小鼠道中 ~彼女は種が食べたいだけ~   作:馬鈴薯

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どうも、じゃがいもです。
別物の息抜きに書いていく予定ですが、楽しくなってきたら…(顔背けながら


1話:私は種が食べたいだけ

 ここは幻想郷、その中でも唯一とも言える向日葵畑……そこで二人が対峙していた。

 

「今日という、今日こそ種をもらいます! 私もう空腹で倒れそうなんですよ?」

 

「その割には元気じゃない。 それと、花に手をだしたら……消すわよ?」

 

「消される前に、消えてしまいそうなんです。 さぁ、観念して種を渡しなさい!」

 

「観念? それは貴方がすることではなくて?」

 

 そう言う彼女の空気が鋭くなり、種を欲しがる者は何時でも動けるよに身構える。彼女は皆が知る大妖怪の一人だ。一介の……しかも、空腹で衰弱しているひよっこ妖怪がそんな彼女に勝てると言うのは、異変でも起こらないかぎり無理だろう。

 対して、そのひよっこというのは。背中に唐草の風呂敷を背負い、顔も同じ柄で隠した、鼠小僧ならず鼠小娘。名前はまだ無いであった。

 

「こうなったら仕方がないです……私のスペルカードで無理やり押し通してやります。俊足『ラットロード』」

 そう宣言した彼女は、人間とは思えない速さで地を駆け、何処からか取り出したか千両箱掲げ四枚ずつ投げる。それは、強者へと襲いかかるが傘で全て受け止められた。

 しかし、諦める彼女ではない。命中し続けている。まだ継続時間内で、箱の中に小判はぎっしりある……まだ打ち始めたばかりで本調子じゃない。彼女はそう思っていた。

 実際は力の差がありすぎて態々弄ぶように受け止められているだけだが。

 

「まだまだ行きますよ! てりゃ~」

 空を飛ぶ小判が四枚から五枚…六枚と増えていき、最後は十枚となった。

 しかし、傘によって全て拒まれ、地に落ちて小気味いい音をあげる。

 

「そんなものかしら? まだ無縁の死神の方が景気良かったわよ?」

 

「余所者の話をしている暇があるのですか~?」

 

「貴方よりも俄然先輩よ……」

 飽きたのか、それだけ言うと傘を閉じる大妖怪。その瞬間を逃さず彼女も小判を集中して投げるが……届く前に閃光がそれらを掻き消した。

 それと同時に鳴り響く虫の音。目の前の光景よりも自身の虫が鳴いたことで、足を止めた彼女に再度その俊足を発揮することは叶わなかった。

 

「えっ…ぁ…? ひぇ~!?」

 情けない声を上げながら彼女は身を焼かれ敗北した。その傷は深く、ブスブスと煙を上げながらパタリと倒れた。

 

「人を脅かせば事足りることを、何度繰り返すのか…」

 彼女にはその言葉……届いてはいない。手加減したとはいえ、それでも彼女にとって重い一撃だったのだ。

 

 カリカリ…… ふと、何かを齧るような音が響く。その音を聞き逃さなかった強者は邪険な笑みを浮かべた。

 

「…貴方? 覚悟は出来たかしら?」

 

「バレた!?」

 ドスの効いた声に倒れたフリをし、先ほどの閃光によって、香ばしく焼けた種を齧る鼠小娘。さっきの負傷は何処へやらといった顔で、俊足を活かしその場を離れていく。

 逃げの速さなら敗けません! 以前からずっと言ってきて、逃げるのだけは得意な彼女だが。今回ばかりは条件が違った……それは、今日 初めて 種を食べてしまった ということだった。

 逃げる背中を無言で見つめる強者……傘は畳んだまま、地に刺され両手が添えられている。一つ溜め息を漏らすと先のように傘を指す。その先に在るのは唐草風呂敷と、それを担ぐ小さな背中。そのまま無言で閃光だけが音を出した――

 

「きゃぁああああああっ……」

 向日葵畑に広がる、断末魔……しかし、その声に応える人はいなかった。

 

 

 でも、此処は幻想郷。忘れ去られても忘れ去られない、弱い者達の楽園でもあり、強き者の楽園……これは弱い者の何のことない一日のお話し。




種菓子好きです、大好きです。

終わりは見えた、問題はやはりエンジンパワー(やる気)
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