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第零話 ロスタイムプロローグ
これはそんなとある日のことで。
「――君は?」
目を覚ますと、僕は真っ暗な空間にいた。
そして、ひとりの人間がいた。
「僕かい? 僕の名前は…キドだ」
「キド? どういう意味だ? なんで君はここにいる?」
「おっと、少なくとも僕は君に敵意なんて持っちゃいないよ。それだけは言っておこうじゃないか」
そう言ってパーカーのフードを脱いだ人間は、女性だった。なんというか、男装に近い服装だったので解らなかったとも言えるが、そんな彼女はこの空間が暑いのか、パタパタと手で扇いで。
「ふう……、さすがに八月でパーカーは暑いな……。まあ、いろいろと目的があるので仕方ないが……」
キドはそう言って、僕に近づいてきた。
僕も動こうとは思うが、動けない。
「さて――単刀直入に言おう。僕は君を助けに来た」
「……?!」
「まあ、そう慌てるな。――とりあえずこれだけは言っておこう」
「?」
「君はこれからここを脱出する。君は――何かしたいことはあるか?」
キドの言葉に、僕は考えることなんてなかった。
やりたいことは、たったひとつだけ。
「――彼女を、救いたい」
「それが聞ければいい」キドは頷いて、そしてこちらに手を持ってくる。
「さあ、ヒビヤくん。歓迎しよう。メカクシ団へ」
そして、僕はその手を強く握り返した。