聖女と一緒   作:kozuzu

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うるう秒なんてなかった。

それに伴うLinuxサーバの飛び込み案件なんてものもなかった。

後輩君の死は無駄にしない。←


第六話 It's Heart full ☆B☆O☆KK☆O☆ Days!! その四

『やあ諸君。元気にしていたかな? ご存じ聖杯だ。今日はちょっとしたかるーいプチ報告があるぞい』

 

「毎度毎度、ありもしない空間に話しかけるのやめてもらっていいすかね?」

 

『この度、この駄作者の連載兼エタりかけのごちうさ二次「ご注文は護衛ですか?」の評価が、ついに、やっと…………緑バーに突入したんだJOY!!』

 

「プチじゃねぇわりと深刻な話だった!?」

 

『あと、四半期ランキングにも載ったゼロ魔二次は黄色バー突入!! 作者の株価はストップ安だぜ!!』

 

「作者disはそろそろやめとけ? こっちまでエタるからな?」

 

『そんなこんなで、引き続きこの作品には高評価よろしくなー!!』

 

「相変わらずお前はブレねぇなおい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第六話 It's Heart full ☆B☆O☆KK☆O☆ Days!! その四

 

 

 

 

 

 

 今日この瞬間、大罪を犯してしまうのではないか。

 そう思わずにはいられない光景が、目の前に広がっていた。

 

 

「ああ……。主よ、このような贅沢が赦されて良いのでしょうか?」

 

「許されない。券売機のボタンどこ押しても泰山麻婆と許されない」

 

 

 簡素な木製天板の長机の上に座し、ほかほかと湯気を立てるソレを前に。ジャンヌ・ダルクは両手を組み、神への祈りを捧げていた。

 その原因は一品の料理。

目の前で作り立ての証である湯気を立ち昇らせ、こちらの目を引くこの一品だ。

 

 「わんぱく定食Bランチ」

 

 それが、目の前に置かれた罪深き品の名前だった。

 灰がかった胡麻皿の上に、こんがりキツネ色に炒められ、パラパラと所々適度に焦げ目のついた炒飯。そんな絶妙な色合いの飯に混ぜ込まれた焼き卵、そして細かくブロック状にカットされた焼き豚。その様はまるで砂漠にちりばめた砂金がごとし。これだけでも、十分に唾液の分泌を促進させること、うけあいである。

 

 だがしかし、「わんぱく」の名は伊達ではない。

 

 この上更に、魅惑的でありながらも親しみを感じさせる茶色のルー、カレールーがかけられているのである。

 

 

「なんと暴力的、尚且つ『強欲』な!!」

 

「……これ、マジで食べなきゃアカンのですか……? 真っ赤を通り越して紅になってなんだけど、え? マジで?」

 

 

 油と水、という慣用句がある。水に油を混ぜる放置すると分離し、両者が完全に混じりあうことは決してないということから、二者の相性が絶妙に悪いことを表す。

 しかして、油と油ではどうか。

 こと料理、炒飯とカレーに関して、相性の良さははどこぞの人類最古の英雄と人の苦痛を嗤う聖職者と同等かそれ以上を誇る。

 その証拠に、カロリー的にも健康的にもよろしくないこのメニューは全国各地に広く普及し、その名を轟かせている。

 見れば見るほどなんと暴力的なビジュアル。尚且つ強欲な組み合わせなのだろうか。

 一度これらを口元に運び、嚥下していまえば、そこからはもう堕ちるのみである。

 正に、デブ街道まっしぐら(地獄への片道切符)以外の何物でもない。

 

 

「『暴食』を超え、その上『傲慢』にも頂上に……! このような肉の塊をッ!!」

 

 

 そして、さらにこちらを誘惑するかのように、頂点には小ぶりながらも二つの肉塊──「ハンバーグ」が乗っていた。 しっかりとついた焦げ目。その体から適度滴らせた肉汁が、こちらの唾液を誘う。

 ハンバーグ。それは、チビッ子から大人まで愛されるフード界のVIPである。

 その威容は、小さいながらも圧巻。

 そこにあるだけで見る者の目を奪い去り、どこまでも捉えて離さない。

 それが、地獄の特急と手を組み、聖処女ジャンヌ・ダルクの食欲を極限にまで高めていた。

 

 

「こんなものを口にしてしまえば、後には……! ですが、ですが……!!」

 

「え、ちょっと!? あんたなんでここにいんだよ麻婆神父!? おいおいおいおいおい隣に座ってくんなよまじかアンタ!?」

 

 

 こんなものを食し続ければ、色々なところが横に伸び、その内重力に負け始めてしまうことだろう。絶対にこれらを口にしてしまってはならない。震える手でスプーンを握りしめ、そう自分を戒めるジャンヌ。

 食欲の向こうへ旅立ってしまいそうな意識を保つため、しっかりと器を握りしめる。

 しかし、この「わんぱく定食Bランチ」という名の暴れ馬を前に、理性の手綱はどんどんと自らの手から離れていく。

 そして、

 

 

「わ、私は、こんな油ものなどに、決して負けはしません!!」

 

「なんでアンタまでいんだよケリィ……。てか二人で俺の両サイド埋めて何する気なの? 二人で挟んでも俺は死んだ魚の目にはならないよ?」

 

 

 

 油物、食さずにはいられないッッッ!!!!!!

 

 

意を決し、スプーンを炒飯の山に滑り込ませ、引き上げる。すると炒飯がいい具合に匙の上で小山を成し、パラパラと崩れて一口サイズに纏まる。

そのさまを見つめ見守ったジャンヌは、いつの間にか溜まっていた唾液をごくりと呑み、小山を崩さぬようゆっくりと慎重にスプーンを口に運んだ。

 

「~~っ! ~~~~っっっ!?!!? 」

 

「なんだよ。そんな目で見るなよ。やめろ、その死んだ魚の目でこっちを見詰めるのをやめろ! やめてくれーーーー!!」

 

 

言葉に成らぬ喘ぎがくわえたスプーンの間から洩れる。

適度に効いた塩に、ベースとなる醤油の仄かな香り。卵は白米の間で見事なつなぎの役割果たし、パラパラとした舌触りが次の一匙を誘う。

たまらずもう一匙掬って口にいれる。すると今度はそれらの風味と共に、なにやらピリッとした刺激がジャンヌの味覚をくすぐった。

 

 

「こ、これは……ジンジャー、ですか?」

 

「わかったよ。食べりゃいいんだろ? 食べりゃいいんだよなこんちくしょうめ!」

 

 

口に出して納得し、更に匙を進める。

意識してみれば、さらに奥深い味わい。なんと小憎たらしいことに、この炒飯の隠し味には生姜が使われているらしい。

 意識してみれば、自身の存在を主張する調味料の味の中に、まるでスポットライトを当てたかのように生姜の味が際立つのを感じる。

 一口、二口と進めていくうち、ジャンヌは自然と体が火照てり、じんわりとした温もりに包まれた。

心地のよい火照りに頬が緩み、緩んだ頬がほんのり朱に染まる。その赤らんだ顏と白い肌の赤は聖女の名に似合わぬ妖艶さを纏い、見るものを虜にする危険な色かを周囲に振り撒いていた。周囲は麻婆のおかげで見向きもしなかった。

しかし、楽園(ヴァルハラ)に召されかけた精神をなんとか引き戻し、荒く息を吐きながら眼下の皿を見つめ直した。

 

 

「……っ、ま、まだです。つ、次を、この、カレを……」

 

「は、はは、なんだこんなの。ただ赤いを通り越して黒いに片足突っ込んでるだけの麻婆豆腐じゃないか。そうだ、湯気が目に染みるけど、呼吸が続かないわけでもない。別に食べられない物質を使ってる訳じゃないんだ。そうだ。大丈夫さ。ああ──大丈夫だ。問題ない」

 

 

皿の中、右サイドを満たす焦げ茶色の海に先程の炒飯を乗せたスプーンを潜水させ、ゆっくりと引き上げる。

ゆっくり、ゆっくりと引き上げ、焦げ茶色に染まった小山を口腔に送り込む。

 

 

 

 

 

 

 

「!?!:!!?:!-!+『-/-#+)-!-!+!-(:#-)(ノ´∀`*)∥‥¨‥〇/―‥〇//´~/~‥■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───はっ!」

 

 

危ない。本気で昇天しかけた。

それほどのショックだった。

なにやら脳内で施しの英雄と授かりの英雄、ついでに運命の相手と永遠に引き裂かれた少年が、真顔で恋ダンスを熱演するという白昼夢を見た気がする。

それほどのショックだった。

カレー、及びインド恐るべし。

おぼつかぬ意識のまま、あるいは無意識のまま、ジャンヌは頂上に(そび)える肉塊──ハンバーグ──にスプーン差し入れ、

 

 

 

 

 

 

 

そこからさきの記憶はすっぱりと抜け落ち、午後の授業に来ない生徒たちを不審に思った教師陣によって、「やっぱりわんぱく定食Bランチには勝てませんでした……」と虚ろな瞳で頬を赤らめる金髪巨乳聖女が発見されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、とある一般生徒から「麻婆はもう勘弁してくれ、色々ともたない」という嘆願が寄せられたとか寄せられなかったとか。

 

 

 

 




※最期の嘆願は故人の感想です
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