「…あーもー!!」
私、上条当麻は夏休みも最後の日だと言うのに未だに不幸に愛された青春を送っております。
電撃ビリビリ中学生に恋人役を頼まれたり、アステカの魔術師に命を狙われたりと…
よって、夏休みの宿題は全くと言って良いほど終わっていないのであった。
「…不幸だ…」
机の前に並べられた宿題の山を見て、俺はただ自らの運命に嘆くしかなかった。
幻想殺し(イマジンブレイカー)…俺の右手に宿っているこの力は、右手に触れた物が異能の力であれば何であろうと破壊することが出来る。
どうやら、神様の御加護も打ち消してしまっているようで、こいつが原因で俺は不幸に愛されているらしい。
だが、この力も今は全く役に立たないのであった。
「こんな問題、レベル0の上条さんに解る訳ないでしょうが…」
宿題の中の一枚のプリントを眺めていると、今の状態の俺にとってはとても耳障りなテレビの音が聞こえてきた。
「あの…インデックスさん?テレビを見るなとは言いませんから…ボリュームの方を…」
俺はテレビで魔法少女もののアニメに釘付けな少女に向かい声をかけたのだが、それに気付いた彼女はムッとした表情で俺に向かってすり寄ってきた。
「あの…インデックス…さん?」
「とうまが遊んでくれないから!私は仕方なくテレビと言う空間に逃げてるんだよ!?」
白い修道女のような格好をした彼女、インデックスは俺に向かって殺気を放ちながら近付いてくる。
俺は咄嗟に後ろに下がったのだが、その拍子に背後にあった本棚にぶつかってしまい、上に積んであった様々な本が俺に向かって降り注いできた。
「いたたたた!?…お前!今という時に限ってやること増やすなよな!!
って…あれ?書きかけのプリントは!?数学の参考書は!?」
落ちてきた本の中に宿題が混ざってしまい、俺は焦って宿題を探し出した。
「とうま!」
「おお!見つかったか!?」
珍しくインデックスが気をきかしてくれたと思い、俺はインデックスの顔を見たが、彼女が放った一言は本当に突拍子もない事だった。
「もう3時過ぎなんだよ!」
「…は?」
「おやつ、食べたいな♪」
まるで天使のような笑顔を浮かんでインデックスは俺に対して悪魔のような言葉を何の悪気もなく言ってきた。
「…不幸だ…」
「じゃあ、何か適当なモン買ってくるから待ってろよ?」
「えー?私もとうまと一緒に行くー!」
「ダメだ。万が一外に出て他の魔術師に狙われたりしたら面倒だし。」
そう、インデックスはその名の通り103000冊もの魔導書を持つ魔導書図書館なのである。
どこに持っているかって?
103000冊の魔導書の原典は、インデックスの持つ「完全記憶能力」により彼女の頭の中に原典の状態のまま記憶されているのである。
そのため、その魔導書を狙う魔術師などが後を絶たないのである。
俺は魔術師じゃないから詳しい事はよく解らないのだが、知り合いの魔術師が家の前に防衛用のルーンを設置しているらしく、もし魔術師が近付けばそれが作動する仕組みになっているため、ここにいる事が最も安全ではあるのだ。
だがこれは上辺だけの理由だ。
本当は彼女を外に出せば次々と食べ物をねだり出すから面倒なのであり、宿題を一刻も早く終わらせる為にはこうするのが一番なのである。
「ちゃんと留守番してるんだぞー!」
玄関のドアを開け、靴を履くと俺は後ろを振り向いてインデックスに再度忠告しておいた。
インデックスside
結局とうまは私に構ってくれず、私は家で留守番をすることになった。
「むー…私の気持ちを解ってくれるのはスフィンクスだけだもんねー」
私はベッドに寝転がりながらスフィンクスを抱きかかえて問いかける。
スフィンクスというのは私が名付けた猫であり、野良猫だったのを私がとうまに必死にお願いして飼う事になった猫なんだよ。
その時もとうまはグチグチグチグチ文句ばっかり言ってたんだよ?酷いよね。
「スフィンクス聞いてる?」
再度問いただすとスフィンクスはにゃあと一言鳴いて私の鼻を舐めた。
「ひゃあ!?くすぐったいよスフィンクス~!」
とうまを待つ間が退屈なのでスフィンクスと遊ぶ事にしよう。
そう思い立つと私もスフィンクスの喉をゴロゴロしたりとじゃれ合い始めた。
拾った時と比べると毛並みもようやく揃ってふかふかになっている。
なので私はそのふかふかなスフィンクスを堪能する事にしよう。
「うぅーん!ふかふかで気持ちいいんだよスフィンクスー!」
「あら、それなら私もその猫をもふもふしてやりたいわぁ」
スフィンクスに頬擦りしていると、私の背後から突然聞き覚えの無い女性の声が聞こえてきた。
その声に気付き、私はすぐさま背後に振り返った。
肩口を開いた紫と白の洋風の服、フリースのついた帽子を被り、髪は金色で後ろの髪は数本ごとにリボンで止めている女性。
少なくとも、私はいままで出会った事は無い。
そして、彼女を見た途端私が思った事は…
「…胡散臭い」
「なっ!?初対面の人に対してその第一声って何!?」
「…信用できないかも」
そう、彼女は胡散臭い、そして信用できない。私はそう直感出来た。
だって彼女の顔は何かを企んでいるようにしか見えないから。
「ぐっ…流石に許可もなく侵入した事は謝るわ。
でも、最初に言う言葉って「あなた誰?」とか「何者?」とかじゃないかしら…!」
女性は私の予想外の反応に戸惑っているようで、どこか慣れているような表情で返してきた。
「どうせ教えてくれないんじゃないかな?」
「ご名答。じゃあ私の目的も解ってるかな?」
余裕しゃくしゃくに女性は私に問いかけてくる。
もういい加減飽きてきたぐらいだから良く解ってるよ。
「魔導書は人間が読める代物じゃないよ」
「んー…私は魔導書に興味は無いかな…
私が興味があるのは…上条当麻よ」
と…とうま!?
ニヤリと笑みを浮かべて女性は私に向かって言い放った。
「どうしてとうまに興味があるのに私に…?」
「ふふふ…そりゃ簡単よ。上条当麻をおびき寄せるにはあなたを攫うのが一番効率がいいじゃない?」
どうしよう…このままじゃとうまがまた何かに巻き込まれる!
「嫌だと言ったら…?」
「強引にでも連れて行くわ♪」
すると女性は机の上にある書き置きを残すと私の修道服を掴んだ。
「一つだけ教えてあげる。私は人間じゃないわ。妖怪よ」
そう言うと突然彼女の足下の空間がねじ曲がり、そこには奥に目玉や手が蠢く空間が現れていた。
「じゃあ行きましょう。しっかり捕まってなさい」
「ちょ…ちょっと待って…!?」
言い切る間もなく、私は彼女に空間の中へと引きずり込まれてしまった。
そして、まるで口を閉じるようにその空間は閉ざされ、消滅した。
今回の登場人物(☆は今回初登場)
▼とある魔術の禁書目録
☆上条当麻
☆禁書目録(インデックス)