3つのリクエストを一つにして書きやすいように弄ったので、リクエストしていただいた方のご期待に添えるかわかりませんが、書いてみました。
番外編と言うことで、いつも以上に支離滅裂ですが、ご容赦ください。
ずっと球磨川先輩を書いてたせいで比企谷君を書くのが難しかったです。
「安心院さんのー! 『これで安心! お悩み相談』!!」
目が覚めたら、真っ白な部屋で安心院さんがマイクを持ってタイトルコールしていた。
何を言って以下略
「はい、というわけで皆さんこんにちは。司会の安心院なじみだよ。親しみを込めて安心院さんと呼んでねー」
飛び跳ねながら横ピースをする安心院さんに合わせて、観客もいないのにわーっと歓声が聞こえる。
また何か悪巧んでいるな。
「悪巧みは名詞だからそんな活用形はないぜ、球磨川君。さて、じゃあ早速相談を受け付けてくれる我らが奉仕部の皆さんをご紹介するとしようか」
またも歓声。
これ、安心院さんが自分で出してるのかな。
「まず、我らが球磨川禊君! 混沌よりも這い寄る過負荷! 底辺の頂点! 最弱無勝のこの男だあーっ」
だあーって言われても。
とりあえず、安心院さんが向いている方向に手を振ってみる。
「おいおい球磨川君。そこには壁しかないぜ。君はついにありもしない幻覚でも見えるようになってしまったのかい?」
馬鹿にされた。
「続いて、奉仕部部長! 容姿端麗、頭脳明晰! 体力がないのが玉に瑕! 雪ノ下雪乃ちゃん!」
安心院さんが指さした方向に、突然制服姿の雪乃ちゃんが現れる。
紅茶のカップを片手に目を白黒させている様はとてもかわいい。
「え、何? 球磨川君? あなたはどうしてここに? というか、私はどうしてここにいるの?」
だいぶ混乱してらっしゃる。
無理もない。僕だって安心院さんが何かした、ということ以外さっぱりだ。
「みんなが揃ったらちゃーんと説明してあげるよ」
狼狽えている雪乃ちゃんに安心院さんがそう言うと、再び向き直った。
「次は奉仕部のムードメーカー! 天真爛漫元気っ子! 勉強なんてのーさんきゅー! 由比ヶ浜結衣ちゃん!」
安心院さんの紹介に合わせて、雪乃ちゃんの時と同じように結衣ちゃんが現れる。
「……ふえっ?」
フレンチトーストをくわえていた。おやつの時間だったのだろうか。
「ふぇっ、むぐぐ、まぐまぐ……ごくん。えっ、何、ここどこ!?」
急いでフレンチトーストを飲み込んだ結衣ちゃんはいつも以上にあたふたしている。
「『ほら、もう奉仕部全員揃ったから、早く説明してよ。だいたい想像つくけどさ』」
どうせ暇つぶしに僕で遊びたくなったとかそんなんだろう。
「いやいや、まだ大切な人物が一人残っているよ」
「『平塚先生とかいいから』」
「ふふ、違うよ。大外れだ。罰ゲームとして君には逆さになっていてもらおう」
その瞬間、突然足にロープが絡まり、僕は宙づりにされてしまった。
うわ、なにこれ気持ち悪い
「じゃ、最後の1人を紹介するね。比企谷八幡君だよ」
「俺だけ扱い悪くねえ!?」
安心院さんが指した壁が引き戸のように開くと、中から椅子に縛られた男子高校生が怒鳴りながら現れた。
「だって君特徴無いし」
「あるだろ!? 腐った目とかぼっち体質だとか捻くれ者とか! 自分で言ってて悲しくなってきたぞちくしょう!!」
ああ、彼も安心院さんの
「え、ひ、ヒッキー!? なんでいるの!?」
「ひ、比企谷君……? いえ、そうだとするとこっちの球磨川君はいったい……」
え、彼がいると僕いちゃダメなの?
「あ、それは僕の1京分の1のスキル、異世界を旅するスキル『
いや、雪乃ちゃんも結衣ちゃんも比企谷君とやらもその説明に全くついていけてないからね。
雪乃ちゃんと結衣ちゃんにいたっては『お前誰?』状態だよ。
なんでみんな揃う前に自己紹介しちゃったんだよ。
安心院さんはホント他人のことを考えてないなあ。
それはそうと。
「『ごめん……、そろそろ降ろして……』
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安心院さんに降ろしてもらった後、僕と比企谷君、安心院さんが簡単に自己紹介をした後、安心院さんからここについての説明をしてもらった。
どうやらここは安心院さんが僕の心の中に作った教室と同じようなものらしい。
ここにいる奉仕部員は『
つまりここにいる全員が安心院さんに唇を奪われたということだ。
ごくり……。
「ま、ここは夢の中。週刊少年ジャンプで言えばコラボ企画の読み切りさ。双方の本編、及び二次創作全般に何の影響も及ぼさないから心配しないでね」
要するに何があっても『安心院さんのせい』で解決する空間か。
「で、安心院さんはなぜ私たちをここに連れてきたのかしら。いえ、もう手段から経緯からわけのわからないことだらけなのだけれど、球磨川君が平然としているということは、これが異常事態でも何でもないということでしょう。彼、意外と不足の事態にはテンパるし」
「随分球磨川のことに詳しいな。もしかして惚れたのか?」
「あら、気になるのかしら。心配しなくてもハエ以上には思ってないわ。あなたの一つ下と言うところね、虫ヶ谷君」
「俺もハエ以下かよ」
仲いいなあ。
「『ねえねえ結衣ちゃん、比企谷君と雪乃ちゃんっていつもあんな感じなの?』」
「あ、うん。そだよ。仲いいよねー」
「『そうだね。ちょっと嫉妬しちゃうね。雪乃ちゃんは僕の前じゃあんなふうに楽しそうじゃないからね』」
「そう? ヒッキーもクマーもそんなに変わらないと思うよ? どっちもサイテーだし」
ひどいことを言う。
「でもどっちも優しいよ」
……嬉しいことを言うね。
「で、答えてくれるかしら、安心院さん。私たちは何のためにここに連れてこられたの?」
「心配しなくても変なことはさせないさ。奉仕部の延長だよ。出張奉仕部さ。ここに来る依頼者の悩み相談に乗ってあげてね」
そういうと安心院さんは、教壇のような一段高いところに腰かけた。
「さあ、1人目の依頼者、かもん!」
「初めまして。箱庭学園2年マイナス13組、蝶ヶ崎蛾々丸と申します。本日は宜しくお願い致します」
安心院さんの指示に合わせて、燕尾服を着てモノクルをかけた細身の男子が部屋の奥から現れた。
え、というか……。
「『蛾々丸ちゃん? え、僕なんで蛾々丸ちゃんのことわかるの? 高2の時はまだ知らないはずだよね?』」
「ご都合主義だよ、球磨川君。面倒なことは全部僕がスキルで調整しといたから、安心するといい」
安心院さんが頼もしすぎてダメになりそう!
「蝶ヶ崎くんは、球磨川君とはどういったご関係なのかしら?」
「ええ、球磨川さんが箱庭学園に転校してきた際の後輩です。あなた方に合わせて言うなら、未来から来た、ということらしいですね」
ポカーンとする結衣ちゃんと比企谷君をよそに、雪乃ちゃんが近づいてきて僕に耳打ちする。
「球磨川君、安心院さんは一体何者なのかしら」
「『人外だよ。宇宙ができる前から生きてたって話だぜ』」
奉仕部勢が唖然としている。
まあ、週刊少年ジャンプかって話だよなあ。
「『それについては考えるのをやめることをお勧めするよ。どうせわからない』」
「ま、そうだな。じゃあ蝶ヶ崎の方に質問。マイナス13組ってなんだよ。何でクラスにマイナスって付くんだよ」
さすが比企谷君。ぼっち気取るだけあって空気が読める。
なかなかできることじゃないよ。
「知りませんよ。スカウトされてホイホイ転校したらそこに入れられました。登校義務免除なので文句はありませんでしたが」
「マジで!? 登校義務免除とかあんの!? やべえ入りてえその学校!!」
比企谷君のテンションが急激に上がった。
まあその後もなんやかんやと蛾々丸ちゃんへの質問タイムが続いたが、人数が多くて描写が面倒な上に長いのでオールカットだ。なかったことにしたよ。
ちなみに結衣ちゃんが率先して話題を作ってくれていた。
流石だね。
てかなんで雪乃ちゃんが箱庭学園のこと知ってるんだろ。
「そろそろ本題に入ってくれないかい? 君たちのどうでもいい会話聞くためにここに呼んだわけじゃねーんだぜ」
わいのわいのと盛り上がっていると安心院さんが拗ねたように口を挟んできた。
長く生きてる割に子供っぽいよなあの人。
「そうですね。失礼しました。では、私の悩みを聞いていただけますか?」
「ええ、どうぞ」
蛾々丸ちゃんが頭を深く下げると、雪乃ちゃんが浅く頷いて答える。
雪乃ちゃんのオーラと蛾々丸ちゃんの服装が相まって、お嬢様とお付きの執事みたいだ。
「このモノクルなのですが……、幼馴染が時々思い出したように笑い飛ばしてくるのです。どうしたらいいでしょう」
思わず吹き出してしまった。
確かにたまに飛沫ちゃんがめっちゃ馬鹿にしてたなあ。
「あー……、そのモノクルは必要なのか? 片目だけ視力が悪いとか」
「いえ、ファッションですが?」
言い切った。
「なら、もう諦めたらどうかしら。所謂中二病と呼ばれる人たちのように似合ってないというわけではないのだし。ねえ、由比ヶ浜さん?」
「そだねー。ちゅーによりもかっこいいよ!」
「あいつと比べんなよ。基本スペックが月と鳥のフンだろうが」
「いえいえ、それがそうもいかなくてですね。彼女のは面倒なんですよ。本当に。別にその辺の見知らぬ誰かに馬鹿にされたところで気にもしません」
「んだよ、幼馴染って女かよ。リア充爆発しろ」
けっ、と比企谷君が舌打ちをする。
まあ、わからなくもないけど。
「比企谷さんが想像しているようなことは後にも先にもありませんよ。初対面時に釘バットで殴ってくるようなお人でしたから」
変な空気になった。
そりゃそうか。
「あ、今は改心しているのでご心配なく」
「『君含めてね』」
あははは、と蛾々丸ちゃんと笑い合う。
いやあ、青春だなあ。
「……深くは聞かないという方向で」
「異議なし」
「うん……」
僕を除いた奉仕部三人が円陣組んで何やら話し合っている。
うーん……。
僕にとって『比企谷君』は異物以外の何物でもないのだが、雪乃ちゃんと結衣ちゃんと三人でいる様は、何故だか違和感なく受け入れられる。
僕の方が異物なのではないかと思うくらいに。
「志布志さんと色っぽい展開になるなど、過去現在未来において無いと断言できますね。正真正銘腐れ縁です」
「なんでそんなのと付き合ってんだよ。そんなに嫌ならさっさと縁切っちまえばいいんじゃねえの?」
「嫌ですよ。私も死にたくはありませんから」
「……ほんと何でそんな奴と関われるんだよ……」
段々話が飛沫ちゃんのことへと脱線していってるなあ。
まあ、面白いから黙ってよう。
「そもそも私は溌剌とした明るい女性が好きなんです」
「『え、飛沫ちゃんって結構溌剌としてない?』」
「溌剌と殺伐は別物ですよ、球磨川さん」
「マジでどんな奴なんだよ志布志飛沫……」
「フルネームにすると噛んじゃいそうだね……」
比企谷八幡よりマシだと思うけど。
親もどんなこと考えて『八幡』なんて名前つけたんだよ。
そこ、『禊』にそんなこと言う資格はあるのかとか言わない。
無くはないでしょ。
「『そういえばさ。蛾々丸ちゃんって好きな人とかいなかったの?』」
「美化委員長の廻栖野さんですかね。普通の女性らしくて素晴らしいと思います」
「『マジでかー。なるほどなるほど』」
まさか廻栖野さん狙いだったとは。
生徒会長選挙の時、委員会連合の女子をパンツ丸出しにしようとしたことは言わない方が賢明だね。
蛾々丸ちゃんも改心したとはいえ、キレやすいのは直ってないし。
「じゃあさ、こういうのはどうだ?」
比企谷君がほんの少し声を張り上げて、その場の注目を集める。
「しばらく蝶ヶ崎は志布志とは距離を置いて、その廻栖野サンとやらの攻略に専念する。常識的に言って、女子を口説こうってのに別の女子と親密にしてるのはマズいだろ。で、その距離を置かれてる間、志布志は自分の言動を見つめなおすってワケだ」
得意満々で案を披露する比企谷君とは対照的に、僕たち聴衆の反応は芳しくない。
「とりあえず、比企谷君。ゲームの常識と現実の常識を混同しないことね」
ぐはっ、と比企谷君は大げさにのけ反る。
「まともな恋愛もしたことのないあなたにそんな常識が備わっているはずがないわ」
「失礼だぞ雪ノ下。失恋経験において俺の右に出る者はいない。左に並ぶ者もいないまである」
「それに志布志さんは少し邪険にされたことで己の言動を反省するような人ではありません」
雪乃ちゃんと蛾々丸ちゃんの両サイドからのダメ出し。
八幡のライフはもうゼロよ!
「『んー、でも案はいい感じなんじゃない? とりあえず飛沫ちゃんのことは脇に置いておいて、今は廻栖野さん攻略に精を出すのも。蛾々丸ちゃんは視野が狭いとこあるからね。もう少し自信を持って、周りをきょろきょろしてみるのも大切だよ?』」
おい、雪乃ちゃん。なんだいその顔は。
瞳孔開いてるよ。
「信じられないわ……。球磨川君が誰かを導いているなんて。これではまるで普通のいい先輩みたいじゃない……」
随分言ってくれるね。君とはまた近いうちに話し合わなくちゃいけないみたいだ。
「はあ、まあ球磨川さんがそういうのでしたら、私は吝かではありませんが……」
「はいっ、そういうわけでぐだぐだに始まりぐだぐだに終わったこの出張奉仕部! 一応悩みは解決されたみたいだね。それでは今回はこの辺で終わりにしておこうか」
いきなり今まで不介入だった安心院さんが乱入してきて、番組の締めの挨拶みたいなことを口走る。
え、なに、終わるの?
「ちょ、ちょっと待ちなさい! わけもわからずに終わらせられてもこちらが困るのだけれど! せめて目的を教えなさい!」
「さっき言ったじゃないか。言ってなかったっけ? 暇つぶしだよ、暇つぶし。誰のかなんて聞くんじゃねーぜ。それは野暮ってもんだ」
「『帰してもらえるんだよね?』」
「もちろん。ここのことはみんな夢程度にしか覚えてないから安心するといい。では、安心院さんの『これで安心! お悩み相談』。また次回。しーゆーねくすとたーいむ」
冒頭と同じように横ピースをしながらエンドコールをする安心院さん。
終わったのか、横ピースをやめて指を軽く鳴らす。
その瞬間、僕たちの意識は途切れた。
というわけで安心院さんの悪ふざけでした。
好評ならまた違う人をゲストに書いてみたいです。
不評ならおとなしく本編の執筆に戻るか、別の番外編を考えます。
ちなみに蛾々丸ちゃんの好きな人は適当です。
廻栖野さんかわいくないですか?