「そんな単純な話じゃねェぜ?」
またまた聞きなれない声が聞こえてきた。
振り返るとそこには西部劇のガンマンのような男が立っていた。
「てめぇはホル・ホース!」
「よぉ承太郎、覚えといてくれて嬉しいぜ」
そこに立っていたのはホル・ホース。承太郎たちとの戦いの末に再起不能になっていた筈である。
「てめぇ何か知ってるみてェだな」
「少なくとも承太郎、おまえよりは知ってるぜ?だが空条徐倫、おまえも状況は理解してるじゃないのか?」
「空条だと?」
そういえば名乗っていなかった徐倫。そして空条なんてそうある名字ではないので承太郎が不審に思う。
「過去の人間より未来の人間の方が何でも事情は知ってるもんだぜ」
「なっ…」
(このホル・ホースとかいうやつ…あたしが2011年から来たことを知っている…?)
そしてホル・ホースはさらに徐倫に一枚のDISCを渡した。
「これは何?」
「時間を移動出来るスタンド使いのDISCだぜ。それをおまえに渡すように『あのお方』から言われたんでおれはわざわざここに来たってわけよ。さっきのポルナレフのように操られてるだけの人間じゃあおまえらを殺すことしか考えてねェからなァ」
ホル・ホースは腕を組みながらタバコを吸っている。どうやら言った通り戦うつもりで来たわけではないらしい。
「承太郎、スタープラチナの使えねェおまえじゃ役には立たない。ここはむすm…その女に任せて手を引くんだな。そして『あのお方』が直々におまえを殺しに来るまで待っていろよ」
「『あのお方』だと?」
ホル・ホースが意味深に言う『あのお方』とは。
「おれの口から言うことは出来ねェぜ残念ながらな。口止めされてるもんでなァ。さっきも言ったが『あのお方』はいずれ承太郎、おまえを殺しに来る。その時に嫌でも分かるだろうよ」
そう言うとプッチの時と同様にホル・ホースも光に包まれて消えた。
「チッ、逃げやがったか…」
普段から感情を表に出すタイプではない承太郎だが、スタンドを奪われて何も出来ない現状に心穏やかではないだろう。
「おい女、さっきてめぇホル・ホースから空条徐倫と呼ばれていたな。それに未来の人間だとか…何のことだ」
「あたしの名前は空条徐倫。信じられないだろうけど2011年から来たのよ。そしてあんたの娘よ」
「娘…だと……」
「娘ェ⁉︎」
当の本人よりジョセフの方がリアクションがデカかった。
「てことはわしの曾孫か?でもその歳までわしは生きているのかのォ」
「黙ってろじじい」
呑気なジョセフに承太郎が冷たく言った。
「そして最初に来てスタンドを奪ったエンリコ・プッチはあたしの時代にいた男で、この時代で死んだDIOの友人だったらしいわ。それ以上はあたしも知らないけど…」
「DIO…まさかまだ奴の名前を聞くことになるとはな……」
「とにかくあたしはこのDISCのスタンドを使って時間を移動するわ。元の時代に戻る為にもプッチを追う為にもね」
「君一人で行くのか?」
ジョセフがそう尋ねた。だがスタンドの使えない承太郎を連れて行くわけにはいかない。
「えぇ。正直今のあんた達が来ても足手まといになるだけよ。あんたのスタープラチナはちゃんと取り返して来てあげるわ」
「………」
承太郎はそれに対して何も言わなかった。顔にも感情を出してはいない。
「わしのハーミットパープルでは足手まといになるだけと言いたいのか?」
むしろジョセフが食いついてきた。スタンドの使えない承太郎、気を失っているポルナレフとは違い現役バリバリなのだから。
「あっいや…別にそんなわけじゃないけど……」
「だったらわしを連れて行かない理由を述べて欲しいもんじゃのう」
腹が立っているというより反応に困る徐倫を見て楽しみ始めたジョセフ。
「理由って言われても……じゃあこの中でまともに戦えるのはあなただけだから残っておいて……これで良いかしら?」
「丸め込まれた気もするが仕方ないのう、それで納得するとしよう。キミがそのDISCとやらを取り戻して来てくれるのを待っているとするよ」
「あたしをからかってたのね…やれやれだわ……」
「やれやれとはさすがは娘じゃのう!承太郎と似たようなことを言うの〜」
ジョセフが承太郎の肩をボンボンと叩く。だが承太郎はノーリアクションで
「うるせーじじい」
と一言吐き捨てた。徐倫にもジョセフにも分かった。今の承太郎は相当機嫌が悪いと。
「と、とにかくあたしは行くわ。ここはよろしくね」
重い空気から一刻も早く逃げ出したかった徐倫はさっさとDISCを使い、プッチやホル・ホースと同じように身体から光を放ちその場から消えた。
「おおっ…ホントに消えた…ホル・ホースが持ってきたDISCじゃから疑っとったんじゃが……良かったのう」
「………」
承太郎は何も答えなかった。
「えっと……そうじゃ!早くポルナレフを病院を戻さんとな!操られて抜け出して来た上にボコボコにされたんじゃ、かなりの重症じゃろうからな」
「あぁ……」
承太郎は顔色一つ変えずに歩き出した。ジョセフはポルナレフをおんぶして後を追った。
第3話完。
またお会いしましょう