突然のAクラスへの宣戦布告。それはFクラスにとっては現実味の乏しい夢物語のように感じられた
「勝てるわけがない」
「これ以上設備が落ちるなんて嫌だ」
「姫路さんがいれば何もいらない」
雄二の言葉に反応して教室内から悲鳴が上がる
それもそのはずここ文月学園ではテストの点に上限がない。これが何を意味するかというとできるやつは時間内であればいくらでも点数が伸ばせるということだ。だからAクラスとFクラスでは絶望的な点数差がある。さあこの状況からどうやってみんなをやる気にさせるのか楽しみだな
「そんなことはない。俺が必ず勝たせてみせる」
「このクラスには勝つことのできる要素が揃っている」
「それを今から教えてやろう」
「おい、康太。畳に顔を近づけて姫路のスカートの中をのぞいてないでこっちにこい」
「………………!!(ブンブン)」
「は、はわっ」
必死になって顔と手を振っているのは土屋康太。ただこいつの場合はこの名前はあまり知られてなくむしろあだ名のほうが有名だ
「こいつがあの有名なムッツリーニだ」
「………………!!(ブンブン)」
「こいつはほかの科目の点は低いが保健体育だけは他の追随を許さないものがある」
「それに皆も知っていると思うが姫路もいる」
「は、はい。頑張ります」
姫路さんは全科目400点前後のはずだからAクラスにも余裕で対抗できる戦力だ
「木下秀吉だっている」
秀吉は学業では有名ではないが演劇部のホープである。それにAクラスに双子の姉がいる
「櫻井みなみもいる。知ってる人は少ないかもしれないがAクラスに入れるほどの成績はあるし社会科目はかなり高い。櫻井、学年末で日本史と世界史は何点だった?」
「日本史が480点、世界史が520点だったよ」
櫻井さんは理系科目はかなり低いけどそれ補いきれるほどほかが高い
「当然俺も最善を尽くす」
雄二は元神童であり頭の回転だけは速く作戦を立てるのはうまい。ただ勉強のしなさすぎで今は学力が低いのが問題だが。
ここまではクラスの士気は確実に上がっていた
「それに加藤浩輝と吉井明久もいる」
それもこの一言で一気に下がる
「誰だよ、そいつら」
「そんな奴らこのクラスにいたか?」
雄二めオチに使うなら明久だけにしておけばいいものを
「知らないなら教えてやろう。二人に共通して言えるのはバカだということだ」
「しかしただのバカではない!浩輝は超ど級の理系バカだ。おい、浩輝理系科目の学年末の成績言ってみろ」
「数学αが570点、数学βが530点、物理が420点、化学が480点だな」
クラスが一瞬静かになりみんなが俺の言葉を理解し、今度は騒がしくなった
「なんでそんなやつがここにいんだよ」
「下手したら俺の総合科目並みの成績じゃねえか」
「Aクラス上位レベルかよ」
他は低いから総合科目だとAクラスでも下位くらいになるんだけどな
周りが落ち着いてきたとこで雄二がまた口を開く
「そして吉井明久は観察処分者だ」
これを聞いてまた教室は静かになる
「…………それってバカの代名詞じゃなかったっけ」
そんななか誰かがぽつりとこんなことを言ってしまった
観察処分者とは素行の悪い人に与えられる雑用係の名称であるがこれまでずっといなかった役職であり明久が初であった
「まあそうだが、そんなこいつにもたった一ついいことがある。それは-」
お、雄二が明久を持ち上げるなんて珍しいな。操作に優れてることでもいうのかな?
「-補修室送りになっても戦況に影響ないってことだ」
それは居ても変わらないってことと同値だと思うのだが。雄二がまともに明久をほめるわけないか。まあ、あれで雄二は明久をきちんと使える戦力としてみてるからなにも言わなくていいか。明久は何かわめいてるが、いい加減雄二が認めていることに気づかないのかな。
「とにかく。俺たちの力を証明するためにまずはDクラスから攻め落とそうと思う」
「皆この境遇は不満であろう?」
『当然だ!!』
「ならばペンをとれ!出陣の準備だ!俺らに必要なのはちゃぶだいじゃねえ!システムデスクだ!いくぞ、野郎ども!!」
『おおぉぉーー』
「宣戦布告の使者には明久を任命する。無事大役を果たせよ」
「ねえ、下位勢力の宣戦布告の使者ってたいていひどい目にあうよね?」
「そんなの創作物の中だけだろ。現実にそんな大事な役目のやつに暴力を振るうやつはいないから大丈夫だ。俺を信じろ」
「うん。わかった。いってくるよ」
あーあ。明久め、簡単にだまされちゃって
「騙されたぁぁー」
しばらくするとぼろぼろになった明久が帰ってきた
「やはりそうきたか」
「雄二め、こうなることをわかった上で僕を向かわせたな!」
「当たり前だ。このくらいのこと読めなくて何がクラス代表だ」
「少しは悪びれろよ」
「明久うるさい」
「浩輝!?これは僕悪くないよね。正当な権利だよね」
「騙されたお前が悪い。以上。そんなことより雄二今後の予定を聞かせろよ」
そんなことじゃない!などと明久がわめいてるけどそれは無視する
「時間もまだあるし屋上で話そうぜ」
言いながら雄二はドアを開け放って出て行く
屋上に着くとすぐに雄二は明久に確認を取った
「明久、きちんと宣戦布告はしてきたな」
「一応今日の午後に開戦でって言ってきたけど。それより気になってたのはなんでDクラスなの?」
「確かにそうじゃな。段階を踏むならEクラスじゃし」
「Eクラスを攻めない理由は少し考えればわかるだろ」
「どういうこと?浩輝君」
「やっぱり浩輝はわかってたか。理由を言うと浩輝とか櫻井や姫路がいる以上負けるわけがないからだ」
「え、じゃあDクラスだと負ける可能性はあるんですか?」
「策もなしに真正面からぶち当たった場合100%勝てるとは言えないな」
「まあけど策があれば勝てるんだろ」
「もちろんだ。なにせ俺のクラスは最強だからな」
不思議とその言葉はスッと心に入ってきて染み渡っていった
「さあ、作戦を説明するぞ」
俺らは打倒Aクラスに向けての一歩を踏み出した
明日からは毎日更新で20時ということにしてこれから頑張ります