吾輩は利根である。カタパルトはまだ(整備して)ない 作:上新粉
正直これにGL表現有りって入れるのもなぁ……
まぁGL表現っぽいのがあるっぽい!ということです。
遂に風呂場についてしまった……この身体でさえ直視出来ないのに筑摩と一緒だなんて俺の身が持ちそうにないぜ。
しかし今更止める事も出来ないのでなるべく視線を下げない様に衣服を脱ぎ脱衣所の籠に入れ、タオルを巻いて浴室へ向かおうとするが筑摩に手を掴まれ止められてしまった。
「な、どうしたのじゃ筑摩?」
「いけませんよとねねぇさん、浴室へバスタオルを持ち込んでは。フェイスタオルはこちらですよ。」
「わ!?分かった!分かったからバスタオルを引っ張らないでくれ!」
いやぁ!?俺の保護フィルター剥ぎ取らないでー!
「ふふ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか?私とねぇさんの仲なんですから。」
「へ?ちょっと待つのじゃ。吾輩はお主の知っておる利根ではないぞ!?」
「何を言っているんですか?うふふ、可笑しなねぇさん。」
「いや、ちょっと話を……」
「さあさあねぇさん、何時までもここにいては風邪を引いてしまいますよ。」
駄目だ、この人完全に出来上がってるよ。
どうにもならないので浴室へ逃げるように入っていった。
時間帯が良かったのか他に入浴中の艦娘は居なかったので一安心しながら洗い場の椅子の一つに腰を掛け、さっさと髪と身体を洗ってしまおうと鏡に映る自分の姿を見ないようにしながら備え付けのシャンプーで髪を洗っていたが、そのせいで俺は後ろから近づいてくる筑摩の存在に気づけなかった。
シャンプーをお湯で流し、続けてトリートメントを髪に暫く馴染ませた後に再びお湯で洗い流した所で体を洗うために意を決して目を開くと、真後ろに屈んでいる筑摩と鏡越しに目があった。
「ちくまぁ!?なぜお主はいつも吾輩の背後から近づくのじゃ!びっくりするではないか!?」
「とねねぇさんが無防備すぎるんですよ?もっと気を付けないと。」
「う、うむ……まあ、そうじゃな。」
「それはそうと、お背中お流ししますね。」
そう言って彼女はボディソープを付け泡立てたアカスリで俺の背中を擦り出した。
「ち、ちくまぁ!?身体くらい自分で洗えるぞ!」
「ふふ、そんな遠慮しなくていいですよねぇさん。」
「しかしじゃな、自分の事はひゃいっ!?」
「ほらねぇさん、余り動かれると手が滑ってしまうわ。」
「きゃん!?分かっひゃうっ!?分かったから横腹を指でなぞらないでくれ!」
羞恥心に苛まれながらもおとなしく背中を流されるしか出来なかった。
筑摩が背中を洗い終わったのでアカスリを受け取ろうと思ったのだが、
「それじゃあ次は前を洗いましょうか?」
「な?ちょっ、そっちは大丈夫じゃ!」
「ダメですよねぇさん、前も綺麗にしないと。」
「そ、そういうことではない!」
慌てて振り向いて止めようとするが、時既に遅し。彼女の腕が俺の脇の下をくぐり抜け後ろから抱きつく様な形で密着し前面をアカスリで優しく洗い始めた。
そうなると筑摩のあれが背中に当たる訳であれの感覚直に伝わってきて…………風呂にも入ってないのに体温が上がって鼓動が早くなっていく。
「え、っとあの……筑摩さん?流石にこれは……恥ずかしいので……っあ!?そこはっ!やめっ?」
「
あ、しまった。本物の利根と勘違いしてる彼女にその言葉は地雷だったか!
「あ、いや違うのじゃ!言い間違えというひうっ!?こ、これ以上はダメなのじゃ~……」
筑摩に弄り廻されて十分位経った辺りでやっと筑摩の手から開放された。
「うふふ、ごめんなさいねぇさん。久々に一緒にお風呂に入るから少しはしゃいでしまったわ。」
「はぁ……はぁ…………も、もうお嫁に行けんのじゃ……」
「それなら私がお嫁に貰いましょうか?なんて冗談ですよ。」
か、勘弁してくれ……俺にはヴェールヌイという嫁(カッコカリではあるが)が居るんだ。
そのあとは特に何事も無く身体を流して湯船に浸かり(筑摩の肩が当たる位近くて三分でのぼせそうになったが)充分暖まったので浴室を出てバスタオルで身体を拭いて髪をドライヤーで乾かして……あ、そういえばヴェールヌイに筑摩と一緒にいること伝えてない気がする……
「そ、そうだ筑摩よ!ヴェールヌイに筑摩の部屋に案内してもらう約束じゃったのだが!」
あせる俺とは対照的にあらあらと微笑んでいる様子の筑摩に疑問に思ったが、まだ酔っているんだろうと決めつけさっさと着替えてヴェールヌイに連絡を取ろうと急いで準備していると筑摩は俺に大丈夫だと伝えた。
「ヴェールヌイさんにはお風呂に行く前にちゃんと伝えてありますから安心してください。」
「そ、そうか。それなら安心じゃ……ってあれ?吾輩のことを本物の利根さんと勘違いしてたのではないのか?」
「どんなに酔っていても利根ねぇさんを間違えるなんてことはありえませんよ?」
「え?じゃあ風呂場ではなんで!?」
「うーん、登寧さんの反応が楽しくてちょっと悪戯したくなってしまったのですが……少しやりすぎてしまいましたね。」
「ち、ちくまさぁ~ん……」
女性に良いように弄ばれていたということか……情けねぇ……。
「ふふ、ごめんなさいね。さて、部屋の方に行きましょうか。」
「うう……はい。」
完全敗北を喫した俺は軽く凹みつつも筑摩に案内され部屋の前に辿り着いた。
寮の廊下は別棟ほどではないが薄暗く部屋にも明かりがついてなく人が住んでいる気配を感じなかった。
「のう筑摩よ、この辺は筑摩以外住んでおらぬのか?」
「そうですね、ここは航巡寮なのでその内鈴谷さんや熊野さん、最上さん達が入ってくると思いますが今は私と利根ねぇさんしか使ってないですよ。」
「な、ならその間なら吾輩が別の部屋でも良いのではないか?」
すると筑摩の表情は暗くなり悲しそうな声で呟いた。
「登寧さんが少しでも安心出来るようにと思ったのですが……すみません、迷惑でしたか?」
「うぐっ…………そういう訳ではないですが……筑摩さんにあまり負担を掛ける訳にもいきませんし。」
そ、そんな悲しそうにされると断りにくいじゃないか……
どう答えようか考えていると彼女の方から話してきた。
「それに鈴谷さん達は比較的早い段階で航巡に改装出来ますから遅かれ早かれですよ?」
むぅ、やはり俺では言い負かせないのか……
「そ、それもそうですね。すいません……ご迷惑おかけします。」
「いいえ、お気になさらなくていいですよ。さぁ中へどうぞ?」
「はい、お邪魔します。」
中に入ると部屋は綺麗に片付いており、所々に動物の縫いぐるみが飾ってある無機質ながらも女の子らしい部屋が広がっていた……ベットに置いてある大きめの利根さん縫いぐるみには触れないでおこう。
「はー、綺麗な部屋ですねぇ。」
「ふふ、どうも。貴女の着替えも取ってくるからそこのベットでくつろいでて。」
「はい、すみません。」
筑摩に言われるままにベットに腰掛けぼーっとしていた。
女性らしい柔らかい香りが鼻をくすぐるが、流石に自分からも同じ様な香りがしているのでもう慣れてしまったが……
「おまたせ、私のお古なのだけれど良いかしら?」
「へ?あ、はい!ありがとうございます!」
彼女から渡された寝巻きに着替えた。筑摩が着ていたと思うと無性にドキドキしてくるがそれを顔に出さない様にしながら寝巻きを眺めた。
「可愛いパジャマですね~。もう少し大人びたパジャマがくるのかと思ってました。」
ピンクのストライプに小さな花柄が全体に散りばめられた非常に女の子らしい寝巻きであった。
「そんな、何だかはずかしいわ。ん、大きさはやっぱり大丈夫ね。」
サイズが合っているのを確認すると彼女は就寝の準備を始めた。
「寝ましょうか、どうぞ入って。」
そして掛け布団を持ち上げながら彼女は当然の様に言った。
「えぇ!?い、いえそんな。わ、わたしは大丈夫です!」
「?そんな事言っても布団は一つしかないしいつも利根ねぇさんと寝ていたから大丈夫よ?」
「えっと…………はい、失礼します。」
いや、余りに無防備すぎませんか?……仕方ないとは思いますが…………
取り敢えず筑摩と同じベットに入り彼女の体温を意識しないように背を向け関係ない事を考えつつ眠りに就こうとしたのだが。
「隣に誰かがいるなんて久々ですね……あったかい。」
唐突に背中から抱きついてきた。
「ななななんですか!?」
意識を別の所にやっていた事もあって突然の背中に伝わる体温と柔かさにかなり動揺してしまった。
そんな俺の動揺も気にせず筑摩は話しを続けた。
「昔はこうして利根ねぇさんと一緒のお布団で眠ってたんですよ。」
「最近は一緒では無かったのですか?」
俺の問いに彼女は少し寂しそうな声で答えた
「そうなの、ある日ねぇさんが一人部屋にして欲しいって申請を出したの。」
「え!なんでですか!?」
あっちの世界の記憶では常に一緒に居るんじゃないかって位姉妹同士の掛け合いボイスが多かったし、とても失礼な話だが私生活に関していえば利根は筑摩が居なければ何も出来ないのではないか?という印象を持っていた俺にはその出来事が不思議でならなかった。
「分からないわ、嫌いだって言われるかもしれないと思うと怖くて聞けなかったから。それにそれがねぇさんの望みなら私に止める理由はないもの。」
一体何がどうなっているんだ?利根が一人部屋を希望した理由……
「あら、ごめんなさいね。会って二日も経ってない人に話すことじゃありませんね。なぜかしら、貴女になら話してもいいかなって気になってしまったの。ねぇさんみたいなのにねぇさんじゃないからかしら?う~ん……何だかよく分からなくなってしまったわ。」
確かに俺は利根じゃないが身体は利根だ。魂は殆ど俺かもしれないがそれでも利根の姿ということは利根の魂が全くない訳じゃないはずだ。ならば何かしらこの体を通じて分かることはないか?利根!聞こえないか!聞こえたら返事をしてくれぇぇ!!!利根ぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!
ーー五月蝿いぞ莫迦者が!今何時だと思っておる!!ーー
は?本当につながった……マジで?
ーー全く、びっくりしたではないか。ーー
もしかして向こうの世界にいる利根なのか?
ーーもちろんじゃ!久しいな提督よ、一体なにようじゃ?ーー
あ、うん。まぁ丁度いいや……一つ聞きたいことがあるんだ。
ーーふむ、それはなんじゃ?ーー
利根は筑摩の事嫌いなのか?
ーーは?何を巫山戯たことを抜かしておる!吾輩の大切な妹なのだぞ!?嫌う筈がなかろうが!ーー
だよな、さんきゅ。そっちも大変だと思うが今暫く俺の身体をよろしくたのむ。本当にすまんな。
ーーそう思うならさっさと自信つけて帰ってこぬか!ーー
ーーそれと今のお主に守られるほど弱くはないが筑摩の事も頼んだぞ!ーー
ーーもし筑摩をイジメたりなんかしたらその魂をイ級に移して沈めてやるからの!ーー
あはは、俺が弄られてるんだが…………
わかった、筑摩の事は任せてくれ。
ーーうむ!それじゃあ吾輩はもう寝るぞ。ーー
ああ、おやすみ。
「登寧さん?もう寝てしまいましたか?」
「あ、いえ。利根さんが言っていたことを思い出しまして。」
「ねぇさんが?」
「はい、《吾輩がいない間、大切な妹の事を頼む。》って。まだまだ私は未熟者ですが利根さんとの約束を守るために頑張りますね!」
ほんとは利根の言葉を直接伝えたかったがそれは嘘を暴露する事になるので心苦しくもこうやって伝えるしか出来なかった。
「利根ねぇさん…………。」
彼女の手が僅かに震えているのを感じたので、俺はその手を取り両手でぎゅっと握り締めた。
「登寧さん…………よろしく……おねがいしますね。」
「こちらこそよろしくお願いします。時間も遅いですしそろそろ寝ましょうか。」
「そうですね、おやすみなさい登寧さん。」
「おやすみなさい、筑摩さん……ってこのままですか!?」
「うふふ、こうしてないとゆっくり眠れないの。だめかしら?」
そういって俺を抱きしめる力を少しだけ強める。
「ま、まぁいいですけど……」
「ふふ、ありがと。」
そのまま俺は朝まで抱きつかれたまま眠りに就いた。
はい、向こうにいる本物の利根と連絡が取れるようになりました。と言っても伝わるのはお互いの心の声だけであって感覚のリンクなどはありません。
ついでにヴェールヌイ達が利根さんと連絡を取っていたのは主人公が最初に出てきた入れ替えロープの機能の一つであり別に艦娘だからという理由では無かった訳だけど、それに少しだけ期待していた主人公が心の中で叫んでみたら繋がったようです。
そろそろ時間飛ばないと進まんかなぁ。