最狂の道化魔導師 作:スク・エニー
気絶した二人をダンジョン内に放置し、出口を出ると広場のようなところに出た。冒険者と思われる人々がケフカぎいま出てきたところに入って行ったり、出て行ったりしていた。
「ホホーウ、コレがこの世界の街ですか〜。ぼくちんのいた世界よりもかなり文明は劣るみたいですねぇ」
何しろ、周りを見渡しても機械といったモノが何一つ見当たらない。魔導兵器も一台も見当たらないし、蒸気を動力源とした工場なども見当たらない。
「おい、そこのオマエ」
「んん〜?」
街をきょろきょろと見回していると、後ろから声を掛けられたので振り向いてみると頭に耳を生やした獣人が居た。
「ぼくちんに何か用〜?」
「ああ、テメェに聞きてぇ事があるんだよ」
「テメェ...アイズに何してくれやがった」
「合図?ぼくちんは何も邪魔してないと思うんだけど...ひょっとして、人違いなんじゃないの〜?」
「アイズだアイズ!名前だよ!」
「名前?変わった名前ですねぇ〜」
「で、知ってんのか」
さっきまでの雰囲気とは違い、真面目な顔でケフカに問いかける。
「知りたい?それじゃあ...オシエナーイ!!」
「テメェ!ふざけてんじゃねえ!!」
「あ、すいません笑」
相手が真面目に聞いていようがケフカにはそんな事は関係ない。ふざけた答えを返すケフカに怒り心頭のベート。堪らず、蹴りを繰り出したベートは蹴りが当たった瞬間の感触に驚く。
「テメェ...一体どうなってやがる」
相手の体に蹴りが直撃した瞬間勢いが全て失われ、逆に押し返されたのだ。僅かに魔力を吸収した気がしたが、すぐにそれも止まった。
「その靴、面白い。チョットだけ相手をしてやろう」
自分の靴のカラクリに気付いたのか、さっきまで戦う気すらなかった相手が乗り気になっている。
「こりゃぁ...本腰入れねぇと厳しいかもな...」
こうして街中での戦闘が始まった。
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「さっき迄の威勢はどうしたァ!?」
「チッ...この小僧、黙っていれば調子に乗りやがって」
ケフカは先程から何発も魔法を放っているのだが、あの靴の能力なのか分からないが全て吸収され敵の攻撃にまんまと利用されている。
敵の攻撃自体はケフカには全く損傷を与えられていないので、どちらが優勢であるとは言えないが、端から見るとすべての魔法を封じられケフカが押されているように見えるだろう。
中々ダメージが与えられないことにベートが苛々していると突如ケフカが自分に向けて蹴りを放ち、吹き飛ばして距離をとった。蹴りも中々のもので、魔法吸収によるブーストが掛かっていない通常時のベートの蹴りより強力だった。
「蹴りも強いのかよ...」
どうなってるんだこいつはと内心思っていると何やら前方から嫌な気配が漂って来た。
いつの間にか集まっていたギャラリーも散り散りに離れて行ってしまった。
「お前は...ここで死ねぇ!!」
「こころないてんし」
ベートはその声を聞くと同時に身体中の節々が悲鳴を上げ、その場に倒れてしまった。
「これで終わりだァ!!破壊のつばs...!?」
トドメを刺す前に、ケフカの知らない魔法による妨害によりスキルの発動は失敗する。
「誰だ!!」
魔法が放たれてきた方向を見ると、耳の尖った女エルフが杖を向けて肩で息をしながら立っていた。
「...!!リヴェリア!逃げろ!」
「そういう訳にもいかん」
互いが互いを助ける為に必死な二人を見ていたケフカは非常に気分を害していた。
リヴェリアとかいうエルフの女は犬っころの言う事を無視して、治癒魔法の詠唱に入った。
「くだらない仲間意識の所為でぼくちんのスキルの発動を邪魔した挙句、治癒魔法?...そんなくだらない友情なんて、ヤメテ」
「面倒だから、お前ら纏めて死んでしまいな!!」
ケフカの手に魔力が収束していく。
「魔法なら俺のこの
「ああ...これほどまでの魔力、私も感じたことがない。相当な実力者だろうが...見たことも聞いたこともない」
「そんな事言ってる場合かよ!早くアイツをぶっ飛ばさねぇと...ぐっ...」
「無理はするな...お前はまだ万全ではない」
「そんな事は分かってる!けどよ!」
「ああ...分かっている」
リヴェリアにもケフカの放つ魔法がここら一帯、ひいてはこのオラリオ全体すらも吹き飛ばす大魔法であることは理解している。しかし、それ程までの魔法は詠唱時間も並のものではない。
その間に自分が別の魔法を放ち、奴の妨害をしてやればいいのだ。そう考え、詠唱に入ったが隣から絶望的な情報が入ってきた。
「リヴェリア、彼奴には俺の蹴りも魔法も効きやしねぇ...文字通り無傷なんだよ。現に数十分彼奴とやり合っていたがどれだけ蹴っても傷一つ付かねえ...アレは正真正銘のバケモンだ。」
「なん...だと...」
詠唱しようと思っていた魔法を中止し、ケフカの方を見て呆然とするリヴェリア。
「アレは...オレ達の手には負えねぇ。けどな」
まだ傷が癒えていない身体で立ち上がるベート。
「ココで立たなくてどーする。オレ達が負けたら、この街全員が死ぬことになんだよぉ!」
「!!」
そうだ、自分たちが諦めてどうする。他の誰かが助けてくれるのか?違う、自分たちがこのオラリオにおいて、最強のファミリアの一角。ここで自分たちが勝てなければこの街にいる全員で戦っても勝てない相手となる。
「諦めて...良いわけないな」
リヴェリアも杖を握りしめ立ち上がった。
「行くぞ!ベート!」
「おう!」
だが、先ほどまで感じていた魔力はまだ詠唱の初期段階の魔力。最終段階に入ったその魔法の魔力を感じて二人は再び足を止めてしまった。
何故なら、もしこの魔法を止めることができたとしても四方八方に解き放たれた魔力が街を破壊し尽くせる程の魔力量だったからだ。
「オイオイ、下手しなくても世界を破壊できるレベルの魔法だぞこれ!!」
「し、信じられん...」
自分たちの知っている神達ですらこれほどの大魔法を扱える者は少ないであろう威力の魔法がたったの数分で詠唱されていた。
「お話は終わったかな、ならば迅速に死になァ!!!」
「メテオ」
世界崩壊を引き起こすほどの大魔法が放たれた。
建物が吹き飛び、地面が割れ、痛みを感じる魔もなく死ぬ。
そう思っていたのだが、一向にその時は訪れない。
「ちょっと調子に乗りすぎだよ、ボク君」
「せやなぁ...アンタがウチの家族をボコボコにしてくれたんやろ?」
「お礼に、ぶっ殺したるわ」
神威解放をし、額に汗をうかべた神二人がそこには居た。