そしてやってきた文化祭。
貴音と遥の教室の出し物はシューティングゲームだった。
シューティングゲーム、ヘッドフォンアクター。
そして、その対戦相手こそ彼女だった。
「……にしても、あの先生、よくここまでのプログラムを僅か数週間で完成させたわよね」
「そのかわり今日お休みだけどね……」
ヘッドフォンアクターの大半を担うプログラム作成はこの教室の担任、楯山研次朗によるものだった。
貴音は今、そのゲームのテストプレイを行っていた。
テストプレイだからそう時間をかけないように――貴音はそう思っていたが、思った以上にこのゲームは彼女のやっているゲームに近かったのか、どんどんのめり込んでいった。
「た、貴音……? そのあたりでやめたほうが……」
「遥は黙ってて!」
「う、うん……」
遥は貴音にやめるよう求めたが、貴音の言葉に圧倒されてしまった。
――文化祭、その始まりの時間がすぐそばまで迫っていた。
◇◇◇
「文化祭?」
「そう! お父さんの学校で今日文化祭があるんだって。もちろん行くでしょ、シンタロー?」
ところ変わって、ここはとある家。
正確には如月伸太朗家の前。
ひとりの少女と少年が会話を交わしていた。
「……というか、どうして俺が文化祭に行かなくちゃならないんだよ」
「いいでしょ、少しくらい」
シンタローは頭を掻いて、
「……解った、準備してくるから少し待ってろ」
そう言って家の中に戻っていった。
それを見た少女――楯山文乃は小さく微笑んだ。
「うわああー。すごい人だねえ……」
「ほんとにな。どうしてここまで人が集まってくるんだか……」
「もちろんそれは文化祭だからじゃない?」
アヤノは首を傾げる。対してシンタローの表情は固い。
「も、もう。シンタロー、こういうところ来たんだから少しは楽しもうって気持ちが……」
「ん?」
そこでシンタローはあるものに目がいった。
それはチラシだった。手作りのチラシにある言葉が書かれていた。
『シューティングゲーム、出来ます!』
「シューティングゲーム、ね……」
シンタローは呟くと足早に駆け出す。
「ちょ、ちょっとシンタロー?! 早いよ!」
アヤノの言葉を聞かずに、シンタローはその場所へと向かった。
そして、
シンタローとアヤノはその場所へと辿りついた。
「いらっしゃい。ここは――」
「シューティングゲームができるんだろ、知ってる」
長身の、どこか病弱に見える青年の言葉を押し切って、シンタローは中に入った。
暗い部屋だった。人体模型が置かれていたり、水槽があるところを見ると理科室のようでもあった。
そしてその部屋の真ん中にはテーブルが置かれていて、パソコンが二台設置されている。パソコンの画面には青を背景として不気味なその文字を浮かび上がらせていた。
――A headphone actor
それを見て、シンタローはニヤリと笑い、一歩進み、その地に入っていった。