!」
行きます!と即答しそうだった俺を止めてくれた理性さんにマジ感謝!!
しかし彼女は簡単には引き下がらなかった。
「私なら大丈夫よ。前は利根ねぇさんと一緒の部屋だったの。それに別棟に一人住んでるなんて余計に怪しまれるわ?」
「それは……でも本当の利根さんにも悪いですし……。」
「もちろん私の一番大切な人はねぇさんよ?でもたとえ別人でも利根ねぇさんが困っているなら力になってあげたいの。」
うう……断りにくい…………これが嘘を嘘で塗りつぶそうとした罰なのか!?いや、普通に考えたらこんな美少女と同棲出来るなんて爆発不可避な展開なんだが。
「す、すみません!お気遣いは嬉しいのですが、私が勝手に決める訳にはいきませんので……」
「う~ん…………それもそうですね。」
お?わかってくれたか!?
「では明日私からヴェールヌイさんに進言しておきますね。」
「え?あ……はい、ありがとうございま……す?」
「でも良かったわ、あなたが女性で。」
「はい?どういう事ですか?」
「あなたの事を今日観察してたら男の人の様な言動が見受けられたから、もし利根ねぇさんの変装をした男性だったらどうしようかと思ってたの。」
「うぐぅ……それは……。」
あっぶねぇ……そこまで気づかれていたか……っていつの間にか観察されてたのか!?
「あ……ごめんなさい。そういう事じゃないの、きっとあなたは利根ねぇさんを演じようとしてただけなのに私が勘違いしたんだと思うわ。」
「だ、だからあんな風に聞いてきたんですね!」
「ん……そうねぇ……慣れないことはするべきじゃなかったわ。」
あ、どうやら思い出して顔を真っ赤にするくらい恥ずかしかったんだ。あそこで万が一手を出そうものなら俺はどうなっていたんだろうか…………
「それじゃあ、おやすみなさい。今日はこんな時間に押し掛けちゃってごめんなさいね。」
「お、おやすみなさい!」
彼女は一度お辞儀をして部屋をでていった…………ヴェールヌイ……すまん!
問題を押し付けてしまった彼女に俺は心の中で謝った後、シャワーを浴びてからようやく長い一日の終わりを迎えることが出来た。
取り敢えず切りがいいのでここまでにします。
主人公の長い一日(約111時間)がやっと終わりましたよ。
作者「きょうはとっても長かったね。あしたはもっと長くなるよね、トネ太郎。」
生永「ダニィ!?」
長くはなりません…………多分。