「はぁ、結局体調を崩したのか。しかも熱を出すなんて」
「うるさいな、昨日無理し過ぎたのは自覚してる。だからってその反応は雑だろ」
「だが、迷惑もかけているとこに変わりはないだろ」
上条は歩くにも少しふらついており、隣でオティヌスが支えながら歩いていた。
「女子寮にでも寄ってくか?まだバードウェイ姉妹は揃ってないんだろ?」
「そうだな、今朝も妹をどこに預けてるんだ!ってメールが来てたしな、行ってみるか」
「まてよ、この時間なら禁書目録も起きてる可能性があるけど大丈夫か?」
ふと、思っことを考えいたが大した問題にはならないと思い歩いていた。それから女子寮に着いてからはバードウェイからの少し手荒い歓迎を受けていた。
「おい上条、確かに妹は無傷で助かったが、昨日の内に渡せばよかったのに私はここまで心配しなくて済んだんだぞ!」
「止めておけ、今言ってたことはほとんど聞いていないぞこいつは」
「仕方ねえだろ、頭がぼーっとしてて起きてるのかすら曖昧な状態なんだから」
「こっちは妹が心配でほとんど眠れ無かったんだぞ!それを軽々しく考えて!」
理不尽な怒りをぶつけられ襟首を掴まれ思いっきり揺さぶられていた。それに耐えきれなくなったのか上条が前に倒れた。
「ああ、さすがにあれは耐えられないか」
「あれ、姉さん来てたの?って大丈夫ですか上条さん」
「あ、ああ・・なんとか大丈夫だ」
「虫の息だな、見栄を張ってないでさっさと休め一時間くらい休めば治るだろ。ほら立て」
「普通に手を使って立てばいいだろ」
「まともに腕を動かせないのに無理させるな!両腕が使えないんだ、脚を使う以外ないだろ」
すると急に扉が開きその前にいた上条は弧をえがききれいに宙を飛んで地面に倒れ、中からは寝起きなのか、まだ部屋着のアニェーゼが出てきた。
「うるさいですね、もう少し声を抑えて話す事は出来ないんですか!」
「あ、上条さんが」
「気にするなあの程度で死ぬ男じゃない。あと、お前も大概だぞ」
「うるさいですね、こっちは静かに霊装の手入れをしてる時に騒がないでください」
「騒いでたのはわかったがそこに倒れてるやつについてはどうするんだ小学生」
「ああん!何なんですかあんたは」
「魔術結社、明色の陽射しのレイヴィニアバードウェイだ。もう少し落ち着け、そんなんだから胸も育たないんだよ」
「それをお前が言うか?大して変わらないだろう、さっきやっていたこともな」
「誰が貧乳だ!あなたも大して変わらない貧相な体じゃないかですか?」
まさかの仲裁に入ってきたアニェーゼがバードウェイと口論を始めてしまい完全に手を出せない状態になっていた
「騒がしいぞ朝から、ってまたお前か」
「私は違う、それよりこいつを入れても大丈夫か?」
「ああ、勝手にしろまだ使ってない部屋もあったはずだしそこに寝かせな」
「助かる」
シェリーに招かれオティヌスは上条を背負って中に入っていった。パトリシアもまだ口論が終わりそうにないので一緒に入り休んでいた。
「また、大変目にあったな。熱は出すは腕も動かないなんてな」
「ここに来た後に変な連中に追われて、面倒臭くなって一瞬で原子レベルでチリにしてたら腕を痛めたらしい。まあ、全員ロボットだったようだけどな」
「随分と物騒な人間になったな。あの穏やかさはなくなったのか」
「いや、身体能力だけを特化させたせいで性格まで変わって少し物騒になっただけだ。もう今朝には元に戻ってる」
「それで反動いつ頃回復するんですか?」
「このまま行けば、あと2時間くらいで治るだろう、起きるかどうかは別としてな」
「ここで放置しておけばその内に目をさますだろ、さて私も仕事に戻るか」
「あ、シェリーさんの彫刻見ても良いですか?」
「ん、そんなに見たいのか。なら、きな少しは見せてやる」
シェリーとパトリシアはそのまま一緒に部屋から退出し、オティヌスは1人で寮内を歩き回っていた。
「相変わらず静かだな。まだ寝てるのか」
廊下を歩き続け、奥まで行くと食堂の様な場所に着いた。誰かが食器を片付けているのか、流しから音が聞こえてきた。まだ、誰か食べてるのか見てみると白い服を着たシスターが豪快に料理を食べていた。
「随分と豪快な食べ方だな禁書目録、それでシスターが務まるのか?」
「ん、一体あなたは誰なんだよ。私は食べる事で忙しいんだよ」
「理解者にどれだけ負担が掛かっていたのか、改めて気づいたな。元魔神の人間だ、大食いシスター」
「え、えええええ!!な、何でこんなところにいるのってとうまはどうしたんだよ!」
「うるさいな、朝から叫ぶな。あいつなら上で寝てる、静かにしろ」
「あら?また、お客さんでございますか」
「私は客ではない」
「そうですか。では、お茶だけでも用意させてもらうのでございますよ〜」
「おい、全然話聞いてないだろ」
「やめといた方が良いんだよ、オルソラには普通の話し方じゃ通用しないんだよ」
その時、口論が終わったのか息を歩くしながら歩いてきた、アニェーゼとバードウェイが来ていた。その後ろには新しく仲介に入った神裂も付いてきており、目が会うと軽く会釈してきた。
「やっと終わったのか、話し合いは」
「まだ、全部吐き出した訳ではねーですけどとりあえずはすっきりしたんで戻って来たんですよ」
「小さいもの同士で仲良く喧嘩か。まあ、私は気にしてないけどな」
「同じくらいのやつに言われると無性に怒りが湧いてくるんだが気のせいか」
「それは同感ですね、私も少しイラッと来てますから」
「どうぞなのでござますよ〜」
「ああ、ありがとう。ん〜悪くない」
「ふふ、ありがとうございます」
それから約2時間後ちょうど目を上条は目を覚まし起き上がっていた。
「ん、ここは女子寮の中か。はぁどのくらい寝てたんだよ俺は、それにしてもオートで肉体が変わるのは少し変な感じがするな」
「お、やっと起きたか随分長く寝てたな、もう10時近くになってるぞ」
「まじか、軽く2時間近く寝てたのかよ。でも、腕の調子は元に戻ったし、熱も引いたか」
「それはよかった、あと汗が出てるから拭いておけよ」
そう言われよく見ると、来ていた服のほとんどが汗で濡れていた。近くに置いてあったバックからタオルを出し服を脱ぎ始めていた。
「結構汗出たな、昨日は全く出なかったのに。そう言えばあと少しでホワイトデーか、そろそろ準備し始めないとな」
「相当な量になるだろうな、2、3日で作り切れるのか?」
「朝から晩まで作り続ければ何とか終わるだろう。それか、今日のうち一通り作っておくか」
「調理台を使うならオルソラに聞いてきたどうだ、私は基本あそこに入らないからわからん」
「わかった、あとは自分でやっておくよ」
汗を拭き終わり部屋を出て行った上条は、オティヌスを探しに下へ降りると食堂が騒がしくなっているのが気になり入って行った。
「何やってるんだあいつら」
「あ、上条さん起きたんですか」
「ああ、ついさっき起きたばっかりだけどな。で一体何の言い合いをしてるんだ」
「あのオティヌスさんとインデックスさんが自分の方が上条さんに負担を掛けてないとか言いあってますね。どういうきっかけで始まったのか分かりませんけど」
「なるほど。オティヌス、インデックス声を抑えろ」
「とうま!私はとうまに迷惑かけてないよね?」
「人間、私は何かお前に負担を掛けてるか?」
「特に負担は掛かってないぞ。その程度なら慣れれば苦労のうちに入らないからな」
「・・なんか傷つくんだよ」
「特に無いならいい。あまり迷惑はかけたく無いからな」
「そうだ、オルソラあとでキッチンを使ってもいいか?」
「今日はあなた様が使ってくれるのでございますか?」
「え、まあいいけど。その後使ってもいいか?」
「どうぞなのでございますよ〜。食材は冷蔵庫に入っているので自由に使ってもいいですよ」
「ありがとな。オティヌスまた、ここで待っててくれ少し買いに行くものがあるから」
「…わかった、なるべる早めに帰ってきてくれ」
それから1人寮から出てスーパーを探しに歩いていた。昼に近いのか少し人通りが多くなっていた。
「え〜っと何人分を作ればいいだっけ、イギリス正教の人間だけで軽く300くらい作らなきゃ行けないのか、攻めて100くらいは作って今日の内に日付指定をして送るか」
「何をしているだい君は。邪魔だからどいてくれないか」?」
「何だステイルも買い物か?」
「いいや、あの子に会いに行くだけだ。少し前はは君をどうやって殺すか悩み過ぎて頭痛になってしまったよ」
「お前が神父でやっていけるのかよ。危なっかしいな」
「ふん、別に君とは馴れ合うつもりは無いからね。じゃあ僕は行くよ、君と話してると手を出しそうになるからね」
ステイルは横を通り過ぎ寮のある方向に歩いて行った。それからすぐにスーパーに着き、お菓子売り場をうろついていた。
「ん〜量は気にしないで買いたいけど変な目で見られそうだな。はしごして分けて買うしかないか」
それから二箱買いに、他のスーパーでも同じ物を二箱買って寮に戻っていた。
「結構買ったな。以外と箱買いの方が安かったしな。これで何とか一通り作っておくか」
「何を作るんですか上条さん」
「げ、レッサーなんでここにいるんだよ」
「何でって昨日私に何をしたのか分かってるなら。理由くらい分かりますよね?」
「はぁ、あの時はすまなかった。お前まで傷つけたくなかったからな」
「少しくらい何か手伝わせてくださいよ。急に振り向いたと思ったら腹を殴ってくるし信じられなかったですよ」
「はいはい、悪かった。でも向こう連れてってから連れてこなくて良かったと思ったよ。傷つくほど気分が良くなって面倒になる戦闘狂女もいたしな」
「なんかすごい人が居ますね。でもおの女の人も倒したんですよね?」
「倒したよ、あまりしつこいからボコボコにして貼り付けにしたよ」
「え、ちなみにどうやって貼り付けたんですか?」
「確か腹に蹴りを入れて壁にめり込ませた後に両手足の骨をへし折ったあとに首をつかんで何度も地面に叩きつけて・・・あれ、その後何したったけ?ここから記憶が曖昧になってるな」
「・・・」
いつもの上条から想像できないような物騒な言葉が聞こえた為、言葉が出てこなかった。気がつけば寮まで着き、入って昼の準備を始めていた。
「随分買ったな。これでどのくらい作るつもりだ?」
「正直分からん、だから足りなくなったらまた買い足しに行くよ」
「それより、よそ見しながら作ってて大丈夫なのか、こっちからしたら不安なんだが」
「少しくらいなら問題無い、あとはインデックスが食材と買ってきたチョコを食べなければ大丈夫なんだけどな」
「・・わかった。こいつは何とか抑えておくから集中して作ってくれ。ほら、大食いシスターそこから離れろ、また迷惑を掛けたいのか」
「む、とうまは迷惑して無いって言ったんだから問題無いんだよ。大体後からとうまの横に立つなんてずるいんだよ」
「これだから、お前は。あいつは大抵のことはわざと言わないだけだ。何故かわかるか小娘」
「ん、そんなの決まってるよだってとうまは言うほど気にして無いから言わないだけなんだよ。それに困った時はとうまから頼んでくるだよ」
「はぁ、これだからお前は。・・本当にあいつの心折ったやつとは思えないな」
「ん、何か言ったのかな?」
「なんでも無い、前から苦労してたのを感じてただけだ。で、久しぶりに人間会って感動したか」
「見かけは元気そうだけど、絶対に怪我をして無理に笑顔を作ってるんだよ」
その時上条の作っている料理の匂いにつられ、何人か食堂に入って来た。
「結局昼までここにいる羽目になったな。妹を迎えに来て帰るつもりだったが、あいつのせいで時間がかかったな」
「でも、その話に乗った姉さんもダメじゃ無いですか?」
「むう、確かにそうだが」
「あらあら、いい匂いがするのでございますよ〜」
「お前はマイペース過ぎるんだよ、人の仕事部屋で暇つぶしするな」
「でものんびり時間を過ごす事が出来たのでございますよ〜」
「はぁ、お腹が空きました、早く食べたいです」
「アンジェレネ、もう少し欲を抑えなさい。それではシスターは務まりませんよ」
「結構きたな、あと少しで終わるけど。今日寮にいるのはこれだけか?」
「まだ、仕事から帰ってきてない奴がいるからまだ増えるな。時間的にそろそろくるんじゃ無いか?」
「いつも、どの位の人が使ってるんだここ?」
「大体、50人くらいだな。聖人もここで寝泊まりしてるし、運び屋もいるな」
「一言で言えば、変わった奴がたくさんいる寮って事か」
「あんたが入るだけで変わったじゃなくておかしいやつになるけどな」
「それは否定しない、オティヌス皿を人数分用意してくれないか?」
「どこにあるんだ?」
「はじにある戸棚の下辺りだな」
「ここか、で今日の料理はなんだ?」
「今日はパスタだ。初めてオルソラに作ってもらった料理だよ。俺としては味は問題無いはずだ」
「それは本人に聞いてみろ。私がわかることじゃ無いからな」
「それと、いつの間にレッサーまでいるないつの間に入ってたんだ?」
「私がそんな事知るか」
「元魔神相手に普通に会話できるなんてあいつも普通じゃ無いな」
「私は前に話した事ありましたけど結構、話しやすい人だったのですよ」
「お前のマイペースなおばちゃんキャラで話されたら普通に会話できそうだな」
「いえいえ、そうでなくとも話せたのでございますよ。あの人が話した事のある女性はどんな人でもただの1人の女性になっなしまうので話しやすいのですよ」
「それは言えてるな。それとあいつは言葉遣いは悪く無いが時と場合によっては誰が相手でもタメ口で話すからな。ある意味すごいやつだよ」
「ほら、お前たち分だ。スプーンとフォークは自分で取ってきてくれ」
「わかったのでございますよ〜」
「態度はデカイな小娘」
「昔からこの性格でな、直しようが無いんだよ」
「そうかい、にしても随分あいつの言う事は聞くな。そんなに執着してるのか?」
「いや、それはない。ただ人間といて毎日が楽しく過ごせるのはいいかもな」
「でも、子供扱いはされるか」
「ああ、見た目は14歳くらいのままになってるからな」
「だけど、お前が来た時はフィギュアくらいの大きさだったはずだ。まだ自分の中に力を残してるのか?」
「ほとんど残ってない。ただ、体を元の大きさに戻したり出来るような術式を組み込んでこの大きさになっているんだ」
「その術式をどうやって発動したんだ?まさか、あいつが手を貸したのか?」
「いや、自力でやったさ。偶々今住んでる場所に地脈が通っているのに気がついてな、毎回そこから魔力供給をしてる」
「それで今の状態になったのか。魔神さん苦労してるな、で今の生活には満足してるか?」
「とりあえず満足してるさ」
そこへちょうどフォーク類を取り行ったオルソラがたため会話をやめ、食べ始めていた。
「また腕を上げましたね〜。でも隠し味までは再現できなかったみたいなのですよ」
「オルソラ、隠し味なんて入れてたのか?」
「はい、味に少し深みが出るのですよ」
「へぇ気づかなかったな。で、隠し味に使ったのはどんなものなんだ?」
「それは秘密なのでございますよ」
シェリーの問いかけに笑顔で答え。また食べ始めていた。
「これで作り終わったし。こっちも始めるか」
昼前に買っていた、板チョコを取り出し湯煎でとかしていた。
「型は貸してもらえるけど量が多いからな。全部違うもので作れるか不安だな」
「とうま〜おかわりしたいんだよ」
「はいはい、少し待ってろ」
インデックスの皿を回収し、さっきと同じ量のパスタを盛り付けて返していた。
「相変わらずよく食べるな」
「む、食いしん坊みたいな言い方はやめて欲しいんだよとうま。これだけじゃ足りないから要求してるんだよ」
「分かってる、ゆっくり食べていけ」
すぐに戻り型作りを始めていた。不慣れな作業に苦戦したが10分近くでコツをつかみそれからはどんどんペースを上げて作っていた。途中、インデックスに一部作ったものを食べられる事故が起こったがオルソラ達に抑えてもらい集中して続けていた。
「ふう、これで買ってきた分は作り終わった。やばい、集中しすぎたせいで今度は頭が痛くなってきたな」
「お疲れ様なのですよ。どうぞ飲んでください」
「ありがとうオルソラ」
オルソラからの紅茶を飲みながら作り終わったチョコの山を見ていた。
「これでざっと300人くらいか、以外と作れるもんだな。あとは包装して相手の名前を書いて日付指定して送れば終わりか。ここまでで何時間掛かったんだろう」
ちらっと壁に掛けてある時計を見ると4時を指していた。
「包装と名前の記入は頑張れば2時間で終わられられるからあと、少ししたら始めるか」
それから2分後に今度は包装の作業に入っていた。偶々様子に見に来ていた、シェリーやレッサーが言うには上条は前にか見ていないのに気がつけば1つずつ箱が重なってき、手元は早すぎて見えなくなっていたらしい。疲れていたのか大の字で床に倒れ込み休んでいた。
「やっと終わった〜もう動きたくない」
「床で寝るな邪魔になる」
「そうは言ってもこっちは疲れたんだよ。・・あと、いくつ作ればいいだろう、オティヌスの地獄じゃないけど結構辛い」
「私の地獄と一緒するな。あとはこれを送るんだろ。最後までやっておけ」
「はあ、わかったよ。よっこいしょっと」
「年寄りかお前は。まあ、実年齢と精神的な年齢に違いがあるからな」
「うるさいな、さてと行くか」
まだ、疲れは抜けていないがいつまでここで寝てる訳にもいかないのか立ちあがりダンボールに箱詰めにして宅配業者を呼んでいた。
「これで完全に終わったな。あとはホテルに行くか、オルソラにお礼を言って帰ろう」
「なんだ、もう一泊するのか?」
「ああ、空港近くのホテルだよ。今更だけど、向こうで仕事が山のように溜まってそうだからな」
「あの中の方が治安が悪いな。まあ、お前には相手にならないような連中ばかりだろうがな」
「能力に頼りっきりになってるやつも多いしな。幻想殺しなしでも十分対処できる」
「不幸に愛されるお前がすんなりと終わらせられるのか?」
「・・・多分な」
「よくそれでいままでやって来れたな」
「すぐに慣れたよ。いつもの厄介ごとに巻き込まれてるからな」
それからは寮から出る前にオルソラ達に礼を言ってからすぐに出て行った。やはり向かう途中で何度か交通事故に遭ったり、偶々肩がぶつかってしまった目付きが怖い人達に絡まれたりしたが何とかホテルの周辺まで到着した。
「武力で終わらせるのかと思ったが、やはり言葉で話し合った方がお前には勝機があるな。まさかギャング相手にただの会話だけで終わるとはな」
「俺はそこまで、殴り合いをしたい人間じゃないんだぞ」
「何人も殴ってきた奴が言うと信用出来ないな。それで今日泊まるホテルは何処だ?」
「目の前にある高層のホテルだよ」
「なかなか高いそうだが良いのか?」
「いや、一部屋だけ激安で泊めてくれる部屋があってな、そこを予約したんだよ、少し欠陥があるだけでそれ以外は普通の部屋だったからな」
「で、その欠陥はなんだ?」
「確か、幽霊が出るらしいな。結構頻繁に出るらしくてな、その部屋に泊まった人は全員気分が悪くなるから安くしてるとか言ってたな」
「おい、それで良いのか。呪われたらどうするんだ。ってよく考えたらお前には幻想殺しがあったか。なら大丈夫だな」
「入った瞬間に現れることもあります注意して下さいって注意書きがあったな」
「人間、幽霊が怖くないのか?」
「怖いというより、いるのかどうかも分からないものに驚くのか?」
「・・お前の無鉄砲さもある意味恐ろしいな」
すぐにチェックインし、部屋のある階まで向かっていた。
「おー以外と整備されてるんだな。出来れば備品の後ろにお札を貼るのはやめてほしいけど。もう少し分かりづらい場所貼れよつーかどんだけ悪霊が引っ付いてるんだよこの部屋」
「いやいや、そこじゃないだろ!入った瞬間にマジで老父がいたのには突っ込まないのかよ!」
「いや、元から注意書きがあったし、そこは気をつければ問題ないだろ」
「握手した途端に消えたのはどう説明するんだ?」
「ん〜まあ、特に気にしなくても良いだろ。大体、お前の後ろにいる女の人は誰なんだよ」
慌てて振り向くとさっきまで居なかった髪の長い女性が現れ手を伸ばして来ていた。上条は握手するのかと勘違いし手を出すとパァッンと音がし目の前から消えた。それから何度も幽霊が現れては上条が握手して消えていくという動作が何度も続き30分経った頃には何も出てこなくなっていた。
「何だったんださっきまで居たのは?急に居なくなるし出てこなくなったな。まっこれで落ち着いたし、夕飯でも食べに行くか」
「お前の方がよっぽど怖いな」
旅行カバンのみを置いていき、部屋から出て行った。着いたのはホテルから10分程の場所にある日本食が食べられる店にやってきていた。もちろん、オティヌスは満足に食べたいので普通のサイズに戻って入店している。
「寿司でも食べようかな」
「以外と日本食の方が好きなのか?」
「まあ、とりあえず日本生まれだしなそのせいだと思うよ」
とりあえず寿司を2人分を頼み出来るまで待っていると、普通のお客としてキャーリサが来ていた。それに気づいた時、思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになったがなんとか堪え口に含んでいたお茶を飲み込んでいた。
「なあ、なんでキャーリサがこんなとこに来てるんだよ」
「見た所、度々来てるんじゃないか?普通に奥の座敷部屋に入っているけど」
「そうだな、でも俺の入るような場所ではないな。食べるならカウンターで食べたいし」
「地味にこだわりがあるんだな」
「あっても良いだろ、これでも思春期の学生だぞ」
「遠い昔の話の間違いじゃないのか」
「はぁ反論出来そうなのに出来ないのがなんか悔しい」
すると後ろに何時からか来ていたキャーリサに声を掛けられていた。
「少年、私達と一緒に食事をしないか?」
「いえ、俺みたいな一般の学生には勿体無いので良いです・・よ」
気がつけば、店中からかならきつい視線が刺さっていたのに気づいて見渡してみると、素直に行け!羨ましいぞ!などと視線で訴えられていた。すると前で魚をさばいていた、年老いた板前から更に後押しするような言葉が飛んできていた。
「若造、後悔しないように体験できる事はやっておけ」
その一言で言いくるめられ、素直に奥の部屋まで入っていった。それからオティヌスも含め4人で食べていた。
「なんでわざわざ探したんだよ。呼べば行ったのに」
「呼んでもすぐに来れるかどうかは分からないと思うから直接きたのよ。主に用があったのはキャーリサなんだけどね」
「いや、昨日のお礼を言いたかっただけだし。それ以外は特に用はないんだし」
「いや、気にしなくていいぞ。俺がやりたくてやっただけなんだから」
「じゃあ心配させた分ちゃんと甘えさせてもらうわよ」
反対側に座っていたリメエアは上条の横まで来て座り腕を絡ませて寄り添っていた。隣に座っていたキャーリサも同じようにしていたが挟まれた上条には気まずい状態だった。
「あの〜密着し過ぎな気がするですが」
「当麻は私達のことが嫌いなのか?」
「嫌いじゃないです、好きですよ!だけど、心臓に悪いからやめてくれ」
「ふふ、ならもう少し密着しても大丈夫そうね」
「もう、やめてくれ〜理性が崩れそうだ」
「いい加減にしろ、人間で遊ぶ為に来たわけじゃないんだろう」
「あるけど、そこまで大したことじゃないわ。昨日当麻が連れてきた男の処遇のことだけど、とりあえず謹慎になったわ。まずあり得ないことだけどやった事が公になればあの男の立場も危うくなるのよ。ここまで大きな借りがあればでかい顔される事もないでしょう。その前にも母さんから事情聴取というより尋問を何十分も受けて酷い目に遭ってるからもう調子の言い事を言い出す事は無いでしょう。あら、話してる間にもう始めてるみたいね」
話している間に上条は押し倒されキャーリサにディープキスをされていた。最初の一撃でやられていたのか全く抵抗していなかった。
「こいつは人に依存性で与えるのか?わたしでもここまでは行かなかったか筈だけどな」
「仕方ないでしょ、2週間も会ってないんだしあんな事になったんだから好きな人に抱き着きたいのはわかるわ」
「お前はいいのか?」
「私は自室でやりたいのよ、こういう事は。正直今すぐにでも襲いたいけど場所が悪からね」
「ふう、これで満足だし」
「あなたは満足してても当麻は倒れてるわよ」
目線を下に降ろすと、キスをされ続けた上条は床で倒れていた。ふらふらと起き上がりそうになっていたところに更にリメエアもキスをし始めまた、上条は倒れてしまった。
「少しは抑えた方がいいぞ。ここは店の中なんだから、それにしても一体何をしたんだ?」
「寿司を1つ食べさせた後に口移しで一口分のお酒を飲ませてそこからキスをしたいただけだし。以外と酒の耐性が無いのには驚いたし」
「高校生に何をやってるんだ。で、こいつをどうやって運ぶんだ?私1人でも運べるが怪しまれるぞ」
「それについて大丈夫よ。この店の裏口から出してらもらえるように頼んであるから」
「用意だけは速いな、それじゃこいつを運ぶか」
オティヌスは倒れている上条を担ぎそのまま裏口から出て行った。キャーリサ達もお金を払いすぐに出て行った。外には待たせておいた車が停まっており、上条を中に投げ込みあとからキャーリサ達と一緒に入った。
「よくここまで準備しようと思ったな」
「こういう時にしか私達は会えないからな、身分も年齢も違う時は入念に準備しておかないと楽しめないし」
「その入念さがあだになったかもな。イギリスで魔術師のトップに立つ人間が来れば他の連中が倒そうと思うだろ」
外を見ると車を取り囲むようにぞろぞろと男女が囲っていた。
「人間に恨みがある連中か、恨みの程度が知れてるな。この程度で人の事を殺そうと思うなんて全くバカな連中だ」
「運転手も洗脳されてるわね、いつの間にやられたのかしら」
呑気に話をしてる内に外を見ると彼らの右手からは奇妙な異形が生み出され咆哮が周りに響き渡っていた。
「フィアンマよりはるかに弱いが真似でもしているのか?あれを見る限り相手の強度によって出力が変わる物だが聖人すら葬る事のできない威力のものか。努力を摘むつもりは無いがこいつにはその程度で殺せるほど甘い人生は送ってないぞ」
囲んでいた1人の女がその異形を振りかざすと前にあった筈の車両は塵1つ残らず地面ごとえぐりとられていた。だがオティヌス達はその近くにあったビルの上までいつの間にか移動されていた。彼女らの前にはさっきまで倒れていた上条が屋上の端から下を向いて様子を見ていたが、気がつけば自分達の方が上条よりも高い場所にいる事に違和感を感じ座っている場所を見てみると真っ黒な鱗の上に座っていた。それが何なのかをオティヌスにはすぐに理解できた。それは上条が以前暇潰しに竜の顎を見せてもらった事があったのを思い出し、乗っている生物が何なのかを理解したからだ。伝説では多く描かれるが誰1人本物を見た事の無い生き物だったからだ。
「あのバカ、こんなところでドラゴンなんかを出すなよ。目立つぞ。いや、目立たないように結界まで張ってあるな、全く随分と用意が良くなったな」
キャーリサとリメエアは未だに状況が掴めていないのか周りを見回していたが、上条が軽く手を振るとオティヌスを背中に乗せたドラゴンは翼を広げそのまま空に飛んで行った。
「・・・」
行ったのを見送ると軽く空中に左手を出すと真っ白に輝く十字架に似た剣を取っていた。その剣を取ったそばから高さ30m以上あるビルから軽々と降り、下でまだ溜まっていた異形を右手に宿した人間の手を切り落としていた。何十人もの人間が異形を振りかざし上条を消そうと抵抗をしたがそんの暇すら与えず、逃げ出す者、命乞いをする者もいたがそんなものがなかったかのように切って行った。その目には光は宿っておらず、それを見た人間は恐怖以外の何も感じる事がなかった。それから雇い主から計画を企てた者、それを支援した人間の全てを裁いて行った。殺された者はいないが、それでも相手が男だろうが女だろうと1人残らず肉体的、精神的に徹底的に死の寸前まで持って行き、けっして楽に解放される人間はいなかった。逃げ出す者もいたが相手の目の前まで一瞬で現れ一歩でも逃げられればみんなから絶賛されるぐらいの速さで追いかけられていた。協力者の情報は全員の心から読み取り、確実に1人ずつ捕らえて行った。その日から上条の名は魔術業界では厄病神、裏の世界では死神とまで称される程の力を振るっていた。だがそれでも力を3割も出していなかったのだ。上条はオティヌスを迎えに城まで歩いていたがその足取りはおぼつかなかった。外まで様子見に出ていた。オティヌスに肩を担いてもらい何とか中に入っていた。
「随分と暴れたな、今日はもう休め明日にはもう帰るんだろ」
「・・・すまん」
「はぁ、とりあえずこの部屋で寝てろ、帰ってからまた仕事があるんだろ」
オティヌスは上条を部屋にあった簡易ベットで寝かせその部屋を出ていた。その部屋を出るとエリザードの出会い少し話があると呼ばれ防音加工のされた部屋に入っていた。
「枷を付けるのは元から決まっているそこまで心配するな」
「分かっている、ただあれが上条当麻の本心じゃないかと思ったんだよ。少しばかり身の回りを調べ上げたんだが恐ろしいものを見たよ。幼稚園に通っていた頃から厄病神扱い、同じ歳の子供からはいじめられその親達もイジメられ遠ざけられていた。誰かを助けても原因は全てお前だと押し付けられ、人生が嫌になって偶然目の前を歩いている上条を刺した人間がいてもそれは歩いていた上条が悪者扱い。町ぐるみでいじめられ偶々聞きつけた新聞記者までその風潮に乗ってテレビでも厄病神として取り上げられる。・・よくこんな経験をした人間が心の綺麗な人間になれたと思ったよ」
「心の中が全て闇で染まってるやつはいない、あいつはこう言っていたがその逆もあるんじゃないかと私は思ってる。心の中に1つも闇を持たない人間なんかいるのかとな。お前に植え付けられたものとは別にな」
「もしかしたら本心かもしれないだが、それでもやつはここまで折れずに歩き続けてるんだ。私でもやつを折るのに苦労した。もし、今の状態で折れたらどうなるか私には想像がつかないな。1つ分かるのはそうなった時、全ての人間がやつ殺せと言うのは間違いないだろう、出来る筈もないがな」
「やる事はお互いに山積みだがお前は上条の方を頼むぞ、一番やつを知っているのはお前くらいだからな」
「それ承知の上だ。あいつにはまだまだ世話になるからな」
「それは居候としてか?だとしたらただのニートでしかないぞ」
「その罰を与えたのはお前達だろ、それについて言われる筋合いはない」
それから上条を運び出しに部屋に戻ると扉に寄っ掛かり待っていた。
「おお、終わったのか」
「とりあえずわな」
「そうか、じゃあ戻るか、かなり時間も遅いし」
歩いて帰っていたが数分で到着し、すぐに部屋に入ってシャワーを浴びていた。
「随分と早くアルコールが抜けたな、もう少し酔ってるのかと思ったが」
「それが分からないんだよな、気がついたら扉の前で立ってて、酔いも無くなってたんだよな」
その後、上条は部屋についていた水を飲みながら日付が変わるまでテレビを見て暇つぶしをしていた。帰ってからはホワイトデーのお返しを作るのに相当な時間が掛かりそうだなと考えながらゆっくりと寝始めた。