最狂の道化魔導師 作:スク・エニー
「アナタ、どちら様?」
「ゴアアアアアアアアア!!!!!」
帰ってきた返事は言葉では無く、叫び声で意思疎通は全くと言っていいほど取れていない。
「あーこりゃダメだ、言葉が通じないんじゃあしかたないですねえ......もういいですよ、死になさい」
「ゴアアア『サンダガアアアアアアアアアアア!!!』
パラパラパラ...
無詠唱で信じられない規模の雷魔法を放ち、仮にも階層主である【ゴライアス】を一撃で灰へと変えてしまった。
「ひょっとしていまのがボスですか?プッ......アッハハハハハハハハハハハハハハハッヒーヒーフゥー....弱すぎぃ〜」
ケフカは、ピヨンピヨンとバネが跳ねるような音を出しながらスキップしてさらに上層へと向かった。
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暫く上を目指していたケフカは今迄【ゴライアス】(*ケフカはモンスターの名前も知りません)以外に、モンスターにも人間にも遭遇することなく進んでいたが漸く誰かに遭遇することができた。
髪が真っ白でウサギちゃんかな?と思ってしまうくらいの容姿の人間が、牛型の二足歩行モンスター、【ミノタウロス】に襲われているところだった。
「仕方ない助けるとしますか、ファイアー」
気怠げな声で低位の魔法ファイアを唱えた。しかし、如何に低位と雖も魔力値が上限のケフカが使うとどうなるか、そう、それは全てを焼き尽くす業火となった。
「?!」
叫び声をあげることもなく牛は死んだ。
「え、もう終わり?つまんない」
ファイアで死んでしまった牛にがっかりしていると、さっき牛に襲われていた少年がケフカの元に近づいて来た。
「あの、さっきは有難うございました」
深々とお礼をする少年にケフカは笑みを浮かべ穏やかな声で、
「何を言ってるんだい?.....次はお前だよ?」
一瞬少年は訳がわからないといった顔で固まっていたが、その意味を理解して逃げ出した。
それを追いかけるようにケフカもあとを追う。
「そらそら!早く逃げないと丸焦げになってしまうよ?ヒャハハハハハハハハ」
「ひ、ひぃぃぃぃぃ」
少年は泣きながら出口に向かって猛ダッシュしていた。
ようやく出口が見えてホッとしたところで突然目の前に突風が発生した。
「エアロ」
無詠唱の魔法エアロ。突風によってケフカの目の前に飛ばされ、顔の血は引き、真っ青になった。
「ハイ、残念でした〜、バイバー..?!誰だ?」
ストーンで少年を押し潰して殺そうとしていたのに、石を何らかの魔法で吹き飛ばされたのだ。
「止めて。それ以上は....許さない」
声のする方へと顔を向けるとそこに居たのは、金髪の細剣を持つ美少女だった。
「はあ?何、どちら様?」
「ぼくちんいま忙しいんだ。引っ込んでてくれる?」
「聞こえなかったのなら、もう一度言う。止めて」
「あ そう」
「じゃ死になさい」
その言葉を皮切りに戦闘は始まった。
「死ねぇ!!」
ケフカはファイラであたり一面を炎で燃やした。
「..!!無詠唱、しかもこの威力....つよい」
何とか躱し切ったものの、相手から大きく距離をとったためこちら側も攻撃できない。しかし、アイズは分かっていなかった、自分が敵対している者に距離などという概念がないということを....
「面白いものを見せてやろう。ペプシマンが使い、数多のプレイヤーが「誰やこいつ?」となったモンスターが使用する害悪魔法?なのか知らんけど、【グランドクロス】!!!」
ふざけたノリでわけのわからない詠唱をしていた頭のおかしいピエロだと思って油断していたアイズは技を食らって初めてその脅威を理解した。
自分がまるで真っ暗な空間(宇宙空間)
にいるような状態になり、巨大な球体が十字に配列し爆発し巻き込まれた錯覚をしたと同時に体に様々な異常が現れた。
「かはぁッ?!くっ...」
アイズはあまりの辛さに耐え切れずその場に倒れこんでしまった。
「12(個の状態異常)ですか...まあ、なかなかかかった方か。それにしても、即死と死の宣告を受けなかったのは運がよかったですねぇ、まあ何もしなければあと数十分もすれば死んじゃうんだけどね〜」
「....」
「あ!睡眠もかかっているんだった、すみません(笑)」
チラリと見ると白髪少年は気絶していた。
「さて、こんな奴らはほっといてさっさと何処かに行こう、じゃないとめんどくさいことになりそうだしな」
ケフカは尻を掻きながらフワフワと浮遊魔法で浮きながら光が見える出口の方へと進んでいった。
その後、アイズと白髪少年は近くにいたベート達に回収され、アイズはギルド資金で購入した最高品質のエリクサーを飲み干して漸く状態異常を解除した。
ギルド資金で購入したことについて誰も文句を言える状況ではないのが分かるほど酷い状態だったという。もちろんそんな場合でなくとも、彼ら彼女らが文句を言ったりはしないのだが...
目が覚めた二人によって、ケフカの存在はロキファミリア内で広がっていった。
「ウチのアイズたんをここまで一方的にやるなんて...そいつ一体何もんなんやろなぁ?もしウチがおうたらケジメ...とらせてもらうで」
その日のロキはとても荒れていたという。