また捕まったもんね、仕方ないね。窓壊したのに捨て置くなんて、どこの人かしら?
最後に…似た様な内容だけど、許してね。心境と状態異常が無くなったのが大まかな変化なんだ。
催眠効果が切れ、パチリと目を開いた彼女は先程の逃走劇を思い出し、動こうとするが。後ろ手に縛られていることを自覚する。そして、手も縛られているとなれば足も……更には猿ぐつわまでされているという、彼女が捕まるならと、最も望んだ状態であった。
しかし、最初の段階を除いてである。よもや、科学的要因で無力化されるとは、能力という無象がまかり通る世界で予想にもしていなかった。
再度明確になる自身が捕らわれているという状況。まずやる事はと彼女は藻掻きだすのだった。
そんな、無意味とも言える行動を恣意的にやっている彼女の背後で、何者かの足音が響く。それはゆっくりと……かつ、大きすぎず小さすぎず、音として存在を示した。
それは、自由が効かず振り向くことすら儘ならない彼女へ、ある種の緊張感、恐怖心を湧き起こさせ。彼女もその音を聞いてからというものの、息を潜めるかのような呼吸へと自然になっていた。
「お目覚めの様だな、泥棒さんよ……」
誰かわからなかった人物は声によって姿を晒す。彼女を捕まえたのは魔理沙なので。、大体当人となるのは誰しもが分かることだが、彼女は一気に押し寄せた非常事態に対し、そこまで考えを深める余裕を持ち合わせていなかった。
しかし、今の声で誰か判明したので、ここぞとばかりに話そうとする。この先に起こりうる、泥棒としての最後を迎えるかもしれないという、種族柄の憧れも抱きながら。
「うーむーむー!」
悲しきかな猿ぐつわ。魔理沙には何を言っているのか分からない音へと変える。
そして、未だ近づく音がふと止み、彼女の周りは幾ばくかの明かりが差し込む。その明かりの元が彼女の前に置かれた――カンテラであった。
「お前には罪がある――」
その一言で彼女はビクリと震え、藻掻くのを強め、縄同士が擦れる音がほの暗い部屋へ響く。
「1つ、窓を壊した事……」
そう聞こえ、横目に浮かんだ魔理沙の顔……恐怖からか、目には雫が浮かび始める。
「2つ、私に捕まったことだ」
罪状はコレで最後なのだが、いかんせん最後がおかしい。だったら捕まえるなよとなるような内容に彼女も口をポカンと開けるばかりである。
しかし、このままでは冤罪もとい暴論もいい所なので、抗議の声をあげる。
「んーっんー!」
だが、残念猿ぐつわがソレを拒む。それに、魔理沙はノリノリなのか、聞く様子もなく尋問を続けようと難しい顔を保っていた。
「…そしてお前に聞きたいことがある……仲間の場所を吐け!」
ダンッと机をそれらしく叩き言い放つと、何処から取り出したのか。小型の刃物で猿ぐつわとなっている縄を切り、彼女の前へ立つ。それは見下し、自白するのを確信しているかの様子。
しかし、彼女は自己を通した。スルリと落ちる猿ぐつわを、首を振る事で払いのけ、言葉を返す。
「ぷぁ…っ私に仲間なんかいねぇですよ! それと2つ目完全に冤罪じゃないですか、暴論も良いとこです!?」
「いや~そう言った方が雰囲気が出ると思ってな~」
芝居の終わり目が見えたのか、コロリと表情を変える魔理沙。そんな彼女に鼠小娘は呆気にとられ、再度口をポカンとし、その顔が面白いのか魔理沙はニヤニヤと笑う。
そんな彼女の顔も見て満足といった所で魔理沙は本題を出した。
「ま、窓を割ったのは本当のことだし…そうだな、弁償分はお前の話でいいぜ。 夜の暇潰しになりそうだ」
「私の話をする前に、コレを解いてくれたら良いですよ?」
「解くのは構わんぜ? ただ、逃げるだろうからコイツは預かっとくがな」
そう言う魔理沙の手に在るのは、紛れも無く彼女の背に在った風呂敷。未だ誰にも話していないが、ソレは彼女にとって力の源のような物であり、コレが無いと弱化するという状態に陥るのだった。
それを見かねて、自身の状況を合わせると従ったほうが得策であると彼女は判断し、諦めの息を吐いて口を開く。
「分かりました、話しますよ……話せば返してくれますよね?」
「それは、内容次第だな」
魔理沙は悪戯っぽく笑い、椅子へ腰掛け机にソレを置いた。それを見てか、彼女にビションが浮かんだのだが。実行するには話をするのが前提というものだった。なので、彼女は話し始めたのだった――かの伝説に則ったことを人里でやったこと。 普段の寝泊まりの様子。 そしてやり遂げた小さくも大きなあの事……
それらを話し終えると、黙って聞いていた魔理沙が口を開いた。
「ふ~ん、だからこんなモンまで持ってたのか。ま、内容からしてコレは返しておくぜ――」
そう言って彼女の目の前には粒が投げ置かれた。
「――次はコイツの中身だな?」
その言葉を聞き、彼女は目を見開いた――えっ…魔理沙さん何を言って?
魔理沙が風呂敷へ手を入れ、中身を確認しようと中へ手を入れ動かしたその時――
「あははははっ! くすぐったいですーやめてくだひゃいーあははははっ……」
「ほうほう、理屈はともかく感触が繋がってると?」
「冷静に分析する前にやめるですー! あははははは……」……
……アレから魔理沙が飽きるまで弄くり倒された彼女は、笑いすぎて息も絶え絶え。それに空腹に笑い過ぎでの腹痛というダブルバッドステータスに悩まされながらも、覚悟を決めた――絶対に逃走してやるです。
そのためには綱を切る道具を手に取らなければいけないのだが、自身で動く必要はなく、能力を使った。
――能力発動、万スティール 右手に握るは、秘密道具「隠し綱切」
そう無詠唱で唱えると、自身の道具が手へ現れ。ソレを用いて縄を切り始める。
…ゴリ …ゴリ
普段と聞き慣れない音に、直ぐに行動を止め。捕縛者もとい魔理沙の方へ目をやる。どうやら気づいていないらしい、ホッと息をつくとまたも切るのを再開した。
…ゴリ …ゴリ
「ん?なんか変な音がしたような?」
「早く解いて欲しいですー!」
態と大きな声をあげ、態と跳ねたり転がったりし騒音を立てる。その間にも刃は動きミリミリと縄に切れ目を入れていき……切れた。
自由になった手と腰回りで一気に足の方も切り裂くと、魔理沙の方へ駆け抜け机へ手を伸ばした。
「物は返してもらいますからね!てぇい」
「うわっ!? 急に元気になりやがった」
言葉通り、急激な出来事に魔理沙は数手出遅れる。その間にも彼女は冷静に状況を分析した。
風呂敷を取り戻した彼女がやるべきこと……逃走。彼女は先の窓へ跳ぼうとするが炎を反射する鋭利な破片に一瞬の戸惑いを覚え、先程とは逆側の窓へ跳んだ――ガッシャーン 二度目の逃走劇が開かれる鐘が鳴り響いた。
「まーた窓やりやがった」
またも聞こえる呆れ声、しかし同じことの繰り返し……ではない。彼女は右手を風呂敷へ入れ唱えた。
――能力発動、万スティール この背に盗るは魔理沙の箒。
風呂敷から手を出して、出てきたのは木の先…続いて、引っ張りだすとカサカサした物…
「良し来たぁ。 こんな物、捨て置いてやるですよ。 恨むなら私を弄んだことを恨むんですね」
最後にそう言い残し、彼女は白黒の悪魔から逃げ延びることに成功したのだった。
現状どこまでキャラ出そうか悩んでます。鬼は絶対出すし。
あと、初めての能力発動。万が示す意味は!?