ニューカレドニア島沖合
「・・・・マジで?」
「・・・・わかった、そうするよ、そっちも復旧を急いでくれ、それじゃ。」
「どうされました?」
正成がラバウルの倉庫の再建に動き出した頃、ニューカレドニア島攻略艦隊は順調に敵の掃討を進めていた。
「ラバウルの倉庫が超大型戦略爆撃機の奇襲に遭って吹っ飛んだらしい。」
「・・・中々の痛手だな。」
「此方は他の鎮守府から派遣された艦娘による前線補給で何とかなってるから良いのですが、本格的修理ができないのは痛いですね。」
「やけに戦線が薄いから本拠地周辺にいるのかと思ったが、それもないしな。」
「一流といえる戦力ではあるのだが、一押しが足りない、そんな感じの敵艦隊編成だな。」
この時、プロトベンツを改造して海上で使っている創作と共に前線にいたのは、上総、下総、武蔵、大和、翔鶴、瑞鶴、赤城、加賀、矢矧、ザラと、主力艦だらけの陣営だったが。
肝心の敵側はタ級flagshipやツ級elite等は大挙して出てくるものの、軍勢はすべてelite以上flagship止まりであり、姫、鬼クラスがまるで出現せず、結果として戦力の過剰投入みたいな状況になっていた。
そんなわけで現在、比較的後方で創作、上総、武蔵が作戦経過を確認しているように、前線でローテーションを組める程に戦力に余裕があったのである。
ちなみに補給であるが、オーストラリアからの補給艦隊により円滑に行われていた。
上総達の活躍もあって、元からの作戦変更により補給艦隊除くとこの艦隊だけで攻略する羽目になったのだが、上記の要素が原因となり、予想よりも遥かに速く攻略を進めていたのである。
「・・・・あっ、前線の下総から連絡です……え?」
「?、どうした上総、何があった?」
「・・・・不味いです、完全に謀られましたね、たった今、敵の防衛艦隊を殲滅した下総達がニューカレドニア島に到着したようなのですが、航空隊の偵察からすると、完全に
「んなっ!?」
「それと、島の内部調査をしようと上陸した翔鶴さんと加賀さんが落とし穴にはまって救助が難航している模様。」
「・・・・拠点1つまるごと囮かよ、思いきった決断したなオイ、」
「落とし穴か・・・・よく無事だったな。」
「丁寧な事に、落ちた先にクッションが強いてあったとの事です。」
「・・・・変な配慮だな。」
「奥地を偵察したときに穴のようなものが多数あったと報告されています、誤落下対策かと。」
「成る程・・・下総達はその場で待機、我々もすぐ向かうとしよう。」
「島内部を捜索して、翔鶴と加賀の救出に使えそうなもん探しとくように伝えてくれ、なからったら俺が現地でロープ創造するから。」
「了解、あ、ついでにトラップに注意するよう伝えときますね。」
「あー、頼む。」
(すぐさま正成達にNC島方面が囮になっているのを伝えないとなぁ・・・・)
以後、創作達はニューカレドニア島の探索において、いくつものハプニングに遭遇するのだが、それはまた別の話・・・・。
一方その頃、トラック島、トラック泊地本営府。
「此方は平和ですねぇ~」
「まぁ、不穏な情報が多数入ってますけど、ここは前線とは遠めですからこれだけの警備があれば十分だと思います。」
「創作艦隊の手による本命攻略のために、盛大な陽動を行ってますからね。」
トラック島泊地にて優雅に佇む二人の提督、村ノ瀬優樹菜と瀬野由奈は他の前線とは違い、非常に平穏な雰囲気でトラック島の防衛に当たっていた。
この時トラック島に派遣された優樹菜艦隊は第6駆逐隊、榛名、木曾、虚、摩耶、龍驤、大鳳、ヴァツーチンと、さりげなく対潜水艦を取った艦隊編成であり。
少し前まで精神を病んで後方にいた、トラック泊地の提督、瀬野 由奈提督が本基地に残していたのは、金剛、加賀、摩耶、不知火、五月雨、そして最近出現した神風の6隻であった。
「提督、龍驤の偵察機が前方に敵艦隊を確認しました。」
「やはり来ましたね、加賀、敵艦隊の編成は?」
「ちょっと待ってくださいーーーッ!?、敵艦隊はeliteのレ級を旗艦とするレ級だけの艦隊の模様!!」
「なっ!!」
「慌ててはいけません、付近艦の集結を急いでください。」
龍驤からの報告に一時戸惑う優樹菜だが、由奈は特に驚くことなく冷静に対処法を伝える。
が、現実はそんなに甘くなく、続くようにして、報告がやって来る。
「・・・・レ級艦隊から発艦した航空隊が付近を警戒中の響に目標を定めた模様、龍驤艦戦隊が妨害行動に出てますが、敵機が多過ぎて対処しきれていません。」
「不味い・・・・ヴァツーチンとはかなり距離が離れてる・・・・」
「取り敢えず、味方艦隊との合流を急ぐようにしてください。」
「了解しました。」
「大変だ提督!(どうしました?)取り敢えずこの報告を!!」
ただでさえ大変なこのタイミングにて、摩耶から突然渡された紙、取り敢えず受け取って読んだ由奈は、そのまま紙を落とす事となる。
「ミッドウェーへ向かった艦隊との通信が途絶……嘘……でしょ……」
~その頃、side、ヴァツーチン~
「・・・・なにかしらこの子……。」
ヴァツーチンはたまたま海上にて見つけた、赤くてやけに小さい駆逐イ級と思われる何かに懐かれ困惑していた。
(ツーツツ、ツーツツ、)
「?、モールス信号……?」
どうしたものかと困ったヴァツーチンだったが、突如イ級から伝達されてきたモールス信号に、多少の疑問を抱えつつ、信号の解読を始める。
「……貴艦東方・・・展開スル駆逐艦付近に敵航空隊・・・シキュウ……救援……サレタシ……!!まさか響ちゃん!!」
何が起ころうとしてるのかを知り全力で響のもとへと向かうヴァツーチン、少しすると、レーダーが、響とそこへ向かう50近い敵影を移した。
「ラティメリア、聞こえますか!これより、此方は対空射撃を開始します!敵艦隊の観測をお願いします!!」
「!?、りょ、りょうかいしました!!、あと、ちかくに虚さんがむかっているので、誤爆に気を付けてください!!」
「了解、各砲門、対空散弾装填!!」
ヴァツーチンはラティメリアに対して航空隊の出所を探らせる中、前世にて猛威を振るった愛用の対空散弾を装填し、響を狙う敵航空隊の方向へと向ける。
「主砲、ってぇ!!!」
トラックの沖にて「鋼鉄のレヴァイアサン」がその恐るべき性能を初めて振るった瞬間であった…………
一方、ミッドウェー戦線では・・・・・・
「(ザーザザッ)・・・こちらミッドウェー鎮守府、敵艦隊の大規模増援を確認!戦線が支えきれない!!」
「(ザザザッ)前線の第1艦隊からの通信途絶・・・・・・鎮守府維持は不可能と判断、トラックまで撤退します!!」
「こちら、ミッドウェー第8分営府所属の祥鳳です、敵艦隊が最終防衛戦に迫ってきてます、ここは此方で食い止めますので急いで他の艦隊と提督の皆さんは本前線を退避してください!!」
ミッドウェー戦線はこの時、作戦本部の予想を裏切り、凄まじい戦火が待っていた。
陽動の為に半ばハワイを攻略するつもりで出動した、総勢およそ300隻の艦娘達による大艦隊は、ハワイへ向かう途中にて深海棲艦による凡そ1580機にも及ぶ大規模空襲の後、全速力で突っ込んできた深海棲艦の艦隊により敗走、その勢いのままミッドウェーに攻め込まれ、ミッドウェーに展開されていた防衛ラインを突破されると言う絶望的状況に立たされていた。
「ススメ!!ヤツラガ来ル前ニナントシテデモココヲ突破スル!」
「コノママワタシニツイテキナサイ!」
深海棲艦の艦隊を指揮するのは、
艦娘達は戦場に突出してきた緑オーラの戦艦水鬼を脅威と察しすぐさま攻撃を加えるが、その巨体からは想像することさえ出来ぬ凄まじい速力で砲弾をかわし、反撃で次々と主力艦がワンパン大破に追い込まれていたのである。
「何がどうしてこうなるの?、っッ!はなしなさい!」
「ズイウン後デアゲルカラ今ハオトナシクシテテネ。」
「ぬ……瑞雲をか……仕方ない……」
(・・・・ソレデイイノカ日向ハ……)
「捕まっちゃったぽい~」
「一番が良いといつも言ってるけど捕まるのも一番最初なのは嫌~!!」
「いやいやいや、そんな気楽に言ってる場合じゃないからね!?」
「あっ、時雨さん、そちらもですか?」
「雪風……雪風まで捕まるなんて今回は相当みたいだね。」
「捕マッテル同士話スルノハ構ワナイケド、大人シクシテナヨ?」
「そのくらいはわかってるつもりです、ボロボロの私達じゃまともに戦うことすら出来ませんから。」
「ソウ、ナライイノダケドネ。」
「HA☆NA☆SE!!」
「何で私達まで捕まるのよ~!?」
「深海棲艦に拘束されたまま輸送される羽目になるとは……」
・・・・・・そんな絶望的な戦況とは裏腹に、破竹の勢いでミッドウェーに進軍する深海棲艦達の裏では、タ級やネ級などによって物凄い勢いでハワイへと護送されていく艦娘と提督達の姿があった。
「……ビックリスルクライ作戦ガウマクイッタナ…………」
「此方ニ主戦力ノ殆ドヲ向ケタカラマァ当然ネ、ソレト、少シ前ニニューカレドニアノ囮ガ玉砕シタトノ報告ガ入ッタワ。」
「ソウカ・・・スマヌ、ワガ同胞タチヨ・・・」
戦闘中、戦闘不能になった艦娘、絶望的戦力差で包囲された艦娘、ミッドウェー諸島に鎮守府をおいていた人員等が根こそぎ無力化の後ハワイへと運ばれており。
縄でぐるぐる巻きにされた状態でタ級達に持ち上げられて運ばれていくその光景は、シュールと言う他には無い物であった。
そしてその頃、時間はふたたび遡り、視点は遥か大西洋、英国、プリマス港へと移っていく。
「うう・・・・・・まさか超音速機に乗るはめになるなんて・・・・・・」
「すまないね菜桜提督、急ぎの話だったから開始までに余裕を持たせるにはこの手しか無かったんだ。」
「いえ……此方も要望通りの編成は無理だったのがありますし……。」
「あの要望は対潜艦娘不足の未然防止策として用意した年押しだからねぇ、別段大型艦だらけでも問題は無いかなとか思ってたから。」
「うう……気持ち悪い・・・酔ったかも……」
菜桜と長門、三日月、準鷹、グラーフ、青葉は他の提督及び槇田首相と共に、超音速旅客機、「コンコルド」、に乗り、深夜一時の横須賀から凡そ六時間、英国、プリマス港の飛行場に到着した時は、時差により英国は前日の23時であった。
「さて、そろそろ作戦の説明にはいるとしよう。」
「そうだった、さすがにそろそろ作戦を説明して欲しい所だった。」
「横須賀に到着したと思ったら、そのままコンコルドにいきなり乗せられて遥かイギリスだもんね。」
「作戦目的だが・・・簡単に言うと大西洋横断だ。」
「へ?」
「本任務……いや、本作戦の内容は、英国、プリマス港から、現在海路が途絶えたままのアメリカ合衆国へと横断する事だ。」
「ファッ!?、ちょっと待って、人員の輸送の為の船どうするの?、それと大西洋はまだ深海棲艦が残ってるって前……」
「輸送の為の船だが、この日のために各地で温存していた世界各国の残存軍艦と輸送船、合計16隻で艦隊を組むこととなる。」
「本作戦はつい最近大西洋方面で深海棲艦の発見報告が殆ど無くなったのを鑑み、艦娘による護衛を伴えば横断は可能であろうと言う結論に達し、発動された作戦だ。」
「本作戦の目的は二つ、1つ目はアメリカ合衆国との確実な連絡を一時的にでも復活させること、そして・・・・・・」
「そして?」
「
「本作戦の目的は、アメリカ合衆国、ニューヨークに本来あった国連にふたたび人員を送り込むことで国連を復活させること、そしてアメリカとの連携を復活させることで、太平洋方面の深海棲艦を挟撃に追い込むことにある。」
槇田首相から告げられた作戦内容は、これまでの戦局に最後と言えるであろう転換点を産み出しうる物なのであった。
「ん?大西洋が安全になったのなら空路を使った方が良いのでは無いか?」
「・・・コンコルドやボーイング機等を使って移動する案は、アメリカ側の空港が殆ど深海棲艦の攻撃で未だ復旧作業中と言う訳で使用不可能でな、復旧作業中の空港がまた襲われる可能性を考慮した結果、海路で向かう事になったんだよ。」
「だから艦娘の護衛を要した訳か。」
「その通りだ、何しろヨーロッパ、アジア残存諸国のVIPが勢揃いだからね、そろそろ出港時間になる、取り敢えずラバウル菜桜提督達は、護衛艦隊旗艦《いずも》に乗船しといてくれ。」
「了解しました。」
しばらくの後、菜桜達が輸送船護衛艦隊旗艦「いずも」に乗り込んだ所で一斉に汽笛が上がり、先行の護衛艦を始めに、次々と艦隊がプリマスの港を離れていく・・・。
そんななか、槇田は自身が乗り込む輸送船の中で一人、長いこ思案に耽っていた。
(国連が復活すれば、深海棲艦に関して意見を揃える事も不可能では無くなる、長いこと深海棲艦との戦争を続けては来たが、ヨーロッパ圏、日本、そして東南アジア圏の各国は、もうすでに経済面での限界が目前になりつつある…………)
(それに、仮に深海棲艦の殲滅が完了したとして、各国で保有数に大きな差がある艦娘の立場はどうなっていく?まず間違いなく、深海棲艦が滅亡し、艦娘と人類が残ったこの世界の人々は、その後に艦娘の存在を危険視し始めるだろう。)
(そうなったとき、艦娘が原因で、表層上では無くなっていた人類同士の大規模な戦乱がまた訪れるかもしれない……それだけは避けねば)
(本土の事は高木に任せることができた、大本営鎮守府の鹵獲深海棲艦から余り情報を聞き出せてないから深海棲艦と講話を成せるかどうかは微妙なラインだが、もしも成せれるのであれば・・・なんとしてでも……)
不安と決意を心の内に潜める槇田、そんな不安を他所に、艦隊はアメリカへ向け大西洋を進む。
これまでの戦いに、1つの終わりを成そうとするが為に…………。
~続く~