聖女と一緒   作:kozuzu

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第三話 俺と聖女とその辺の周辺定義 その一

『やあ皆。今回も作者の痛い一人語りから始めると思ったかい?残念、私だよ!…ああ、そうとも。ハーメルンに彗星のごとく現れた大聖杯こと……大聖杯こと……あ、やべ。ワイ個人名ないキャラやった』

 

「お前、ジャンヌさんの手の上で誰に話しかけてんの?」

 

『そりゃあ、小説サイト(どっか)から作品(こっち)を覗いてる諸氏に向けてに決まっているじゃないか』

 

「……」

 

 

ゲートをバビって帰って来た聖杯は、開口一番変な電波を受信していた。

確か、携帯会社と契約した当初は4G、LTEしか受信していなかったはずなのに、どこで間違ってしまったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

第三話 聖女と俺とその辺の周辺定義

 

 

未だに熱を持つ後頭部を(さす)りながら、葵はその熱の原因となった犯人を睨んだ。

計算し尽くされた角度で彼の後頭部を襲撃した犯人──聖杯は、展開について行けずに困惑顔のジャンヌの手中で、ハイテンションかつメタメタしく喚いていた。

 

 

『おし、じゃあ葵きゅんも落ち着いたところで。……フゥーッハッハー!! 周辺の状況について、説明してやろうではないかッ! このミェーッドサイエンティスト! 鳳凰〇凶真様がッ!!』

 

「きゅん言うな気色悪い!」

 

シュバババッ!と、白衣のようなものが擦れるような効果音を掻き鳴らしながら、聖杯は続けた。

 

 

『ではまず手始めに……ドアを開けてみるがいい!』

 

「ドアって、部屋のか?」

 

『他に何があるというのだ、アオイキューヌ!!」

 

「葵だ。俺の名前は葵だ。きゅんでもKSTN天才助手みたいな名前じゃねえ」

 

『あ、そういうのいいから。今展開が遅れて作者あせってるから。君の葛藤とかどうでもいいから』

 

「ツッコミがどうでもいいと申すか貴様」

 

『いいから、ドアを開けてプリーズ。ハリーアップ』

 

「……わーったよ。あけりゃいいんだろ?」

 

 

ここで断って、また何か黒歴史を晒されてはたまったものではない。

そう考えた葵は今回、素直に言うことを聞くことにした。

 

 

「ったく、ドアを開けたところで何があるわけじゃねえだろうに……」

 

 

そう考えていた時期が葵にもあった。

ドアを開けるとそこには――――――

 

 

「がおー」

 

「ちょ、待てって! おい、おかしいだろ!? 俺関係ないだろ!? 出てくる前振りもフラグも何もなかったぞおい! ってマジかよまってくれってギャアアアア!!」

 

 

サバンナで青タイツの変態がライオン(王様)に捕食されていた。

 

 

『ランサーが死んだ!』

 

「この人でなし!」

 

 

ドアを思いっきり閉じた。

目頭を揉みながら、葵は振り返った。

 

 

「ちょっと待て、ああ、ちょっとまて。ある意味分かりきってはいるが、あれは何だ」

 

通過儀礼(お約束)

 

「ランサーだって生きてんだよてめぇ!!」

 

 

ランサーは死ぬ生き物である。

 

 

『いやー、そう言えばまだランサー殺してなかったなーって』

 

「そんな、今日はまだコーヒー飲んでなかったみたいなノリで、お前はランサーを殺したってのか」

 

『まあ、気にすんなって。公式でもあんな扱いじゃん。じゃあ、問題ないじゃん』

 

「ランサーに希望なんてなかった……」

 

『まあ、前置きはさておき』

 

 

前置きで殺されるランサーである。

割かしいつものことである。

 

 

『もっかい開けてみ?今度はネタ仕掛けてないから』

 

「本当だろうな……?」

 

『大丈夫大丈夫www俺に任せろって、な?www』

 

「不安すぎて胃が痛いのだが」

 

 

未だかつて、ここまで信用足りえない鼓舞があっただろうか。いや、ない。

キリキリと葵の心情を痛感させる胃を、何とか宥めながら、意を決してドアをもう一度開く。

 

 

「……大、丈夫みたいだな」

 

『だーからいったじゃん?』

 

 

そこには、木製のフローリングと白い壁紙。

見慣れた相沢家の廊下があった。

聖杯を手に持ったままのジャンヌと一緒に部屋からフローリングへと足を運び、周囲を確認する。

相沢家二階の間取りは、一本道の廊下に、一階へと繋がる階段、六畳間ほどの葵自室、トイレ、最奥に屋根裏収納への階段。こんな感じの間取りだ。

で、見た感じは特に問題がない。

如何にも怪しげなワームホールやら、英霊が召喚できそうな魔法陣もない。勿論、ライオン(王様)に捕食される青タイツもいない。

……いや、念のため一つずつ指差し確認をしていこう。

まず、一階に下る階段。……クリア。

葵の自室。……クリア。

トイレ。……クリア。

葵の部屋とそっくりなドア。……エラー。

 

 

「おいまてこら」

 

 

おかしい。

何だろう、何か、何か―――

 

 

「部屋、一つ増えてんだけど」

 

 

増えていた。部屋数が、増えていた。

と、ここで先ほどの母の発言を思い出す。

「部屋空いてるし」

なるほど、確かにこれなら空いている内に入るだろう。なんせ、部屋が増えてんだから。

 

 

 

「おかしいよな? だってあそこの位置、部屋があったらうちの家が出来損ないの現代アートみたくなるんだけど!?」

 

 

そう、この家の間取りはスペースを最大限活用して建てられたものだ。裏を返せば隠し収納が作れるような余剰スペースもない、ということになる。

田舎ならともかく、都心で遊びを入れられるほど余裕のある広い土地はなかなか御目にかかれないし、あったとしても購入にはそれなりの福沢先生スクラムが必要だ。

なので、あの位置に部屋を増築すれば、必然的に某キュビズムのような歪な家構えになってしまう。

その疑問に対し、かの聖杯は悪びれる様子もなく答えた。

 

 

『いやー、だってほら葵氏だって男の子じゃん? だからさ、ジャンヌちゃんと一つ部屋の下ってのは気が咎めたわけよ』

 

「言ってる事は常識的なのに、やってること非常識スギィ! しかも答えになってねぇ!!」

 

『説明?あー、アレアレ。なまらすげぇ魔術ってやつだ。イマジナリーなんたら』

 

「なまらアバウトな説明だなおい!」

 

 

こんな感じで、聖女様は住居を手にした。

 




私kozuzu。今病院のベッドの上にいるの。



お察しの通り、倒れました。
いやー、やっちまったね。
お陰でスランプにも突入しちまったぜ。


……聖女様空気化はその影響だ。
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