吾輩は利根である。カタパルトはまだ(整備して)ない   作:上新粉

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書く時間が取れなかったorz
もっとペース上げて投稿したいですね。



筑摩ぁ、ちくまぁ~!

 「ふう、このあとは何をするのじゃ?訓練か?」

 

俺は昼食のカレーライスを食べ終わり、一息ついてからヴェールヌイに午後の予定を聞いた。

 

「いや、この後は空室を使って座学を行い、その後でまた海上訓練だ。」

 

同じくカレーライスを食べていた彼女は最後の一口を食べ終え、お茶を飲みつつ答えた。

 

「うへぇ……座学は余り好きではないのじゃあ……。」

 

「特に君の場合は艦娘の戦闘に必要な知識を持って無いだろうからね。そこから覚えていって貰うよ。」

 

確かに艦隊戦の記憶も無く知識も殆ど無いからまともに戦う為には必要だろうけど…………四年振りの勉強か……。

 

「そろそろ行こうか。」

 

「うむ、そうじゃの。」

 

「ちょっといいかしら?」

 

俺達は器を返却して食堂を出ようとすると後ろから暁に呼び止められた。

 

「暁か、どうしたのじゃ?」

 

「ご機嫌よう利根さん。今日の1900から此処で貴方の歓迎会を開くから遅れないでね!」

 

「う、うむ……?わかった……」

 

「暁、私はその話を今聞いたんだけど……」

 

「言ってないもの、起きたら響が居なかったんだから仕方ないでしょ?」

 

暁の言葉にヴェールヌイは頭を抱えた。

 

「居なかったって……いつ決めたんだい?」

 

「今日起きてからよ!」

 

暁は自信満々にそう答えた。

 

「皆には伝えてあるのかい?」

 

「大丈夫よ。雷と手分けして今出撃している第一艦隊ともうすぐ遠征から帰って来る第四艦隊以外にはもう伝えてあるわ!」

 

「そうか……分かった。司令官に申請しておくよ。」

 

「頼んだわ響!じゃあ後でね、忘れずにくるのよ。」

 

そう言って暁は廊下へと走り去っていった。

 

「…………歓迎会か、此処に所属する艦娘皆に会えるのか……楽しみじゃのう。」

 

「流石に遠征中や哨戒中の艦娘もいるから全員とはいかないけどね。まぁそれはいいとしていくよ、ついてきて。」

 

「そうじゃな、行くとしようか。」

 

俺はヴェールヌイについて行き空室へ向かった。

 

 

 

 「ついたよ、今度から座学の時はここを使うから覚えておいてくれ。取り敢えずそこの椅子に座って。」

 

「うむ、分かったのじゃ。」

 

部屋の前には教壇とホワイトボードが置いてありそれらに向かって長机が並んでいる。

その後ろに等間隔で置かれている椅子のひとつに腰掛けて学生時代を思い出していた。

 

「早速だけど講習を始めるよ。筆記用具はこれを使ってくれ。」

 

俺はヴェールヌイからHB鉛筆とA4の罫線の入ったノートを受け取った。

 

「まずはじめに私達が遠くの敵に砲撃を当てるにはどうすればいいと思う?」

 

ヴェールヌイはホワイトボードに書き込みながら俺に問いかけた。

 

「それは砲身の角度を変えるのであろう?」

 

「そうだね、でも何も考えずに仰角を上げてもまず当たらないんだ。もちろん敵が動くからと言うのもあるけど動かなくてもちゃんと狙わないと命中率は1%にも満たないんだ。」

 

「ほぇ~、そんなに当たらぬのか。じゃが遠くというと敵は20km位離れているのであろう?そんなとこにいる敵を狙うなんて出来そうにないのじゃが……」

 

「もちろんもちろん目視と感覚だけで出来ることじゃないさ。だから私達の艤装には射撃指揮装置と呼ばれる距離や向き、敵艦の速度、進行方向などを測定してそれらの情報から射撃位置を算出する装置などの複数の装置が載せてあるんだ。それを艤装内で妖精さん達が操作して私達に方位角、仰角を教えてくれるんだ。そしてその情報を元に現在の状況を把握して、自分の経験も加味しながら調整することで命中率を上げているんだ。」

 

「つまり最初の頃は妖精さんの指示どうりに撃てば当たるってことか?」

 

「まぁ最初はそれでもいいけど、あくまでも計算によって出された数字だから目安として考えた方がいいね。艦艇だった頃でも命中率は百発中一発から五発位だったからね。」

 

「むぅ、それは厳しいのう。」

 

「あ……そうか……」

 

一通り書き終えた彼女は思い出したようにつぶやいた。

 

「どうかしたのか?」

 

「いや、そういえば君の艤装には妖精さんが乗って無いんだったね。」

 

「あ……そ、そういえばそうじゃの。」

 

「だったら射撃理論から教えたほうがいいね。」

 

「い!?いや、きっと大丈夫じゃ!サングラスについているはずだ!」

 

流石にそんなん無理でしょ!?戦闘中に計算なんてしてる余裕ないでしょきっと!頭いっぱいになっちゃうって!

 

「そうかい?でも使うかも知れないからノートに書いといた方がいい。それに今のところ魚雷も艦載機も積めないし他の兵装は性質だけ軽く説明したら後は射撃理論について重点的に説明しようか。理解して応用出来れば格段に命中率が上がるはずさ。」

 

「む、むぅ……そうかのぅ……」

 

こうして俺は今日から射撃理論とやらを叩き込まれることとなった。

 

 

間に五分間の休憩を挟んで約三時間の講義が行われた。

 

「1600か、歓迎会もあるし講義はこの辺にして射撃訓練に移ろうか。」

 

「お……終わったのじゃ~」

 

久々にこんなに机に張り付いたわぁ…………きっつい……ん、射撃?。

 

「ま、まってくれぬか!?まだ基礎も解ってないのに射撃なんて難しいのではないか?」

 

「ん?ああ、まだ実践出来る位までは教えてないし訓練は朝と同じ内容でやるよ。」

 

「そ、そうか……それなら平気じゃ。さ、さあ行こうか!」

 

そりゃそうだ、三時間で全部教えられるようなものじゃないよな……落ち着け俺。

俺達は工廠へ行き艤装を装備し的を借りて波止場へと向かった。

 

 

 「まずはじめにそのサングラスの機能を確認してくれるかい。」

 

ヴェールヌイに促され俺はサングラスについているボタンを押してみると色々な数字や図形が表示された。

左側の波紋みたいな図形は朝も使用した電探機能だ。もう一度ボタンを押すと何故か音探に切り替わる。

右側には自分の情報、目標の情報、周囲の環境などが事細かに表示されていた。

一部を挙げるなら自分の情報だと主砲の初速まであり、敵の情報だと旋回速度等がある、そして周囲の情報には大気圧とかが表示されている。

だが……………………それらを使って導き出せる筈の答えがない…………

何度も見なおしてみたが見当たらない。

 

「おかしいだろ!!?」

 

思わず素で叫んでしまった俺は悪くないと思う。

きょとんとこちらを見ている彼女に気付き俺は自分を落ち着かせながらサングラスを渡した。

 

「ハラショー……こいつは良いものじゃないか。」

 

ヴェールヌイは受け取ったサングラスを無言で弄っていたが暫くして彼女は感嘆の声を上げた。

 

「え…………いや、なんでここまで載ってて計算が自力なんだとか思わぬか?」

 

「そうだね、それがあれば完璧だ。だがこれだけの情報が活用できれば砲撃戦距離での命中率は跳ね上がると思うよ。」

 

「う……む……?そう……なのか?」

 

「ああ、どれぐらい上がるかは定かでは無いけど最低でも従来の10倍以上の精度になるはずだよ。」

 

「どうやって使うのか吾輩にはさっぱりなのだが……」

 

「うん、今の私でもこれらを使った式を組み上げる事は出来ないけど、明石さんや工廠長さん達と考えればきっと式が出来ると思う。」

 

「そ、それは頑張らねばな……」

 

なんだこのニュータイプ専用艤装は……強化人間になるしか無いじゃないか…………

 

 

 

 この後朝と同じ近距離の射撃訓練を二往復したが、計二十の的に一発も当たることはなかった。やっぱり朝の一発はまぐれだったのか……

 

「1845、そろそろ準備して食堂へ向かわないとね。」

 

「そうじゃな、皆を待たせては悪いからの。」

 

俺達は艤装と的を片付けて食堂へと向かった。

 

 

 

 食堂に入ると沢山の料理の数々がテーブルに並び、その周りを囲むように大勢の艦娘達で賑わっていた。

 

「ほー、これは凄いのぅ。一人艦娘が着任するたびにこんな盛大にやっておるのか?」

 

「いや、そんなことないよ。利根さん意外にも最近着任した艦娘も居るからね、ある程度人数が揃った所でこうやって歓迎会を開いているんだ。」

 

確かに一人着任するたびに開いていたら毎週パーティーになりかねないよな。

ヴェールヌイの返答に納得していた俺のもとに暁がやってきていた。

 

「遅いわよ二人とも、レディなら十五分前行動を心がけなさい。」

 

「すまぬ、遅くなった。」

 

「済まないね暁、少し訓練を詰め過ぎてしまったよ。」

 

「まあいいわ、時間に遅れた訳じゃないし。じゃあ利根さん、先に皆へ自己紹介してもらうからこっちに来てくれる?」

 

そういって俺は暁に手を引かれ歓迎会と書かれた横断幕の下へと連れて行かれた。

すると既に四人の艦娘が設置された壇上で待っていた。

俺は暁に言われ他の皆から見て左端に並んだ。

 

「こんにちわ、利根さん。」

 

声のする方を向くと右隣にはシオイが立っていた。

 

「シオイか!昨日は本当にありがとうな。」

 

「いえいえ、ご無事で何よりです!」

 

「所で此処にいるということはお主も新人だったのじゃな?」

 

「はい!先週こちらで建造されたんです!一緒に頑張りましょう!」

 

「うむ、よろしく頼むぞ!」

 

うん、やっぱり着任した順番も全て同じみたいだな。よく見ると壇上にいる他の艦娘も向こうの世界で少し前に初入手した娘達だ。

 

「それじゃあみんな集まったわね、早速だけど新しく着任した五人に自己紹介をしてもらうわ!利根さんから順番に艦種名前と何か一言お願いね!」

 

暁の掛け声により全員の視線が前の五人へ集中する。

俺は緊張を解すため大きく深呼吸をして自己紹介を始める

 

「吾輩は装甲巡洋艦利根である!一日でも早く戦力になれるよう頑張るからよろしく頼むぞ!」

 

あれ……工廠長から聞いた艦種で名乗っちゃったけどやっぱり普通に重巡っていえばよかったかな。

初めて聞く艦種に皆ざわついてるよ……まあ一緒に出撃すればバレることだしいいか。

 

「はいはい皆静かに!これからよろしくね利根さん。紹介続けるわよ!次、シオイちゃん!」

 

「はい!こほん……ごきげんよう。潜特型二番艦伊401です。しおいって呼んでね。先輩方にも負けない位頑張っちゃいますのでどうぞよろしくお願いします!」

 

先程とは違い食堂中に拍手が響き渡った。特に潜水艦メンバーは仲間が増えてとても喜んでいた。

 

「応援してるわしおいちゃん。次は長門さんどうぞ!」

 

暁の紹介を受け長門は両手を腰に当て堂々とした姿で自己紹介をした。

 

「私が、戦艦長門だ。よろしく頼むぞ。敵戦艦との殴り合いなら任せておけ。」

 

おお、流石は世界のビッグセブン。新人とは思えない迫力だな。

 

「流石ね、頼りにしているわ長門さん!次は浜風ちゃん!」

 

「駆逐艦、浜風です。先日こちらの鎮守府所属となりました、宜しくお願い致します。」

 

お前のような駆逐艦がいるか!って言いたくなる位でかいな。あの大きさは一体どこから来ているのだろうか、本当に燃料タンクの大きさに比例してるのか?

敬礼の反動で上下に揺れる物を見て暁も自分のと見比べて唸っていた。

 

「ぐぬぬ……よ、よろしく頼むわね。次、巻雲ちゃん!」

 

「はわわわ!?はい!夕雲型駆逐艦二番艦巻雲です。夕雲ねぇさんを見習って頑張ります!」

 

「頑張ってね巻雲ちゃん!」

 

そういえば夕雲はまだ着任してないんだよな…………レア駆逐レシピ回して貰うように後でヴェールヌイに言っておこうか。

 

「これで全員の紹介は終わったわね。じゃあ乾杯の挨拶を司令官代理として秘書艦のヴェールヌイにしてもらうわ。」

 

そう言って暁はヴェールヌイを呼び出しマイクを渡した。

 

「いつも通り暁がやればいいじゃないか。」

 

「秘書艦なんだからこういうのもやらなきゃだめよ!」

 

「……わかったよ。あー、今日は忙しい中歓迎会に参加してくれてありがとう。五人はまだわからないことが多いと思うが一つずつ覚えていってくれ。先輩方は五人が困って居る時は力になってやってくれるとありがたいな。余り話が長くなっても仕方ないからこれくらいにしとくよ、それじゃあ今夜は十分に羽を伸ばして明日に備えてくれ。全員飲み物はもったかい?じゃあ五人の着任を祝って、乾杯」

 

「「「乾杯!!」」」

 

グラスのぶつかり合う音と共に食堂は賑わい始めた。

取り敢えずヴェールヌイの所に向かおうとすると後ろから誰かに声を掛けられた。

 

「こんばんわ!貴方が暁の言ってた利根さんなのね?私は雷よ、かみなりじゃないわ!」

 

「うむ、はじめましてじゃな!」

 

「……やっぱり貴方他の利根さんと何か違うわね、それに装甲巡洋艦の艦娘なんて聞いたことないわ。」

 

「そ、そうなのか!そんな事ないと思うが。」

 

「んー、確かに同じ利根さんでも性格や好みに差は出るのだけれど……そうじゃなくてなんて言えばいいのかしら、根本的に利根さんじゃないみたい。」

 

「気のせいではないか?」

 

ロリお艦の名は伊達じゃないと云うことか、それとも俺に問題があるのか?兎に角何とか誤魔化せないか。

どうしようか考えているとヴェールヌイと暁がこっちへやってきた。

 

「難しい顔してどうしたんだい?」

 

「あ!いいところに来たわね響。利根さんはどうしてこっちに来たのかそのあたり教えてくれないかしら。」

 

「そういえばワケありって言ってたわね、私も知りたいわ。」

 

暁と雷に迫られヴェールヌイは少し考える素振り見せてから答えはじめた。

 

「私も余り詳しくは知らないんだけど司令官が連れてきたんだよ。」

 

「「司令官が?」」

 

「なんで連れてきたのかしら?」

 

「利根さんは何か知らないの?」

 

「う、うむ。すまぬが吾輩も何が何やら分からぬ内に此処に連れてこられたから分からんのじゃ。」

 

「うーん……怪しいわね、司令官に一度聞いてみるわ。」

 

「それがいいわ、そうしましょ!」

 

「残念だけど司令官とは最近はファックスでしか連絡が取れていないんだ。」

 

「そうなの?益々怪しいじゃない。」

 

「司令官にも考えがあるんだろう。私は司令官を信じて利根さんを一人前に育てるだけさ。」

 

「うーん、そうね!利根さんがなにものでも問題ないわ、司令官が私達を頼ってくれるなら期待に応えるだけよ!」

 

「そうね、少し納得いかないけどレディとして困ってる仲間をほっとく訳にはいかないわ!改めてよろしくね利根さん。」

 

「皆ありがとう、これからもよろしく頼む。」

 

ええ子達や、皆ええ子すぎて辛い。今すぐ全て話して謝ることができればどんなに気持ちが晴れたことか!

 

「それじゃあ私達は料理を取りに行ってくるわ!」

 

「それじゃあご機嫌よう利根さん。」

 

「私もちょっと行ってくるよ、またあとで。」

 

「うむ、また後で。」

 

それから俺は第一艦隊のまだ会っていなかった榛名・扶桑・翔鶴・神通・レーべレヒトマースとそれぞれ顔合わせを済ませたり、駆逐艦の娘達に色々聞かれたりとなんだかんだありつつも歓迎会を楽しんでいた。駆逐艦は最高だぜ!!

そして時間はあっという間に流れ午後十時になる辺りで暁が締めの挨拶を始めた。

 

「それでは宴もたけなわでありますが、明日に備えて此処で一度お開きにさせていただきたいとおもいます!それでは皆様、本日はお忙しい中このような時間までお疲れ様でした!」

 

宴はお開きとなり早々に寮に帰る人もいれば二次会に鳳翔さんの居酒屋に行く人もいる中、俺はどうしようか考えていると少し顔を赤くした筑摩に呼び出された。

 

「とね姉ぇさん、一緒にお風呂にいきましょうか。」

 

「ふ、風呂じゃと?しかし吾輩は損傷はしておらぬぞ?」

 

「ふふ、違いますよ。普通のおふろですよ?とねねぇさんも訓練で汗かいているでしょう?」

 

「そ、そうなのか。しかし寮にもシャワーがあるのではないか?」

 

一緒に風呂は色々とあかん気がする!

 

「よろしいではないですか。それともとねねぇさんは寮の湯船で二人でくっついて入るほうがいいですか?私はそちらでも構いませんが……?」

 

それはもっとあかん!少し酔ってるみたいだし本当に入ってきそうだな……だったら。

 

「そ、そうじゃな!風呂に行こうか、筑摩よ案内してくれ!」

 

「はい、とねねぇさん。」

 

こっちの方がましか。

逃れられない事を悟った俺は諦めて筑摩と共に風呂場へと向かった。

 




次回お風呂回になると思います。
作者の頭がオーバーフローしなければですが……

因みに第一艦隊はヴェールヌイ・神通・筑摩・翔鶴・榛名・扶桑ですが、利根の訓練を受け持っているヴェールヌイの代わりにレーべが入ってます。
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