不安もありますが頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。
「ひとつ、世界を救ってみてはくれんかの?」
真っ白な世界で男は目の前に立つ老人にそう言われた。一般的なイラストのサンタクロースを真っ白に塗りたくって帽子を取っ払ったような外見だ。因みに、てっぺん禿である。
「…すまない、理解が追い付かない。」
冷静に対処する男。否、男かどうかは定かでない。
老人の前にあるのは眩い光を放つバスケットボール大の発光体だけである。その発光体は自身を人間の男と判断していた。
「ふむ。では順を追って説明しよう。
まず、アイアムゴッド。ユーアーデッド。おーけー?」
「…ノー。」
何故か片言の英語で説明した老人に発光体は極めて淡白に答えた。なんとなく、老人に対する憐みの念が込められているような感じがしなくもない。
「おーけー。で、主の魂はなかなか上質なのだ。」
発光体は「ノー。」と答えた。にもかかわらず老人は説明を続けていく。と、いうよりもそもそも発光体の返事の内容など聞いていない。
「人を勝利へ導く……俗に言う英雄の格でな。平和なあの世界より儂の友人の作った世界に入れたほうがいいと思ったのじゃ。有体に言えば転生じゃな。」
「……はぁ…」
「で、行ってもらう世界じゃが主も知っておる。主の世界じゃ二次元の存在として世に出ておったからな。タイトルは知らんがなかなかに過酷な世界じゃ。そのまま送ってはすぐに死んでしまうじゃろうから、儂の権限で幾つか特典をやろう。」
話しについていけていない発光体だが、要点だけは理解していた。よくよく見てみれば自身の身体も周囲の空間も現実味が一切感じられない。
故にこれは夢か、もしくは本当にテンプレ転生かだと理解した。
そして本能が後者だと告げていた。だから、不用意に言葉を発することなく老人の言葉に耳を傾けた。
「特典内容は新しい肉体。戦闘用の機体。そして拠点。あとは何か主の望むモノを2つまでなら叶えよう。」
「質問がある。いいか?」
「うむ、構わぬぞ。」
特典と聞き、僅かに反応を示した発光体が質問の許可を求めると老人は満足そうに頷いた。発光体の内情がどうであれ、現状をある程度正確に捉えて且つ協力的な反応を示したことが嬉しいようだった。
「今のままでは生きること自体が過酷で、英雄を求める世界……。さらに戦闘用の機体ということは何かと戦争でもしているのか?」
「うむ。“Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race”…通称“BETA”。日本語に直訳すれば“人類に敵対的な地球外起源種”じゃな」
「…成る程。確かに、力がいるな。少し考えさせてくれ」
「うむ。
幾らでも待とう。ここに居る限り時間は無限じゃ。」
なんとも素晴らしい空間である。
そんなことを思った発光体は即座に思考を切り替え、特典として要求するモノを考える。世の中柔軟な思考を持っていなければ苦労する。その点、この発光体は思考力、並びにその柔軟性に関しては常人よりも上だった。そのため、現状を正確にではないが自分なりに把握し、最善を尽くそうとしている。10分、20分と過ぎていき、最後には何分かかったかも分からない程長い時間を費やした発光体は特典を決めた。
「決まったようじゃな。では、順に聞いていこう。
まず第一に、新しい肉体じゃ。既に気付いておるじゃろうが主が死んでおる。で、その際に肉体のほうは再生不能なまでのダメージを負ったのじゃよ。詳しく言うなら釣り上げられた深海魚のように為っておった。」
要するに、内側からボンッであった。別に体内で爆弾が爆発した訳ではないのだが、結果的にそんな感じになっていた。
「あぁ、肉体は人間の若い男で頼む。詳しい容姿の指定はないが利便性を追求してくれ。」
「ふむ?イケ面とかにはせんのか?英雄色を好むとも言うし、イケ面にしてハーレムを作ってもよいのじゃが?」
「別に興味ない。それに、面に寄ってくる女は気に食わん。」
「ホッホッホ…。成る程のう、確かにそうじゃな。では此方で適当な器を見繕っておこう。
なら容姿はここまでにして、次は機体を聞こうか?」
「マクロス・クォーター」
「……。………はい?」
あまりに予想外だったのか、老人は間抜けな面で聞き返す。しかし、返って来た答えは変わらず、
「マクロス・クォーター」
と言うものだった。「むむむ…」と唸りながら眉間を揉み解した老人は観念した。
「それは機体というより戦艦じゃが?いや、確かに機体と言えなくもないが…。」
「これでいい。追加特典の部分で拠点に機体開発の設備を付けてもらうつもりだ。」
「成る程……。じゃが、魔改造機とかは無理になるぞ?」
「あぁ。寧ろ、魔改造機はあっては困る。説明のしようがない。」
発光体は強力無比なワンオフ機体を一機よりも、換えの利く量産機を大量のほうがいいと判断したのだろう。確かに、圧倒的な物量で押し寄せるBETAに対して、幾ら強力とはいえ一機程度では対処出来ない事態が発生してもおかしくない。戦場はユーラシア大陸全土と広大なのだから。
それに神の力で作られた魔改造な機体なんぞ各国に説明を求められた際に答えることが出来ない。最悪、機体そのものが新たな戦乱の種になりかねない。それなら物理法則に則った機体なら説明もつくし、適度に技術流出を行えばある程度は各国の暴走を抑えられる。
「うむ。なら主の機体はマクロス・クォーターでよいな?
よし、次!拠点じゃ!」
「フロンティア船団。」
「……うむ、もう驚かんぞ。フロンティア船団じゃな?
と言うよりも主よ。まさかと思うが第5計画に乗る気ではあるまいな?」
フロンティア船団は大規模な移民船団だ。それも地球から別の惑星への移民である。同じ移民を目的とした第5計画派にフロンティア船団は最高の手見上げになる。
「まさか。あんな失敗が目に見えた計画に誰が乗るか。」
「…なら良いのじゃが……。しかし、拠点として船団を要求してくるとはのぉ。」
などと言っているが、第5計画に属さないというのならば構わないらしく、フロンティア船団は許可された。
「では、最後に2つの追加特典じゃが……開発設備はフロンティア船団にもともと有る故特典の枠は取らんよ。じゃからあと2つ、じゃ」
「そうか。では最初から考えていたモノから言わせてもらおう。
レアリエンを200体要求する。」
PS2用ゲーム『Xen○saga』シリーズに登場した、端的に言えば限りなく人間に近いロボットである。炭素で形成された者や、珪素や液体金属で形成された者など様々なタイプが存在する。観測を始めとした補助型や記録管理を目的とした型、さらには純粋に戦闘用の型まであり、人手として申し分ない。
「…詳細は?」
「観測型として百式タイプを80。そしてその内1人に残り79人の管制能力を持たせてくれ。
次いで戦闘型を40。これもリーダー的ポジションの者を4人頼む。
残りの80は農業用と工業用に。数は40ずつだ。リーダーは不要。
また、彼ら全員には能力を統一せずに個性を持たせてくれ。
…レアリエンに関しては以上だ。」
「うむむ…中々に複雑じゃな。じゃが、問題ない。
で、最後の1つじゃがどうする?」
一辺に伝えた情報量が多かったため老人は少し唸っていたが問題なく用意出来るとのことで、最後の1つを訊ねた。しかし、発光体としては予想外の枠であるため特別要求があるわけではない。かといって何も頼まないのは損でしかないため、最後の1つは大量の食糧ということにした。肉や野菜は勿論のこと、魚介類もアイランド1などの人工の海や川に用意してもらった。
「では、転送の準備に入ろう。いつ、何処がよい?」
「そこも決めていいのか…。なら…1990年の10月22日、木星圏に頼む。」
「うむ、承知した。では、これより転送を行う。
第2の生に幸多きことを。」
その言葉と共に老人が右手をサッと左から右へ走らせると、何の前触れもなく忽然と発光体は姿を消した。
真っ白な空間に残ったのは老人ただ一人。それだけだった。
「さて、なかなかに面白そうな奴じゃったが……いい暇つぶしになるといいのぅ。」
老人の呟きを聞いた者は誰も居ない。
どうも、第0話。プロローグでした。
ワードで下書きを書いてからコピーしているのですが、読みづらい等何か思うところがありましたら感想やメッセージで教えてくださるとうれしいです。
では、読んでいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします。