IS 熾天の器   作:へタレイヴン

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7羽 

アーウェンクルの部屋

 

「……今、何時だ……?」

 

ベッドから伸びた手が、サイドテーブルにおいてある腕時計に伸びる。蜜色の髪の少年は、眠気で閉じそうになる眼を必死に開けると、文字盤を見つめていた。

6時を時計の針が指し示しているのを確認すると、少年――アーウェンクルは時計をサイドテーブルに戻して、再び布団を被ってしまった。

授業が始まるのは、9時から。ならば、起きるのは7時30分で良いし、食事を取るのならば8時からでも充分に間に合う。だからこそ、こうして睡魔に身を任せたのだ……が。

5分経過……時計は6時。10分経過……時計はまだ6時。15分経過……時計はやっぱり6時。正しい時刻、現在、8時である。

 

 

・食堂・

 

 

「おはよう、セシリア。……ふあ~あ、やっぱり眠い」

「おはようございます、一夏さん、箒さん。あらあら、そんなに大きな欠伸をして、どうしましたの?」

「昨日、夜遅くまでアーウェンクルの部屋で遊んでたみたいだからな。まったく、私が起こさなければ、まだ寝てただろう?」

 

何時ものように、海を一望できるテーブルで朝食を取っているセシリアの対面に座りつつ、一夏は大きな欠伸を隠そうとしない。

その隣に座ると箒はため息を零しつつ、持ってきたトレイをテーブルに置いた。

 

「仕方がないだろう。久々に大乱闘オリンピアブラザーズで遊んでたし、楽しかったんだからさ」

「そうでしたの。けど一夏さん、睡眠はキチンと取らないと駄目ですわよ。授業中に寝てたりしたら、また出席簿が振り下ろされますわ」

「もしくは、山田先生に泣かれるかもな」

 

う……と言葉を詰まらせる一夏に、クスクスと笑みを零しながら、セシリアはトーストを口に運んでいるし、箒は呆れたようにしながら紅鮭の骨を綺麗に取り除く。

あの模擬戦及び無人機乱入事件の後、アーウェンクルの仲介もあり、セシリアも一夏や箒と話す機会が多くなっていた。

勿論、最初に揉めた事はキチンと謝罪し、最初から人間関係を構築しようと言う話になったのだが、一夏は細かい事を気にしない性格だし、箒は彼と一緒ならばなんでも良い。

だからと言うべきか、今ではこうして普通に話すと、食事も一緒にとっているの。まぁ、簡単に言えば、友人関係だろう。

 

「け、けど、アーウェンクルも寝てる時があるだろ。それなのに、なんで俺ばっかり出席簿が……」

「……一夏、アーウェンクルの成績を考えれば、おのずと理由は分かると思うんだが」

「アーウェンさん、あの様にしてましても優秀ですもの。以前の小テストで、90点台をマークしておりましたよ」

「……後でコーヒー、飲もうかな、眠気覚ましにはなるだろう」

 

なんとなくやるせない表情で、味噌汁を飲む一夏を、箒とセシリアはやれやれと言った様子で眺めていた。

確かに、IS基礎理論の授業などは専門用語ばかりで、一夏が眠くなるのは仕方がないことだろう。しかし、ISは立派な兵器だ。それを生半可な気持ちで扱っては、大怪我どころではすまない。一夏だって、居眠りは言語道断だと分かっているのだが……春の陽気に誘われ、眼が閉じてしまうのだろう。

 

「そう言や、アーウェンクルはどうしたんだ?もう、起きてる時間のはずなんだけどさ」

「確かに今日は見てないな。ん、食堂にも居ないし、まだ寝てるのか?」

 

キョロキョロと箒が食堂内を見渡し、目立つ蜜色の髪を探してみるが、何処にも見当たらない。箒にとって、一夏には恋愛の愛情を抱き、アーウェンクルには親愛の愛情を抱いている。

一夏への恋の相談にも乗ってくれるし、2人の時間を作れるようにお節介も焼いてくれる。彼女にとって、アーウェンクルは異性の親友と言うものなのだろう。

 

「寝てるんだったら、そろそろ起こさないとやばいよな?あいつ、一食抜いたら死ぬっていってたし」

「まぁ、朝からカツ丼食べてお汁代わりにラーメンで、おかずにカレーライスを食べる程だからな。……どんな胃をしてるんだろう」

「あの方は、沢山食べますものね。あ、一夏さん、私が起こしに行きますので、食事を続けててください」

「んぉ、良いのかセシリア?別に俺が行っても良いんだけど」

「良いから、合鍵を渡せ。……セシリア、ここは貸しを作っておくからな」

「う……あ、後できっちりとお返ししますわ!!」

 

一夏の胸ポケットから、アーウェンクルの部屋の合鍵を取り出すと、箒はニヤリと笑いながらセシリアに手渡す。以前に、何時でも遊びに来いと言う事で、一夏はアーウェンクルから合鍵を渡されていたのだ。箒もそれを知っていたし、何時も胸ポケットに入れているのも分かっていた。

若干、顔を紅くしつつ、ルンルン気分で食堂を後にするセシリアの後ろ姿を眺めつつ、改めて彼女が自分のライバルにならなくて良かったと思う箒なのであった。

 

 

 

・セシリア・

 

 

コンコン……と扉を叩き、また少しの間をおいて再びコンコン。

 

「反応がないですね。……はぁ、アーウェンさん、セシリアですが、入りますわよ?」

 

中から反応が返ってこないという事は、まだ眠っているのでしょうか。一応は、声を掛けて一夏さんから渡された合鍵を使い、扉のロックを外して中に入る

カーテンが締め切られ、薄暗い部屋の中でも、彼の……アーウェンさんの蜜色の髪はとても目立ちますね。

足音を立てないようにそ~っとそ~っとベットの近くに歩み寄る。だ、だって、彼の寝顔を見れる貴重な機会なんですもの。このまま起こすだけなんて、勿体無さ過ぎますの。

 

「ふふ、かわいらしい寝顔。……こうしてみると、やっぱり同年代なのですね」

 

何処か大人びた風に見える彼ですが、やはり眠っている表情はあどけないもの。私だけが、彼の寝顔を独占できていると思うと……脳髄に甘い痺れが走ります。

もっと良く見ようと、顔を近づけると、何か甘い香り――まるで蜂蜜のような――が鼻に届く。こ、このまま……アーウェンさんの頬に口付けをしてしまいたい……。そんな甘い誘惑が脳裏を掠めます。……だ、駄目ですわ、セシリア・オルコット!い、幾ら彼が眠っているからというって、その様なこと……ね、眠っているのなら、気がつきませんよね……?

 

「う…ん……誰か居る……か?」

「っ!?あああ、アーウェンさん、えっと…その~、お、おはようございます!!」

 

私がアタフタとしている気配を感じ取った彼は、眠たそうにしながらも、閉じられていた眼を開けて、そのルビー色の瞳で見つめてきた。透き通った本当に綺麗な瞳。

 

「おはよう。……なんで、俺の部屋にセシリアが居るんだ?……それに、時間もまだ6時みたいだが」

「な、中々起きてこないアーウェンさんを起こしに来たのですわ。それに6時って、今は8時30分ですわよ?」

 

ぼ~っと、私を見つめてくるアーウェンさんはとても可愛らしくて……なんだか、彼の方が猫の様。しなやかな身体つきと、気まぐれで飄々としている性格は、まるで猫です。

私が時刻と、腕時計を示すと、アーウェンさんは、サイドテーブルにおいてあった腕時計を眺め、次には青い顔をしてベットから飛び降りました。

あら、彼の腕時計を見ると、時刻が6時で止まっていますね。きっとそれで時間を勘違いして寝ていたのでしょう。

 

「ね、寝過ごしただと!?時計は……止まってるとか、冗談過ぎる!!す、直ぐに準備するから、先に行っててくれ!!」

「あ、そんなに慌てますと……」

 

ドタバタと慌てて顔を洗いに行く彼の後姿を眺めながら、どうしても笑いがこぼれてしまう。アーウェンさんの行動1つ1つと新鮮で……とても愛おしい。

口元に手を当てて、クスクスと零していると、今度は彼の慌てた声が聞こえてきました。

 

「くっそ、朝食取ってる時間は皆無か……あぁ!!け、携帯水の中に落とした!?……や、厄日か今日は!!」

「……貴方にとって厄日でも、私にとっては吉日ですわ。ふふ、アーウェンさんの寝顔が見れたのですから」

 

小さく零した私の言葉は、彼に聞かれる事なく消え去るのでした。

 

 

 

・教室・

 

・箒・

 

暖かな陽気が降り注ぐ教室で、女子生徒達が思い思いに会話に花を咲かせている。その中で、やはりと言うべきか、話題に上るのは月曜日に起きた模擬戦と無人機襲撃事件の事。

国家代表候補のセシリアの実力は噂どおりで、その彼女相手に素人同然の一夏も大健闘。一部の生徒では、彼の白式が駆ける姿を【白い閃光】と呼んでいるそうだ。

模擬戦では、優れた機動力を見せた一夏なのだが……何故か実技になると、飛ぶのになれないらしい。本番に強いタイプだったのは覚えているが……今度から、一緒に飛行訓練にも誘ってみよう。一夏が飛ぶのに不慣れと言うのを知った他の女子生徒が、一緒に訓練しないかと誘っている場面を何度か目撃したし、このままでは先を越されてしまう。

……まぁ、鈍感な一夏だから、相手の想いには気がつかないだろうが……それで私の想いにも気がつかないとなると、少し複雑。

しかし、女子生徒達の会話は、一夏の事だけじゃない。模擬戦後に襲撃してきた無人機相手に大立ち回りを演じたアーウェンクルの事も、話題に上がる。

いまどき珍しい全身装甲のISを纏い、重火器を搭載しながらも軽やかな機動力を発揮した彼の実力は、初心者の私が見てもかなりのものだと分かる。

最近では、一夏とアーウェンクルを一目見ようと、他の学年からも人が来るほどだ。

……しかし、そんな憧れの男子生徒の片割れ、アーウェンクル・ランガードは、机の突っ伏してどんよりとした雰囲気を醸し出しているではないか。

外は晴れ渡っているのに、彼の周りだけ鉛色の空気で……正直、ドン引きしてしまう。そんな空気に若干戸惑いつつも、放って置く訳にも行かずに、私は声を掛けてみた。

 

「お、おい、アーウェンクル、大丈夫か?空気が、完全に死んでいるが……」

「ぁぁ…箒か。俺はもう……駄目だ。ぶじに、一夏と添い遂げるんだぞ………」

 

しかし、返った来たのは、本当に死ぬ間際と思うほどのか細い声。行ってる事は、何時も通りの事なんだが声に張りがない。ま、まぁ、応援してくれているのだから、悪い気はしない。

はぁ…とため息を零しながら、この異性の親友は本当に空腹に弱いと改めて認識した。良く見れば、何時もは明るい蜜色の髪も、今日はなんだか暗い気がする。

 

「ほら、あと1時限で昼食だから、頑張れ。それに、一夏が購買に何かないか見に行ってるはずだ」

「持つべきものは……友達だな」

 

それだけ言うと、アーウェンクルは再び机に突っ伏して、微動だにしない。これ以上、消耗させるのは危険と言う事で、私は自分の席に戻る事にした。

やれやれと言った様子で肩をすくめていると、日直の仕事を終わらせたセシリアがこちらに来るのが見えた。恐らくアーウェンクルの状態が、気になったんだろう

 

「箒さん、アーウェンさんの調子はどうですか?」

「一応は生きているが、かなりテンションが低い。よほど、お腹が空いてるんだろう」

「そうですか。……はあ、こんな事なら、何か作って差し上げればよかったです」

「ふふ、なんだセシリア。やっぱり、アーウェンクルの事が気になるむぐ……」

「ほほほ箒さん!!ここ、こんな所で言わないでくださいますか!!」

 

顔を真っ赤にして、私の口をふさぐセシリアは、本当の必死のようだ。なんとなくだが、彼女に共感してしまう。大好きと言う想いを抱いているのに、伝える勇気のないもどかしさ。

私の心の大半に一夏が居るように、そして彼女の心の大半にアーウェンクルが居るのだろう。……しかしだ、セシリア、そろそろ息が苦しくなってきたぞ!?

 

 

「ぷはっ、いきなり何をするんだ!窒息するかと思っただろう!!」

「ほ、箒さんが変な事を言うからですわ!!わ、私がアーウェンさんの事を、だなんて……」

「違うのか?今朝、起こしに行くときに、喜んで行った様だし、さっきも何か作ってあげればとか行ってた気がするんだが」

「そ、それは……。く、セシリア・オルコット、一生の不覚ですわ。まさか気が付かれていたなんて……」

「ふふ、気がつかない方がおかしいんだ。……アーウェンクルはまったくのようだがな」

「……わ、分かっていますわ。私はあの方にとっては、友人の1人。……一夏さんだって、箒さんの気持ちには気がついてないのでしょう?」

「そ、そうだが……セシリア、もしかして私の気持ちに気がついていたのか?」

「先ほどのお言葉、そっくりそのままお返ししますわ」

 

ニヤリと笑うセシリアに、今度は私の顔が赤くなる。ど、どうやら彼女も私と同じ事を思っていたようだ。……本当のセシリアが恋のライバルにならなくて良かったと思える。

あ……とセシリアが言葉を漏らし、見つめる先には、購買から戻ってきた一夏と、買ってきてもらったアンパンを食べているアーウェンクルの姿。

本当に生き生きとして食べているな。実技のときや、自主訓練のときの表情と、日常を過ごす彼の表情は、本当に違うものだな。

 

「あはは、どれだけ腹減ってたんだよ」

「仕方がないだろう。腹が減ってはなんとやらだ。……ご馳走様。一夏、本当に助かったよ。お詫びに、昼食でも奢らせてくれ」

「お、ラッキー。それじゃ、遠慮なく」

「ただし、日替わりランチAセットに限りだが」

「うわ、感謝してるのか感謝してないのか微妙だ!!」

 

なにやら馬鹿な事を言いあって、一夏達は笑い声を上げている。ふふ、あの2人は本当に仲が良くて……もう親友と言っても良いんだろうな。

私は一夏の、セシリアはアーウェンクルの事を何時までも見つめているのだった。

 

 

 

 

医務室

 

春秋

 

「春秋、今度の日曜日は暇か?」

「日曜日かい?まぁ、暇と言えば暇だね。いきなりどしたの、千冬ちゃん?」

 

千冬にお茶を注いだ湯飲みを渡しながら、僕は首を傾げる。最近、千冬ちゃんは職員室よりここにいる時間のほうが長くなってきた気がする。いや、僕的には嬉しいし大歓迎なんだけどさ。けど、日曜日かぁ……確か、予定も何もなく、暇つぶしに釣りでもしてみようかと考えていたところだ。

 

「よし、暇ならば私と街に行くぞ。予定があっても、そちらをキャンセルしてもらうが」

「それ、僕に拒否権無いと思うんだけどね!?……けど、街に行くって、何か買い物かい?」

 

あ、相変わらずの千冬ちゃんに、乾いた笑いしか出てこない。別に嫌じゃないし、これは彼女の魅力でもあるんだけど……唐突過ぎるのが玉に瑕。

あれ、そこでなんでため息を零すのかな。何か買うものあるの?って聞いただけなんだけど……

 

「春秋、スーツと作業着、そして白衣以外に着るものは持っているか?」

「え……え~っと。……そう言われると、持ってないかも。あれれ、おかしいな?」

「おかしいなじゃない、馬鹿者。どうせお前の事だ、コーテックスに居た時も、スーツや白衣姿で過ごしていたんだろう」

 

あ、あははははは……流石は幼馴染。何から何までお見通しのようで……。確かに普段着なんて、ここ最近は買ってないし、何時も白衣にスーツ、それか作業着姿だった気がする。

 

「この機会に、お前の服を買い揃えるぞ。良いな、日曜日の10時に、中央公園の噴水前に集合だ」

「あれ、ここから一緒に出かけた方が効率は良いような気がするんだけど」

「馬鹿者。少しは、デ……デートの醍醐味を考えろ」

「はい!?デートって言った!?え、あ、これってデートなんいてててて!!!」

 

顔を若干赤くしながら、千冬ちゃんはぐに~っと僕の両頬をつねる。む、昔から照れるとこうする癖があったけど、まだ抜けてなかったんだね。

けど、千冬ちゃんとデートかぁ……あ、自然と顔がにやける僕は、おめでたい奴なんだろうね。

 

「ふん、そんなににやけた顔をするな。本当ならば、高校……いや、中学の頃には初デートを済ませている予定だったのだが……」

 

なにやらブツブツと呟いている千冬ちゃんに、首を傾げつつ、僕は少しぬるくなってしまった緑茶で喉を潤すのだった。

 

 

 

 

 

食堂

 

「相変わらず沢山食うな。親子丼にチャーシュー麺とビーフシチューに、パンケーキか」

「み、見てるだけで、お腹が一杯になりそうだ。……セシリアは驚かないのか?」

「えぇ。先週から、彼が沢山食べるところは見てきましたから」

 

相変わらずの大食漢のアーウェンクルに驚く一夏と箒だが、セシリアに至ってはクスクスと笑みを零しながら、目の前で山盛りの料理を片付けている彼に見つめていた。

恋は盲目と言うべきなのか……それても、食べる姿でさえも愛しい感じるのかは、彼女以外には分からない。

 

「今日は朝食なしだったからな。腹が減って仕方がないんだよ。……しかし、まさか時計が困れてたとはな」

「あぁ、それで寝坊したのか。まぁ、壊れてたのなら、仕方がないだろ。今度から携帯のアラーム使えばいいんじゃないか?」

「……その携帯も、顔洗ってたら水に落としたと言ったら、一夏はどう思う?」

「とりあえず、ドンマイって言って、後は爆笑する」

「よし、良い度胸だな、一夏。放課後、徹底的に叩き落してやる」

 

冗談だ冗談!!と慌てて訂正する一夏を、ジト眼で睨みつつアーウェンクルは、どうしたものかと思案にふける。まさか今日一日で、腕時計と携帯を一緒に壊すとは思わなかった。

幾ら彼が特殊な人間とはいえ、流石にタイマー機能までは搭載していない。

 

「仕方がない。今度の日曜日に買いに行くか」

「お、それなら俺も一緒に行こうか?模擬戦の礼とかもしたいし、一緒に遊ぼうぜ?」

 

そう言って、一夏はアーウェンクルを誘ってくれるが、彼は目の前で食事を取っている箒が、少しだけ羨ましそうにしているのを見逃さなかった。どうやら、彼のお節介が起動したようだ。

 

「それはありがたいんだが、お前は俺よりも先に箒に礼をするべきじゃないのか?」

「ああ、アーウェンクル!?」

「へ、なんで箒に礼するんだ?」

「あのな……模擬戦前の一週間、箒はずっと一夏の訓練に放課後を費やしてくれたんだぞ?その彼女に礼をしないと言うのは、問題あると思うが」

「あ~、そっか。それもそうだよな」

「とりあえず、今度の日曜日に荷物持ちでもしてやれ。箒もそれで良いんだろう?」

「は、話を勝手に……い、いや……そ、そうだな。丁度買い物に行きたいと思ってたんだ。その……一夏は良いのか?」

「あぁ、俺は良いぞ。久々に箒と出かけるのも良いしな。よし、それじゃ、何処に行くか決めておくか」

「そ、そうだな。まずは……」

 

そう言って、一夏と箒は何処に行こうとか、あそこに行くかと日曜日の予定を立て始めた。そんな彼らを、優しげに見つめながらアーウェンクルは食事を再開する。

チラリと箒が、感謝の視線を送ってくるので、世話が焼けると苦笑を返すのも忘れない。しかし、こうなると1人で買い出しかと、若干味気ない休日になりそうだと思っていると、セシリアが徐に口を開いた。

 

「アーウェンさん、よろしければ私がお買い物に付き合いましょうか?」

「ん、セシリアが?……俺は別に構わないんだが、良いのか?多分、つまらないと思うが……」

「い、いえ。そんな事ありませんわ!ひ、1人でお買い物に行くよりは、2人の方が楽しいでしょう?」

「それはそうだが……うん、それなら付き合ってもらえるか?」

「は、はい!!……ふふ、私とアーウェンさんの初デートですわ」

 

 

実に嬉しそうに、セシリアは笑顔を浮かべるのであった。

 




ぐだぐだ感が凄まじい。やはり乗らない時は書くべきじゃないのか…。
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