問題児たちと大神様たちが異世界から来るそうですよ? 作:ルミナス
今現在、二週目を超ゆっくりペースでやってるルミナスです!
……だってポケモン発売されて、そちらにも掛り切りで(ボソリ)
それでは!どうぞ!
黒ウサギと合流し、小言を言われたアマ公とイッスンは、その黒ウサギと共に十六夜を探して走っていた。
「まったく。あの野蛮そうな問題児様は一体どこに……」
「匂いで追えない訳じゃないのが良かったな。……いや、凄い速さで走ってたけどよ。で、アマ公。こっちなんだな?」
「ワンッ!」
そのままアマ公と黒ウサギは真っ直ぐ走り、開けたところに出れば、探し人である十六夜がそこに立っていた。しかしアマ公にはこの時点で分かったことがある。
十六夜がびしょ濡れであること、そして十六夜以外の気配を。
「おう、アマ公と玉虫と、それから……黒ウサギか?とうしたんだその髪の色?」
「もう!一体どこまで来てるのですか!!ここ『世界の果て』ですよ!?」
「そういえば、確かに黒ウサギの姉ちゃん、髪の色桃色になってんな」
「そのツッコミは今更ですよ玉虫さん!?というか、それは会った時に普通気がつきませんか!?」
「いやー、おいら達の世界じゃ、別段普通だぜ?顔が回る爺さんや、踊り上手なミカン爺さんに拳法使って桜餅作るミカン婆さんとかいたし。なあ?アマ公」
「ワンッ!」
「元の世界がアグレッシブ過ぎます!!」
「というか、お前ら早いな。こんな短時間で俺に追いつけるなんて」
「いや、アマ公は十六夜の兄ちゃんが離れる時から追いかけてたからな?」
「当然です!私は『箱庭の貴族』と謳われる黒ウサギでこの方はあの……って、え?」
この時、黒ウサギは頭の中が一瞬、驚き過ぎて真っ白になった。
(この黒ウサギが、半刻以上もの時間、追いつけなかった?それに、アマテラス様でさえも追いつけないどころか、見失ったほどの?)
天照大神であるアマ公ならいざ知らず、人であるはずの十六夜の走力の高さに驚愕した。
「そういえば十六夜の兄ちゃん。なんでそんなにびしょ濡れな出で立ちなんでい?」
「ああ、それはな……」
『まだだ……まだ試練は終わってないぞ小僧ォ!!』
十六夜がイッスンの疑問に応えようとした瞬間、目の前にあった湖から勢いよく水柱が立ち上がり、そこから巨大な白蛇が現れた。
「水神の眷属……蛇神!?」
「おいアマ公!濡神の眷属らしいぞ!オメェが止めやがれ!!」
「クーン」
イッスンの言葉に、アマテラスは如何にも困った顔をする。
自身のいた世界ならいざ知らず、この蛇神はこの世界の水神の眷属であって、アマ公の濡神の眷属ではないのである。止めれる気がしない。むしろ自分もあの輪に加わって遊びたい、と思考が周りに回る。
「ていうか、なんでその神様は怒ってるんでい!!何しやがった十六夜の兄ちゃん!」
「別に。ただ偉そうに『試練を選べ』とかなんとか上から目線で素敵なことを言ってくれたからよ……俺を試せるかどうか試させてもらった。結果は……期待ハズレだったがな」
十六夜はニヤリと笑う。その笑顔を見たイッスンは頭を抱えた。流石に小さ過ぎてその動きは誰にも分からないが。
「そりゃ怒るに決まってます!!何をやっちゃってくれてるんですか!!」
『付け上がるなよ人間風情が!!我がこの程度のことで倒れるものか!!』
その敵意剥き出しな蛇神の様子に、イッスンはさらに頭を抱え、アマ公は気にした様子もなく十六夜を尻尾を振りながら真っ直ぐに見つめている。
「おい黒ウサギ!この喧嘩は俺のもんだ!手を出すなよ!手を出したら潰すぜ?」
その好戦的な目が黒ウサギに向けられ、そして一瞬、アマ公にも向けられる。しかしやはり気にするような素振りを見せず、静かに見つめる黒真珠の様な両目を見て、邪魔する気はないと理解した十六夜は蛇神を見据えた。
「ちょっ!?何を言ってるんですか十六夜さん!相手は神格持ちなのですよ!?ここはアマテラス様に任せて……」
「やめとけ黒ウサギの姉ちゃん。アマ公は手を出す気は無さそうだしな」
「ちょっ、アマテラス様!?」
黒ウサギが少しの期待を胸に横にいるアマ公を見れば、アマ公は既に欠伸をして寝る体制に入ろうとしていた。
「アマテラス様ーーーーー!?」
そこに入る黒ウサギの絶叫に、思わず吃驚したのか直ぐにおすわり状態になるアマ公。
『その心意気は買ってやろう!それに免じてこの一撃を凌げば貴様の勝利を認めてやろう!』
「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」
『フン……その戯言が貴様の最期だ!!』
蛇神はそこで大量の水を使い、高さ10mを超える巨大な水の竜巻を作り出し、十六夜はそれに飲まれた。
「十六夜さん!」
「おいアマ公!ボサッとしてねえで早く助けやがれ!」
「……」
黒ウサギの絶叫、イッスンの催促の声を全て無視し、アマ公は竜巻に飲み込まれた者を静かに見据えたまま、そこに座り続ける。なぜなら、アマ公はすでに気付いているからだ。
ーーー十六夜の実力に。
「……ハッ!しゃらくせぇ!!」
十六夜はそう声をあげながら、拳を一発振るい、竜巻を消し飛ばした。
「嘘!?」
「マジかよ!?」
『馬鹿な!?』
「ま、それなりには楽しめたぜ。これはその礼だ!」
十六夜はそのまま大地を蹴り、蛇神の頭上にまで飛び上がると……蛇神を蹴り飛ばした。
『グアッ!!』
その一撃によって蛇神は湖に倒れ伏し、その衝撃で水飛沫が上がり、雨の様にアマ公たちに降り注がれる。
「おいおい!せっかく最初に水濡れになるのを回避したってのにここで濡れるのかよ!おい黒ウサギ!!クリーニング代ぐらい出るんだろうな?」
「そんな……ありえません、デタラメです」
黒ウサギは驚きを隠せなかった。神格を持った存在が、ただの腕力で倒されたのである。そんなこと、箱庭で長い間暮らしてきた黒ウサギでも聞いたことがない。
「ありえません……ですが、本当に最高クラスのギフトを所持しているのなら……」
黒ウサギは思わず笑みを浮かべた。蛇神を打倒した十六夜、そして別世界のアマテラス。この二人の力があれば、悲願を達成出来るかもしれないと希望を見出した瞬間であった。
今回も筆技紹介はなしです!
小ネタって訳ではないですが、中々におかしな大神世界の不思議事情は分かっていただけたのではないかと思ってます。とくにお爺さんの頭が回るって言葉の辺りで。
それでは!さようなら〜!