聖女と一緒   作:kozuzu

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……私の、その他の作品で「この形式、見たことがある」とピンとこられた方。

ええ、その通りです。
信じられるか?これ、まだ前編なんだぜ?


第一話 聖杯ェ…… その一

「な、なな……ななな……

 

 

 

 

 

なんでさあぁああああああ!??!???!??!??!??!?」

 

 

絶叫。

明朝、現時刻はAM 4:15。早起きは三文の得と昔の人は言ったらしいが、早起きは聖女と添い寝(裸体もあるよ!)など、誰が想像できようか。いや、出来まい。

そんな反語表現が葵の頭をよぎると、

 

 

「んぅ…ふあぁあ……あ…?」

 

 

葵の胸板に手を付き、上半身を僅かに引き起こした聖女は、穏やかに寝ぼけ眼をこすった。

惜しげもなく晒される彼女の身体は、そのまま見つめていると、まるでお伽噺に迷い込んだかのような錯覚さえ覚えさせる。

すらりとしたしなやかな肢体。神々しささえ感じるほどの玉の肌。

そして、絡まる視線。

 

 

「…………。」

 

「…………。」

 

 

濃紺の瞳は未だ眠気が抜けきらないのか、瞼が半分おりとろん、と赤子のような印象を受ける。

だが、その豊満な肉体からは得も言われぬ色香と、同時にそれを犯してはならないと無意識に忌避感を煽る神聖さを脳がダイレクトで感じた。

 

 

「……。すみません、わざとじゃないです」

 

 

自身の身に何が起きているのかと状況確認をする前に、目の前の聖女の裸体から首ごと目を逸らし、謝罪の言葉が葵の口をついて出た。

一体、何がわざとじゃないのだろうか。……いや、言い逃れをするわけではないのだが本当にわざとではないのだ。ジャンヌの裸を見たのは。

そもそも、こんな状況を意図的に用意できるのは神様か変態か天才のうちどれかである。

葵の記憶が確かであれば、相沢家には神も変態も天才もいない。両親二人に一人息子の自分。それだけだ。自分が知覚出来る範囲では。

その声に、あちらもようやく目が開いたようで、なにやら胸板の辺りでぴたぴたと手が移動する気配を感じ、少しずつ上半身からぬくもりが引いてゆき、途中で声が耳に入る。

 

 

「……見ました…よね?」

 

「すみません、わざとじゃないです。それと、今は見てないです。はい」

 

 

通常ののラブコメであれば、ここでヒロインが「きゃーえっちー」バシーンがお決まりであろう。

が、しかし。そこは聖処女ジャンヌ・ダルク。

身体から温もりが完全に消え(少し名残惜しいが)、同時に掛け布団が体から離れていく感触を覚えた。

その感触から推測するに、布団を手繰り寄せ、体を隠しているのだろう。

 

 

「……あの、もう大丈夫です。はい」

 

 

そう言うので、葵は恐る恐る声の主を振り返る。

そこにはやはり、さっきまで二人でかぶっていた布団を胸元まで手繰り寄せ、その瑞々しいその肢体を隠す聖女の姿があった。

何かの間違いであってほしい。

そう思い、葵は既に目は覚めきっていると自覚しつつも、頬を思いっきりつねった。

痛い。

何かの間違いであってほしいと、葵は耳を引っ張った。

普通に痛い。

何かの間違いであってほしいと、葵は壁に頭を打ち付けた。

痛い。あと頭ががんがんする。おかしい、まるで現実みたいだ。

何かの間違いであってほしいと、葵は右手で股間を思いきり叩いた。

 

 

「うえぇいえぇえおぉぉおおおあがおぐうぅぅうううう!??!???!!!??」

 

 

(おとこ)の痛みがした。

凄まじい痛みに下半身を苛まれ、たまらずベッドから転げ落ちる。

一体、何をしているのだろうか。

いや、夢じゃないと体を張って証明したのだが。自己答弁。

と、いうことは。

 

 

(夢じゃない……え、これが現実? ジャンヌが部屋にいる(これ)がリアル?)

 

 

これは葵の願望が作り出した夢、ではなく現実である、ということだ。

 

 

(おい、どうなってんだこれ。今流行の来ちゃいました(次元の壁を超えて)ってか?)

 

 

おおう、どうすんだどうすんだ。と、葵は混乱する一方、どうやら人間は驚きが一定以上を超えると冷静になるようで、第一目標が明確に理解できた。

 

 

「と、取りあえず、服を着ましょう服を」

 

 

というか、今考えられるのはそれしかなかった。

訂正。全然冷静じゃなかった。混乱してた。めっちゃ混乱してた。もはや、錯乱の域に達しつつあった。

冷静に意識を混濁させつつ、葵はクローゼットの隣に備え付けられた箪笥を漁り、適当なジャージを手に取り、ベッドで布団に包まったままのジャンヌの前にそれを差し出した。

 

 

「と、取り敢えず、これでお願いします」

 

「え、ええと……はい」

 

 

ジャンヌがジャージを受けとったのを確認した葵は、静かに自室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、

 

 

『あの、着替え終わりましたので、入ってきても大丈夫です』

 

 

と、自室からドア越しに入室許可を頂戴した葵は、ドアノブを回し、今一度中に入る。

 

 

「あの、お着替え、ありがとうございます」

 

 

そこには、葵の持ち物である白地に黒のラインが入ったオーソドックスなジャージに身を包んだジャンヌの姿があった。

普段自分が部屋で使用している、何の変哲もないジャージのはずだが、聖処女ジャンヌがその身にそれを纏っただけでどこか神秘的な雰囲気を醸し出すのは何故だろうか。

そして、その下にある裸体を先ほどまで布一枚ごしに味わっていたという事実を思い出し、葵は頬に火がつき、全身を赤外線ヒーターで炙られているかのような錯覚を覚えた。

 

 

「ど、どういたしまして……」

 

「はい……」

 

 

入室し、開閉主が不在となったドアがパタン、と軽い木音を立てて廊下と葵の自室を隔てた。

そして、気まずい沈黙が部屋を支配する。

 

 

「「…………」」

 

 

何とか会話の糸口をつかもうと、葵は熱線に炙られ赤熱する頭をフル回転させる。

が、茹だった今の頭で妙案が思い浮かぶはずもなく、結果としてジャンヌの一挙手一投足に目を凝らすことになっている。

じっと、ジャンヌを見つめる。

どうにも服の丈が合わないようで、余したジャージの袖を握った右手を心臓の辺りに置き、頬はほんのりと朱に染まり、瞳には薄く涙の膜が張っている。

萌え袖、そして紅潮した頬に若干の涙目。

 

 

(だめだ、この対男性用最終決戦宝具。なんとかしないと……!!)

 

 

葵の理性はノックアウト寸前だった。

すると、そんな葵の惨状を知ってか否か、深呼吸を一つ挟んだジャンヌが、意を決した表情で口を開いた。

 

 

「あ、あの…」

 

「ひゃ、ひゃい……どうきゃいちゃちゃ……ど、どうかしましたでしょうか?」

 

 

突然の呼びかけに虚を突かれた葵は、返答をこれでもかというほど噛んだ。

それはもう、盛大に。

赤外線ヒーターが、溶鉱炉に進化するぐらいに。

葵は今自身の頬が発火していないのが不思議でならかった。

 

 

「サーヴァント・裁定者(ルーラー)、ジャンヌ・ダルク。召喚に応じ、ここに馳せ参じました。

 

 

――――あなたが、私のマスターでしょうか?」

 

 

 

 

お決まりの契約の台詞。

これで、確定してしまった。

この子は、FGOのサーヴァント、聖処女ジャンヌ・ダルクであると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お待たせしてまい、申し訳ございませんでした。
それもこれも全部仕事が悪い(責任転嫁)。
どれもこれも仕事が遅いkozuzuが悪い(自己嫌悪)。


そんなわけで、ジャンヌちゃんがジャージを装備したよ、やったね!
お決まりの契約台詞も来たよッ!!




感想、評価をもらえれば作者が更に暴走する可能性大。











葵君の子孫はピンチだよ!!
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