ツイッターで予告してた通り、やっちまったぜ。
他の連載ほったらかし、睡眠時間はごりごり七割削り。
マジ、きついっす……。
Fateシリーズ。
少し込み入ったオタクであれば、誰もが知っているであろう超人気タイトル。
そして、そのfateシリーズのソーシャルメディアゲームとしてリリースされたのが、「Fate/Grand Order」である。
お馴染みのキャラから、新規イラストレーター参戦の新キャラ。fateシリーズ独特の世界観とネタのテンポをぎゅっと内包したこのゲームは、瞬く間にダウンロード数を増やし、ランキングに上るほどの盛況ぶりを見せた。
が、どんなソシャゲーにも共通してこんなお悩みが寄せられる。
「でねぇ……☆5、でねぇよおおおおお!!」
そう、ガチャの確率についての苦情である。
このスマホ片手に自室で絶叫する男子高校生、
「おかしいだろ!? 魔法のカード三万突っ込んで、礼装とすまないさんってなんなのよ!?」
彼のベッドの周りには、リンゴのロゴが描かれたカラフルなカードたちが散乱しており、彼の発言が嘘偽りなどではなく、超マジであることがうかがえる。
「うごぉ……マジかよぉ…三万……俺の三万…すまないじゃ、すまされねぇよぉ…」
そう、何を隠そうこのFate/Grand Order。縮めて「FGO」は、俗に言うガチャの最上位キャラ出現確率が半端じゃないほど低いのだ。
三万突っ込んで外れはざら。中には二十万突っ込んで全部スカを引いた、なんて顔面蒼白通り越して、顔面漂白な報告まで挙げられている。
であるから、この少年が三万で済んでいるのは、ある意味では運が良かったのだろう。
まあ、三回引いたら普通に出た、なんてうらやま妬ましい報告も存在するのだが。
「はあ……なんてこった…今月のバイト代全部突っ込んじまった…どうすんべ……ん?」
そんな彼を哀れに思ったのかどうかは分からないが、運命の女神は彼に微笑んだ。
「あ。マナプリズム……残量二十…ピッタリか…よし、これで引きおさめだ」
マナプリズムとは、週間ミッションやらイベントやらをクリアすると入手することが出来る緑色の立方体である。
そして、その不思議な立方体はゲーム内のショップにて各種アイテムと交換できる。その交換可能なアイテムの中に、呼符というものがある。
その名前からお察しの通り、それを一枚消費することで、ガチャを一回だけ回すことが出来るアイテムである。交換するのに必要なのは、彼の話の通り、二十。つまり、
「よっし…ほんじゃ、気合・入れて・引きます!」
バシャーン ジジジ チュドーン
「お、おお! これはサーヴァントじゃね!?」
ビリ ビリリリ!!
「ん?……あれ、ルーラーって……え、ええっ!? マジか!! くぅ~~~~~しゃあああああ!!!」
斯くして、少年は念願の☆5サーヴァントと手に入れた。
めでたしめでたし。
─────ここまではの話だが。
柔らかな日射しと、柔らかな感触を腕の中に感じながら、葵は目を覚ました。
未だ眠気の霧が晴れぬ蒙昧な感覚でもって、首だけを駆動させ、ベッドの宮棚に設置したデジタル時計を確認すると、時刻はAM 4:12を表していた。
(昨日あんだけ夜更かししたのに、お早いお目覚めだな、マイボディ)
昨晩、予備校から帰宅した葵は、その次の日が休日であることをいいことに、フィーバーしていた。
具体的には、俺の財布から諭吉先生をフライアウェイさせて、人生初のソシャゲ課金に乗り出したのだ。
結果は、お察しの通り大爆死。
大量の礼装と、すまないさんこと、龍殺しの英霊ジークフリート。
ああ、無情。
が、しかし。最後の最後で奇跡が起きたのだ。
「そうだ、ジャンヌ! 聖女様!!」
その事を思い出し、葵の意識の霧が一瞬にして取り払われ、今の今までぼんやりとしていた感覚が一気に覚醒する。
そして、昨日の奇跡が夢オチでないことを祈りながら、充電アダプタに繋いでおいたスマホを取る為に上半身を起こそうとすると、
(あれ……なんか体が重い…主に上半身が…)
丁度、上半身辺りに違和感を感じた。
柔らかく、温かく、どこか安心感を感じる。
違和感、というよりは親和感、とでも言うのだろうか、そんな何かを感じた。
そう思った束の間。
「ん…んにゅ……ふにゅ……すう、すう……」
自身の胸板、その中心部で何かが呼吸し、漏れた吐息が首筋を撫でた。
(……え、何? いつの間にうちはペットとか飼い始めたわけ? しかも、サイズ的に人間大だよ?……えっと、大型犬?……んなわけないか)
相沢家は都心にしては珍しく二階建ての一軒家だが、ペットを飼育した覚えは生まれてこの方記憶にない。
それもそのはず、相沢家は何故か息子の葵を除いた全員が犬、猫アレルギーを持っており、必然的に犬猫の飼育は不可能だ。
じゃあ、
(……何、これ?)
ゆっくりと。己の胸板に乗っているそれを刺激せぬよう、ゆっくりと掛布団をめくっていく。
そして、その正体が白日の下に晒された。
油分が少ないのか、さらさらと零れ、周囲に広がってゆくハニーブロンドの髪。
未だしどけなさが抜けきらないが、それでも顔のパーツをまるで神が一つ一つ丹念に精練したかのように均整がとれ、どこか色気も感じさせるその相貌。
視線をめくり上げた掛布団と共に降下させてゆけば、そこには一糸纏わぬ天女のような肢体が、己が身体とぴったりと重なり合っていた。
「……うん。聖女じゃん。ジャンヌじゃん」
葵の上半身には、昨日奇跡的に引き当てたはずのエクストラクラス、ルーラー。
聖女ジャンヌが、生まれたままの姿で微睡んでいた。
「な、なな……ななな……
なんでさあぁああああああ!??!???!??!??!??!?」
あ、タグは増える予定ですんで。
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