外での授業を終えて教室に俺達は戻ってきた。そのまま一応授業を受けて、今は向井が指名されてご高説に入るところだが……、授業中とは思えないくらいに賑やかだよなぁ。
まぁ、騒動の原因は葵(弟)だし仕方が無いか。それにしても―――、
「――――――告白ねぇ」
教室までの帰りの途中で告白の詳細を聞いたが、死んだ人間に告白ってのはどうなんだ?
ホライゾンって名前を言われても、俺には詳しくはわからない。昔に亡くなった女の子が梅組の大半にとって大切な存在だったらしいが、その頃は、歳が違うから俺はコイツ等とつるんでなかったし。
ただ、立ち止らずに進む為なら、うん、確かに必要な行為だろう。
けどよ、明日告白するって宣言した人間が、エロゲーの説明書を読んでるのって実際どうよ?
「ああくそ透かしてみてもこの委員長攻略出来ねえ! それにこのゲーム、主人公の名前が変更出来ねえ! 初プレイは点蔵の名前を打ち込んでバッドエンドにしてやろうと思ってたのに!」
「な、何で自分にするで御座るかトーリ殿は!? 拙者は金髪巨乳担当で御座るぞ!」
「大丈夫だよ安心しろよ点蔵! 二週目はウルキアガの名前にして男キャラを攻略すっから!」
「貴様あー! 拙僧は姉キャラ担当と決まっておろうが!!」
「あ、何言ってるんだよオメェ? それは三週目にトカゲにぃの名前でやるって決まってんだろ」
オイオイオイ、何で俺の名前がそこで出るんだよ。
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「待て待て待て、俺の姉担当ってのは、いつ決まったんだ葵(弟)よ」
「え? けどトカゲにぃは、いっつも年上の女を口説いてね?」
井森⇒イモリ⇒トカゲ、と連想したらしい。
「その通りだ、拙僧の畑を荒らす異端者め。異端審問にかけられたくなければ、収穫方法を教えてくださいお願いします!」
「馬鹿言ってんじゃねぇリアルプラモ。それに、俺は年上は熟女から年下は幼過ぎない程度まで、多種多様に全然OKに決まってんだろ」
「おーぅ、流石だぜトカゲにぃ! 格好良く言ってもセリフ自体は馬鹿だな!!」
「おう任せな。ただ―――」
「ただ?」
「乳はやっぱりデカいほうが良い!!」ドーン!!
周りで聞いていた女子はドン引きである。
「あれだ。デカいモンを求めた結果が、年上ばかりに見えただけだろ」
「なるほどー」
「だいたい小さくても良い。って言ってる奴は、生物学上から見ても変だし、触ったことすらない阿呆の戯言だろ? なぁ、御広敷」
「な、何でそこで小生の名前が出るのですか!? 小生、年増は勘弁ですし、第一別に触ろうとはしてませんよ! 愛でるだけです!!」
白い目で見られてるが、当人は全く気がついていない。
「そもそも大と小じゃ見た目が違うだけじゃない。いくつか例を挙げるとするなら、まずは弾力」
「「「弾力!?」」」
「指のめり込み具合がまるで違う。小さくても凹むが、大きければより凹み、それが掴む、揉むという行為に発展する!」
「け、経験者の言葉は、重みが違うで御座るな…」
「そしてプレイの幅が大きいほう「黙りなさい」グボーーー!?」
途中から立ち上がって力説していた馬鹿が、オリオトライに吹っ飛ばされる。かち上げるアッパースイングによって天井に激突。そのまま床に落下するが―――
「お”お”お”、し、芯にひびくぜ…。結構きついぜ真喜子ちゃガフッ!?」
「黙れ! って! 言ってる! でしょ! 井森」ボスッ! バコッ! ボコッ! ガコッ!
「そう何度も殴れば、悲鳴が続いて黙れないと拙僧は思うのだが」
と、彼等の騒ぎに対し、シロジロが顔を上げた。彼は据わった目でトーリ達を見て、
「静かにしろ。今仕事中だ。今回の寄港は何故か三河からの荷物が来る割に此方への発注が無くてな、他との倉庫確保の競争が激しい。だから後にしろ。―――ハイディ、何だその目は」
「んー、あのねシロ君、今、授業中でもあると思うんだけどな」
「って、待てベルトーニ。仕事するのは構わない「いや、駄目だろ」が、俺が昨日頼んだのは大丈夫だろうな」
「任せろ井森・覚。後は納品されるのを待つだけだ」
うるさいよ君ら、とネシンバラが呟くが覚達はやはり気にしなかった。
先程、ご高説を指名された鈴は小さく笑って口を開いた。
「ええと、い、いいですよね?」
いつも通りの光景である。
●
「あー、カレーうめぇ」
「当然ですネー」
「あのー、何で今ゴハン食べてるんですか?」
「仕方ねぇだろネシンバラ。真喜子ちゃんと葵(弟)のせいで空いた穴の仮処理をしてて、昼飯食い損ねたんだからよ」
「はぁ、わかりました。じゃあ、気を取り直して、これから臨時の生徒会兼総長連合会議を行います」
午後をやや過ごした空の下にある木の橋上、武蔵アリアダスト教導院の正面橋架、正門側に降りていく階段の上に、制服姿の影が幾つかある。
トーリを中心としたいつもの面々だ。
「本日の議題は〝葵君の告白を成功させるゾ会議〟という事で。書記である僕ネシンバラの提供でお送ります。―――皆、適当に弄っちゃっていいよ? では葵君、どうぞ」
とりあえず座らされたトーリが、傍らに座る点蔵を見る。
「なあテンゾー、告白って基本的にどうやんの? オマエ、回数だけはこなしてるだろ?」
「い、今自分、いろいろ否定されて御座るな!? そうで御座るな!? と言うか、こういうのは、色んな女性に手を出してるあんちくしょうな覚殿の担当では御座らんか!?」
「トカゲにぃはトリに決まってんだろ。だからオマエ前座な?」
「さ、最悪で御座るな!?」
ややあってから点蔵は腕を組み、右の人差し指をたてると、
「・・・ここは一つ、手紙を書いてみてはどうで御座るか?」
懐から手帳とペンを取り出すとトーリに手渡した。
「前もって伝えることを書いておいて、コクる代わりにそれを手紙にして渡すで御座るよ」
うむ、と点蔵は頷き、
「さすれば、絶対にトチることとは無縁で御座るし、恥ずかしくばそのまま帰って宜し「はい、ダウト」い、って駄目出し!? 誰で御座るか!?」
辺りを見回すと、覚が爪楊枝を使いながら手を挙げたいた。
「俺だ俺。なぁ、クロスユナイト。恥ずかしいからって帰っちゃ駄目だろ。だから失敗すんだ、この根性無し」
「っぐ!? そ、その道の権威からの駄目出しは効くで御座るな」
「因みに、恥ずかしがるのが駄目な理由は、なんなのだ?」
「馬鹿野郎。告白の時点でするほうも、されるほうも、両方とも恥ずかしいんだよ。何故って? 愛を語ってるからだ」
覚の話は、トーリ達の動きだけでなく、帰ろうとしていた周りの生徒の足を止めていた。
「なのに、する側が途中で終わらしてどうすんだ。される側が一人残って無視されたってことは、ホントは好きでもなんでも無いってことになんだろ。むしろ直接渡す勇気が有るなら、そのままいけよ根性無しがって話だな」
「ヤベェ、ガチガチの正論だ…」
聞いてた男連中は、頷いてたり、メモを取ったり真剣だ。
「告白に手紙を使うのは別に構わないだろうよ。ただ、なぁ、直接言葉にされたほうが、女からすれば嬉しいと思うぜ。オーゲザヴァラーはどうよ?」
「私?」
覚が、ハイディを指差して問いかけると、
「うーん、やっぱり顔を合わせて言ってくれたほうがうれしいかな。あ、でも、手紙もシロ君からなら嬉しいのは変わらないし、シロ君以外からの手紙でも、貰った手紙を晒せばお金になるから、やっぱり嬉しいかな」
「後半外道発言が入ってたが、そんなもんだ」
周りで聞いてた者は、感嘆の声をあげる者と、ハイディを白い目で見る者に分かれたいた。
「だからクロスユナイト。まずオメェは、振られてもダメージが少なくなるような言動の、負け犬根性をなんとかしないと駄目だな」
「なるほどなぁ。……やっぱりテンゾーはダメダメ忍者だったか」
「拙僧も注意しないといかんな。こんな忍者とは一緒になるのは御免だ」
「き、傷口を、これ以上広げないで欲しいで御座るよ…」
「つーか葵(弟)、コクる女のどんなとこが好きなんだよ?」
トーリに視線が集中すると、頭に手を当てながら唸りだす。
「う~ん、って言ってもなぁ、好きとか嫌いとかの感情の働きって、上手く言葉に出来ねぇもんじゃん?」
その言葉に、橋の欄干に身を寄りかからせていた喜美がトーリを見て、
「フフフ愚弟、取り合えずそこの負け犬忍者が手紙とペンを出したんだから、それに箇条書きでいいから書いてみたら?」
「ええ? 何かまた姉ちゃんは難しいこと要求すんなあ。清純な俺の精神の働きを簡単に上手く言葉に出来ると思ってんのかよ!?」
・顔がかなり好みで上手く言葉に出来ない
・しゃがむとエプロンの裾からインナーがパンツみたいに覗けて上手く言葉に出来ない
・ウエストから尻のあたりのラインが抜群で上手く言葉に出来ない
「う~ん、やっぱ清純な精神は上手く言葉に出来ないもんだなぁ」
「―――ず、随分と具体的で御座るよこれ! しかし即物的」
「ふむ…。拙僧、思うところが少しあるが、それより権威からはコレはどんなものなのだ?」
「葵(弟)もさっき言ってたが、なんで俺が権威になってるんだよ。さて、そうだなぁ―――」
覚はトーリが書いて内容を見て考えると、
「見た目は、エロさのある実にいい女ってことを理解出来るな。素晴らしい」
「「「「「素晴らしいの!?」」」」」
「当たり前だ。最終的にはヤることヤんだろ? だったら別にいいだろうが」
覚の台詞に、男連中は女性陣からの視線を気にせず頷いている。
「それに、オイ男共。―――美人とブサイク、好きになるならまずどっちよ?」
「それは、やっぱり、なぁ」
「だろ? 顔より中身なんて言っても、結局は最初はそこなんだよ。まぁ、付き合いが長くなれば、そうでもなくなってくるけどな。だから葵(弟)はそこまで間違ってないな」
「つまり、人は見た目だと?」
「違う違う違う。人は見た目じゃねぇって。――――――第一印象だ」
「「「「「同じだ馬鹿野郎」」」」」
「井森の発言は横に置くとして、拙僧からすればトーリの好意には不可解な点がある」
ウルキアガが一歩前に出ながら話す。
「このオッパイ県民が、何故胸に対する言及が無いのだろう」
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なんか、告白から話の内容がずれていくなぁ。まぁ、いつものことか。
つーか、本気の恋愛なんて俺はしたこと無いってのに、なんで話をふってくるかねぇ。面倒臭ぇな。
「ちょっとトカゲ? アンタはどうなのよ?」
「急になんだ葵(姉)」
この姉弟は、いつまで人のことを爬虫類呼ばわりするのかねぇ。
「愚弟は、オパーイは揉まなきゃわからないって言ってるけど、トカゲはどう?」
「あぁ? 揉まんでも、見りゃある程度わかるだろ。お前とか、浅間とか。動く度に揺れんだし」
「こらー! 勝手に人のカラダネタをやらない!」
おぅおぅおぅ、校舎の三階の窓から顔を真っ赤にして身を乗り出してやがる。危ないだろ。
しかし、浅間の乳は、どんなモンなのかね。やっぱり、若いからマシュマロじゃなくグミな弾力か? 年くったら絶対垂れるんだろうな。
「井森さーん! なんか変なこと考えてませんかー!?」
「ん? 何のことだ?」
危ねぇな。どこの楽園の素敵な巫女だよ、いい感してやがる。
―――って、誰かコッチに来るな。アレは……、
「学長と、ミトツダイラか」
「―――? こんなとこに座り込んで何してるんですの?」
「ちょっとな。しかし、アレだな。髪がボリューミー過ぎるから、反比例して胸が無いのか?」
「で、出会い頭に酷い侮辱ですわね!?」
だって、肉の大量摂取と一緒に、デカくする謂れの物もオマエが取ってるのを知ってるしなぁ。因みに、牛乳はデマだぞ。
「それよりもだ、ミトツダイラ荷物持ってるし、学長と三河に降りるのか?」
「松平分家を預かる騎士の私が、P.A.ODAへの献上物を作る三河に行くわけないでしょうに。ただ、分家としての権利の関係で、降りる酒井学長に証書などが必要でしたので」
「あれ? 学長って、昔はスゲー人間だったみたいだけど、今は左遷されて役立たずな冴えないオッサンだろ? なのに、手続きが必要なのかよ」
「オマエさんは本人が居る場所で、よく言えるもんだねぇ。井森」
「だって事実だろ? 何の用事か知らないが、どうせ、最後は酒でも飲んでくるんだろ。御土産宜しく」
土産は食い物限定で。
「買ってこないよ。ま、昔の仲間に呼ばれてね。それでも、さっさと帰ってくるよ」
確か、昔は学長は三河にいて、松平を支えてたんだっけか? んで、今も三河には松平の当主が居ると……。
「なぁ、ミトツダイラ。三河の当主って、なんて名前だっけ? 松平―――」
昼前に流れた放送で、名乗ってた筈なんだが忘れた。
「【松平・〝
「そうだったそうだった。で、そのオッサン、少し前から自分の土地の人間を追い出してんだ」
「え? えぇ、側近以外の人は殆ど居なくて、必要な人材は自動人形に置き換えたようです」
こっちをジロジロ見てよく知ってるな、って顔だな。まぁ、普段から碌な言動してないからな俺。
「そんな事してる理由って、知ってるか?」
「いえ。流石にそこまでは存じませんわ」
分家筋って言っても外から封地された名前だけの外様みたいなもんだし、深いところまでは知らないか。
「それにしても、よく知ってますわね。そういったことには興味が無いかと思っていたのですけど」
「ん、ん、ん。まぁ、そう思われても仕方が無いんだが……。ほれ、今晩に花火とか上げるって話とかがあったからな」
色々知ってた方が、有利になるからな。それに、なんか嫌なかんじのする三河に行くなら、備えておかないと怖くてしょうがない。
「それより、見ろよアッチ」
俺が葵(弟)のほうを指差すと、
「彼女が別人、他人のそら似という可能性だって有る」
「解ってるさ。だから一年見てたんだ、ストーカーのように」
葵(弟)が告白相手について学長と話してやがる。いや、ストーカーは駄目だろ。って、学長は告白相手を知ってるのか?
「もし彼女がホライゾンなら、俺は〝彼女に近づく資格も無い〟って」
……普段の馬鹿さ加減からは想像出来ない台詞だな。
「…でも、段々と、〝いてくれるならそれだけでいい〟って思って、やがて、話をしたいとか、触れてみたいとか、そう思って、今はこう思ってんだ」
………ホントになぁ。
「もし彼女がホライゾンじゃなくても、何も出来ねぇ俺だけど、一緒にいてくれねぇかなぁ、って」
…こういうところを見せてれば、もっと周りに信頼されるだろうに。それより、だ。
「あんな風に思われるのは、女としてはどうよ? ミトツダイラ?」
「っえ!? え、あの、その、とても嬉しく思いますわね。えぇ、総長が言っているとギャップが凄いですけど」
うっすらと顔が赤くなってるぞミトツダイラ。
「そうかもしれないが、ホライゾンじゃなくても、って言う時点で死んだ女と比較するのは、ぶっちゃけどうよ? 思い出なんか美化されんだから勝てるわけ無いだろうに。そんな事だとその内に別れるぞ」
「へ、変なところでシビアですわね…」
まぁ、なんだ。まだまだ若いんだし、そのまま青春して挫折しても大丈夫だろ。
ん、葵(姉)が近づいてきたぞ。
「それはそうと愚弟、まだ問題が一つ解決してなかったわね。――――――アンタが堅めでいけるかどうかの」
「堅め?」
あ。馬鹿、ミトツダイラ。今反応すると―――
「ミトツダイラ。今愚弟が抱えてる困難に対し、ミトツダイラが適格者なの」
間違いなく巻き込まれるのになぁ。
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「困難とか適確とか、大袈裟だとは思いますけど、庶民の困難を救わぬ騎士はおりません。この私、ネイト・ミトツダイラが尽力を尽くしますわ」
「あー、あー、あー、ミトツダイラよぉ、少し考えてから発言したほうがいいぞ」
覚が片手を振りながら、止めようとするが、
「失礼ですわね。私は皆さんみたいに、考え無しみたいに言わないでくださいませんか。さぁ、総長、何が望みですの?」
「うーん……、何というか、言いにくいんだけどよ?」
「ハッキリしない男ですわね。―――もっと堂々となさい」
「いや、ハッキリ言うと怒る。堂々と言うと、―――殺されるね俺は」
は? と首を傾げたミトツダイラは、周りを見渡すと、いる面々も喜美と覚を除いて頷いていた。
悪い予感がするとミトツダイラは内心で考えた。つい先日もトーリ達が原因の凄まじい営業妨害を受け、ミトツダイラ家は取引先の一つを失った。
だから、という訳ではないが、
「では、安全の為に先に検証しましょう。私に何を望むんですの?」
「ちょっと、練習というか、稽古の相手をして欲しいわけでさ」
「…それはつまり、私を告白相手の代用にするということですのね?」
「うーん、っていうか、見定めたいというか…」
「Jud.、まぁ、よく解りませんが、宜しいですわ。このネイト・ミトツダイラ、貴方に稽古をつける為に―――」
ミトツダイラは考えた。どう言うべきか。
今回は稽古をつけるのだから…、そう考えて告げた。
「ええ、この私が、―――この胸を貸しましょう」
言った瞬間、周囲が驚きの声をあげた。
「「「「「「マジで!?」」」」」」
響く周りの驚きに称賛の色も混じり、ミトツダイラは軽く狼狽し、念の為に確認を取るも、
「あ、あの、私、総長の告白の稽古の為にこの胸を貸そうと言っただけで―――」
「二度言った! 二度言ったぞ!」
「騎士だからかしら。思い切りが凄いわ…」
「立場的にも硬度的にも、まさに人間の盾!」
「それだと、軽く立場が喰われてねぇか? 俺とか、バルフェットとか」
最後によくわからない発言が出てたが、概ね期待されている観はある。
そんな中、トーリが酒井からの去っていく姿を見送るとミトツダイラに近づいていく。
「じゃあ、ネイト、一丁やろうか。―――殴るなよ?」
「これは告白の稽古なんでしょう? だったら、殴ったりしませんわ」
「なら、安心していきますか!」
言葉と共に、トーリの両手がミトツダイラの胸に触れる。
「………え?」
静寂が広がっている。周りの目は二人に集中し、トーリは更に自分の耳を胸に押し付ける。
「……えっと、これは―――」
ミトツダイラの顔が羞恥でゆっくりと赤くなっていく。だが驚愕で体は動かない。
どうすればいいのか考えると、トーリはゆっくりと離れていった。
その動きに合わせて周りがトーリに注目すると、
「…どうで御座るか、トーリ殿!?」
ああ、と頷くと、親指を立てて笑顔で告げる。
「ノーブラだった!!」
個人情報の暴露である。
「つーか、アレだな!? トカゲにぃの言うとおり、無くても凹むんだな!!」
「当然だろ。基本的に女の体は男より柔らかいんだからな。つーかミトツダイラよ、幾ら胸に必要が無いからってノーブラはやめて着けとけよ。今は、寄せて大きく見せるブラも有るんだからよぉ」
「何ソレ!? それ着けて男騙すのかよ! 酷くね!?」
「馬鹿野郎。男だったら、女の可愛い嘘には騙されてやれ」
トーリが覚と阿呆なやり取りをすると、ミトツダイラに顔を向け、
「サンキューなミトツダイラ! お前のおかげで、自分探しが一つ終わった!――――――俺、大丈夫だ!」
「全く駄目ですわよこの馬鹿あああーーーー!!」
「ぶへらーーーーーー!?」
叫びと同時に、ミトツダイラは体を捻りトーリを蹴り飛ばす。殴らないという約束は守ったようだ。
そのまま吹き飛んでいくトーリは、
「っバ!? オメェ、こっち来んブフオオオーーーー!?」
その先にいた覚を巻き込み、勢いが落ちる事無く二人で飛んだ先にあった校庭に叩き込まれた。
「本当に昔から馬鹿ですわね! 余計なことを言った人と一緒に暫く反省してなさい! ―――全く」
ミトツダイラは一息つき、目尻に浮いた涙を拭うと、
「―――明日、フラれてしまえばいいんですわ!!」
次話は今回みたいに早く投稿出来ないと思います。